ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~   作:ステア(STER)

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はい、STERです。

今日を持ちまして、高坂穂乃果たちの生徒会役員の任期は切れます。お疲れ~。

そして、誰が生徒会長になるのか、見ていきましょ。まぁ…予想がついてる方多いでしょうがねぇ…。






μ's IIと過ごす極寒の冬
【47th Live!】新生徒会長就任戦争


 地区予選をなんとか乗り切った私たち。年明けには地方の代表を決める地方予選があるそう。これは、これまでの東京中央地区代表選から一変、関東地方の代表を決める闘いとなる。あのA-RISEは(さき)の地区予選を一位通過しているなど、益々侮れない存在となっている。

 

 そんな中、音ノ木坂学院にもまたあのシーズンがやってきた…。

 

 

「音ノ木坂学院も、そろそろ生徒会改選の時期ですね。」

「えっ? もうそんな時期なの?」

「ええ、そうですよ穂乃果。あと数週間で私たちの任期は終了します。」

「そっか…。意外と早いね~。」

「それは、穂乃果が生徒会長として何も功績を残してないからですよ!!」

「そ…そんなことないもん!! ねぇことりちゃん!」

「ん~………まぁ、生徒会長として仕事は頑張ってたんだし、ことりはいいと思うんだけどなぁ。」

「ことり!」

 

 生徒会の仕事を頑張ってきた生徒会の三年生たちは、次第にこちら二年生組へ視線を集めた。

 

「な、何よ…。」

「さて、残りの生徒会の仕事は…。」

「後継ぎ…だよね。」

「穂乃果ちゃんは、凛たちに後を継がせたいのかニャ~?」

「そうですねぇ…。私としては、別に知り合いじゃなくても、この学校をよりよくしていく有志に是非とも後を継いでほしいですね。」

「凛じゃ、生徒会長は務まりそうにないわね。」

「むぅ~! そんなことないもん! 凛はやるときはやるんだもん!」

「馬鹿ね。やるときはやるって…やらなきゃ一緒でしょう。それじゃあ、凛は生徒会長になるのかしら?」

「そっ…それは…。かよちぃん、手伝って欲しいニャ~!」

「凛ちゃん…。穂乃果ちゃんたちを見ればわかるけど、生徒会の仕事は楽じゃないんだよ~?」

「そうですよ凛。貴女が務まる仕事ではありませんよ。そうですねぇ…真姫ぐらいしっかりしてないと…。」

「えっ、私!?」

 

 いきなり、話の矛先が私になり、寝ぼけまなこだった私は一瞬で目を覚ました。

 

「ちょ、ちょっと! 何で私が生徒会長なんかに…。」

「あ~いいかも! 真姫ちゃんが生徒会長になったら、皆髪の毛クルクルするんでしょ~? クルクルクル~!!」

 

 凛が私を模倣して短い髪の毛をイジった。ぐぐぐ…凛のクセに生意気なんだから…。

 

「何でそうなるのよ!」

「真姫ちゃんがどういうことをするのかはともかく、真姫ちゃんは本当に穂乃果の後を継いでくれるに相応しいと思うんだよね!」

 

 ハァ…この調子で、残り一か月の今年は大丈夫なのかしら…。

 

「ったく…なんで私が穂乃果の後を継いでやらなくちゃいけないのよ…マジ意味わかんない。」

 

 そういう私だったが、まったく興味がないワケじゃなかった。私の立場は“西木野総合病院”の跡取り娘。いずれは私の祖父が建て、父が経営するこの病院を…私か、私の未来の夫が継がなければならない。どちらにせよ医者たちのトップに立って率いなければならない立場に私はいる。だったら、ここで“生徒会長”として学校に君臨し、リーダーとしての気概を知っておくのも悪くないかも…。

 

「真姫ちゃん、人の上に立つって似合いそうだからねぇ。」

「うっさいわね…。人をドSみたいに言わないでよ。」

「真姫ちゃん、生徒会長のお墨付きもいただいたことだし、立候補するニャ~!」

「別にいいじゃないのよ…。私がどうしようが…。」

 

 素直じゃない私は、またもや凛につっけんどんな態度で言い返した。

 

 

 *

 

 

「はぁ~…。たっだいま~。」

 

 ヘトヘトになって帰ってきた私を、迎え入れたのは母の声でした。

 

「真姫ちゃん、帰ったの~?」

「うん。帰ったわよ~。」

「かっこいいお客さんが来てるから、早くこちらにいらっしゃい!」

 

 かっこいいお客さん…? 信翔さん、また来たのかしら? もう一体何の用なのよ?

