問題児たちと少年魔法剣士(凍結)   作:モグモグラ

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エピソード❼ サウザントアイズへ

日が暮れた辺りで黒ウサギと十六夜と合流し、ガルドに喧嘩を売ったと知られ説教を受けた。

色々と説教と質問をされたがそれに対する対応は一つ。

 

「「「「ムシャクシャしてやった。 今は反省しています。」」」」 一切口裏合わせをしていないのに一字一句間違いのないセリフだった。

「黙らっしゃい!!!」 結果、火に油を注いだ。 だが、俺は後悔しない。

今までニヤニヤと笑いながら見ていた十六夜が止めに入った。

「別にいいじゃねえか。 見境なく喧嘩売ったわけじゃないんだから許してやれよ。」

「い、十六夜さんは面白ければいいと思ってるかもしれませんけど、このゲームで得られるものは自己満足だけなんですよ? この゙契約書類゙(ギアスロール)を見てください。」

そう言い黒ウサギが見せだ契約書類゙ば主催者権限゙を持たない連中が゙主催者゙になってゲームをするのに必要なギフト‥‥だったか?

「゙参加者が勝利した場合、主催者は参加者の言及するすべての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後、コミュニティを解散する。゙――――まあ、確かに自己満足だ。 時間を掛ければ立証できるものを、わざわざ取り逃がすリスクを背負ってまで短縮させるんだからな。」

こちらのチップば罪の黙認゙だ。 これは今回のみならずこれからも、と言う意味だ。

その後の話としては、今回のゲームに十六夜は参加しない。 まあ、他人の喧嘩に首を突っ込むような場違い野郎ではないと感じてたから予想内。

 

一通り話終え、黒ウサギは椅子から腰をあげ、横に置いてた樹の苗を大事そうに抱えあげた。 ところであの苗、魔力を感じるな。 出来れば新しい魔法の媒体にしたいくらいだ。

いや、他人が大事そうにしてるのを無理やり奪う気はないけど。 そのうぢギフトゲーム゙で使えそうなの手に入れるか。

「そろそろ行きましょうか。 本当は皆さんを歓迎する為に素敵なお店を予約して色々とセッティングしていたのですけれども‥‥不慮の事故続きで、今日はお流れとなってしまいました。 また後日、きちんと歓迎を」

「別にいいんじゃないか? この‥‥俺らのコミュニティは崖っぷちなんだろ?」

ジンから聞いた。と答えると黒ウサギは驚き、ジンの方を見た。 ジンは申し訳なさそうな顔をしてた。

それで悟ったのか黒ウサギは恥ずかしげに頭を下げた。

「も、申し訳ございません。 皆さんを騙すのは気が引けたのですが‥‥黒ウサギ達も必死だったのです。」

「もういいわ。 私は組織の水準なんてどうでもよかったもの。 ハルくんと春日部さんはどう?」

黒ウサギが恐る恐る俺と耀の顔を伺う。

「同意だ。 こんな事で怒ってはいないさ。 最低限の寝床があればいい。」睡眠とれれば魔力はある程度は回復するし。

耀は無関心のまま首を振った。

「私も怒ってない。 そもそもコミュニティがどうの、というのは別にどうでも‥‥あ、けど」

思い出したように迷いながらつぶやく耀。

「どうぞ気兼ねなく聞いてください。 僕らに出来ることなら最低限の用意はさせてもらいます。」ジンが身を乗り出しながら問う。

「そ、そんな大それた物じゃないよ。 ただ私は‥‥毎食三食お風呂付きの寝床があればいいな、と思っただけだから」

その言葉にジンの表情が固まった。

もしかして、箱庭という場所は水の確保が難しいのだろうか。 それともこのコミュニティが、か。 水の確保に苦労するんだな。

苦労を察したのか耀は慌てて取り消そうとしたが、それより先に黒ウサギが嬉々とした顔で抱えていた樹の苗を持ち上げた。

「それなら大丈夫です! 十六夜さんがこんな大きな水樹の苗を手に入れてくれましたから! これで水を買う必要もなくなりますし、水路を復活させることもできます♪」

ああ、それ水樹か。 どんな原理で水を生み出すんだろうか。 すごく気になる。

黒ウサギの言葉にジンは一転して明るい表情になった。

飛鳥も安心したような顔を浮かべた。

「私達の国では水が豊富だったから毎日のように入れたけど、場所が変われば文化も違うものね。 今日は理不尽に湖へ投げ出されたから、お風呂には絶対入りたかったところよ。」

