ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~   作:ステア(STER)

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どんも、STERでっす。

前回はガチシリアス回でしたので、今回はギャグを入れてこうかと思います。

え、どんな話か?

王様ゲームをやって、何人かが高山病になるお話です( ゚Д゚)

前半:王様ゲーム
後半:何人かで登山


【31st Live!】王様ゲームでμ's登山部結成!

 完全休日が翌日と迫った日…。皆、意気揚々としていた。俺も、明日は何をしようかと考えていた時だ。

 

「なあ、王様ゲームしようや!」

「ブッ!!」

 

 いきなり、晃太がそんなことを所望してきた。その場にいた俺は思いっきり飲んでた茶を吹いてしまったのだった。

 

「はぁ!? なんでだよ!?」

「いいやないか!」

「なんでそんな合コンみてぇな事を、俺たちでせにゃならねぇんだよ…。」

「いいじゃん! やろうよ!」

「ブッ!」

 

 なんということだろうか。穂乃果が自ら所望したのだった。それに反応するかのように

深夜テンションに入ったかと思われるエンジョイ勢が呼応していく。

 

「ええやん♪ やろうよ♪」

「やるったらやるんだニャ~!」

「ふざけんな! もしあの変態が王様になってみろ! お前らの誰かは絶対に剥かれるぞ!!!」

「そうですよ!! そんな破廉恥なゲームには参加しかねます!!」

「喧しい! ええから参加じゃ! ほれ、これも持ってきたからのお。後戻りはさせんど!」

 

 こうして、強制参加の王様ゲームが始まってしまったのだった。正直、ソルゲ組+雪穂には申し訳ないと思う。

 ルールは至ってシンプル。この17本のくじから一斉にひき、当たりのくじを引いたヤツが王様だ。そして王様の命令は、絶対―――

 ここからが少し異質かも知れない。もし従わなかった場合…王様直々のお仕置きが待っている。相手は取り押さえられ、その王様のお仕置きを受ける。拒否権はないのであった。ちなみにあの変態は自重するとは一言も言ってないので、ヤツが王様になった暁には………きっと終わらないパーティー(意味深)が待っているだろう。

 

「せーのっ!」

「「「「「「「「「「「「「「「「「王様だーれだ?」」」」」」」」」」」」」」」」」

 

 俺は取りに行く、ヤツを王様にしないために―――

 

「おっ、王様は俺かー…。」

 

 最初に引いたのは稜だった。俺はそっと胸を撫で下ろし、晃太は舌打ちをした。だが、さっそく晃太は稜をイジり始める。

 

「で、稜。どんな命令にするんや? えぇ? 凛にしゃぶってもらうんかぁ?」

「は…はぁっ!? そんな訳ないだろ!」

「お前は黙ってろ変態ッ!!」

 

 俺は、稜をせかした晃太をぶった。稜は顔を真っ赤にしながら命令を考えている。

 

「じゃ…じゃあ、12番は俺に膝枕をしてくれ!」

 

 それを聞いたメンバー達は驚いた。まさか、稜がそんなことを言うとは誰も思ってなかっただろうしな。稜はムッツリなんだぜ。膝枕ってところがなんか純情だな。

 

「膝枕とか、稜もスケベやなぁ~。んで、12番は誰なんやぁ?」

 

 メンバーの中で、一人だけ細々と手を挙げるヤツがいた。

 

「12番は…凛…だよ…。」

 

 凛が、顔を真っ赤にしながら手を挙げていた…。一方、稜はショートしていた。

 

「おぉっ、稜がオーバーヒートやで! オーバーヒートしてるでぇ~!!」

「やかましいんじゃ変態!」

 

 凛が静かに稜に寄り添ってきた。凛の恥ずかしがっている表情を見て稜は恍惚とした顔になっている。

 

「じゃ…じゃあ、櫻田くん…。いつもおいしいラーメンを食べさせてもらってるお礼だニャ…。どうぞ…♪」

「ご…ごめんな凛。」

 

