ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~ 作:ステア(STER)
そろそろ、合宿に終止符を打たせてもらいます。
そして…やっと秋がやってきます~♪
食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋、μ’sの秋!!!!(?)
ということで、これからもひとつ、よろしくお願いいたします。
今日は、高坂姉妹回に等しい文章となっております。
さて…二週間ほど続いた合宿も、そろそろ終わりの時が近づいてきた。今日は合宿最後の日…。皆も練習に気合が入っていた。
この二週間…長いようで短かった。だが皆は海未のメニューと俺たちやOGの徹底的な指導もあってか色々と上達してきていた。去年のラブライブ本大会など比にならないくらいのダンスの上達に関しては、感心するばかりである。
今日はいつもより練習が長く、7時に俺の号令で終了。皆クタクタである。だが皆の顔は、合宿による強化練習をやりきった、少し清々しい表情をしていた。
晩飯に関しては、にこ達OGが作って待機してくれていた。
「皆お帰り。ほら、ちゃんと晩御飯もできてあるわよ。」
「おーっ! 豪華だニャ~!」
「おっ、いい感じに作ってくれたじゃねぇか。」
今日の飯は特別豪勢である。これは、頑張った皆へのご褒美として、俺たち男五人衆が金を出し合った結果である。おかげで、もう俺の財布には、ほとんど金がない。まあそうだわ。ここに来た時点で5万円切ってたしな。
………飯を食い終われば、次は風呂だ。まず最初に、12人で入りに行った。
「晃太さん。覗いたら承知しないわよ。晃太さんだけじゃなく、貴方達もよ。」
ヤツはこう言われていたにも関わらず、覗き見作戦を決行する。ヤツは猿のように木をスルスルと登って上から眺めようとしたが、政武の放った麻酔銃で昏睡し、そのまま翌朝まで起きなかった。
*
まあ、色々なことがあった。今回の合宿は、たとえ俺が孫のいるジジイになっても忘れねぇだろう。なんか…イヤな思い出ばっかりな気もするんだがな。
布団が13つおいている大広間で…俺たちは灯りを消して、闇の中へ身を投じる。俺は木刀を持ちながら、布団のそばのソファに腰掛けていた。いつものことだ。なぜか…? あの金猿が夜這いを仕掛けてきて、終わらないパーティーに突入したら、一体誰がそのパーティー(笑)を収拾するんだ? それに、俺も巻き込まれそうだし…。
とにかくだなっ! 不純異性交遊の予防だよ! まあ奴らが寝てる別室には外から鍵かけてあるし杞憂かなとは思うのだが…実際夜這いに来たこともなかったし…。
気づけば午前0時。俺は眠気が襲ってきたので、そろそろ布団に入って寝ることにした。
俺はスヤスヤ寝ているメンバーをまたぎながら自分の布団へと向かい、誰も起こさぬようにゆっくりと布団へ…。それからというもの、俺が睡眠に入るまでは早かった―――
…………と思われた。
大の字になって寝ている俺の両サイドに何かが当たる感触が…一旦眠りに就いた俺がそんなもので起きる訳がなく、気づかずイビキをかきながら寝ていた。
「信翔さん…起きないね。」
「信翔君がこんなことぐらいで起きないのは分かってたもん。やって正解だったでしょ? じゃあ、アレやろうか?」
「だね、早くやろやろ!」
「いっせーのーで…。」
フゥゥゥーーー
こんな会話が微かに聞こえた矢先、俺の耳に大量の空気が入ってきた感触が俺の鼓膜を刺激した。まるで風に吹かれるマイクから聞こえる雑音のようだ。俺はガバッと目を覚まして、左、右と見渡す。
左右にはそれぞれ穂乃果、雪穂がいた。
「て…敵襲かっ!? あの変態が夜這いを仕掛けてきたk…って、なんだお前らか………。」
なんだ、穂乃果と雪穂か…と思って俺は再び寝ようした…ん、あれ? 穂乃果と雪穂…?