「それには同意だぜ。 あんな手荒い招待は二度と御免だ。」

風呂か。 まともにくつろいだのはどのくらい前だったか‥‥

「あう‥‥そ、それは黒ウサギの責任外の事ですよ。」俺を除く三人の責めるような視線に黒ウサギは怖気ついていた。俺は別に濡れるのは初めてじゃないからか。

ジンもその隣で苦笑していた。

「あはは‥‥それじゃあ今日はコミュニティへ帰る?」

「あ、ジン坊ちゃんは先にお帰りください。 ギフトゲームが明日なら゙サウザントアイズ゙に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと、この水樹のこともありますし。」

黒ウサギの言葉に俺ら四人は首を傾げた。

「゙サウザントアイズ゙? コミュニティの名前か?」

「サウザント‥‥、゙千の瞳゙つまりは目に関する能力持ちでもいるのか?」

「Yes。 ゙サウザントアイズ゙は特殊な゙瞳゙のギフトを持つ者達の群体コミュニティ。 箱庭の東西南北・上層下層の全てに精通する超巨大商業コミュニティです。 幸いこの近くに支店があります。」

「ギフトの鑑定というのは?」

「勿論、ギフトの秘めた力や起源などを鑑定する事デス。 自分の力の正しい形を把握していた方が、引き出せる力はより大きくなります。 皆さんも力の出処は気になるでしょう?」

なるほどそう言う事か。

「なら、俺はパスだ。 自分の力は把握してるし、起源に関しては周りも知らない方がいいだろうし。」中には人の道を外れてしまったのもあるからな。

「だ、駄目です! ハルさんにも来てもらいます!」

嫌なんだが、と反抗するのがバカバカしかったので大人しく降参する。 正直、面倒になった。

 

 

 

黒ウサギ・十六夜・飛鳥・耀・ハルの五人と三毛猫一匹ばサウザントアイズ゙二度と向かう。 道中、十六夜・飛鳥・耀・ハルの四人は興味深そうに町並みを眺めていた。

商店へ向かう通りは石造で整備されており、脇を埋める街路樹は桃色の花を散らして新芽と青葉が生え始めている。

日が暮れて月と街灯の光に照らされた並木道を、飛鳥は不思議そうに眺めて呟いた。

「桜の木‥‥ではないわよね? 花弁の形が違うし、真夏になっても咲き続けているはずがないもの。」

「いや、まだ初夏になったばかりだぞ。 気合の入った桜が残っていてもおかしくないだろ。」

「‥‥? 今は秋だったと思うけど」

ん? と噛み合わない三人は顔を見合わせ首を傾げる。 それにハルは肩を竦めて口を開く。

「いや、そもそも俺ら全員違う世界、いうならパラレルワールドというべきとこから呼び出されたんだろ? 黒ウサギ?」 顔を黒ウサギに向け、そう尋ねた。

「近しいですね。 正しくは立体交差並行世界論というものですけども‥‥今からコレの説明を始めますと一日二日では説明しきれないので、またの機会ということに。 ところでハルさん、よく分かりましたね。」

「いや別に? 過去に滅んだ文明の書物に書かれてたことを言っただけだが。」

ハルの問いを曖昧に濁そうとした黒ウサギはハルの返答に勢い良く振り返る。

「ちょ、ちょっとお待ちを! 今なんとおっしゃいましたか!?」 黒ウサギと三人の視線が集まる中、ハルはキョトンとしてから気づいたような表情をした。

「‥‥ああ。 なんも説明してなかったか。 俺のいた世界は数百年前に一回滅んでるんだよ。 技術が発展しすぎての戦争でな。」ポンッと手をうち、ハルは説明した。

「戦争以前の文化、生物はほとんど残ってなくて、今生きてるのはごく少数の人間と新たに誕生した亜人と呼ばれてる連中。 後、魔獣と奥地に住む幻獣のみだ。」勿論、桜も残ってなかったさ。 そう付け加えた。

「なんというか‥‥凄いところね。」飛鳥の驚愕を隠せない言葉にハルは小さく苦笑した。

「今は戦争以前、゙旧文明゙初期程度には復興してるさ。 もっとも街はほとんどないから荒地だらけだが。」

 