 そういうと、稜は自分の頭を凛の太腿へ…。凛は、膝枕をする理由を、いつもおいしいラーメンを食わせてもらってるからということにしてんのか? まあ、そうでねぇと凛もアガりそうだな。

 

「ど…どう? 凛の膝枕…。凛、あんまり自信ないんだよね…。」

「大丈夫だよ凛。気持ちイイよ。」

「何か凛、櫻田くんのお姉さんになった気分だニャ♪」

 

 クソッ、半端ねぇ! 危険因子はどうやら晃太だけじゃなかったようだな。顔を紅くしながらも稜の頭を撫でる凛。鼻の下を少し伸ばしている稜。それを皆は、囃し立てたり、目をふさいだり、ジェラシーを振りまいたり…様々であった。

 それを見ていた俺は、このパーティーは魑魅魍魎(ちみもうりょう)の集まりなんじゃねぇかと感じさせたほどだった。

 

 

 *

 

 

 しばらくして、満悦した稜は王様を返還。再び王様ゲームの開幕である。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「王様だーれだ?」」」」」」」」」」」」」」」」」

「あっ、私かぁ。」

 

 王様になったのは、どうやら雪穂のようだ。

 

「おっ、雪穂かー。よかったな。」

「ええなぁー。」

「なんでも命令していいのよ。」

 

 雪穂は、少し悩み、その末に―――

 

「じ、じゃあ…7番は私の肩を揉んで下さい!」

「今度は無難な命令だな。」

「Who is No.7?」

「7番は…穂乃果っ!?」

「お姉ちゃん!?」

 

 なんと、7番は雪穂の姉である穂乃果である。肩を揉むなど、姉のプライドが許すのだろうか?

 

「い…嫌だよ! さすがに妹の肩を揉むなんて! 姉のプライドが許さないよ!」

「お姉ちゃん!?」

「ははは、まあ予想はついてた。」

「穂乃果ちゃんダメだよ! 王様の命令に逆らったら、お仕置きされちゃうよぉ~!」

「ことりちゃんは弟も妹もいない一人っ子なんだから、このプライドなんか分からないよ! ね! 信翔君ならわかってくれるよね? ね?」

「痛いほどわかるが…これがルールだ。」

「そうだニャー! 穂乃果ちゃん、観念して雪穂ちゃんの命令に従うニャ!!」

 

 穂乃果が駄々をこねだしたところで、さっき物凄い恥ずかしい思いをした“星空家の末妹である”凛が穂乃果を取り押さえて羽交い絞め。

 

「さあ、クイーン雪穂。どうぞお好きになさいませ。」

 

 俺は雪穂を穂乃果の前まで誘導して、ふざけた口調でそういった。

 

「ご…ごめんねお姉ちゃん!」

 

 そういうと雪穂は穂乃果の腰に手を伸ばし…くすぐった。

 

「ぎゃはははっ!! やめて雪穂! やめてお願い、漏らしちゃう!」

「おう、漏らしてまえ。」

「お前は黙っとけっての!!」

「穂乃果、これは従うまでやるルールなのよ。」

「そうそう、キツいなら早く従うって言いなさいよ。」

 

 絵里や真姫がそう言う中で、穂乃果はこそばがゆさに悶えていた。

 

「わ…わかったわかった!! やるから! 肩揉むから!」

「よろしいニャ~♪」

 

 そういうと凛は手を離す。雪穂は穂乃果に背を向けた。穂乃果は無言で雪穂の肩をたたき始める。

 

「ど…どう?」

「気持ちいいよ~。あ、お姉ちゃん。あとお茶。」

「お茶って言ってお茶は飛んでこないよ!」

「お姉ちゃんだって『雪穂~、お茶~。』って言うじゃん!」

 

 俺たちはしばらくの間、なにかと言って仲がいい高坂姉妹の様子を微笑ましくみていたのだった。

 

 

 *

 

 

 さて、三回目…。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「王様だーれだ?」」」」」」」」」」」」」」」」」

「あっ、私ですね。」

 

 三回目は海未のようだ。ウム、王様が変態にいかなくてよかったよかった♪

 