「って……えぇぇぇe…ムググ」
俺は現在の状況に大きく驚いて、頓狂な声をあげそうになったとき、口をおさえられた。
「シーッ…! 皆起きちゃうよ…!」
「すいません…! 大声は出さないで下さい…。大声を出して海未さんが起きてしまったら…」
「穂乃果たち、タダでは済まされないよね…。」
俺はこんなことを言われてたが、俺は今現在の自分の状況がいまいち理解できておらず、ただ呆然としていた。
…えっと、たしか穂乃果と雪穂は俺の隣の布団だったよな? ということは寝相の悪さとかで俺の布団に入ってきたのか? 今のは寝相と寝言だよな…そう思って俺は月光に照らされて見えるあいつらの顔をみたが、恍惚とこちらを見つめる目は俺に穂乃果たちは覚醒状態であるということを伝えてくる。
つーか、それだったら…俺がメンバーへ向けた晃太の夜這いを警戒してたら、逆にこいつらが俺に夜這いを仕掛けてきたというのか…? それは油断していた。何せこいつらは寝ていたと思ってたからな…。逆夜這いってヤツかな。
「お前ら…俺に夜這いを仕掛けてきたのか?」
「まあ、そういうことになるかな。」
そういって穂乃果は大きく手を伸ばして抱き着いてくる。
「雪穂、お前はどうなんだ…?」
「私は…その…ブツブツ」
雪穂は顔を真っ赤にして、近くにいるのに聞こえないくらいの小声でしゃべる。まあ、言わなくても分かるけどな。こいつはたぶん姉の潰れたテンションに巻き込まれたんだろうな…って。
「あっ、信翔君…顔真っ赤だよ♪」
「そ…それは………。」
当たり前だろうが!! こんなことされて顔を真っ赤にして照れない男がどこにいる―――まあ俺はそんなヤツになりたかったのだが、残念ながら無理だったようだ。俺も所詮、一人の男だったというわけか…ハァ。
この姉妹は、テンションは違えど、どちらも目じりは垂れて、トロンとした顔になっていた。他の男ならそのまま行為を始めるだろうが、俺が無理に押し倒して行為に臨むと…メンバーが起きちまうしこいつらの信用を失うし、こいつらが将来付き合い、結婚するであろう男たちに申し訳ない。それに晃太への面目も立たなくなるし…俺はそんな気にはならなかった。おまけに、二人とも目じりがだらんと垂れた、普通の男だったら勘違いしそうな表情であったが、色気は感じ取れなかったし……というよりは、俺の変態センサーが反応しなかったというか…すなわち、こいつらもその気はなく、じゃれ合いたいだけなのだろう。雪穂の方はどうか知らんが、穂乃果からは俺と繋がりたいという欲求は感じ取れなかった。ふぅ…よかった。穂乃果に関しては、たぶん夜這いの意味をはき違えてるんだわ。こりゃ。
「というか…お姉ちゃん、夜這いっていうのは…ムググ」
「え? なになに?」
「夜に布団に入り込んでじゃれ合う事だってさ。なぁ雪穂…?」
「ムググ…。」
あぶねぇあぶねぇ…! 本当の意味を言っちゃあいけねぇだろ…! もし穂乃果その気になったら…俺も奴らが眠る別室閉じこもって自主蟄居するところだったぞ。
「そうなんだ~。じゃあ信翔君、穂乃果眠れないから遊んでよ♪」
もう俺も起こされて完全に眠気が去った。気は乗らねぇが、まあ付き合ってやるかね。こうして、俺はささやかなモノではあるがアイツらと遊び始めた。そのうちだんだん穂乃果も雪穂もテンションが上がり、俺は両手に華状態に…。雪穂に至っては俺を『信翔君』と呼び、いつもの敬語も消え去って猫のように俺に甘えまわすように…高坂姉妹は、二人とも夜のテンションがすごいってことなのか? ふたりとも、ネジが外れてしまってるのだなと思った。
*
気づけば午前三時。俺たちは体をくっつけあって、一つの布団に三人も集まって寝ている状態にあった。正直、窮屈だが俺も楽しめたので不問とした。
穂乃果は既に寝ていた。全く、奔放なヤツだ。一方、雪穂はというと、まだ俺にくっついて甘えん坊のように擦りついてくる。最高騰状態に変わりはなかった。
無言の状態が続いたその時、俺から口を動かし始めた。
「なぁ…雪穂。」
「何ぃ?」
雪穂は呂律の回らぬフニャフニャの口調で返す。これを聞いた俺はふと思った。この姉妹意外と似ているな、と。まあ姉妹だからな。ちなみに俺の兄弟はダメだ。弟はヤクザで、妹は…いや語るまい。
そんな事よりも、前から気になっている事があった。それは…メンバーのマネジメントをしてる俺は、実際にステージに立ってパフォーマンスをしているコイツらからどう想われているのか、ということだ。
「お前らは…俺のことをどう想っている? μ'sのサポーターか、友達か、それとも―――」
「好きだよ」
「えっ」
それを聞いた俺の心臓は常時より波打った。それから俺の拍動は乱れていくばかりだった。
「好きだと?」
俺は聞き間違いかと思い、もう一度聞きなおす。
「うん、好き。好きだよ♪」
絵里に、その思いは知らされた事がある。だが、いまいち俺の中で信憑性を作れなかった。だが、今回はメンバーの一員である雪穂に言われている。
「それは…アレだろ? 友達としてーとか…。」
