ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~ 作:ステア(STER)
この度は、明けましておめでとうございます!
昨年は、この作品をご愛顧いただき、感謝を申し上げると共に、これからの一層のご
この作品も皆さまのご愛顧をいただき、ストーリーが50巻を超え、去年を振り返りまして、少しでも文章を書く能力が向上したかなぁと思う作者です。今年は、更なる向上を目指しまして、努力をしていこうと奮ってやみません。
でも、その前に勉強しないと…。
そういえば、今日はサンシャインの方の、黒澤ダイヤの誕生日でもあります。元旦生まれとか…ラッキーガールにもほどがありますね!
さて、今回は、高坂家に拉致られた信翔を描く物語です。リッチでありながら、穂むらで手伝う不器用な信翔の健気な姿をご覧ください!
※元ネタあり。元ネタは希のSID、もしくは漫画版SID3巻に掲載されております。
前半:穂むらでの出来事
中盤:初詣
後半:やっと入れれた喧嘩シーン()
どうしてこうなったのだろう。俺は気づけば穂むらの厨房で無限に運ばれてくる餅を…こねては箱へ、こねては箱へ…の単純作業を繰り返していた。
俺は正直、こんな単純作業は大嫌いだ。もっとなんか…変化がある事をしてぇな。
*
今朝、俺は年賀状を作っていた。俺には書かなければいけない年賀状は、枚挙に
「…少し、休憩にすっか。」
そうして、30分ほど走って、寄った公園で一服している時だった。その公園を通りかかった穂乃果が、俺を見つけて手を振ってきた。
「あっ、信翔君! やっほ~!」
俺は、手を振り返す。俺が手招きすると、穂乃果はこちらへ寄ってきた。
「信翔君、何してるの?」
「何って、ジョギングだよ。暇だったからしてたんだよ。」
「え、今暇なの? こんなに忙しい時期に!?」
「あぁ、まあな。独り身なんてこんなもんさ。高1から、こんな年末だ。」
「羨ましいなぁ~! 穂乃果の所なんて、老舗の和菓子店だから…特に年末は忙しいんだよね~…。」
「そういえばお前こそ、何してんだ?」
その時、穂乃果が何かを閃いたようで、俺の瞳を凝視する。
「ねぇ、暇だったら手伝ってくれない? 毎年のことなんだけど、人手が足りなくって…。」
「え?」
「話はあと! さあ、行こう!!」
俺は強引に手を引っ張られ、どこかへついていくことに。穂乃果は神田明神に行き、神棚に飾るお
「皆ただいま~! 道連れ、二人連れてきたよ!」
「おかえり穂乃果。あら、信翔君に希ちゃん♪」
俺らは、穂乃果によって、穂むらにブチ込まれた。希はなんてことない表情をしていたが、俺はただイヤな予感しか感じない。
「おっ、穂乃果戻ったか。じゃあ、神棚にお供えを―――」
次に姿を見せたのは、穂乃果の親父さんだった。
「ねぇお父さん! この二人が手伝ってくれるんだって!」
「あの男は?」
「あの人が―――」
「そうか、あの男がか。」
穂乃果と親父さんは、こちらをチラチラと見ながら少しコソコソと話していた。俺は、緊張で棒立ち状態だ。親父さんは見たことなかったが、
穂乃果と話し終えた様子の親父さんは、こちらに歩み寄ってくる。俺のいたるところを観察してるようだ。
「名前は?」
「お、織田信翔です…!」
「高坂だ。いつもウチの娘たちがお世話になってるようだな。」
「い…いいえこちらこそ…!!」
「織田信翔君ねぇ。それにしても、結構なガタイしてるじゃねぇか。」
「あ、ありがとうございます!」