 

 そう思いながらリビングへ続くドアを開けると…そこには意外なお客さんが来ていた。

 

「やぁ。」

「だ、大悟さんっ!!?」

「な、何で来たのよ?」

「来て悪かったかな? 真姫ちゃんに会いたかったから来たんだけどなぁ…。」

「もぅ! またそんな事言って…イミワカンナイ!」

 

 狙ってか天然か…惚気た言葉を放つ大悟さんは、私の照れる姿を見て楽しんだ。これは、大悟さんの常套手段。私をイジるのがどうも好きらしい、困ったメガネさんね…。

 

「そういえばどうしたんだい? 悩んでる顔して。」

「えっ? あぁ…いや…。」

 

 みっ…見透かされてる!? 大悟さんの突然の発言に、冷静になりきっていたハズの私の顔は自分でもわかるぐらい(ほころ)んだ。

 

「やっぱりそうだったか。もう言い逃れはできないぞ。」

「ヴェェェ…。」

「さあ、なんでも相談しなさい。進路の事とか、勉強やら、僕が相談に乗れる範囲で相談に乗ってあげるよ。」

「もう、貴方は私のママか何かのつもりかしら…?」

「呼んだ?」

「呼んでないっ!」

「なんていうか、真姫ちゃんは僕にとって妹みたいな感じだよね。」

 

 大悟さんは、私をからかっているような表情でニコニコしながらこちらを見ている。そうね…。私も、お兄ちゃんが………。じゃなくて! ここから脱却する方法を考えないと!!

 

「それは…そのぅ…聞いてほしいような悩みじゃないから…。」

「へ~え。んじゃあ、何でさっきあんなに…まるで、残り一年の高校生活を左右するような事で悩んでるような深刻な表情してたんだろっか?」

「そ、それは…。」

「まぁ、言いにくいならいいよ。別に君の口から言わなくても。海未ちゃんとかに訊くから。」

 

 そういうと、大悟さんは携帯を取り出し、ものすごい速さでキーを打つと耳に当てる。

 

「あーもしもし? 凛ちゃん? ちょっと真姫ちゃんのことなんだけど………。」

「わーわー! 待って待って! わかった! 言う! 言うから!! 凛には訊かないで!!」

 

 そういうと、大悟さんはニタァと微笑んで、携帯の画面をこちらに見せてきた。ま、待ち受け画面!! やられた、ハメられたわ…。

 

「じゃあ、教えてもらおうじゃないの。」

「もう…やり方が本当汚いんだから…。じゃ、じゃあ言うけど、決して誰にも言わないで頂戴ね?」

「分かった。約束するよ。」

「本当?」

「な、何で疑うんだよ? 僕はこれでも人の秘密は守るんだよ!?」

「イマイチ信じがたいわね…。」

「血判状でも作ろっか?」

「わ、わかったわよ…。信じてるから! もしバラしたら、許さないんだからね!」

「オ~ケ~オ~ケ~。ノ~プロブレム。」

 

 っていうかこの人、どんだけ聞きたがるのよ…。そこまでして、その…私の悩みとか気になるものなのかしら…?

 

「じゃ、じゃあ言うわよ…。」

「うん。」

 

 あまりにもくだらない悩みだから、大悟さん…笑ったりしないかしら?

 

「実はね…私、生徒会長に立候補しようかしら…って。」

「ふうん…。なるほどねぇ~…。」

「ちょっと! ちゃんと聞いてるの!?」

「聞いてるよ~。僕の方から聞いたんだからさ。」

「でも、穂乃果の後を継ぐのかと思うとね…。」

「穂乃果ちゃん、酷い言われようだなぁ…。」

「それに、私で務まるのかなぁと言う思いもあるし…でも、将来人を引っ張っていく立場の人間として、リーダーシップスキルを今の内に身につけておいた方がいいとも思うし…。」

 

 私は思い切って、大悟さんに心の内を明かした。すると、大悟さんは一気にシリアスな表情になる。

 

「ふぅん…。で、真姫ちゃんはどうしたいの?」

「え…?」

「そんな、病院の跡取りみたいな使命感だとか、自分に務まるかと言ったようなプレッシャーとか、そんなの抜きにした真姫ちゃんの望みとして、生徒会長をやりたいの? やりたくないの? なったとして、何がしたい?」

