振るわれた右手は、しかしアドバイザーの横を通り過ぎ――――
無数の氷が背後からアドバイザーを滅多刺しにする。
「滅す」
瞬時に氷に触れ、氷を消滅させると共に生み出した霊剣で幻魔を攻撃する。
幻魔は素早く左手でナイフを持って霊剣を防ぎ、それと同時に蹴り上げる。
「『
突如背後に出現した黒い炎を纏った矢に驚き、幻魔は瞬時に転移すると、矢が出現した位置へナイフを投げつける。
「させ………な……い」
真横から回転しながら突っ込んでくる戦斧を幻魔は掴み、投げた犯人である壊疽を確認し、瞬時に優へと戦斧を投げつけ、壊疽にはカードを投げつける。
「神速抜刀術 中伝『
ガッ!!と鉄を叩くような轟音。それは一瞬にして戦斧を破壊し、瞬間、視界を奪う閃光。
「喰い殺せ、フェンリル!!」
――――――!!
全身に響く遠吠え。直後、
「うがぁ!!」
視覚が回復すると同時に、左腕を抑える真人を見つける。その後ろには見上げるほどの狼の形をしたナイフの群れがあった。
「うわぉ。なんだそのでけぇの」
「神狼フェンリル。神すらも喰らう狼。それを模倣したナイフの大群。防ぎきってみるがよい」
幻魔の言葉と共にフェンリルは四人に襲い掛かり、
「壊符『アンデッドブレイク』」
壊疽の宣言により大型の光る球が生み出されると同時、フェンリルはそれにぶつかり――――
大玉は弾け、無数の小さな玉が無差別に攻撃を浴びせる。
しかし、フェンリルの前進は止まらない。
数瞬の内に真人の元まで辿り着き――――
「『
黒い球が出現し、それがフェンリルを構成する全てのナイフを吸い寄せて行く。
そして、最後の一本が引き寄せられようという時、
ズバチッ!!
突如発生した雷光が、黒い球を打ち砕く。
しかし、吸い寄せられていたナイフは止まる事無く真人へ突き進み――――
真人が不自然な動きをして回避する。
「ッ!…傷が無い…?」
真人は我に返ったように体中を見回し、ナイフが刺さっていないことを確認する。
「なんだ…?今、一瞬意識が途絶えて…」
「操ったのだ。我の能力でな」
アドバイザーはそう言い捨て、幻魔に霊剣を投げつける。
「神速抜刀術 中伝『鞍馬《くらま》』!」
十字に一度だけ振るうそれは、優が刀を収めると同時――――
霊剣ごと幻魔を何度も切り刻む。
「ぐっ…!!」
幻魔は痛みに顔をしかめ、片膝をつく。
「凍符『千秋大紅蓮』」
壊疽の宣言。それによりあらかじめ出していた剣に冷気が立ち込め、その剣を持って幻魔を襲う。
だが、壊疽の一撃が当たる寸前、
――――『幻葬』解放――――
瞬間、壊疽の剣は消滅する。
壊疽が驚く隙すら与えず、幻魔は瞬時に傷を治し、壊疽にナイフを投げつける。
反射的に壊疽は能力を使い――――
壊疽にナイフは当たる。
「能力が無ければ意味は無い」
幻魔は言い放ち、指を鳴らす。
瞬間、ナイフは茨へと変わり、壊疽を締め上げる。
「『罪人の茨』。全ステータスを一般人以下に叩き落とした上で能力を完封する茨。まだ出来立ての技で、一日一回の限定技だ」
口から出ていた血を拭い、幻魔は次にアドバイザーへナイフを投げる。
「無駄だ」
アドバイザーはナイフを掴み、幻魔に向かって投げ返そうとする。
直後、ナイフは無数の鎖となってアドバイザーを縛り、
「穿て、『ブリューナク』」
雷光を纏い、瞬間的にアドバイザーの元まで辿り着くと、アドバイザーを焼き尽くさんばかりの勢いで熱を放出する。
それに対抗するようにアドバイザーは全力でブリューナクを滅し続けるが、一向に勢いが衰える気配が無い。
「俺も加勢するぞ――――ッ!!」
飛び出そうとした真人に向かって氷の槍が飛んでくる。
「『
ボゥッ!と音を立てて発生した黒い炎は、一瞬にして氷の槍を融かし――――
爆発する。
「アツッ!!」
一瞬にして視界は白に染まり、ほとんど何も見えない。
「『
瞬間、全方位が光り出し――――
「『
咄嗟に真人は異空間へ飛ぼうとするが――――
内部から現れた光り輝く影の刃が容赦なく真人を切り刻む。
「ゴハァッ…!!」
血を吐きながら、その場に倒れ込む真人。
「クソッ!どうすりゃいいんだよ…!!」
「最後の可能性をかけて、全力で私を倒せば良い。簡単だろう?」
「……やってやるよ」
構え、優はここにきて、ようやく能力を使う。
「神速抜刀術……」
幻魔は右手にナイフを持ち、ゆらり、ゆらりと優に向かって歩いて行く。
「中伝…」
幻魔は左手を優にかざし――――
「『
「『
一点集中の十字の斬撃。それは瞬間的に幻魔の元へと迫り――――
鮮血が舞う。
「――――ぅそ……だろ………!?…俺の…選んだ……未来と…違う……!!!」
優はそう言って、断ち切られた青い火の玉を見つめて、その場に倒れ込んだ。
「未来なんて、この館に来た時から定められている。そうだろう?サーヴェ」
幻魔の視線の先には、壊疽に向けられるべきだった痛みの半分と、戦闘の余波で受けたダメージにより気を失って、美鈴に捕まっているサーヴェがいた。
「さて、美鈴。帰ろうか。我が主の元へ」
そう言って、幻魔は屋敷の中へと入って行くのだった。
え、えっと、一応戦闘は終わりましたが数話後くらいにもう少しだけ続くんで、よろしくお願いします<(_ _)>