「ちっ、なかなか回ってこんのぉ~…。」

「お前には回さんぞ。で、海未。命令はどうするんだ?」

「そうですねぇ…。人を使うのは慣れてないもので、なかなか浮かびませんね…。」

「まあ、無理もねぇな。何でもいいんだぜ。」

「じゃ…じゃあ………。3番と16番は、明日私とどこかへ行きましょう!」

 

 無難な命令イタダキマシタッ! それくらいなら皆も文句も言わず、お色気シーンも一切ねぇな。そういえばこいつ、登山が好きらしいな。じゃあ、あの山を紹介しとくか。

 

「そういえば、このハワイにはマウナケア山っていう山があるんだ。標高は4,205m、頂上から見えるサンセットがいいらしいぞ。」

「そ、そうなんですか!?」

 

 見事なほどに海未が食いついた。熱が入ったようだ。

 

「よし! な、ならそこに行きましょう! 3番と16番は誰ですか!?」

 

 周りを見渡すと、凛とにこが意気消沈している。あの二人の近くだけ闇に呑み込まれてるようだ。

 

「どうしたんだ? そんなどんよりとした顔して…。」

「い、いや! なんでもないニャ! ねーにこちゃん…♪」

「そ…そうよ! なんでもないわ!」

「そうか。ではお前たちのくじ、見せてもらおうか。」

「「えっ」」

 

 それを聞いた二人は、顔がひきつり、俺に怯えているような態度を見せたのだった。

 

「どうした、早く見せろよ。」

「嫌、嫌!! やめて~!」

「やめなさいよ! 何もないって言ってるでしょ!」

 

 その時稜が二人の後ろからくじを()った。

 

「信翔、はいこれ。」

「お…おう。」

「い…いつの間に!?」

「俺は忍者の子孫なんだよ。」

「櫻田くん、酷いニャア…うわあああ~ん…!」

「り、凛!? ごめんよ! 謝るから泣かないでくれよ!」

 

 そして俺はくじを確認した。

 

「凛は3番。にこは16番だ。」

「やはり、そうでしたか…。では凛、にこ。明日ともに参りましょう。」

「「いやぁぁぁぁぁっ!!!!」」

 

 凛とにこは、本当に地獄を目の当たりにしているような絶望の目になっている。彼女らには4000mなんて領域が考えられないんだろう。

 

「もう、いつまで泣いてるのよ。王様の命令は絶対なんでしょ? 覚悟決めなさいよ。」

 

 真姫が二人をなだめる。自分は行かないからというような考えがうかがえる。つまりアレだ。他人事。

 その時、凛が真姫ちゃんにくっついた。目がすごくキラキラしている。

 

「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃ~ん♪」

「な…何よ…。嫌な予感しかしないけど…。」

「一緒に行こっ♪」

「えっ」

 

 真姫は呆然となった。

 

「ちょ…ちょっと! なんで私が行かなくちゃいけないのよ!」

「行くったら行くんだニャ!」

「そーだよ真姫ちゃん! にこたちと一緒に綺麗なサンセット見ようよ♪」

「にこちゃんまで…。」

 

 凛が、執拗に誘ってくる。にこもそれを援護していた。二人に迫られた真姫は、少し戸惑った表情を見せていた。こいつ…押しに弱いな…!

 

「あ…そういえば真姫ちゃんって運動音痴だし、やっぱり無理っぽいね~。」

「真姫ちゃん、お嬢さまだから、そういうの出来ないんだったニャ~」

「で、できないことないわよ! わかったわよ、行けばいいんでしょ!」

 

 真姫もあっさりと陥落。できない発言をプライドが許さなかったようだ。それにしてもちょろすぎ…。

 

 μ's登山部の誕生か…。ん? 登山部か…どこかの番組でそんな企画があったような…。

 

「さて四回目か…。」

 

 くじもリセットされ、再び机を囲んだ俺たち。皆、真剣なまなざしでくじを睨む。その中には邪な目をしたヤツもいたが。誰とは言うまい。

 

「「「「「「「「「「「「「「「「「王様だーれだ?」」」」」」」」」」」」」」」」」

「あ、俺か。」

 