「友達としてか、恋愛対象として意識してるか…それは人それぞれだと思うよ。」
「ちなみにお前は?」
「ふふっ、秘密♪」
「ちっ…姉妹そろって厄介だなこりゃ。」
そして再び、闇夜の静寂の中に身を投じていた。次に静寂を破ったのは雪穂だった。
「ねぇ…信翔君は、彼女作らないの?」
意外な質問だった。俺はふと雪穂の顔を見る。雪穂は
「そうだな…今はそんなつもりはないな。それがどうした…?」
「…質問を変えるね。今、好きな女の子は…いる?」
「………いねぇ。」
俺がそう返すと、雪穂は少し悲しげな表情を浮かべた。俺が真顔でそう返した途端、少しだけ俺を抱きしめる力が強くなった気がした。
今思うと…俺はとんでもないことを言ってしまったのかもしれない。
「…理由を聞かせてもらえる?」
「理由もなにも…。俺が恋愛対象としている女がいねぇ。ただそれだけだよ。」
すると、また、抱きしめる力が強く…
「お…おい雪穂…! 少しキツイし…その…当たってるぞ…。」
「え、何が?」
それを聞いた雪穂はさっきまでの表情と打って変わって、俺をからかってやろうかという事がうかがえる表情に。
「何が何が?」
「何で言わすんだよ…。」
「ふふふっ、可愛い~♪」
クソッ…雪穂までもが俺イジりの要因になるのか…? そう思ったらコイツ、更にきつく抱きしめてきやがった。
俺は、やられっぱなしが嫌いな人間だ。このままじゃ癪なので、雪穂の顔の横あたりに腕を伸ばしてドンと。そして体制を変えて雪穂のマウントポジションを奪う。所謂、“押し倒した”状態になる訳かな。
「び…ビックリした…。」
「調子に乗るなよ…。俺はあくまで先輩…だぞ?」
そして雪穂が硬直したところでデコピンを一発お見舞い。その後は拘束を解き、再び大の字に。気づくと雪穂は、既に眠っていた。
ふと、寝たまま窓の方を見る。もう既に
「さて、そろそろ日本へ帰る準備をするか~。」
結局俺は一睡もできずに起き上がり、皆をまたいで荷物の方へと向かって、荷物漁りを始めた。
その時、布団から何かが生えてきた…というよりは、誰か起きたようだ。伸びだけすると、フラフラとこっちへやってくる。
「信翔君、おっはよ~。」
それは穂乃果だった。
「ほ…穂乃果。夜更かししたくせに、起きるの早ぇじゃねぇか。」
「いや、眠れなかったんだ。」
そうか、眠れなかったのか…。それは仕方ない。…ん? ってことはもしかして…。
「楽しそうだったね~。私を蚊帳の外にして、雪穂といちゃついてるんだもん。それにしても、雪穂もあんなにメロメロになって…。」
「…げっ」
聞かれてたようだ…バッチリと。
「わ…わわわっ! 言うな言うなっ!」
「信翔君って、本当に男の人にしては珍しく純情で可愛いね~♪」
「…クソッ」
俺が捨て台詞を吐いて、外の空気を吸うためにこの場を去ろうとするも、穂乃果はついてくる。俺と並んで歩くまでに追いついたときにふと見た顔は、いつもの元気いっぱいな穂乃果と少し違った、大人びた表情と雰囲気を醸し出していた。そしてうつむき気味にこう言った。
「信翔君って、本当に不思議だよね。」
「はぁ?」
「私たち、出会ってまだ半年も経ってないのに…。み~んな、信翔君の醸し出す魅力…?に惹かれていって…そして…穂乃果も…ゴニョゴニョ」
「お前も…なんだ?」
「い…いやなんでもないよ! それにしても、これからまた学校だね~。穂乃果はイヤだな~。」
「そう言ってたらまた海未にシメられるぞ。」
「あはは、そうだね~♪」
いつもの調子に戻ったのか、いつも通りの明るい表情になり、俺の顔をのぞき込んでくる。
そして、最後にこう言った。
「じゃあ、信翔君…。これからも頑張って、私たちを支えててね♪」
この時見せた笑顔は、今も瞼の裏に残って消えない。
「おう!」
俺は穂乃果の気迫に負けないほどに胸を張って、これからもお前らを支える男になって見せるという意味を込め、この返事を返した。
「じゃあ、穂乃果、朝風呂に入りに行ってくるね~! あっそうだ! 信翔君も一緒に入る?」
「はっ…はぁ!?」
「冗談だよ~。もう、赤くなっちゃって可愛い~♪」
「穂乃果ぁぁぁぁぁっ!!!!!」
「わー、信翔君怒ったー! にっげろ~♪」
「待ちやがれぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
からかうと同時に穂乃果はドタドタと足音を立てて逃げ出す。俺はドスドスという足音を立ててそれを追いかけた。やっぱ、やられっぱなしは癪だ。
この後、一日かけて俺たちは帰路について、皆をそれぞれの家に送ったのだった。そして自宅へ帰ったのが午後十時。こうして、支離滅裂でハチャメチャなハワイでの役に収監に及ぶ合宿に終止符が打たれたのだった。だが、俺の役目は終わってない。俺はラブライブ優勝への目標を再び確認し、深い眠りに就いた。
これから、信翔はメンバーの悩みにブチ当たっていくことでしょう。
では、次回から新章です。乞うご期待。
A-RISEを小説に入れたいと思っている今日この頃。