「ははっ、そんな固くなるこたぁねぇよ。でも、ウチはかなりキツイことやってるんだ。それについてこれるだけの自信はあるか?」
「は、はいっ! 体力には自信があります!」
「意気はいいみてぇだな。お前みたいな男子が欲しかったんだよなぁ。それじゃあ、よろしく頼むぞ。俺のことは、ご主人と呼んでくれたらいい。」
「はい!」
こうして、俺は高坂家で労働をすることとなった。初めて通された厨房には、既に先客がいたようだ。
「あっ、信翔、希…。」
「信翔くんも、穂乃果ちゃんに捕まっちゃったんだねぇ…♪」
「希は今年で二年目ですね。」
「せやね。まぁ、ウチは暇やったし、こういうのも面白いからええんやけど♪」
…そう、海未、ことりだ。そして希は、去年から来てるらしい。そして、あの二人は
…後ろから、指でつつかれる。振り向くと、雪穂がいた。こいつも、割烹着を着ている。やはり、よく似合っている。
「信翔さん。よろしくお願いしますね。ここではこれ着て働いてくださいね。」
そういって渡されたのは、作務衣だ。俺は、一時厨房より離脱し、使い込まれた作務衣に袖を通す。
あぁ…和服に袖を通すのは何年ぶりだろう…たしか、15歳になる年に、元服をした時に
そして、手などを消毒して戻ってくると、穂乃果も割烹着を着ていた。
「あっ、信翔君! よく似合ってるね~!」
「あ、あぁ…そうか。お前こそ、やっぱり似合ってるな。」
「どう? すこし時代にそぐわないかもだけど、お嫁さんみたい?」
「はっはっは。そうだな…!」
そして、今に至る。
*
「ほら、信翔! ぼやぼやしてはいけません! 次々と来ますから!」
「信翔くん…カタチがバラバラだよ~…!」
「うるっせぇなぁ…! 勘弁してくれよ…! 俺、初心者だぞ? 形を整える余裕なんてまだ出来ねぇんだよ…!」
「フフッ、まあそうやね。まだコツをつかめてないって言うのは分かるで。」
「くそっ…!」
すると、それを見かねたご主人は、俺を呼びだした。
「織田君。細かい作業は苦手か?」
「苦手というより…まだ慣れてないんだと思います。」
「そうか。じゃあ、力仕事ならいけるか?」
「はい! 体力には自信があるんで!」
「なら、餅をついてくれ。俺は疲れたから少し休む…。」
「は、はい! ご主人!」
そう親父さんの依頼され、輝穂さんに言われるまま、穂むらの外へ出てみると…大きい
「あっ、信翔君!」
「選手交代だそうだ。親父さんに命じられてここに来た。」
「そうなんだ。そういえばさ、餅ついたことある?」
「当然だ。ナメるな。」
俺は、近くにあった杵を持ち、構える。あぁ…観衆に高坂の若旦那とか言われてる。そういう目で見られてんのか俺は…? あぁ、こりゃあ気にしちゃだめだ…。プレッシャーになっちまう…。
「いくぞ!」
「うん! いつでもいいよ♪」
この後、俺は力いっぱい餅をつく、逆に穂乃果がヒイヒイ言うほどに、俺は運ばれてくるもち米をつきまくった。観衆からは、拍手喝采だった。
もち米が尽きたその時、俺は倒れた。過呼吸になってる。まぁ何せ、こんなに動いたのは久しぶりだからな…。
「ハァ…ハァ…。」
俺だけじゃない、穂乃果も過呼吸になってる。
「凄いね~! お母さんがこのことをお父さんに話したら、腰抜かしたんだって! ハァ、ハァ…。」
「そうか…ハァ…ハァ…。」
天を仰ぎ見て初めて気が付いた。陽が傾き始めている。俺はそれまで、時間を忘れてつきまくっていたのか…!
輝穂さんに手招きされたので、とりあえず中へ入ろう。ううっ、寒っ…。ヒュウゥ…ッ!