 なんと四回目の王様は俺だった。

 

「俺に譲れー!!!」

「させるかッ!」

 

 欲の限界か晃太が俺めがけて突貫。俺はひょいと避けると、ヤツはぼーっとしている花陽のほうへ…。

 

「やっべぇっ! やっぱさせる!!」

 

 そういうと俺は花陽に突っ込む前に晃太を止めて、左フックを決めて意識を奪った。

 

「じゃあ、命令しよう…。」

 

そういうと、15人の視線は俺に集中。

 

「早く寝ろ。」

「えっ?」

「ごめん聞こえなかった。もう一回お願いできるかニャ~?」

「もうすぐ就寝時間だ。このゲームはこれにて終了。早く寝る準備をして寝ろ。以上だ。さあ早く布団を用意しろ。逆らったら速球枕投げをお見舞いしてやろう。」

「私も助太刀します。」

「信翔君と海未ちゃんが!? 穂乃果死んじゃうよぉ~…。」

「これは…早くねるしかないやん…。」

「寝る準備しよう。信翔の枕投げの強さはハンパじゃないからな…!!」

 

 皆、恐れをなして黙々と寝床作りを始めた。そしていつもなら消灯してから一時間程度は話し声があるものだが、それも一切なかった。これほど快適な夜は合宿の間、空前絶後のものとなったのだった。

 

 

 *

 

 

 そして翌日…。俺は揺さぶられる感覚を覚え、目を覚ました。するとそこには海未が…。

 

「ん?どうした海未?」

「信翔。早く起きて、30分以内に準備してください。」

「はぁ!?」

「貴方も行くんですよ。信翔の事ですから、マウナケア山頂に行った事あるのでしょう?」

「あ…いや…その…。」

「言い訳は無用です。」

「はい、行った事あります…。」

「では、先導して頂かないといけませんね。よろしくお願いします。」

「くそっ…。」

 

 まんまと罠にはまってしまった。俺は、登山をする気は毛頭なかったのだが、こう言われては断れまい。男としてな。

 

 そして俺は顔を洗うため洗面所へ。すると、凛、真姫、にこは既に起きていたようだった。

 

「おう皆。おはよう。」

「やっと起きたの? 遅いわね~。」

「そういうにこちゃんだって、凛に飛びつかれるまで爆睡だったじゃない。」

「あ、い…いやその…。とにかく凛ッ! あの時は死にかけたんだから私! 自分の行動には注意しなさいよ!」

「ごめんごめんにこちゃん…。実は海未ちゃんが…。」

「私が…何ですか?」

「う、海未ちゃん! な、なんでもないニャ…。」

「世間話をしている暇があるなら、早く支度を済ませなさい。」

 

 海未はそう一喝すると、自分の歯ブラシを加えて出て行った。俺も歯ブラシに歯磨き粉をつけて、外へと向かった。外へ出ると、常夏の島とは思えないほど涼しい風が吹いていた。雲もない。こりゃ絶好の登山日和だな。

 

 実は俺、大の旅好きで、登山も嫌いではない。登山経験も多く存在する。かつては、マウナケア山も親父らと一緒に登ったものだ。その時は高山病にかかって俺だけ登頂しきってすぐに使用人に連れられて下山した思い出がある。

 

 歯を磨き終え、顔も洗って、登山服に着替えた俺たち。穂乃果たちがすやすやと寝ている中、ひっそりと抜け出して外へ出た。ふと腕時計を見てみると、まだ午前5時を回ったあたり。ふぁぁ~眠ぃ…。

 

「さて、行きましょう。」

「おいおい、もしかして最初から最後まで歩くつもりか!?」

「当たり前です。」

「ふざけんな。それなら1日で収まらねぇよ!」

「じゃあどうすればいいのです?」

「待ってろ。」

 

 俺はそういうとさっと取り出す。慣れた手つきで番号を打ち込んで電話をし始めた。

 

「Hello? Yeah,it's me. Could you come here? We're in my villa. Okay.」

「え…英語だニャ…。聞きたくもないニャ…。」

「何言ってるのよ凛。これ位中学生もわかるわよ?」

 