「そ、それは…。」

「まぁ、まだ立候補の募集すらないんだろう? それならまだすぐに結論を出す必要はないよ。もうすぐ任期は切れるけど、僕は生徒会役員だからまた何かあったら電話ででもいいから言いなよ。」

 

 そういうと大悟さんは荷物をまとめ始めた。

 

「あら? 大悟君もう帰るのかしら?」

「はい。帰って色々な支度がありますので。」

「そう? もうちょっとゆっくりしていってもいいのよ? ほら、真姫ちゃんも喜んでるみたいだし…♪」

「そうですかぁ。それなら残ってもいいかな。真姫ちゃんが可愛いから…♪」

「うっ…も、もう何よ! 二人してからかわないでよ!」

 

 やっぱり大悟さんはどうかしてるわ…。私とちゃんと向き合ってるのか、またはただからかいたいだけなのか、少しこんがらがるわ…。

 

 

 *

 

 

 そうして悩み続けること数日…。すっかり選挙シーズンとなってしまっていた。

 

「ねえねえ真姫ちゃん真姫ちゃん! 生徒会長立候補したの?」

「し、してないわよ!」

 

 凛はまだしつこくこれの話をする。まったく、本当懲りないわね。

 

「なんだ真姫。お前、立候補すんのか?」

「穂乃果の後を継いでくれるんだよね~。」

「だからしないって言ってるでしょ! もう、皆してやめてくれる!?」

「そう言いながら立候補しちゃう真姫ちゃんはいい子だニャ~。」

「やめろって言ってるでしょうが!」

 

 気づけば、私は凛の胸倉を掴んでいた。凛はニャアアアと言わんばかりの驚いた表情だった。ビックリしたのは凛だけじゃない。信翔さんを筆頭としたメンバー皆私に注目した。

 

「ま、真姫ちゃん! 暴力はダメだよぉ…!」

 

 花陽の言葉で冷静さを取り戻した私は凛を離した。

 

「び…ビックリしたニャ。やっぱり、AB型は血の気が多いニャ。」

「うっさいわね!」

 

 私はまた凛を怒鳴りつけた。これには信翔さんも反応して、目をとがらせたのだった。あ、そういえば信翔さんも私と同じAB型だったわね。それにしても凛ったら…またチョップしてやろうかしら。

 

 ~~~~~~~~~~~~~

 

 練習も終わり、校門を出たときだった。

 

「絵里…。」

「ハーイ真姫。一緒に帰れるかしら?」

 

 大学帰りと思われる絵里がそこにはいた。私はすこしだけ音楽室にいたので既に誰もおらず、夜も更けていたので絵里の要求を承諾することにした。

 

「最近は本当に日没が早くなって、冷え込むようになってきたわね~…。」

「冬だから仕方ないじゃない。」

「最近は講義ばっかりで、練習の方には行けてないけどそっちの方は大丈夫かしら?」

「ええ。まあ大丈夫よ。亜里沙もちゃんとやってるみたいだし。」

「それならよかったわぁ…。」

 

 絵里は天を仰ぎ見た。すると、道端に転がっていた石で(つまづ)く。

 

「ひゃあっ!」

「え、絵里! 大丈夫…?」

「え、ええ…。」

「フフッ…。」

「な、何よぉ…。」

「いや…絵里の珍しい所、また見ちゃったと思ってね。」

「もう…からかわないでよ。」

 

 絵里は顔を赤くして頬っぺたを膨らませ、躓かせた石を思いっきり蹴った。フフッ、賢くないわねぇ♪ これが仮にも元生徒会長なのかしら…?

 

 ―――ん? 元生徒会長…? あっ生徒会! そうだ、早くどっちか決めないと…! もう、何で私って自分のことになるとこんなに優柔不断なの…?

 

「どうしたの? いきなりそんな悩んだ顔しちゃって。」

 

 気づけば、絵里が私の顔を覗き込んでいた。

 

「わわわっ!」

 

 私は感嘆の挙動を見せて。それを見た絵里は微笑んでご満悦の様子。

 

「あははっ! やっぱり真姫は、キョドってる顔が一番可愛いわねぇ!」

「もう!」

「さっきの仕返しよ。し・か・え・し♡」

「もう~~~っ…。」

 

 どうして私の周りには私をイジる人しかいないのかしら…? 私はこれでも西木野総合病院の跡取りよ! 貴方達なんて…! あ、でも…信翔さんがいたら影が薄くなるわねぇ…。

 

「それで、何を悩んでたの…?」

「えっ…? い、いや…。」

「言い逃れはさせないわよ。さっき、あれだけキョドったくせに…。」

「そ…それは…。」

 

 やっぱり、年長者の意見は役に立つかしらね…。

 

「ねぇ、絵里…。」

「はぁい、何?」

「相談があるの…。普通に聞いてくれるかしら?」

「えぇ、モチロン♪ このエリーチカお姉様になんでも話してみなさい♪」

 

 すこしふざけたことを言ってるように聞こえた。しかし、顔は崩れながらも、ふざけてる顔じゃないのを感じた…。

 