「よし、次はこれを、町内会にまで持って行ってくれ。」
過呼吸な俺に、ご主人はこれまた無理難題を押し付けてきた。俺に期待してるのだろうか。
「は…ハイッ…。」
俺は、悲鳴を上げ始めている体に鞭打ち、餅の入った箱を何段も持ち上げて、力を振り絞って立ち上がる。
親父さんは、また口が開いた。
「やるじゃねぇか。」
「伊達に体鍛えてた訳じゃねぇんでぇ…!!」
「信翔君、大丈夫? ウチ、車あるからそれ使ってもいいわよ…?」
「心配は無用です…! これまで、穂乃果たちを守ってきた俺の体力をナメないでください…!」
輝穂さんに心配されながらも、俺は最初の一歩を踏み出すと、慎重に抱えて穂むらより退出する。
すべて終わる頃には、すっかり夜更けだった。力尽きてフラフラと穂むらへ舞い戻ると、帰り際の海未たちと出くわした。
「あっ、信翔くん!」
「お、おう皆…お疲れ~…。」
「信翔。やりますね。」
「凄くかっこよかったよ~!」
「やるやん。流石は男の子やね♪」
「ありがとよ。俺はそう言われっから頑張れるんだよ。じゃあ、よいお年を。」
「「「よいお年を~!」」」
俺は、穂むらの戸に手をかけると、疲れがどっと押し寄せ、引き戸にもたれ込んだ。
その後の記憶はない。
*
「…くん。信翔君…。」
そう聞こえたきがして、俺はふと目を覚ました。
「フフッ、明けましておめでと♪ 紅白、終わっちゃったよ?」
「明けましておめでとう。そうか…。」
横には、こたつに包まる穂乃果がいた。俺は、毛布一枚かぶせられているだけで、畳で横になっていた。時計は既に零時を指していた。
あれ…俺、何してたんだっけ…?
「ビックリしたんだよ? 店の方からガッチャン!って音したから行ってみたら信翔君、倒れてるんだもん。」
「すまねぇな…迷惑かけちまって。」
「いいんだよ。あっ、それとさ! お父さん、ものすごい喜んでたよ! 『お父さんも、ああいう息子が欲しかった』だってさ! でも、そう言ったらお母さんが『これ以上バカが増えたら困るわ』だって…!」
「ははは…。」
「酷いでしょー?」
俺は拗ねる穂乃果を撫でてやった。その時、襖が開いた。
「あっ、信翔さん! 起きたんですね~。」
「あ、あぁ。まぁな。」
「それにしても、すごいですね…。アレ。」
「ははは…そうか?」
やっぱり、すこし照れるなぁ…。
「そういえばさ~。お姉ちゃん、今年は深夜に初詣行くの?」
「もっちろんだよ~☆ あっそうだ、信翔君も…来る?」
「えっ、なんでだよ?」
「だって暇だもん。雪穂は、ついてくてくれないし~…。」
「だって私は亜里沙といくんだもん! ってことで、よろしかったらでいいんで、ついていってあげてください。」
「ねぇ、いいでしょ…? 夜怖いし…。」
「どうせアイツらと会うんだろ? 俺が行く必要ねぇじゃん。疲れてんだからゆっくりさせてよ…。」
「もう、気づいてよ…。」
穂乃果はそう呟くのを、俺は聞き取った。穂乃果は俺の目を見る。俺も、穂乃果の瞳が目と鼻の先にあるので視点をそれに合わせるほかなかった。雪穂に助けを求めようと思ったが、既に雪穂はいなかった。
「何で信翔君を誘うかなんて…そんなの、信翔君と行きたいからに決まってるでしょ…。」
穂乃果の顔は悲哀さを帯びる。いつも明るく、皆に笑顔を振り向くコイツがこうなるのは、
こいつ、マジで俺に惚れちまってるってのか…? まあでも、あの夜に同じ布団でそう言ってくれた。ならそうなのであろう。
だが、俺に惚れるコイツに、俺は何をしてやればいいのか、わからなかった。何故だろうか…。あのクソ野郎に犯され、理不尽の内に命を散らせたあの子と、俺はまだ付き合っている気持ちになっているのだろうか…?