 そうこうしている内に俺は電話を切った。

 

「数分以内にヘリが来る。それを待つぞ。」

「へ…ヘリ!?」

「ああ。別荘の裏の方にヘリポートがあるはずだ。そこで待ってよう。」

「ヘリのパイロットまで知り合いがいるのね…。」

 

 俺たちはヘリポートに移動し、待つこと数分。本当にヘリが来た。

 

「Nobuto!」

「Hi! How are you?」

「Yeah,I'm fine. By the way,who are they? your girlfriend?」

「Nonono!! They are my friend. They are operating as a school idol group in Japan.」

「とりあえず、早く行きましょうよ。」

「英語は呪文だニャ。聞きたくないから早く行こうニャ。」

「あなたねぇ…。この調子じゃ今度は赤点取りそうね。」

「真姫ちゃんうるさいニャ。」

 

 あ…皆怒ってる? じゃあさっさと行こうかな…。

 

 

 *

 

 

 そうしてヘリに乗る事数十分。マウナケア山の中腹辺りのヘリポートへ近づいてきたのだった。

 

「凛、そろそろ着く。そこは標高1000mあたりのところだ。かなり酸素が薄い。大丈夫か?」

「大丈夫だニャ! 信翔くんや真姫ちゃん達がいるもん!」

「お前ならそういうと思っていた。だが、俺が最も心配しているのは巻き込まれた真姫だ。お前は大丈夫か?」

「だ、大丈夫よ! 私を誰だと思ってるのよ! 医学部志望の知性あふれる真姫ちゃんよ!」

「はいはい。というかそういうことを聞いてるんじゃなくて、お前の体質的に、高山病は大丈夫かと聞いてるんだよ。」

「そ…それは…。」

「信翔こそ、大丈夫なのですか?」

「俺は特殊な呼吸法を持っていてな。低酸素でも十二分に活動できる。」

「羨ましいニャー! その呼吸法、教えるニャ~!」

「もしお前が陸上選手などスポーツのアスリートを目指すなら、いずれは知るかもな。俺の呼吸法は武道の方に使い勝手がいいヤツなんだがね。」

「じゃあ、トップアイドルを目指すにこには教えてもらう機会がないから、にこには教えてくれるよね~?」

「アホか。歌手を目指すってんなら声質や肺活量の向上を考えてりゃいいだろ。」

 

 そして、ヘリは着陸。幸いと言っていいのかは知らんが、誰も酔っていなかった。ま、そりゃあそうかな。

 

「あれがマウナケア頂上だ。正直、行けるかどうかは心配だが、目指すだけ目指してみようか。」

「おぅー!!」

 

 そして俺たちは、登山コースへずかずかと入っていったのであった。

 

 

 *

 

 

 何分歩いただろうか。俺たちはただひたすら上を目指して歩いていた。だが俺たちはまだ何の苦も感じておらず、話をしながら揚々と登っていた。

 

「でね~、そしたら穂乃果ちゃんが…。」

「ダメです! そんなの破廉恥です! 帰ったら穂乃果にきつく言っておかねば!」

「だっはっは!! アイツ、やっぱり脳みそのネジが何本か飛んでたのか!」

「でも、信翔くんは…。」

「ダメ! ダメ! それ以上言うな!」

「何よ、隠すことないじゃない。」

「あれはあの変態サルの仕業だッ! 俺は悪くねぇ!!」

 

 何を暴露されたか…それはそこのアナタのご想像にお任せしよう。そうしているうちに、4合目の休憩所が見えてきた。

 

「休憩所だニャ~! 休んでくニャ~!」

「なんだあの野郎…さっきなんか『信翔くぅん…。凛疲れちゃった…。だから負ぶって?』とか言ってきたのにまだ走れる元気があるのか。」

「凛はもともとああいう性格ですからね…。」

「そうなのか? 困ったヤツだな。」

 

 凛に遅れて俺たちも休憩所に到着。そばのベンチに腰掛けた。

 