 ~~~~~~~~~~~~~

 

「え? 生徒会の仕事?」

「えぇ。そのことで聞きたいことがあって…。」

「そんなの、穂乃果に訊けばいいじゃない。」

「穂乃果が、そんなのマジメに取り組んでる訳ないでしょ…。だから先代の、エリーチカ先輩に訊いてるのよ。」

「そう♪ 信頼されてるようで嬉しいわぁ♪ で、何で貴女がそんなことを訊くの?」

 

 私は一瞬、間を置いた。

 

「実はね…立候補を考えてるの。」

「ハラショー! すごいじゃない!」

「え?」

「え?って…。生徒数が減少してた音ノ木坂学院は最近、生徒会長への立候補者が皆無だったらしいわよ。」

「どういうこと?」

「つまりね。私も穂乃果も、推薦でなったってこと。悪い言い方をすれば、生徒会の仕事を押し付けられたのよ。」

「ヴェェッ!? そ、そうだったのっ!?」

 

 あまりの衝撃に、私は驚きを隠せなかった。で…でも絵里はあれだけ学校をどうにか立て直そうと頑張ってたじゃないの…。正直、信じられなかった。

 

「でも…絵里は私たちを(けな)して、生徒会自らも学校存続のために動こうとしてたじゃない。」

「あれは…その…引き受けたからには、その責務を全うしなきゃ…でしょ? 学校のために頑張ったのよ? まあ、あの時は頑張りすぎた所為で自分がやりたいことを見失って、完全に公益のことしか考えてなかったけどね。」

「なるほどねぇ…。」

 

 そういえば、絵里ってこう見えても責任感強いのよねぇ…。賢かったあの時代は、海未より融通がきかなかったものねぇ…。

 

「それで、真姫は生徒会長になって、何かやりたいことはある?」

「えっ?」

「ホラ、生徒会長になったら、何するのよって話。所謂(いわゆる)、公約ってヤツよ。まさか…ただなりたかったなんて小学生並みの理由じゃないでしょうね…?」

「ち、違うわよッ!」

 

 そう言ったはいいものの…どうしよう、ほとんど考えてない…。

 

「どうやら、そうらしいわね。なんだか凛や穂乃果を相手にしてる感じだわ。」

「凛や穂乃果と一緒にしないで!」

「フフッ、冗談よ冗談…。まぁ、今はハッキリしたものがなくてもいいんじゃない? 生徒会の仕事は、最初のころはそんな公約を実現するために頭を回してる暇なんてないからね。」

「そうなの?」

「えぇ。まあ、だから漠然と…何がしたいとか決めておけばいいんじゃないかしら?」

「そうねぇ…考えておくわ。」

 

 そう話をしている間に私の家は近づいてきた。

 

「どう、絵里? 色々話が聞きたいから寄ってかない? 暖かいスープぐらい出すわよ。」

「本当!? 行くわ!」

 

 

 *

 

 

「私、生徒会長に立候補するわ!!」

 

 昨夜の絵里の講義を受け、意思を固くした私は、凛と花陽にそう話した。

 

「えっ、マジで立候補するのかニャ!?」

「ええ!」

「こんな自信に溢れた真姫ちゃん、初めて見た…。真姫ちゃん、花陽は応援するよ!」

「ありがとう。」

 

 その時だった。対向廊下から大勢の人に囲まれた人が…。

 

「あら、西木野さんも立候補しますの?」

「え? え、えぇ…。」

「そう、(わたくし)も立候補するのよ。お互い健闘しましょう。では、ごきげんよう。」

 

 私は愕然とした。まさか対立候補人が現れるとは思っていなかったからだ。

 

 あの女は、同じ二年生の楢崎櫻良(ならさきさくら)。確か、東京に本社を持つ楢崎コーポレーションの人間だったわね…。それにしても、音ノ木坂学院って裕福層が集まるわね。で、楢崎さんはさっき言った通り、楢崎コーポレーションの社長令嬢であるため、私をタメを張る…もしくは凌ぐお金持ち。更に私と違って人望もあり、常に友達…というより子分をまとっている。まぁ典型的なお金持ちって感じなのよねぇ…べ、別に悔しくなんて…!!

