東方変幻録   作:大神 龍

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第六話

「「あらゆるモノを変幻自在に操る能力?」」

 

 プレジールとクレアは同時に聞き返す。

 

「えぇ、そうです。まぁ、出来る事なんてそんなにありませんけどね」

 

「ふむ。なら、先ほどの炎の竜巻や鎖なども能力なのか?」

 

「はい。使用法としては、カードが投げてから1秒後に雷になる。とか、カードが当たると同時に鎖に変化し相手を拘束する。といった使い方ですかね」

 

「………かなりやりたい放題な能力だな」

 

「……まぁ、そうかもしれませんね」

 

 二人は黙ってしまう。

 

「えっと、プレジール様?私はもう休んでいても良いんですよね?」

 

「……クレア。お前、昔からだが、全く遠慮というモノをしないな。まぁ良いが」

 

「良いなら一々そんなこと言わないでくださいよ。行ったら駄目なのかと思うじゃないですか」

 

「だから……はぁ、もういい。部屋に言って休んでろ」

 

「はいは~い」

 

 そう言うとクレアはスキップをしながら自身の部屋へと行ってしまう。プレジールと幻魔はそれを見送りつつ、

 

「クレアさん……最初に会った時は真面目そうな人だなって思ったんですけどね」

 

「……残念だが、あいつは昔からあんな感じだ。正直、なんであいつが私の城で働いてくれているのか時々分からなくなるよ」

 

「あはは……そうなんですか」

 

「あぁ。全く、なんであいつはこうも成長しないのか」

 

「その……お疲れ様です」

 

「はぁ、まぁいい。しかし、能力を教えてもらうだけなのは癪だな……そうだ。なら私の能力も教えよう」

 

 名案を思い付いたと言わんばかりの笑顔に思わず苦笑いになるが、能力が分かるのなら特に悪い事は無いかな。と思い、

 

「どんな能力なんですか?」

 

「あぁ、私の能力は『運命を破壊する能力』だ」

 

 『運命を破壊』する。名前だけを聞いてもかなり恐ろしい能力だ。一体どのような能力なのか気になり、もう少し聞きだそうとして声を出そうとした瞬間。

 

 

 

 

 ゴォォォォンッ!!と、重い物が壊れ落ちるような音が聞こえた。

 

 

 

 

「……ご主人。どうやら門の方です。なので、少し見に行ってきますね。『お客様』ではないのでしょう?」

 

「あぁ、私は客など呼んでいないからな。片付けて来てくれ。私は自室に戻っている」

 

「イエス。マスター」

 

 瞬間。幻魔は門の前に移動する。すでに時間帯は夜。そこでは、いつか見たような破壊された門があった。

 

「……美鈴は無事かな?」

 

 目の前には、三人の男。だが、その全ては人間ではなかった。背中から蝙蝠の様な羽を生やしているという事は、おそらく吸血鬼なのだろう。

 

「……どのようなご用件でしょうか」

 

「いやなに。最近調子に乗っている吸血鬼がいると聞いたのでな。少し灸を添えてやろうかと思ってな」

 

「なるほど……つまり、侵入者という事でよろしいですね?」

 

「ククク……まぁ、そういう事で良いんじゃないか?」

 

「そうですか……では、侵入者ども。そこにいたはずの門番を知らないか?」

 

「あ?門番?あぁ、こいつの事か」

 

 そう言い男が持ち上げ見せつけたのは、ボロボロになった美鈴の姿だった。それを見た直後、幻魔は美鈴を能力で自分の方へとテレポートさせ、傷を治す。そして、傷が治ると同時に美鈴の部屋へと飛ばし、男達を明確な殺意の籠った目で睨むと、

 

「貴様ら。生きて帰れると思うなよ?」

 

 空気が一気に重くなる。男たちはその気配に一瞬怯むが、すぐに笑みを浮かべ、

 

「ハッ!執事程度が何を言ってやがる。貴様ごときじゃ相手にも――――」

 

 ザンッ!!という音と共に喋っていた男の右腕が宙を舞い、ドサッという音と共に地面に落ちる。

 

「次は左腕か?それとも足か?胴体、首、頭。好きなのを選ばせてやるぞ。私の所有物に手を出した罪は重い。さぁ、自分の身体が宙を舞う様を見て狂い踊るが良い」

 

「貴様ぁ…!!」

 

 男は怒りを抑えられずに幻魔に飛び掛かる。しかし、何時の間にか地面に置かれていたカードの上を通った瞬間、キュガッ!!という空気を焼くような音と共に一本の棒が正確に男の腹の中心を貫き、その数瞬後に三本の棒が貫く。だが、そこで幻魔は終わらせない。

 

 ドンッ!という音と共に棒が刺さっている場所から数センチ離れた地面が隆起し、強制的に立たせると同時に隆起した地面は崩れ去り、代わりに背後の地面が隆起し棒を巻き込み壁となる。

 

「磔にされた気分はどうだ?絶望的だろう?ククク……貴様には十分な恐怖を味わってから死んでもらう。お前はもう死地に踏み込んだ。その事実に恐怖しろ、絶望しろ。逃がしはしないし、自殺もさせはしない。お前は俺の手によって嬲られ、そして醜く無残に消え去るが良い」

 

 圧倒的威力。手も足も出ない。しかも、力が抜けていく。それもそのはず。落ちてきた棒は全て銀製なのだから。しかも、棒は血によってゆっくりとではあるが、溶けて体内に流れ込んでいく。

 

「さて。残っている貴様らもだ。貴様らも緩やかに、だがしかし死ぬほどの痛みを味わいながら自身の行いを悔みつつ死ぬがよい」

 

 そう言い放つと、燕尾服を着た悪魔は残る二人の吸血鬼にゆらりゆらりと近づき――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、その男達を見た者はいない。

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