こんな感情は、初めてだ。彼女が、付き合ってくれた頃の感情と全く違う。そしてこの症状は、五日前、穂乃果と夜を共にしたあの時から度々起こる厄介なものとなってしまっていた。時々、とてつもなく熱くなり、切なくなる…。―――ほほう…これが、俗にいう『恋』という奴らしいな。穂乃果も、俺と同じ感情を抱いているのだろうか…?
「わ、わかったわかった…!」
だが俺は、不器用だった。俺の中で、炬燵で寝てたい欲望と、穂乃果と行きたい欲望が闘いあった結果。こんなぶっきらぼうな返事を俺の声帯から生み出した。
だがコイツは、それでも喜んで、途端に元気いっぱいの明るい笑顔になる。そう、それでいい。穂乃果はそれでいいんだ。
「じゃ、じゃあ! ホラ! 早く行こうよぉ~!!」
「え、もう行くのか!?」
「いいから早く準備!」
元気いっぱいに動き回り、すぐに支度を終える様子を見て、俺は二の句が継げなくなった。だが俺は、少し口角を持ち上げた。
「ホラ、早く行くよ~! 神田明神まで競走! 負けたらジュースおごりだからね! よ~い、ドンッ!!」
穂むらに出て、俺が凍えるなかアイツは元気よく神社へ駆けてゆく。俺は一息ハァと吐くと、穂乃果を追いかけた。
*
「信翔君、おっそいねぇ~♪」
「るっせぇ…俺は今疲れてんだよ…ハァハァ…。」
「あははっ♡ じゃあ、約束通りジュースおごって!」
「いつ俺が『奢る』って同意したんだよ…。まぁいいけど。」
くっそ…俺の体力が皆無に近い事をいいことに…。俺は財布から残った金をすべて出した。こうして、俺の中に残るのは賽銭に使えそうな金のみとなった。
「ぷっは~! やっぱりちょっと運動した後のこれは最高だね~!」
「やっぱりコーヒーはいつでもおいしい!」
俺たちが缶を開け、飲んでいるものは全く別のものだった。穂乃果は普通に缶ジュース。俺はコーヒーだ。
「信翔君、コーヒーなんて飲むんだね。ちょっと頂戴♡」
俺の同意も聞かずに穂乃果は俺からコーヒーを取り上げる。
「うわっ熱っ!」
「馬鹿野郎…それ熱いから…。大丈夫か?」
「バカにしないでよね…穂乃果だってコーヒーぐらい飲めるもんね!」
そういって穂のかは俺の制止を聞かずに飲む。それは、ガキが見栄張るそれと同じだ。
「ごくごく…う”ぅっ!? けほっ、けほっ…。」
だが、やはりコイツには向かなかったらしい。ブラックなんて…。俺は背中をさすってやり、コーヒーを取り戻した。
「ははは…ったく、何やってんだよ…?」
「あれぇっ…? コーヒーってこんなに苦かったっけ…? もうすこしミルクの味があると思うんだけど…。」
「それはカフェオレだ。微糖も飲んだことねぇクセに、よくもまぁブラックなんて飲もうとしたなぁオイ…。」
「けほっ、けほっ…。」
穂乃果の背中をさすりながら、俺は残ったコーヒーを飲み干した。
そうしている間に、本殿へと向かう行列は進んでいく。本殿に近づいていくほど、行列は混雑を極めていき、お互いの距離が近づいていく。
「ね、信翔君!」
「あ?」
