黒ウサギについて行き巨体な外門の前までまで来た。
「ジン坊っちゃーン! 新しい方を連れてきましたよー!」
そこにいた、ダボダボのローブを着たヨウより年下そうな少年に向け、黒ウサギがそう叫ぶと、少年は、はっと顔を上げた。
「お帰り、黒ウサギ。 そちらの3人が?」
「はいな、こちらの御四人様が―――」
クルリ、と振り返り、気づいたようでカチン、と固まった。
「‥‥え、あれ? もう一人いませんでしたっけ? ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から゙俺問題児!゙ってオーラを放ってる殿方が。」
黒ウサギの問いに答える。
「ああ。 十六夜か? あいつなら゙ちょっと世界の果て見てくるぜ゙とか言って走ってったぞ。 確か、あっちに。」
と空から見えた断崖絶壁を指さす。
それを聞いて呆然となった黒ウサギは、再起動を果たしウサミミを逆立てながら問いただしてきた。
「な、なんで止めてくれなかったんですか!」
「゙止めてくれるなよ゙と言われたもの。」
と飛鳥。
「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」
「゙黒ウサギには言うなよ゙と言われたから。」
と耀。
「嘘です、絶対嘘です! 実は面倒くさかっただけでしょう御三人様!」
「「うん」」
「まあ確かに。」
答えるとガクリ、と前のめりに倒れた。
話を聞いていた少年‥‥ジンは蒼白になり叫んだ。
「た、大変です! ゙世界の果でにはギフトゲームのために野放しにされてる幻獣が」
「幻獣? 人を丸飲みできる蛇とかか?」
幻獣と聞き、かつて討伐した巨蛇を思い出し、そうつぶやく。
「は、はい。 そんな感じです。 よく、ご存知ですね。」
「一応、俺のいたとこにもそんなのいたし、何匹か仕事で狩ったからな。」
「え? それは‥‥」
「それはいいだろ。 なんでそんなに焦ってるんだ?」
軌道修正のために聞く。
「そ、そうでした! 幻獣はギフトを持った獣を指す言葉で、特に゙世界の果で付近には強力な力を持ったものがいます。 出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません。 」
「あら、それは残念。 もう彼はゲームオーバー?」
「ゲーム参加前にゲームオーバー? ‥‥斬新?」
「斬新過ぎないか? 新たな流行か?」
「冗談言っている場合じゃありません。」
ちょっとふざけたら怒られたし。と肩をすくめる。
その様子を見てか、黒ウサギはため息をつきつつ、立ち上がった。
「はあ‥‥ジン坊っちゃん。 申し訳ありませんが、御三人様のご案内をお願いしてもよろしいでしょうか?」
「わかった。 黒ウサギはどうする?」
「問題児を捕まえに参ります。 事のついでに―――゙箱庭の貴族゙と謳われるこのウサギを馬鹿にしたこと、骨の髄まで後悔させてやります。」
という会話をジンと交わしたあと、艶のある黒髪を淡い緋色に染めるという斬新な方法で怒りをあらわにし、外門めがけて跳躍した。
「一刻程で戻ります! 皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」
そう言い残し、弾丸の如し速度で飛び去った。
「早いな。」
素直に感心を示す。
「そうね。 箱庭の兎は随分速く飛べるのね。」
巻き上がった風から髪を庇うように押さえてたアスカが同意を示した。
「ウサギ達は箱庭の創設者の眷属。 力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です。 彼女なら余程の幻獣と出くわさない限り大丈夫だと思うのですが‥‥」
ジンの言葉にから返事をする。
飛鳥は心配そうなジンの方へ向き直り、
「黒ウサギも堪能くださいと言ってたし、御言葉に甘えて先に箱庭に入るとしましょう。」
「え、あ、はい。 コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。 齢十一になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。 三人の名前は?」
レディーファーストで二人に先を譲る。
「久遠飛鳥よ。 そこで猫を抱えているのが」
「春日部耀。 で、そこの黒いのが」
「黒いのって‥‥。 ハル=トレヴァースだ、以後よろしく。」
いや、確かに黒づくめなんだけどさぁ。
他に言い方無い?と思いながらも、ジンが礼儀正しく自己紹介をしたので家を出てからしばらくやってなかった貴族式の一礼を行なう。
「さ、それじゃあ箱庭に入りましょう。 まずはそうね。 軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ。」
そう言い、飛鳥はジンの手を取り、その美少女な顔に似合う笑顔で箱庭の外門をくぐった。
主人公紹介時に載せてませんでしたが、ハルは貴族の出身です。