話をしてる間に俺らは目的の店に着いた。 商店の旗には、蒼い生地に互いが向かい合う二人の女神像が記されている。

店先で看板を下げる割烹着の女性店員に、黒ウサギは滑り込みでストップを

「まっ」

「待った無しです御客様。 うちは時間外営業はやっていません。」

ストップをかけることもできなかった。 黒ウサギは悔しげに店員を睨みつける。

さすが、大規模なだけある。 押しいる客の拒み方に隙がない。 いやでも話が進まないしな。

「ふむ‥‥、商売っ気が無いのが箱庭の基本か。」

「違います。」 即否定された。

「そうなのか? んじゃ入れてもらおうか?」

「お断りします。」

「そこをなんとか。」

「無理です。」 あっ、これは無理かもしれない。 堅物そうだし、この女性。

「ケチだなー。 堅すぎるのは良くないぜ?」

「文句があるならどうぞ他所へ。 あなた方は今後一切の出入りを禁じます。 出禁です。」

「いや、貴女のこの店の役職は知らないが、上司に相談なしに出禁にする権限は無いんじゃないか?」

「‥‥くっ」言葉を詰まらせた。

「その上司が便りにならないのですが、なるほど一理ありますね。 では、中で入店許可を伺いますので、コミュニティの名前をよろしいでしょうか?」 女性店員の言葉に今までやりとりを見ていた黒ウサギの顔が沈んだ。 十六夜は躊躇いなく名乗った。

「俺達ばノーネーム゙ってコミュニティなんだが。」

「ほほう。 ではどこの゙ノーネーム゙様でしょう。 よかったら旗印を確認させていただいてもよろしいでしょうか?」

黒ウサギは黙り込む。 なるほど、黒ウサギの言ってだ名゙ど旗印゙がないコミュニティのリスクと言うやつか。

規模の大きい商店は顧客を選ぶ。 信用のできない客を扱うようなリスクは冒さない。 この箱庭でば名゙ど旗印゙が信用の一つなんだろう。

「その‥‥あの‥‥私達に、旗はありま」

小声で呟きかけた黒ウサギの声が途絶えた。

「いぃぃぃぃやほぉぉぉぉぉぉ! 久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」 そんな声と共に極東の島国の民族衣装っぽい服を来た真っ白髪の少女が黒ウサギにフライングボディーアタックをかまし、黒ウサギと共に空中を4回転半とひねりをしながら街道向こうの水路まで吹き飛んでった。

「‥‥何あれ?」 ボチャン。という音と遠くなる悲鳴を聞きつつそう呟く。 見れば店員は頭を抱えていた。

「‥‥おい店員。 この店にはドッキリサービスがあるのか? なら俺も別バージョンで是非」

「ありません」

「なんなら有料でも」

「やりません」

真剣な十六夜に、真剣な表情で店員は断っていた。 あの二人マジだな。いや、そうじゃなくて。

「十六夜。 それは後にしてくれ。 今は吹っ飛んでいった黒ウサギについてだ。」

そう言いながら、黒ウサギと白髪少女(幼女?)の方を見る。

「し、白夜叉様!? どうして貴女がこんな下層に!?」

「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろに! フフ、フホホフホホ! やっぱりウサギは触り心地が違うのう! ほれ、ここが良いかここが良いか!」

どうやら知り合いみたいだな。 と思ってたら黒ウサギが少女の頭を掴み、引き剥がしてこっちへ投げて来た。

縦回転しながら来た少女を、

「てい。 ほらよ、パス。」 十六夜はこっちに受け流してきた。

「何でだよ。」 とりあえず、足で受け止める。

「ゴバァ! お、おぬしら、飛んできた初対面の美少女を受け流し、あまつさえ足で受け止めるとは何様だ!」

「十六夜様だぜ。 以後よろしく和装ロリ。」

「ハル=トレヴァースだ。 足で受け止めたのは悪かった。」

ヤハハと笑いながら自己紹介する十六夜に呆れの視線を向けつつ、自身も名乗り、謝罪しておく。

「‥‥トレヴァース? ‥‥。 いやまさかな。」俺の名前を聞いた途端、何かを考えるような感じになったな。

「貴女はこの店の人?」 アスカが少女‥‥白夜叉だったか、に話しかけた。

「おお、そうだとも。 この゙サウザントアイズ゙の幹部様で白夜叉様だよご令嬢。 仕事の依頼ならおんしのその年齢のわりに発育がいい胸をワンタッチ生揉みで引き受けるぞ。」 ああ、こいつ中身はエロオヤジだ。 見た目は成長したら良さそうだが。

「オーナー。 それでは売上が伸びません。 ボスが怒ります。」

エロおやじ、もとい白夜叉にどこまでも冷静な声で女性店員は釘を刺す。

「うう‥‥まさか私まで濡れる事になるなんて。」 水路から上がってきた黒ウサギが濡れた服を絞りながら複雑そうに呟いていた。

「俺らを濡らしたバツじゃないか?」

「因果応報‥‥かな。」

耀と2人でそう言うと黒ウサギは悲しげに服を絞ってた。いや、猫もニャーニャー言ってたし、二人と一匹かな。

黒ウサギとは反対に濡れたことを全く気にしてない白夜叉に目を戻すとこちらを見回してニヤリと笑ってた。

「ふふん。 お前達が黒ウサギの新しい同士か。 異世界の人間が私の元に来たという事は‥‥遂に黒ウサギが私のペットに」 なぜそうなる?

