東方変幻録   作:大神 龍

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第五十三話

 まぁ、食事風景など飛ばされるわけで。

 

「それで、何の実験をするんですか?」

 

 図書館で、幻魔はリブラに聞く。

 

「えっとですね…これです」

 

 リブラは幻魔に黒い箱を渡す。

 

「これは?」

 

「それは…その中身を知るって実験ですね。箱を開けるのもアリです」

 

「そうですか…」

 

 幻魔は少し悩んだ後、箱を開ける。

 

「ッ!!」

 

 噴き出る煙。いや、毒霧。

 

 幻魔は瞬時に毒霧を幻想化。吸い込んだものも同様に消し去る。

 

「毒霧が噴出するトラップですか…しかも、かなり強力な物に見えましたが?」

 

 幻魔は、このトラップを仕掛けたリブラを睨む。

 

「そんな怖い顔しないでくださいよ…幻魔さんが除去出来なかった場合の保険はちゃんと用意してましたって」

 

「それならいいのですが…もし私が霧に殺された場合どうするんですか?」

 

「死にませんよ。その毒は猛毒ですが、1分間は猶予があるのでその間に何とかなります」

 

「では、もし私が貴方に襲い掛かっていたら?」

 

「どうしようもないので相打ち覚悟で殺します」

 

 ハッキリと言い切るリブラ。そこまでの自信があるのだろう。

 

「一応、私は筋力はありません。幻魔さんに掴まれたら力で外す事なんて出来ません。だから、触れられる前に消し去ります」

 

「そうですか…いや、勝算無しにこんな事をしていたのなら説教をするつもりでしたが、私を殺すほどの自信があるのなら問題ないですね。私としてはその自信の原因が知りたいところですが」

 

「教えたら対策されちゃうじゃないですか。まぁ、それを覆い尽くすほどの手を使って意識が逸れた所に叩き込みますけど」

 

「良い戦法です。見習って貰いたいものですよ」

 

「嫌ですね幻魔さん。弱者の武器を奪わせたら勝ち目が薄くなっちゃうじゃないですか」

 

「…それも、そうですね」

 

 ひっそりと、幻魔は思う。もしかしたら、リブラがこの紅魔館で最大の敵かも知れない。と。

 

 敵対されたら厄介極まりないが、味方ならとても心強い人だ。

 

 いや、彼女の発言を考えてみると、敵対する場合の事も考えているのかもしれない。弱者の武器を『()()()()()』と言っているのだから。

 

「貴方は、紅魔館をどう思っているのですか?」

 

「良い所ですよ?衣食住がそろってる上に、遊んでいても怒られませんし」

 

「それは、ちゃんと仕事をした後ですよね?」

 

「当たり前じゃないですか。さすがに仕事をしないで遊ぶなんて無礼極まりない事をするなんて、おかしいでしょう?」

 

「…そうですね。言うまでも無い事でした。すいません」

 

 たまにやってそうな人がいるので、思わず疑ってしまうのは悪い癖かもしれないな。と思う幻魔。

 

「それで、答えは出たんですか?」

 

「…そうですね。じゃあ、ファーストアンサーで、消去と変化を操る能力でしょうか」

 

「ふむ…惜しいですね…まだありますか?」

 

 リブラは真剣な表情で悩み――――

 

「むぐぐ…変幻自在に操作できる能力?」

 

「……一応、聞いておきましょう。その理由は?」

 

「幻のように消えて、または消して、物質を変化させるところから思ったんですが…もしかして合ってます?」

 

「そうですね…まぁ、何か納得いかないですが、合ってる事は否定できません」

 

「お、おぉぉ!やったぁ!当たったぁ!!やっほぉぅ!!」

 

 飛び跳ねながら喜ぶリブラ。まぁ、彼女からすれば、対処方法を考えられる、といった所だろう。

 

「ところで、なんでこんなことをしていたんですっけ?」

 

「え?え~っと……何となくだった気がしますよ?」

 

「かなり大雑把ですね…まぁ、別に理由はあまり必要ありませんね。結果的には能力にたどり着けましたしね」

 

「そうですね!結果良ければそれでいいんです!」

 

 リブラはもうテンションが高すぎて普段の様子からは感じられないほどアクティブになっている。

 

「よぅし!今なら何でもできそうです!!あれ作りますよ!!究極万能薬!!」

 

「えっ!ちょ!!ストップ!!それ絶対失敗しますって!!」

 

 しかし彼女は聞かない。すごい勢いで走りだし、いくつかの薬品に加え、素材なども集めてくる。

 

「フッフッフ……究極万能薬…エリキシル剤の錬金を始めちゃいますよぅ!!」

 

「爆発の予感!!!ストップ!もう少し落ち着いてから――――」

 

 

 ドポン。と、アイテムが放り込まれる。

 

 

「あ……」

 

「フハハハハハハ!!!もう何も怖くない!!」

 

 幻魔は気付く。リブラはテンションが高くなると周りが見えなくなるタイプだ。と。

 

「ちょっ…!!!」

 

「次にコレ!5分位混ぜるっ!」

 

 もう止められない。なんだこの状況は。誰か助けてくれ。そう思うが、残念ながら、どうしようもない。

 

「……まぁ、もう爆発落ち確定だし、見守っていましょうか」

 

 達観してしまった幻魔は、椅子を転移させてその椅子に座ってリブラの様子を見る。

 

「…………ふむ…そう言えば、なんで私は突然こんなことをし始めたんですっけ…」

 

 窯を混ぜている時に冷静になったようで、混ぜながら呟く。

 

「なんで始めたかは分かりませんよ…いきなり始めたじゃないですか」

 

「ですよね…う~ん…でもまぁ、始めちゃったのなら仕方ないですよね」

 

「それで済ませられる貴方は凄いですよ」

 

「えへへ…そんなに褒めないでくださいよ」

 

 すると、窯が光り出す。

 

「ふむ…窯が光り出すなんて、不思議ですね」

 

「…窯が…光る…!?」

 

 焦ったような表情になると同時、窯を見て硬直するリブラ。

 

「た、退避いぃぃぃぃぃ!!!!」

 

 リブラは一瞬にして窯から逃げ――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――案の定、轟音と共に爆炎が生まれた。

 

 

 

 

「だから、やめろと言ったのに…」

 

 幻魔は、炎を消しながらそう思った。




 皆さん、ご一緒に。






 爆発落ちなんてサイテー(´・ω・`)
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