すると穂乃果は、手を差し出した。まさか、手を繋げってことか…? フフッ、無垢そのものの可愛らしい笑顔で、俺に要求する姿は、本当に可愛いな。フッ、俺にまだこんな感情が残っているなんてな…。やっぱり、変態の織田家の血は伊達じゃねぇらしい。だが、最早今の俺は昔の俺のように、それを己に責める気はなかった。
まだ俺たちは付き合っていない。穂乃果はきっと勇気を出して、羞恥心より、俺と手を繋ぎたい欲求をさらけ出したのだろう。ならば、俺もその礼ぐらい答えてやらねぇとな。
俺は繋いだ。指を絡ませて…。フン、あの時クソッタレAV企業から穂乃果を救ったとき以来か。
「の、信翔君…///」
「あ、どした?」
「その…手…。」
「あぁ、イヤか?」
「イヤじゃないけど、けど何というか…うぅー、も~ぉっ///」
穂乃果は顔を真っ赤にする。ちっ、やっぱこれはまずかったか…♪
さて、俺たちの番だ。俺はここの氏子ではないが、今は面倒見てもらってるんだ。参るのは当たり前だ。帰省したら氏神様の方にも参るがな。
「さて、次はお守りだな。」
「そうだね! 信翔君は何のお守り買うの?」
「そうだなぁ…大学合格祈願…かな?」
「そうなんだ…。確かにそれも大事だよねっ! もう穂乃果はこうやって神様にお願いするしかないから、穂乃果も買おっと♪」
「馬鹿野郎、それじゃあ勉強しっかりしろよ…。」
「えと…それだけ?」
「えっ」
「それだけなの?」
「ああ…まぁな。」
俺はかなり渋い趣味も持っている。それは、神社を訪れるとあるであろう、朱印張に書き込みを入れてくれるアレ。朱印張は、まぁスタンプラリーの神社版って説明すればいいだろうか? まぁそういう理由で穂乃果に訳を話して少し穂乃果と離れた。
朱印張に数度目の書き込みを入れてもらうと、お守りを買おうと、列に並び、そして巫女さんと対峙した。
「すいません、勝守を一つ…って、の、希!?」
「あっ、夕方ぶりやね♪」
「お前…ここでバイトしてたのか…?」
「まぁね。そういう信翔君は穂乃果ちゃんとデートしてるんやんな♪」
「な、なんで知ってんだ!?」
「ひ、否定しーひんのやね…。だって、さっき穂乃果ちゃん見たんよ。ところで、受験お守りだけ、買うん…?」
「あぁ。」
「穂乃果ちゃん、さっきコレ買っていったんよ。」
そういって希が見せてきたのは、縁結びのお守り…。アイツ…マジで俺と本物の恋人に………?
「………。」
「どう、買ってく?」
「………下さい。」
「毎度おおきに~♪」
そして、俺はお守りを二つ、買ってしまった…。
「穂乃果~? いるか~?」
だが、返事はない。
「穂乃果ぁ~?」
だが、返事はない。
「…穂乃果ッ!!」
俺は、心底焦りを覚えた。
「まさか…誘拐されたんじゃ…!?」
そういえば、最近神社あたりで痴漢以上強姦未満のことをする、トンデモねぇ変態野郎がいるらしい。穂乃果も、ソイツに目ぇつけられたんじゃ…。そうなったら、これまで必死にアイツを守ってきた意味がない! なんとしててでも探し出してやる!