 

 

 ~~~~~~~~~~~~~

 

「対立候補…ですか。」

「えぇ。まさか対立候補が現れるとは思ってなかったわ。」

「そうやね。更に相手は真姫ちゃんとタメ張るお金持ちなんやろ?」

「そうなのよねぇ…。」

 

 放課後の部室…練習なんかそっちのけになってしまうぐらい、重い空気に包まれていた。

 

「楢崎さんは個人的に気に食わないニャ…。UTXと同じニオイがするニャ…!」

「楢崎コーポレーションですか…。私も小耳に挟んだことはありますね。東織グループの対立企業だとか。」

「なら、信翔くんとかは味方にできるよね?」

「そういうわけにもいきません。特別入校許可証があるとはいえあくまで信翔や絵里たちは他校生徒。私たちの学校活動にまで干渉されては、こちらが不利になる可能性があります。」

「じゃあさ、この際練習なんかしばらく休んで、穂乃果たちで選挙活動しない?」

「ほ、穂乃果!? 何を言ってるのですか!? 絵里からも何か言ってください!」

「いえ、私は別にいいと思うわよ?」

「絵里!」

「信翔さんのハードな練習に、そろそろ皆が体調を崩しそうだしね。たまにはそうやって、何か違う事をして気分転換するといいんじゃないかしら? 投票まであと4日でしょう?」

 

 海未など一部の人以外は、絵里の意見に納得した。

 

「じゃ、多数決でけって~い! 皆で真姫ちゃんを応援しよう!」

「でも、具体的に何すればいいんだニャ?」

「仕方ありませんね…。絵里、何かいい方法はあるのですか…?」

「そうねぇ…。じゃあ、本物の政治家に(なら)ってみるのはどう?」

「例えば…今需要が大きい懐炉を配るとか?」

「そういう賄賂とかはダメよ希! だから、皆で協力して、宣伝のビラか何か配ればいいのよ!」

「冗談やて絵里ち…。まぁ、あとはアレやね。演説。」

「政治家さんとかが、車に乗ってうるさく名前を連呼してるヤツかニャ~?」

「ま、まぁそうね。でも流石にキャンペーンカーなんて用意できないし、まず学校に入れないし…。やっぱり放課後、校内を歩き回って演説するか、それとも皆一定の位置に散らばって演説するか…ね。」

「まぁ、地道にやっていくしかないわね。」

「凛達、真姫ちゃんを全力でバックアップするニャ!」

 

「えぇ、ありがと♪」

 

 私は、電話を取り出した。大悟さんに連絡すべく、アドレスを検索し、電話をかける。応答するスピードは速かった。

 

「決まったのかい?」

「えぇ。絵里とか助言があってね。」

「それにしても、真姫ちゃん結構積極的になったよね。こんなの、信じられないとか言って首突っ込まないと思ってたのにね。」

「もう! いいじゃないのよ別に! そんなことより聞いてほしいことがあるのよ。」

「何だい?」

「対立候補が現れたのよ。」

「あぁ~…なるほどね。それじゃ決選投票しか道はないね。地道に選挙活動、頑張ってね! 当然だけど、賄賂とか汚い手は絶対禁止! 相手の悪口を言うのもイメージが悪くなるから絶対しちゃだめだよ! それじゃ、僕今忙しいからまた後でね! あぁ~稜待ってくれよ~!」

 

 そういって連絡は切れた。

 

「さあ、選挙活動、始めましょ!」

 

 

 *

 

 

 選挙活動3日目。つまり、明日が運命の投票の日となる。私たちが選挙活動を始めたら、向こうも負けじと多くの友達を使って選挙活動を開始した。

 

「もぅ…声でないよぉ…。」

「遂に…明日が本番ですね…。」

「真姫ちゃん、頑張ってね!」

「えぇ!」

 

  ~~~~~~~~~~~~~

 

 その夜…私は神田明神へと行って、当選祈願をした。神田明神を後にしようとした時、偶然にも…。

 

「あら、奇遇ね。西木野さん。」

「な、楢崎さん!」

「貴女も当選祈願かしら?」

「えぇ。まぁね。」

「これまた奇遇ですわ。実は私もですの。でも敵と同じところに祈願したって、意味がなくなってしまうわねぇ…。」

 

