東方変幻録   作:大神 龍

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第四十八話

 さて。幻魔の帰還祝いと言っても、特にいつもと変わらず、むしろ、変わった点が幻魔がいる事といつもよりちょっと騒がしいくらいだ。

 

「で、サプライズ的なモノは無い感じですね?大丈夫です。分かってますよ」

 

「うぐっ」

 

 図星を突かれ、呻くプレジール。そもそも、幻魔が帰って来た事自体知ったのは昨日の事だ。そんな用意できるものなどない。リブラを紹介するくらいだったのだ。

 

 というか、むしろサプライズをされたのはこちらの様にも見えなくはない。ドッキリという意味で。しかもピンポイントでプレジールに。

 

「ま、まぁ、無いが。不満か?」

 

「いいえ。何も問題は無いですよ?またここに居られるだけで十分ですので」

 

「…そうか。部屋は…前の所で問題ないだろう?何所だったかは忘れたが」

 

 プレジールが言うと、幻魔は気付く。

 

「…それ、掃除してない可能性があるのでは?」

 

「あ、それは大丈夫です!私がいつもやってましたよ!!ご主人の目を盗んで!!」

 

「雪花!?」

 

 自分の知らない内に何をしているんだ。と言いたげな表情でプレジールは言う。

 

「そうですか…まぁ、掃除してあるなら、それに越したことはないです。雪花。ありがとう」

 

「えへへ~…」

 

 幻魔に言われ、にやける雪花を見て、とても不満げなプレジール。

 

「えぇい、お前ら。そのやり取りは私の居ない所でしろ。目の前でされると腹が立つ」

 

「あ、はい。分かりました。っと、それで、これ以上は特に何もないですか?」

 

「無い。自由にしていいぞ。正直、今はクレアがいれば大抵の事は何とかなる。まぁ、暇ならば、兄に挨拶でもして来たらどうだ?今も地下で暇な時間を過ごしているだろうさ」

 

「ふむ…それもそうですね。見に行ってみようかと思います。では、私はこれで」

 

 言うと同時、幻魔はその場から一枚のカードを残して消える。

 

「うわ!!主様!!幻魔さんがカードになっちゃいました!!どうしましょ!!どうしましょう!?」

 

 慌てだすリブラを見て、プレジールは言う。

 

「落ち着け。あいつは今頃図書館かその先の地下室だろう。たんに移動しただけだ」

 

「ななな!!移動したんですか!?あの一瞬で!?い、一体どうやって!?」

 

「…お前は、たまにそうなるのが欠点だと思うぞ。もう少し頭を使え。ここに居るのが普通のニンゲンなわけが無いし、更に言えばその異常の筆頭が幻魔だぞ。それと、入って来た時に見たろう。花吹雪を」

 

「えぇ~?異常筆頭って…ん~…今の移動と花吹雪…たぶん、同じような能力ですよね…あの時も、一瞬で消えちゃいましたし…もし、あの花吹雪が能力で出した物なら、出したりしまったりできる…それで、瞬間移動…ん~…ダメです。変化させるって位しか分かりません」

 

 リブラは肩を落としながら言う。が、プレジールは少し考え、聞いてみる。

 

「なぜ変化させると思ったのだ?」

 

「え?えっと、もし変化させるような能力だと仮定すると、花吹雪は何かを変化させたもの。消す時は、空気に変化させればできます。瞬間移動は、場所の変化、ですよね?可能性として、消す能力も考えたんですけど、これだと花吹雪を消すくらいしか出来ませんし…変化させる能力の方がまだ合ってるかなぁっと思いまして」

 

「…………」

 

 驚きで目を見開く全員。

 

 それもそうだ。彼女は、アレだけで大まかな能力の正体を掴んでいた。

 

「ふむ……リブラは、やはり見抜くか。まぁ、その洞察力を買ってここに住まわせているのだが」

 

「そんなにすごい事でも無いと思うんですけどね…主様の方がすごいと思いますよ?」

 

「そこまで頭は回らないさ。兄も同じじゃないか?」

 

「お兄様は能力ゆえに考える必要がほとんどないのでは?」

 

「…まぁ、そうだろうな」

 

 リブラの意見を肯定するプレジール。確かに、彼の能力、『現状を打破する能力』ならば、考えるより先に能力を使えばほとんどの事は何とかなってしまう。

 

「さて、片付けだ。クレア、頼んだぞ」

 

「はいな。いつも通りやっておきますよっと」

 

 クレアは言いながら片づけを始める。

 

「リブラは図書館に戻っていいぞ。雪花はそろそろあの二人を残してきているんだ。早く戻るぞ」

 

「全くです。なんでつれて来なかったんですか」

 

「……幻魔に洗脳させない様に、だな」

 

「ご主人の中で幻魔さんの存在は何なんですか?」

 

 なんとなく、雪花は聞いてみる。

 

「危険な奴だとは思っている。兄が本気を出せば何とか勝てるかもしれないような存在だ。正直危険すぎる。反抗されたら手も足も出ないくらいにな」

 

「……やっぱり、この屋敷に入れない方が良かったって思ってます?」

 

「まさか。そんな訳無い。あいつがいてくれるだけでこの屋敷の防衛機能が何倍にも膨れ上がるんだ。軍隊ごときで揺らぐ気はしないな。ヴァンパイアハンターも怖くない」

 

「そうですか…まぁ、追い出さないのなら安心です。というか、あの子達の教育係、幻魔さんにする予定だったんですよね?」

 

「……あぁ、そう言えばそんな事を…リブラに頼めばよかったか?」

 

「いえ、もう幻魔さん帰って来たし、それでいいかなって思ったので確認ですよ」

 

「……やばいな…かなり不安になって来た」

 

「何を警戒してるんですか…」

 

 本格的に考え込むプレジールをジト目で見る雪花。

 

「幻魔さんが何かするわけないじゃないですか。元生徒の私が保証しますよ」

 

「うぐぐ…雪花が言うのなら仕方ない。とにかく、早く戻るぞ」

 

「あ、はい」

 

 二人は、その後も幻魔について話し合いながら部屋に戻って行ったのだった。

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