ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~ 作:ステア(STER)
今回は、信翔が矢澤のチビたちを面倒見るというちょっとしたものであります。
ちっさい子って可愛いよね! 純粋でね、ウン。
まあうざいクソガキもいるんですがね。
今日も、ローカルな俺の休日が始まる。俺はいつものように布団の中で長い時間深い眠りに就いていた。
だが、俺の休日を邪魔するものが、玄関より現る。まだ朝早いのに、呼び鈴を何回も何回も鳴らす。
「何だよ…チンピラの報復か? はたまた身に覚えのない借金取りか? いや、それともガキの嫌がらせか?」
俺はぶつぶつ言いながらも玄関に赴く。そして、ゆっくりと扉を開くと…。
「おはよう、信翔。」
に、にこ!? と、こころ、ここあ、虎太郎…ん? あれ、このにこに似た長身の女性は誰だ?
「アナタは?」
「あ、申し遅れましたわ。織田信翔さんですわよね? 私、矢澤えみです。この子たちの母ですわ。」
「は、はぁ…。」
ところで、にこの母親ってこんなに長身でスタイルがいいのかよ…。にことは大違いだな…っていうか、このチビ三人の将来が楽しみだな。
「にことは違ってスタイルがいいですね。」
「これでも、昔は芸能人やってたのよ。」
「にことは違っては要らないのよ! 私だって、いつかは芸能人になるんだから!」
「お前のファンのタイプって固定されそうだよな~。」
「うるさいっ!」
いや、これホント。童顔とか言われていじられまくるぜ、多分な。
「とにかく、入れさせてもらうわよ。」
「いやいや待て、まず要件はなんだ?」
「それは後で話しますわ。」
「は、はぁ…。」
そして、矢澤家五人は俺の家へドカドカと入ってきた。
「で、要件って何ですか?」
「実はね…ママと私で行くところがあるのよ。でも、そこにはね…。この三人は連れて行けないのよ。」
「ほう…。で、それが俺に関係あるのか?」
「信翔さん…この子たちの面倒、今日と明日お願いできないかしら?」
「え、ちょっと待ってくださいよえみさん―――」
お、俺がこのガキどもの面倒を…? マジで言ってんの?
「謝礼が必要なら、多少なら払いますわ。」
「いやいや、そういう問題じゃないんですが…。」
「信翔…ここしか、頼る所がないのよ…。何とか、お願いできないかしら?」
「まじすか…。」
ところで、珍しくにこがふざけていない。どうやら、この願いは切実のようだな。
「ま、まあいいでしょう。一泊二日ぐらい。」
「本当!?」
「ああ。心配するな。ガキはあまり好かんが面倒は色々と見慣れていてな。」
「恩にきりますわ!」
そう言って、俺はこの矢澤チビを三人も預かることになった。
*
「さて、このチビども、どうしようか…。」
面倒見慣れているとはいえ、億劫に変わりはなかった。だから、誰か巻き込んでやろうか…。
そう思い立った俺はケータイのアドレスを開き、片っ端から連絡をかけることに…。
よし、まずは穂乃果だな。でも、穂乃果の家は和菓子屋だし暇してなさそうだから、応じるかな?
「もしもし穂乃果か? 今日、俺の家に来ないか?」
『あっ、信翔君♡ ごめんねー、今お父さんやお母さん、雪穂と旅行してて、明日まで帰らないんだ。』
「そうか、ならもういいよ。」
『本当にごめん! また、機会があったら誘ってね♡』
…ハァ。穂乃果の家は旅行中なのか…。じゃあ、雪穂も無理だな…。ところで、最近穂乃果の様子がおかしい。恋煩いをしてる女は変わるもんだな。
さて、次はことりだ。ことりは面倒見もよさそうだし、引き受けてくれると思うけど…。
「もしもし、ことりか?」
『信翔くんどうしたの?』
「実はにこにシッター押し付けられたんだ。一緒にしてくんねぇ?」
『ごめんねー。ことり今衣装作ってて、遊びに行く余裕なんてないの。シッター頑張ってね~♪』
あっ、切れた…。なんだアイツ、衣装作ってたのか…。なら邪魔するわけにはいかないな。
じゃあ、次は海未だな。海未は…まあ分からん。まあでも頼んでみるだけ頼んでみるか。あいつも面倒見よさそうだし。渚沙さんの妹だけどな。
「もしもし海未?」
『何でしょうか? 今稽古中で忙しいのですが。』
「あ、いやなんでもない。ゴメン。」
…まあ、わかってた。ちっ、誰か引き受けてくれねぇかなぁ~?