 楢崎さんは微笑む。だが、普通のお淑やかな微笑みじゃないと感じた。裏に何か、野望があるような…。

 

「貴女、織田信翔さんって知ってるかしら?」

「え、えぇ。よく知ってますわよ。それが何か?」

 

 いきなり、彼女が信翔さんの話題を振ってきた。不意打ちに私はすこし驚く。

 

「私ねぇ…一度あのお方に助けてもらったことがありますのよ。数人の暴漢をものともしない巨躯。一難が去った後の私を思いやってくださって…そして何よりあの容姿の良さ…。私のお父様の対立企業のお方みたいですが、私にはそんなこと関係ございません…。つまりその…お慕いしているのです…。」

「は、はぁ…。」

 

 それから聞かされたのは、信翔さんへの惚気話。信翔さんが私たちの活動に参加してるのに嫉妬してるだの、何回かのストーカー経験があるだの、そんな話を延々とされた…。

 

「私がこれだけ愛しているのに…あの方は私に振り向きもしない…。なら、今は嫌でも目立つ存在になるのが先決と私は踏みましてね。」

「は、はい…? つまり?」

「つまり…ですね。生徒会長に就任して、あの方に一目置かれたいと思いまして…!」

 

 ちょ、こ…この人何を言ってるの!? い、意味わかんないんだけど…。

 

「あの…。学校をどうしたいとか何かお考えでは…?」

「いえ。すべてはあの方のためでございますわ。」

 

 楢崎さんはほくそ笑んだ。私は背筋が凍った…。そして、こんなやつに負ける訳にはいかない! と、闘志も燃え上がってきたのだった。

 

「じゃ、あの公約は…?」

「あんなもの、専らの嘘ですわよ。学校を変えるとか言っておきながら、変えたという話を西木野さんは聞いたことがおありかしら? 残念ながら、私にはありませんね。なら、誰がなったって同じなのですよ…!!」

 

 私は、怒りがこみあげてくるというより、呆れを感じた。

 

「私は、恋路をかけて、この勝負負けるわけにはいきませんのよ。まぁ、そんなもの明日すべて白昼の内に晒されますけど。貴女が負け犬と化した顔もね…。ウフフ♪」

「………。」

 

 ここで何も言ってはいけない…! ここで反論したら、私の完全な負け―――

 

「あっ…このことは、くれぐれも内緒でお願いしますわね。まぁ、貴女が訴えた所で、信じてもらえるワケないでしょうが。この時間帯には、あまり人もいませんしね…あはははっ♪」

「………。」

「では、ごきげんよう。」

 

 あの女は、ここを去っていった。

 

 

 *

 

 

「だから、本当なのよ!」

「真姫、落ち着いてください!」

「本当なんだってば! あの女、自分の事しか考えてないのよ!!」

「大丈夫ですよ!」

「はい、大丈夫ですよきっと…!」

「紗奈も…そう信じてます!」

「貴女たち…。」

 

 これまで、口を開かなかった一年生組が、それぞれ言葉を発した。

 

「善が勝って、悪が負けるって希さんのお告げが…。」

「そもそも、そういうのは裁かれるんですよ…多分。」

「そ…そうね…。」

 

 しばらくして、結局また朝練はできず、私たちはホームルームのため教室へ…。するとすぐ、放送が入る…。皆が一斉に注目した。声の主はミカ先輩だった。なんと…たまたま昨日神田明神に来ていた通りかかったフミコ先輩が、昨日の会話をすべて録音してたという。その一部始終が、放送によって全校中に放送された。

 

「こ、こんなの嘘よ! 西木野さんがすべて仕掛けた策略だわ!!」

 

 もちろん、楢崎さんは怒る。あらぬ言い訳をし、全てを私に押し付けて来ようとし、遂には私に殴りかかろうとしたが、先生に制止された。

 

 そして翌日…。選挙は大差で私の勝利に終わった…。それから、楢崎さんからは人が離れ、不登校になったという。そして、怒った彼女のお父さんが学校を訴えたけど、完全敗訴したのもまた別の話…。

 

 皆、大いに祝ってくれた。最初は練習を一時中断すると知って怒り狂ってた信翔さんも、私たちを食事に連れて行くなどして祝福してくれた。




はい、生徒会長変わりましたんで、そこんとこよろしくお願いします。

ところで、私にも実は生徒会のことで少し苦い思い出が…。まぁそれはいいや。

さて、次回は…考えてないどうしよう。
というわけで、リクエストなど、随時募集中です~!
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