降り立ったのは日本。ルーマニアがあるのだからあってもおかしくないと思い転移したら案の定成功した。といっても、大体の座標を思い浮かべただけなのだが。
「さてと…取りあえず日本はある…ということは、後知る必要があるのはここが俺の思ってる世界で合ってるかって事か」
幻魔はそう呟くと、遠くに見えた鳥の視界を能力で見る。
「大半が森……街道もあるけど、そこを歩かない方が賢明かな?」
能力を解除し、視界が元に戻ると、幻魔は森の中から出ない様に歩き始める。
しばらく歩いていると、ドドドドドドッ!!と大量の足音が聞こえて来る。
「音的に馬…?しかも大群。年代は分からないが、足音の中に金属の擦れる音が聞こえてくるあたり、戦国時代?もっと古い可能性は無いかな。紅魔館があるし、服も大体そのくらいだったし」
納得すると、幻魔は瞬時に転移し、その場から離れる。
* * *
今度も森の中。だが、先ほどの森とは全く雰囲気が違う。
自然界の獣の気配は一切なく、あるのは異様な殺気だけ。その殺気で幻魔には潜伏しているモノが何所に居るのか分かったが、向こうから来るまで無視をし続ける事にする。
「知性のある視線。更に人間とは比べ物にならない気配ってことは、予想通りなら妖怪って所か」
幻魔はそう判断すると、ゆっくりと森の中を歩きだす。
数分経っただろうか、不意に背後に現れた気配に反射的に銀のナイフを突きつける。
「――――ッ!!!」
声ならない声を上げ、ナイフを突きつけられた存在はその場でゆっくりと手を上げると、
「こ、降参ですわ……」
紫色の着物を着て、後ろで金色の髪を束ねている少女はそう言った。
* * *
流れで捕まえた彼女の話を聞き、分かった事がいくつかある。
まずは彼女の名前は
「(あぁ、やっぱりここ、『東方project』の世界だ)」
しかし、それならこの時代に何があっただろう?と考えるが、思い当たるモノは無い。
「それで、なんで私に声をかけた?」
「あぁ、えっと、それはですね。見かけない人間がいたので少し気になって声をかけようとしたら――――」
「――――私だったって事か。なるほど。なら仕方ないか」
言いながら、自分の一人称が『私』になっている事に気付く。昔は『俺』と言っていたのが、城に居る間言わなかったせいで『私』が癖になってるな。と思う。別に問題はないので構わないのだが。
「さて。じゃあ私は少し見て回るか」
「はい?何所をです?」
「どこって、幻想郷をだ。別に構わないだろう?」
「え、えぇ、問題はありませんが…ここには妖怪がいるので危険ですよ?」
「そんなもの分かっている。でも、別にそこまで強いのは居ないだろうから問題ないよ」
「そ、そうですか?なら良いんですけど…」
「心配ならついて来ればいいさ。じゃ、私はもう行くからな」
「え!?わ、私もついて行きます!!」
別についてくる必要は無いだろうが。と一瞬思ったが、少し考えて、自分の領地で好き勝手されるのは嫌だから監視の意味があるのか。と思い至り、納得するのだった。
* * *
ぼんやりと歩き、たどり着いた最初の場所は山。
「えっと、ここは妖怪の山と言って――――」
「――――天狗や河童が住んでいる、か?」
「え、えぇ。知っていらっしゃったんですの?」
「一応は。ただ、来るのは初めてだ」
「そうですか」
あっさりと返され、紫は少し悔しそうな表情になる。
「さてと。じゃあ行くか」
「え!?ちょ、ちょっと!ダメですって!天狗に見つかったらただじゃ済みませんよ!?」
「別に問題ない。天狗くらい敵にもならないさ」
「いや意味分かりませんって!この妖怪の山に入って無事だったのなんて、かの『宵闇の女王』や『生命の
「…ちょっと待て。紫、今なんて言った?」
「だから、私が全力で能力を使ってギリギリ――――」
「――――そこじゃない。『宵闇の女王』と、なんて言った?」
「せ、『生命の掌握者』ですが…え?わ、私、何か変な事を言いましたか?」
「…いや、なんでもない。たぶん私の勘違いだ。あぁ、それと、別に貴方が全力で能力を使用しようとも私に敵わないし、その程度で感知できなくなるような奴らは敵ですらない。じゃあ行くぞ」
「うぇ!?ちょ、待って下さいよ~!」
紫はスタスタと行ってしまう幻魔を追いかける。
しかし、幻魔は紫の事を全く気にせずに、別の事を考えていた。
「(生命の掌握者…それって、『あいつ』に『あの人』が付けたあだ名じゃないか…?いや、でも、まさか…いるのか?この世界に?まさかそんな訳…でも、偶然にしてはおかしい気がする…後で『生命の掌握者』の本名について聞いてみるか…)」
そんな事を考えていた幻魔が