「なりません! どういう起承転結があってそんなことになるんですか!」 黒ウサギがウサ耳を逆立て怒ってた。

「まあいい。 話があるなら店内で聞こう。」

「よろしいのですか? 彼らは旗も持たない゙ノーネーム゙のはず。 規定では」

「゙ノーネーム゙だと分かっていながら名を尋ねる、性悪店員に帯する侘びだ。 身元は私が保証するし、ボスに睨まれても私が責任を取る。 いいから入れてやれ。」

白夜叉の言葉に女性店員は拗ねるような顔をした。

そんな女性店員に睨まれながら暖簾をくぐる。

 

 

暖簾をくぐった五人と一匹は、店の外観から考えられない、不自然な広さの中庭に出た。

正面玄関を見れば、様々な珍品名品がショーウインドに並んでいる。 白夜叉に連れられて中庭を進み、五人と一匹は縁側で足を止める。

障子を開けて招かれた場所は香のような物が焚かれており、風とともに五人の鼻をくすぐる。 香の香りにハルは一瞬、顔をしかめた。

個室というには少し広い和室の上座に腰をおろした白夜叉は、大きく背伸びをしてから、十六夜達に向き直る。 気づけば、彼女の着物はいつの間にか乾ききっていた。

「もう一度自己紹介しておこうかの。 綿は四桁の門、三三五外門に本拠を構えている゙サウザントアイズ゙幹部の白夜叉だ。 この黒ウサギとは少々縁があってな。 コミュニティが崩壊してからもちょくちょく手を貸してやっている器の大きな美少女と認識しておいてくれ。」

「はいはい、お世話になっております本当に。」

投げやりな言葉で受け流す黒ウサギ。 その横で耀が小首を傾げ問う。

「その外門、ってか何?」

「箱庭の階層を示す外壁にある門ですよ。 数字が若いほど都市の中心部に近く、同時に強大な力を持つ者たちが住んでいるのです。」 黒ウサギはそう説明した。 それを説明する図を見た四人の感想は、

「‥‥超巨大タマネギ?」

「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら。」

「そうだな。 どちらかといえばバームクーヘンだ。」

「‥‥なるほど。 バームクーヘンとはぴったりだ。」

うん、と四人は頷きあった。 そんな身も蓋もない感想に黒ウサギは肩を落とした。

対照的に、白夜叉は哄笑を上げて二度三度と頷いた。

「ふふ、うまいこと例える。 その例えなら今いる七桁の外門はバームクーヘンの一番薄い皮の部分に当たるな。 更に説明するなら、東西南北の」

 

〜〜〜〜〜〜〜〜割愛〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

十六夜が倒した大蛇に神格を与えたのが白夜叉ということが分かった途端、十六夜は瞳を光らせて問いただす。

「へえ? じゃあオマエはあのヘビより強いのか?」

「ふふん、当然だ。 私は東側の゙階層支配者゙だぞ。 この東側の四桁以下にあるコミュニティでは並ぶ者がいない、最強の主催者なのだからの。」

その言葉に十六夜、飛鳥、耀、ハルの四人は一斉に瞳を輝かせた。

「そう‥‥ふふ。 ではつまり、貴女のゲームにクリア出来れば、私達のコミュニティは東側で最強のコミュニティという事になるのかしら?」

「無論、そうなるのう。」

「そりゃ景気のいい話だ。 探す手間が省けた。」

三人は剥き出しの闘争心を、ハルは鋭く研ぎ澄まされた闘志を視線に込めて白夜叉を見る。 それに気づいた白夜叉は高らかと笑い声をあげた。

「抜け目ない萄達だ。 依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

「え? ちょ、ちょっと御四人様!?」

慌て出す黒ウサギを白夜叉は右手で制す。

「よいよ黒ウサギ。 私も遊び相手には常に飢えている。」

「ノリがいいわね。 そういうの好きよ。」

「ふふ、そうか。 ――しかし、ゲームの前に一つ確認しておく事がある。」

「なんだ?」

十六夜がそう聞くと、白夜叉は着物の裾から゙サウザントアイズ゙の旗印―――向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言つげた。