愛してもいない男に貞操を捧げた女は、どんな形にしろ不幸を見る。それは俺が一番よく知っている。
ゆえに、俺は穂乃果探しに躍起になった。
「穂乃果…穂乃果…穂乃果ァッ!!」
そして…見つけた。テンプレ通りの展開だ。人目のつかないところで、数人のガタイがいい男どもに絡まれている。
テンプレ通りではないのは、穂乃果の態度だった。まるで俺の助けが来ることを確信したような、自身に満ち溢れた表情をしている。
だが、俺はもう喧嘩はしないと、ソルゲ三人組の前で誓っている。下手なマネはできない。ましてや昨今の神社はコイツらの所為で警備が強化されている。サツに見つかったら俺も署に同行せねばなるまい。
今このまま出て、奴らのケツ蹴っ飛ばしてもいいんだが、それではこちらの一方的な攻撃になりかねない。穂乃果には悪いが、俺は少し様子を見ることにした。いや、これを録画しとくといいだろう。大丈夫だ穂乃果。エスカレートしたらキチンと止めてやる。
「ようお嬢ちゃん。一人で初詣かい? お嬢ちゃんみたいな女の子がこんな夜中に一人で出歩くだなんて、いただけないねぇ。」
「一人じゃないです! 彼氏と一緒に来たんです!!」
「ほう、彼氏さん持ちかい。でも、やっぱり駄目だよねぇ。だって現時点、彼氏さんとはぐれちゃってるんだしねぇ。」
大して強くなさそうなチンピラが穂乃果に絡んでいる時、その集団の中にデカいデブがやってきた。
「あっ、兄貴!」
「可愛い娘を捕まえたって、本当か?」
「はい! この通りです!」
デブは穂乃果の顔を見て、驚いた顔をした。
「お前ら…! やるじゃんか…!!」
「どうしたんすか?」
「お前ら…こいつ知らんのか?」
「いえ…。」
「馬鹿野郎ぉ!」
デブがチンピラの一人にタックルして吹っ飛ばした。
「こいつは高坂穂乃果って言ってな、スクールアイドルやってんだ。そうだろ?」
デブは、穂乃果の顎を持ち上げて自分の方に目線を持ってくる。穂乃果は嫌がって抵抗するも、抑えてる奴らに力負けして動けない。
「僕、な…。穂乃果ちゃんの大ファンなんだよ♪」
デブはゲス顔でそう呟く。穂乃果は口を塞がれ、口での抵抗もできなくされた。
「特に、僕は君のが好きで好きで…。」
デブは、穂乃果の太腿をツツッーと指でなぞる。
「ムグゥッ、ムグゥッ…!!」
「フフフ…いいよその顔! いいねいいね!」
「さすがです! キモオタの兄貴!」
また、チンピラが一人吹っ飛んだ。だが、運が悪い事に、俺の方へ…。俺はそのチンピラと目が合う。
「あ、兄貴!! そっちにカメラを向ける変態がここにいますよ!!」
「や、ヤベ…!!」
「あぁん!?」
デブは穂乃果を弄るのをやめ、俺のほうへドスドスと走ってきた。まるで地震だ。
「おのれ、何でここにいるんだ?」
「いや、ヤボ用ですよ。」
「あ”?」
相当な険悪ムードに包まれていた。穂乃果は俺を見ると、笑顔を取り戻していた。チンピラの一人が、俺のカメラを取り上げる。
「テメェこれ何だよオォン? これをポリに献上して、俺ヒーロ~ってかァ!? 調子乗ってんじゃねェぞゴルァ!!」
「やめてくださいよ。そのカメラ高いんですから…。」
…嘘。一万円くらいで家電製品店とかに売ってるカメラと何ら変わらねぇ代物だ。チンピラは調子に乗って、そのカメラを地面に叩きつけて破壊した。
「で、何なのお前は?」
「まさか…あの娘の彼氏か…!?」
「フフフッ…そのまさかさ…!!!」
「な、何!?」
デブは驚愕した。興奮して、声を張ってチンピラに命じ、俺を抑えつけさせた。
「なら、見てるがいい!! 僕によって穂乃果ちゃんが辱めを受ける屈辱的な光景をォォ!!」
穂乃果はさっきから、何かを握っていた。それがデブにばれ、取り上げられる。
「なんだこれは…? 縁結びのお守りだァ?」
それを知ったデブは激昂。それを地面にたたきつけ、踏みにじる。
「や、やめて…!!」
穂乃果が力を振り絞って、声をあげた。だがその思いはデブに伝わらず、デブを更に喜ばすだけの結果に終わる。
…もう我慢の限界。すまねぇな絵里、海未、真姫。俺はもう、我慢できねぇ…!