「もしもし真姫、一緒にガキの面倒みてくれねぇか?」
『子供、好きじゃないから。』
「もしもし凛、よかったら一緒に矢澤チビどもの面倒を―――」
『ごめんね~。今撮り溜めしてた志村どうぶつ園見てるんだニャ~。猫ちゃん、か~わいい♡』
「おい花陽、俺と子供の面倒を見てくれ!」
『ごめんなさいっ! 今お米を炊いていて…。』
「絵里! 子供の面倒を…!」
『(もしもし、かしこいかわいいエリーチカよ? ただいま、電話に出れません。もうしばらくしてからかけなおしてね♪)』
「希! 頼みがあるんだ!」
『いきなりどうしたん? まあウチの勘の良さで大体わかるんやけどね。あーでも、今家にウチのお母さんが来てるから、協力できへんなぁ~。』
「亜里沙! どこにいる!?」
『わわっ、信翔さん!? 今私はお姉ちゃんと一緒にロシアにいるんですけど、何かありました? ま、まさか紗奈ちゃんに何かありました…?』
「紗奈! もはや信頼できるのはお前だけだ!」
『に、兄さん? 今実家に帰省してるんですけど、どうしたんですか?』
「」
…な、なんてこった…!! まさかの全没とは…。皆、何してんだよ…。なんとか動物園見てるだの、米炊いてるだの、いずこにいるだの…。っていうか真姫の『子供好きじゃない』発言何だよ!? あんな事言ってたらいいお母さんにはなれねぇぞ!? っていうか俺、いつの間にか国際電話してたしぃぃ~!! 国際電話って高ぇんだぞ!?
「…ハァ。」
「どうかしたんですか、信翔さん?」
「こころか。いや、お前らの面倒を押し付ける奴を探してた。」
「のぶ兄、ここあ達のこと嫌いなの?」
「いや、嫌いってわけじゃあねぇんだが…。」
「のぶと~」
「ハァ…なんだよ?」
はぁ、これから、どんな地獄が待ってるわけなのだろうか…。ちなみに男連中は誘わねぇ。ロクでもねぇことになるしな。
「どこか、つれてって~」
「え?」
「ゆうえんち、つれてって~」
この幼稚園児、なんだって? 遊園地だと?
「お前らは? 遊園地行きたいか?」
「はい!」
「うん! のぶ兄、連れてって~!!」
「…仕方ねぇな。よっしゃ、なら早く準備しろ! ホラ!」
「「「はぁ~い!」」」
*
そうしてやってきた遊園地。チビらは大はしゃぎ。やっぱ、ガキだよな…。そう思いながらチビたちについていく事数分…。見えてきたのは、
おっと勘違いしてもらっては困る。まだ俺のジイが生きていて、親父が総裁を継いでなかった時の頃…お袋や大翔、清華と一緒に来た事がある。
だが…俺はそのとき震えあがり、チビってしまったのだ…。まあ3歳くらいの頃だし、無理はねぇだろ…。ゆえに、ちょっとした…ウン、黒歴史なんだよな…。
「のぶ兄! 乗らないの~?」
「いや、俺は…。」
「ビビってる~」
「…ビビッてなんか…! わ、わかったよ! 乗ってやらぁ!」
憤った俺はそういって勢いでコースターに乗り込む。すると、コースターはゆっくりと動き出した。
あぁ…またあの黒歴史を味わうのか…。
ほどなくしてコースターは下り坂に差し掛かる。すると、コースターはギュウウ~ンと速度を一気に上げて急降下。そう、位置エネルギーが運動エネルギーに変わってる瞬間だ。Gはどんどん上がっていく感触がした。
だがしかし、幼少期に味わったころの気持ちとはすこし…いや、大きく違った。なんか、奈落の底へと落ちていくような感覚もしなくないが、なんだか最高…。なるほど、だから遊園地の定番なんだな…。
「楽しかったですね!」
「お、おう…そうだな。」
それにしても、色々アトラクションがあるものだな。ワケのわからねぇモノまで多数ありやがる。
「次はあれ! あれ行こうよ!」
「はいはい…。」
「んぎゃああああっ!!」
「うわぁああああっ!!」
こうしてさんざん連れまわされた。まあでも、退屈はしなかったかな。カネは多く消えたし、ヘトヘトになったが。やはり遊園地は性にあわねぇな。ウン。
