東方変幻録   作:大神 龍

56 / 67
第五十六話

 レミリアとフランが未だに寝ていて、それ以外の住人が起き始める夕暮れ時に、それは起こった。

 

「ふわぁぁ~……うぅ…体痛い…って、ここ部屋のベッドじゃなくて図書館の椅子だ!うぅぅ…どうりで体が痛い訳だよぉ…」

 

 リブラが愚痴りながら起きると、視界の端に何かが映る。

 

「……なに?今の」

 

 眠気はすべて飛んで行き、代わりにカタカタと震えながらリブラは、それでも好奇心には勝てず、見に行き――――

 

 

 

 キャアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!

 

 

 

 平和な紅魔館に悲鳴が響き渡った。

 

 

 * * *

 

 

「で、何があったんですか?」

 

 お子様が寝ていて、門番を含む全員集まっている図書館で、カタカタと震えているリブラに問う幻魔。

 

「し、白い何かが、こう、向かって来るんですよ…!!!怖いじゃないですか!!お化けですよ!?」

 

 お化け以上に恐ろしいのが集まりまくってるこの紅魔館で何を言っているんだ。と突っ込みたいのを抑え、更に聞く。

 

「どんな姿でしたか?」

 

「私より少し大きいくらいの男性で……すごく白かったです!!」

 

 ピクリと反応するプレジールとイーラと幻魔。

 

「ほぅ…男か…それは少し穏やかじゃないな」

 

「男に需要は無いからな…速やかに消す」

 

「一片の容赦も無く、絶望のどん底に落としてから無間地獄ですね。幽霊狩りです」

 

 若干本気の殺意が見え隠れしているのだが、原因がいまいち分からない女性陣は首を傾げるしかないのだった。

 

 というか、イーラは若干雰囲気に便乗しているだけのように見える。

 

「幻魔。全力でレミリアとフランの部屋に結界だ。対幽霊用の結界を何重にも張って置け。迎撃術式も組んでいい。私達も判定に入る位強力な奴だ」

 

「Yes my master.見敵必殺。欠片も残さないほどの強力な結界で迎えてやります」

 

 言葉と共に幻魔が消え、数秒後に突如として出現する。

 

「結界完了です。次の指示を」

 

「兄。ここに残ってくれ。私たちは見回りに行く。発見したら容赦なく叩き潰せ」

 

「了解だ弟よ。任せるが良い」

 

「では行ってくる」

 

「失礼いたします」

 

 三人とも笑顔だったが、やっていることが恐ろしい、というのだけは理解できた。

 

「幻魔。図書館にも結界を張って置け。ここも狙われないとは限らない。防御は完璧にしておくべきだ」

 

「ついでに屋敷にも結界を張って袋の鼠にして確実に狩りますか?」

 

「そうだな。それも良い。よし、やれ」

 

「Yes my master」

 

 彼らが部屋を出ると、図書館の空気が若干軽くなる。

 

「ふむ、これが結界か。まぁ、害は無いし、気分が悪くなることも無い。選択した対象には効果を示さないのだろうか?」

 

「幻魔さんのやる事ですから私達じゃ何とも」

 

「それもそうか…そこは少し気になるが、まぁ、今はそれでいいな」

 

 イーラはそう言い、椅子に座ると、周囲を警戒し始める。

 

 

 * * *

 

 

「ねぇ雪花。なんで三人ともピリピリしてるの?」

 

 クレアはふと思った疑問を聞いてみる。

 

「さぁ…なんででしょうか…」

 

 雪花はいまいちピンと来ていないようだった。

 

「リブラは分かる?」

 

「幽霊がどうにかなれば何も問題ないです」

 

「返答になってないって…」

 

 まぁ、分からなくはないけどさ。と補足し、

 

「美鈴は分かる?」

 

「たぶん…男性ってのがダメなんじゃないですかね?たぶん女性なら何も無かったと思いますけど」

 

「ほうほう。して、その心は?」

 

「三人とも、男性って所に強く反応してましたからね。ただ…なんで反応したのかまでは…あぁ、そうですね。皆さんはもし知らない女性が屋敷の中にいたらどうします?」

 

「「「全力で殺す」」」

 

 一瞬の間も無く、言い切る。

 

「まぁ、つまりそういう事です」

 

 言われて、クレアは納得する。

 

「何が嫌っていうより、それそのものが嫌だって事なのね。なるほど」

 

 だが、昔はそんなに気にしてなかったような。と考えるが、気持ちは変わる物だね。と結論に至るクレア。レミリアやフランが生まれたからなのかもしれないが。

 

「さて…じゃあ、私たちはすることもないし、のんびり待つかな」

 

 四人は、とりあえず椅子に座って成り行きを見守るのだった。

 

 

 * * *

 

 

「それで、どこから探しますか?」

 

「片っ端から調べて、確認が終わった部屋に結界を張って行くぞ。全て見ても居ないようだったら、張った結界を一気に収束させて消し飛ばせ。それで完璧だろう?」

 

「そうですね。では、そういたしましょう」

 

 プレジールは幻魔の言葉を聞きながら、館の端の部屋にたどり着き――――

 

 

「む?蝙蝠になって一気に見ればよかったのでは…?」

 

 

 ふと気付くが、すでに部屋の端に来ているので手遅れだった。

 

「ここまで来たのですから、今更気付いても遅いのでは?」

 

「それもそうだな…仕方ない。一応今からでも良いからもう一方の端に蝙蝠を送ろう」

 

「そうですね。それが一番かと」

 

「なら、そうしようか」

 

 プレジールはそう言うと、体の一部を蝙蝠に変換し、送る。

 

「これで大丈夫だろう。さぁ、こちらはこちらでやって行こうか」

 

「えぇ、早く終わらせましょう」

 

 そうして、二人は部屋の扉を開け放つ。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。