「信翔さん。そこにスポーツドリンクが売ってたから買ってきてあげたけど、飲む?」

「おっ、すまねぇ。それにしても、真姫にしては気が利くじゃねぇか。」

「わ、私だって気を遣うときだってあるわよ!」

「真姫ちゃ~ん、にこの分はぁ?」

「あっ、忘れてた。」

「酷っ!!!」

「凛も凛も~。」

「わかったわかった。お前らの分は俺が買ってやるから…。海未はなんかいるか?」

「お気持ちは大変嬉しいですが、私は予め持ってきてますので結構です。」

 

 そして俺は凛とにこの為に何か買ってやったのだった。そして程なくして再び出発した。

 

 

 *

 

 

 6合目あたりだろうか。そろそろメンバーにも疲れが見え始めてきた。その始まりは、真姫の一言から始まった。

 

「頭が痛い。」

「何っ? 大丈夫か? やはり低酸素には堪えづらくなってきたか…。」

 

 真姫は本当にしんどそうだ。これは降ろした方がいいか…。

 

「真姫? しんどいのだったら降りるか…?」

「私は…大丈夫…だから…。」

「本当に大丈夫か?」

「ええ…。」

「本当、真姫らしくねぇな。まあだが、根性も体力もついてきたってことか。俺は嬉しいぜ。しんどくなったらいつでも言えよ。負ぶってやるから…。」

「凛は~?」

「お前は全然元気だろうが。頭痛もなさそうだし。」

「真姫ちゃんだけずるいよ~! にこも~!」

「うるさいですよ。だらしがないですね。」

「「ひど~い!!」」

 

 そして俺は登り続ける。真姫はハアハアと息を荒げ始めてきた。もともとメンバー内では体力の劣っていた真姫。そろそろ限界なのだろうか。

 

 そうしていると、目も虚ろとしてきた。危険視していると、遂に真姫がバランスを崩し…

 

「だ…大丈夫か真姫ッ!?」

「ハァッ…ハァッ…。」

「ちっ、こりゃあ負ぶって連れていくしかないな…。」

 

 俺は真姫を負ぶった。真姫はそのうちに目を閉じてしまった。よほど自身の体力を奪う結果になってしまったんだな。

 

 

 *

 

 

 もう歩いて12時間ほど経った。続いてにこも再起不能に。凛は持ち前の体力で、海未は根性でついてきていた。俺は真姫を後ろに、にこを前に抱えながら必死で登っていたのだった。現在は17時。日が傾き始めていた。俺たちはもう何も考えずに山を登っていた。気温は氷点下を切っているかもしれない。それほどの寒さだった。

 

「寒いニャア…。」

「もうちょっとだそうですよ。頑張ってください凛!」

「今は9合目あたりだ。それにしても、日差しが傾き始めた。これ以上行くと日が暮れちまって何も見えなくなる危険性があるが…ここで諦めるか?」

「諦める訳がありません! 意地でも登ってみせます!」

「凛も…ここまで来たなら登りたいニャ~…!!」

「わかった。では少しペースを速めるぞ。あと一時間以内に着いてみせる。来い!」

 

 というと、俺は二人とデカい荷物を背負った体を更に痛めつけ、ずんずんと上へ上へ進んでいった。二人もそれに必死でついてきている。

 

 今回、特に語ってはいなかったのだが、俺たちは山頂を目指してただひたすら…遮二無二突き進んできた。困難もあった。だが、その時はお互いに手を取り合い、助け合って…。やめだこんな話、シメっぽくていけねぇや。

 

 今はただひたすら、山頂を目指すことだけに意識を費やそう、こいつらに綺麗なサンセットを見せてやるために!!