「あ~ァ、なんだか喧嘩したくなっちまったな…。」
そういうと、さっきから俺の両腕を二人がかりで抑えていたアホどもの手を振り払い、肘で撃退した。
「な、何だキサマ…!!」
「喧嘩したくなっちまったよ…。なぁオッサン、相手してくれるかァ?」
「ふ、フザけるな!! ケツの青いガキが僕を相手にするだとォ!?」
「だからさァ…そう言ってんじゃん。オッサン、耳悪ぃんか?」
「あ、あんまりナメるなよ…!! やれッ!」
そういうと、俺をチンピラどもが囲む。
「ヒヒヒヒ…。」
「このガキ、どう料理してやろうか。」
「ケッ…。バカだなぁ。」
そして、チンピラが俺になだれ込んでくる。だが、そいつらも最早俺の敵ではなかった。一人目にヘッドロックをかまし、後ろにいた二人目を裏回し蹴りで吹っ飛ばし、足は三人目をも巻き込んで地へ付く。四人目は先制攻撃してきたので拳を取って、
ははは…少しやりすぎちまった。
「お…お前は何者だァ!?」
「ただの一般人だがや。」
「ふざけんじゃねぇ! サイヤ人か何かじゃねぇの!?」
「おっ、その例えうまいっすね! ねぇ、キモオタの兄貴♪」
「調子に乗るなよ!!」
俺からおちょくりを受けて顔を真っ赤にして腹を立てる百貫デブをからかう。
「ふざけやがって…!! 畜生、憶えとけ!!」
そうしてデブが捨て台詞を吐いて立ち去ろうとしたその時だった。
「休憩中ののんたんに手ぇ出そう思うてアホな事企んどったんはワレか、コラ!」
「凛にイヤな思いをさせたお前の罪は重いぞ…。」
「I WANT TO KILL YOU…エリチカはオレが守る。YOUは邪魔DA…。」
「お巡りさんもマヌケだなぁ…。こんなオッサン一人も見つけられないなんて…ね♪ それはそうと…はぐれたスキを狙って真姫ちゃんにいやらしい事をしようとした落とし前…つけさせてよ。」
四人の殺気を、デブは背中に受ける。
「お、お前ら!!」
「おっ、信翔やんけ! こんな所でどないしたんや? ってありゃ、穂乃果ァ!? この腐れ外道がァ!! わりゃ、穂乃果にも手ぇ出そうと企んどったっちゅうんかい、ゴラァ!」
「穂乃果ちゃんはダメだよ~…。信翔の愛しい愛しいガールフレンドだからね…♪ まぁ、おっさんは真姫ちゃんに手をだした時点で許すつもりはないけど…!!」
なんか珍しい…! 大悟が怒ってる…!!
「いや、ちょっと待て大悟。お前は何言ってんだ?」
「凛の姉貴分の高坂さんに手を出しただと…ますます許せん…!!」
「YOU…どうせあれだろ…? いい歳になっても相変わらずのVIRGIN野郎…だろ? SIT DOWN!! 拙者が解釈を務めるでござる。」
怒ってるんだろうが、政武のテンションはわからん…!
「いや、その…!!」
「はい、そこまで!!」
気づけば、そこには絵里、真姫、凛がいた。
「真姫ちゃん!」
「凛!」
「エリチカ!?」
「もう…貴方達ったら本当に何してるのよ…。警察呼んだから。それまでこの人たちを逃がさないようにしましょ。」
「せやけど、それやったら俺たちの怒りが…。」
「晃太さん…貴方はこの後信翔さんの家で新年会するか、署に行くかどちらの方がいいのかしら?」
「そ、それは…。」
「ちょっと待てや絵里!? それどういうこと!?」
そんな俺を絵里は放置、穂乃果の存在に気づいた。
「あっ、穂乃果。貴方もやられてたのね。」
「穂乃果ちゃん…大丈夫…?」
真姫と凛は、真っ青になった顔のチンピラにまだ抑えられたままの穂乃果へ近づいていく。
「貴方たち何をしてるの!!」
「そうだニャ!」
「ひぃっ!」
「この屈強な男の人たちに痛い目に遭わされたくないなら、今すぐ穂乃果の腕を離して、座りなさい。」