「おんしらが望むのば挑戦゙か―――もしくば決闘゙か?」

刹那、四人の視界に爆発的な変化が起きた。

様々な情景が脳裏で回転し、四人が投げ出されたのは、白い雪原と凍る湖畔―――そして、水平に太陽が廻る世界だった。

「‥‥なっ‥‥!?」

余りの異常さに、十六夜達は同時に息を呑んだ。

ハルを除き。

「‥‥転移、いや世界を創ったのか? どちらにせよ面白いな。」ブツブツと呟いたハルは小さく口元に笑みを浮かべた。

「ほう、やはり驚かないか。」白夜叉がそう言うと、やはり、という部分が引っかかり、ハルは口を開く。

「やはり、ってのはどういう事だ? 白夜叉さん?」おどけたように、だが剣呑さを漂わせた言葉を白夜叉は肩を竦めるように流した。

「‥‥ああ、知りたきゃ命を賭けろってことか。」

呟きハルは小さくため息をつく。

「如何にも。 では今一度名乗り直し、問おうかの。 私ば白き夜の魔王゙―――太陽と白夜の星霊・白夜叉。 おんしらが望むのは、試練への゙挑戦゙か? それとも対等な゙決闘゙か?」

白夜叉の言葉に四人は即答出来ずに返事に躊躇っていた。 いや正確にはハルだけはさっきまでの闘志を雲散霧消させていた。 自分では勝てない、そう感じたからか。

しばしの静寂の後―――諦めたように笑う十六夜が、ゆっくりと挙手した。

「参った。 降参だ、白夜叉。」

「ふむ? それは決闘ではなく、試練を受けるという事かの?」

「ああ。 今回は黙って試されてやるよ、魔王様。」

苦笑と共に吐き捨てるような物言いをした十六夜を、白夜叉は高らかに笑い飛ばした後、笑いを噛み殺して他の三人にも問う。

「く、くく‥‥して、他の童達も同じか?」

「‥‥ええ。 私も、試されてあげてもいいわ。」

「右に同じ。」

「今の状態で勝つのは無理だしな。」

苦虫をかみ潰したような表情で返事をする二人と苦笑を浮かべる一人に白夜叉は満足そうに声を上げる。

その一連の流れをヒヤヒヤしながら見ていた黒ウサギは、ホッと胸をなでおろす。

「も、もう! お互いにもう少し相手を選んでください! ゙階層支配者゙に喧嘩を売る新人と、新人に売られた喧嘩を買ゔ階層支配者゙なんて、冗談にしても寒すぎます! それに白夜叉様が魔王だったのは、もう何千年も前の話じゃないですか!!」

「何? じゃあ元・魔王様ってことか?」

「引退しての隠居か。」

「はてさて、どうだったかな?」

悪戯っぽく笑う白夜叉。 ガクリと肩を落とす黒ウサギと四人。

その時、彼方にある山脈から甲高い叫び声が聞こえた。 獣とも、野鳥とも思えるその叫び声に逸早く反応したのは、耀とハルだった。

「何、今の鳴き声。 初めて聞いた。」

「あれは‥‥グリフォンか?」どこか懐かしむような声でハルは呟いた。

「グリフォンを知ってるのか?」

「まあ、一応知り合いというか、そんなとこだし。」 曖昧さを感じられる口調でハルは答えた。

その言葉に何かを隠している、そう勘づいた白夜叉だったが、特に触れようとせずに湖畔の向こう岸にある山脈に、チョイチョイと手招きをした。

すると体長5mはあろうかという巨大な獣が翼を広げて空を滑空し、風の如く四人の元に現れた。

鷲の翼と獅子の下半身を持つ獣を見て、耀は驚愕と歓喜が籠った声を上げた。

「グリフォン‥‥嘘、本物!?」

「フフン、如何にも。 あやつこそ鳥の王にして獣の王。 ゙力゙ ゙知恵゙ ゙勇気゙の全てを備えたギフトゲームを代表する獣だ。」

白夜叉が手招きする。 グリフォンは彼女の元に降り立ち、深く頭を下げて例を示した。

「さて、肝心の試練だがの。 おんしら四人とこのグリフォンで゙力゙ ゙知恵゙ ゙勇気゙ のいずれかを比べ合い、背に跨って湖畔を舞う事が出来ればクリア、という事にしようか。」

白夜叉が双女神の紋が入ったカードを取り出す。 すると虚空から゙主催者権限゙にのみ許された輝く羊皮紙が現れる。




るぴの振り方分からない(´・ω・)ショッボーン…
次回、ギフト判明(予定)
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