 

 そうしている間に、頂上が見えてきた。凛が最後のスパートと言わんばかりに走り出す。海未もそれを追い始めた。俺も…急ごう。

 

 俺たちは最後の力を振り絞って駆けてゆく。俺たちは山頂碑に辿り着くと、疲れがどっと押し寄せてきて、倒れこんでしまった。

 

「はあっ…はあっ…着いたぜ…。」

「つ…疲れた…ニャ…。」

「二人とも、よく頑張りましたね。」

「へっ、馬鹿野郎…それはこっちの台詞だ…。」

 

 しばらくして、俺たちは再び立ち上がった。それとほぼ同時に、にこと真姫が目を覚ました。

 

「おっ、やっと気が付いたか。」

「ここは…?」

「マウナケア山の頂上だニャ~。倒れてからずっと、二人とも信翔くんが負ぶさってくれたんだよ♪」

「そ…そうだったの…。」

「お前ら、頭とか痛くねぇか? 大丈夫だろうな?」

「ええ、おかげ様で。」

「どうやら適応し始めてるようだ。それはよかった。」

「あっ…日が…落ちていきますよ!」

 

 

 日が…水平線に沈んでいくのが見えた。二人とも、それに見惚れて疲れた感覚など忘却の彼方のようだ。俺も…癒された。この眩い夕陽と、あいつらの笑顔に…!

 

「綺麗ね~…。」

「凛、ここまで来れてよかったニャ♪ これは、今日来なかった穂乃果ちゃん達にはこの感情、わからないニャ~!」

「これは一生ものの経験ですね。」

「俺も…昔できなかったことが克服された。それが…嬉しい。」

 

 皆が、達成感溢れるいい表情をしていた。俺は…そんな皆の顔が見れて大変うれしかった。動機は大変に不純であった気がするが、今はそんなもの関係ない。俺たちは成長したのだ。俺は…ラブライブ決勝を終え、こいつらの清々しい表情を見てみたい。腕が鳴るひと時でもあった。

 

 俺はぜってぇ、奴らを牽引して、奴らの思い出に深く残るような青春を作ってやる!! そう思い直したのだった。

 

「ところで、どうやって帰るの?」

 

 だが…だ。にこの言葉で、周囲はあっという間に凍り付いたのだった。現在は既に6時を回っている。日の入りも果たしたのでこれからは暗くなるばかりだ。すなわち、ヘリを飛ばすのも、今すぐ下山するのも無理がある。なら執るべき手段は一つ…。

 

「ヘリで迎えを呼んでも時間上、来るのは翌日だ…。今すぐ下山しようと思っても危険すぎる。ならば、この方法しかあるまい。」

「ま…まさか…。」

「決まってんだろ。ここで一夜を明かすんだ。」

「「「「えぇーっ!?」」」」

「何をいまさら驚くことがある? 俺たちは何日か前からすでに同棲同様の生活をしてるじゃねぇか。」

「それはそうだけども…。」

「もしかして野宿を心配してるか? 馬鹿、それほど俺は無為無策じゃねぇよ。こういう登山用の山ってのは大体宿があるものだ。」

 

 そして俺たちは宿探しへ…なんとか泊まれるところを見つけ、そこへ転がり込んだのだった。

 

 

 *

 

 

 夜、俺は外にいた。今日は疲れているはずなのに、妙に寝つきが悪い。なので、ほぼ誰もいないところで暇を潰していた。まだ時間的にいえば22時なのだが、皆へとへとになって寝てしまったようだ。俺は緑のアプリを使って、下にいる残りのメンバーに連絡を取っていた。

 

『お前ら、飯食ったかー?』

 そう俺はグループにメッセージを送信した。すると面白いほどバババと返事が返ってくる。

 

 

穂乃果『実はねー…。にこちゃんくらいしか使い方を知らない道具があったりして…結局失敗しちゃったんだー(笑)』

 

晃太『あれはメッチャびっくりしたでwwww』

 

ことり『でも、あれはあれでおいしかったよね♪ なんというか、新しい味の発見?みたいな』

 

花陽『それに、花陽がごはんを炊く分量を間違えちゃって…余計に作ってしまったんです…』

 

信翔『いろいろ苦労しているようだな。明日あたりに帰る。それまで頼むぞ。』

 

絵里『了解。海未たちは?』

 

信翔『もう寝ちまったよ。』

 

希『よほど疲れたんやね♪』

 

稜『そんな事より、登山、どうだったー?』

 

信翔『まあよかったぜ。いい経験もできたしな。』

 

雪穂『そうなんですか!』

 