車では、俺も寝たいのに、あいつらは寝込んでいた。寝顔が子供らしくてかわいい。おっとよそ見はいけねぇや。
「う~ん…?」
「お、虎太郎。起きたか。」
まあ、オーディオが流してるしな。ハードロックな曲に変わったからかな。もし両者のうちどちらかであれば申し訳ないな。
「ここ、どこ…?」
「信翔兄ちゃんの車の中さ。お姉ちゃんの家まで送ってやるから、もうちょっとゆっくりしていていいぞ。」
「う~ん…。」
そういえば、こころもここあも、色々な絶叫アトラクションに行ってはキャーキャー言ってたものだが、こいつはウンともスンとも言ってない。いわば、ノーリアクションに近い。俺も色々リアクションを取ったんだがなあ。
「虎太郎。」
「なに~?」
「楽しかったか? 遊園地…。」
「うん、楽しかったよ~。」
まあ、普通の幼稚園児並には楽しんでいたようだ。ノーリアクションなのも、多分表現がヘタなだけなんだよな。将来、寡黙になるかもしれんなコイツは。いや、それとも予想に反して大暴れするかもな。
そうして進み、信号を止まっている時だった。窓から、誰かが顔を覗かせた。
「武闘王じゃねぇか。ガキ連れておままごとか?」
「あ?」
「テメェ、いつの間に父兄になりやがったんだ? まあ、俺らにとっちゃガキがいようと関係ねぇ。復讐に来たぜ。」
「年端もいかねぇガキがうちには三人いるんだ。引き取れや。」
「そういうワケにはいかねぇ。」
すると、ドアを開けて数人がかりで俺を引き出しやがった。
「んだよ、テメェら…。」
久しぶりなので、体が鈍っている感があったし…まず、にこの大切な弟妹たちがいたので、やりたくなかった。でも、仕方あるまい。
「こいよ、早ぇ所ケリつけてやる。」
―――だが、その時だった。虎太郎が興味本位なのか、車より降りて俺の方へ寄ってきた。
「お、おい虎太郎! 離れてろ!」
「そうだぞぉ~。そんなところにいたら怪我するぞ、ボウズ。」
「…。」
虎太郎は俺の顔をチラリと見ると、チンピラどもをボーッとした眼差しで見つめ続ける。
「な、なんだこのガキは…! オラ、どけっ! さもねぇとテメェもぶっ飛ばすぞ!」
すると次の瞬間、俺と最初に出会ったころからずっと同じ表情をしていた虎太郎が豹変した。牙を剥き、チンピラにとがった眼差しを送りつけた。この剣幕にチンピラはたじろぐ。
「な、なんだよ…。わ、わかったよ。暴力はやめるから…! 悪かったな、ボウズ!」
そういうと、チンピラたちはそそくさと逃げていく。その途で、通行人から通報があって駆け付けた警官にしょっ引かれた。
チンピラが尻尾を巻いて逃げていくと、虎太郎はまた、いつも通りのボーッとした表情に…。その一瞬の気魄は、俺すらも圧倒したのだった。
「お、お前すげぇな…。あんな大の大人にビビりもしないで…。」
「ん~?」
そして、いつも通りの返事が返ってきた。はぁ、やっぱりこいつは何考えてるか分からねぇ…。でも、こいつの将来は有望だ。武闘王と名を馳せた俺が言うんだ。こいつに武術を教えると、世界大会に進出するほどの頭角を現すかも知れん…。
そしてまた、何事もなかったかのように車に乗り込み、自宅へと急いだ。
*
翌日…。また早い時間に、お姉ちゃんはやってきた。
「…まだ、寝てるのね。まったく、この子たちったら…。」
「寝かせてやればいいじゃねぇか。さ、早く引き取ってくれ。今日は危ない男たちが来る。」
「…どういうこと?」
「変態と、アクロバティックと、天才と、ピストルバカが来る。」
「…わ、わかったわ。ほら、こころ、ここあ、虎太郎。起きなさい。お姉ちゃんが来たわよ。」
そして、にこは三人を起こした。三人は目をこすりながら俺に礼を言うと、にこに連れられ帰っていった。
さて、次回のことについてお話いたしましょうかね。
次回は、音ノ木坂学院のオープンキャンパス回になるかと思われます。
さて、私は課題をやらねばいけないので、これにて失礼。