「な…なんだと!?」
顔が真っ青になりながらも、上から目線で言われたチンピラたちは真姫に食いつく。
「そう、ならいいわ。ねぇ、この人はボコボコにしてもいいんじゃない?」
「ホンマかっ!? よっしゃあ! このデブに何も仕返しできへん分、お前で八つ当たりさせてもらうわな。」
「覚悟致せ…。DON'T WORRY! すぐ終わるTTE☆」
「さてと、真姫ちゃんの英断も下ったところで…覚悟はいいかい? お兄さん達♪」
「ひ…ひぃ!! すみませんでした…!!!」
チンピラどもはプライドを捨て、真姫の言う通り穂乃果の腕を離し、座って土下座までしてきた。放たれた穂乃果は、真っ先に俺に抱き着いてきた。
「信翔君~!!」
「大丈夫だったか、穂乃果?」
「酷いよぉ…。なんで来てるのならすぐにでも助けてくれないの?」
「すまなかったな…。だって、ホラ、そこの絵里真姫から『暴力反対』って言われたし、署にいくのもイヤだったから少し考えた。」
「うぅ…。」
「でも、お前に何事もなくてよかった…。」
「ごめんなさい…。いつも迷惑かけっぱなしで…。」
「構わん…。」
抱擁を終えた俺たちは、周りを見る。すこしからかうムードだ。しかしそのムードもデブの一言で崩壊した。
「バカどもめ…。俺がパクられたら、奴らが黙っちゃいねぇぞ…!!」
「おい、それどういうことだ!?」
俺はデブに食いかかった。馬乗りになると胸倉を掴む。俺の目は真剣そのものだったのに対し、デブは卑劣な目線を俺の瞳に送る。
「のっ、信翔さん!! 何してるの!?」
「馬鹿どもめ…。俺は榊原組のモンだ…。覚悟しとけ。わが榊原組は着々と裏東京に勢力を伸ばしている…。シマを拡大し、必ず裏東京の勢力図を塗り替える。そして最終的な目的は…フフフ。」
なんか頭にきた俺は一発、奴の顔に鉄槌をくらわした。
*
「なんか、とんでもなく事件に巻き込まれた初詣だったわね…。」
「そ、そうだね…!」
「はぁ~あ…凛疲れちゃった…。ねえねえ信翔くん、負ぶって?」
「やだ。稜にでも負ぶってもらえ。」
「ケチ~! じゃ、稜くんは負ぶってくれるよね?」
「当然!」
稜はサッと凛に背中を向けた。フン、純情野郎め。
「穂乃果も疲れちゃったよ~!」
「…なんでこっちに視線を送るんだ!? 負ぶらんぞ!」
「いいじゃ~ん…!」
「るっせぇ! 俺ん家まであともう少しだろうが!」
「新年会とか、一年ぶりやな~!」
「当たり前じゃん。新年にやるものなんだから。」
「まぁ、それもそうやけど…。」
「おいおい、新年会するって本気か?」
「「「「「「「「本気!」」」」」」」」
「ウッス」
その後、俺たちは俺の家で、夜が明けるまで新年会という名目で語り明かした。その後は、近くのレストランで全員参加の新年会があったのはまた別の話。
新年早々からこんなキナ臭い話に…。
東京、危ないですねぇ。これで地方予選と本大会、開けんのかな…?
ちなみに、僕が穂乃果の親父さんに名前を付けなら、
穂乃吉? 何を言ってるんだ。
そんな話はおいておきまして。やっと2016年です!
今年も、頑張っていきます!
これが投稿される頃には僕はガキ使見てますw
さて次回は…一月らしい物にしようかと思ってたり思ってなかったり。
そういえば、もうすぐかよちんの誕生日だな(1/17)。
【単語辞典】
掌底打ち:手のひらの中心より下部分で相手を顎などを打つ空手技。正拳突きよりダメージが大きい場合がある。ガキ使の猿が使ってましたね。
巴投げ:体勢を崩して、相手を後ろへと投げる技。カウンター技に使うと威力絶大になると作者は考えてる。
猿臂:肘を使った空手技。威力は絶大で、頭蓋骨をも粉砕しうる危険な技。