亜里沙『ところで、足は大丈夫ですか? 痛くないですか?』

 

信翔『ああ。俺を誰だと思ってんだ。』

 

紗奈『それでこそ兄さんです♪』

 

信翔『じゃあな。もう寝ろ。お休み。』

 

穂乃果『お休み~』

 

雪穂『おやすみなさい。』

 

政武『Good night.』

 

大悟『おやすみ』

 

真姫『おやすみ~』

 

 

 俺は皆に別れの挨拶を済ますと、電源を消した。

 

 …ん? あれ、さっきの会話の中に出てこないはずのヤツがいてたような…? まあ、気のせいかな。

 

「ふふっ、信翔さん。こんなところで何してるの?」

 

 俺の前に現れたのは、真姫だった。あれっ? こいつさっきまで寝てたんじゃ…?

 

「お前、さっきまで寝てたんじゃ…?」

「ええ、寝てたわ。でも通知のせいで起こされたの。」

「それはすまなかったな…。」

 

 そして俺たちは、太陽が沈んでいった地平線を見つける。海面で反射した月光が鮮やかにゆらゆらと動く。

 

「真姫、ここまで来れて…よかったか?」

「まあ、よかったわ。きつかったけど、そのおかげで何かを得られた気がするしね。皆も連れてこればよかったと思うわ。」

「ふっ…そうだな。それにしてもお前…最近キャラがぶれているような…なんというか…。素直になったな。『別に。まあよかったんじゃない』」

「…何か悪いの!?」

「あ、戻った。」

「もうー! 何よー!」

「やっぱお前って面白れぇや。」

「もう…さっきまでの雰囲気壊しちゃったわね…。」

 

 そして再び、静寂が訪れた…。次に口を開いたのも俺だった。

 

「お前…もしかして誰か好きなのか?」

「ヴぇえっ!?」

「だから、素直になろうとしてるんじゃ…。」

「そ…そんな訳ないでしょ! 第一スクールアイドルやってる私がなんで恋愛を…。」

「別に悪くねぇんじゃねぇか? 俺は別に反対しねぇぞ。」

「え?」

 

 真姫が驚いた表情をする。当たり前だ。恋愛はどれだけ蔑んでも、疎んでも切れねぇものだ。人間に生まれたからには、恋愛感情はどれだけ切ったつもりでも一生付きまとうものだからな。

 

「す…スクールアイドルは恋愛禁止じゃないの!?」

「俺がいつそんな事を言った? 恋愛自体は別に悪いことじゃねぇだろ。相手はともかくとしてだな…誰であっても恋愛はあるもんだ。そんな人間として当たり前の感情を奪う事は俺にはできない。」

「以外とそこに関しては信念を持ってるものなのね…。ふざけるなとか言うと思ってたのに…。」

「俺も女を好きになったことがあるのだ。俺がそんなことを言う権利はない。」

「えっ!? そうなの!?」

「驚く事じゃねぇだろ。だが、自身は武道を極める者。その頃はそんな感情を押し殺して修習に励んだものだ。」

「へぇ…。」

「ま、俺は応援するぜ。頑張れよ。」

「ちょ…ちょっと待って! なんで私が恋愛しているみたいな感じで終わってんのよ!」

「え、違うの?」

「違うわよ!!」

「あっそ…。まあなんでもいいや。俺が口出しするものではないしな。じゃ、寝るか。お前といたら眠たくなってきた。」

「ちょ…ちょっと待ってよ!」

 

 そして俺たちは宿の中へと消えていったのだった。

 

 

 *

 

 

 そして翌日…俺たちは一日ぶりに別荘へ戻った。

 

「あーっ! やっと帰ってきたー! おーい! 練習始まるよー!」

 

 さて…あいつらの達成感のある清々しい表情を見る日のために…頑張るか!!




はい、終わりましたけども…
実は、これはリクエストなんですね。

私はいつもほぼネタがないので
リクエストの方をいただけたらと思います。

感想などもいただけたら嬉しいです。
作者が喜びますwww

では、気力が尽きましたのでこれにて。次回もご期待ください。
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