感染 番外編   作:宇宙人と呼んで

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第3話

 多くのカメラのフラッシュすら遮断される程の厚さがあるようだ。

 こいつは、好都合だ。何をしようとも文句を言われることもない。警察も頭が悪い奴等が増えてきている。勉強が出来る出来ないよりも、もっと重要視するべきことがある。

 相手の内側を読めるか読めないかだ。

 目は口ほどに内面を語る。そのパーツが点いた顔を隠すということは、相手を理解することもないということだ。随分と余裕があるもんだな。

 俺のせせら笑いは、袋の中で押し殺される。それすらも、こいつらには聞こえていない。要するに、世間ってやつは都合の悪いものには蓋をするのが上手いんだ。匂いがする前に塞いでしまう。

 

「おい、おっさんよお......ちょっと、小便したいんだけど?」

 

「......我慢しろ」

 

 短く遠回しな拒否の言葉と共に、カメラのシャッター音が途切れた。どうやら小倉北警察署の地下駐車場に到着したようだ。手錠の再確認、顔に被せられた布、俺にとっては抵抗が出来ない条件は揃っている。なのに、なのにだ。不思議なほど、警察官は俺に対して警戒心を剥き出しにしている。

 

......これほど、滑稽なことがあるか?

 

 俺は、アンドレイ・チカチーロのように特殊な体質や血液ではない。

 デュッセルドルフの連続殺人犯、ピーター・キュルテンのように、捕まるように自ら 動いた訳でもない。たった一人の男に俺は追い詰められた。そいつが、俺からの復讐を恐れるというなら話しは分かるが、ただ動いただけの警察が果たして何をした?無能な組織ほど、よく吠えるもんだ。

 車から降ろされ、警察官に先導されながら、俺は、暗闇の中を歩き始めた。久しぶりですの感覚は、俺に安堵をもたらす。

 色がない世界は、所詮は紛い物だ。見繕っているだけにすぎない。返ってくる答えはいつも同じだ。

 一度だけついた嘆息すらも、袋の中で僅かに響いただけに収まる。この世界は退屈だ。

 

「なあ、おっさんよお……アンタはどんな人生を歩んできたんだ?参考までに聞かせてくれよ」

 

 隣で鳴っていた靴音が止まった。それで俺が語りかけた人物の位置を特定できた。

 

「……お前には理解できない人生だよ。人を守るために頑張ってきた俺の行き方なんざ、お前に理解できる筈も無いだろ」

 

「さあな……それはおっさん自身がそう決めてるだけかもしんないぜ?やめようぜ綺麗ごとはよ」

 

「逆に聞くが、お前はなんで容易に人を殺せるんだ?」

 

「なんで?なんでだと?そいつは、俺があんたに『人をまもることになんの意味があるんだ?』って訊くのとおなじだ」

 

 

 

 

 

 

 




おそくなりすみません
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