ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~   作:ステア(STER)

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どうも、STERです!!

今回は、矢澤にこが本当のアイドル目指して東奔西走する物語です。

大学生でないにこにーが直向(ひたむ)きに努力する姿をご覧になって、どうぞ。


【54th Live!】アイドル道に楽あらず

「…おかしい!!」

 

 家で調理中だった私は、ふとそんな言葉をもらした。我が妹は、それを聞き逃さなかった。

 

「え? どうしたのにこ姉?」

「えっ、ああ…。お、おかしいのよ…!」

「何がですか?」

「こうやって音ノ木坂学院を卒業して10ヶ月…未だに著名的なアイドルグループとかからスカウトが来ないってどういうことよ!? 今私はどこにも属していない、格好の標的のはずよ!」

 

 私は、絵里や希のように音ノ木坂学院を卒業した後、大学生にはなっていない。

 な、何でって…それはぁ………そう! ま、ママに金銭面でこれ以上迷惑かけたくないし、それに…アイドル活動に専念したかったからよ! 誰、今『すべった』って言ったの!? 素直に名乗りを挙げなさい! 信翔がボッコボコにするから!!

 まあ、そういうわけで…卒業後はバイトしながら通りでμ'sの曲を一人で歌っていたり、部室にお邪魔して穂乃果たちを指南したりといった生活している。でも、そんな暮らしも、『どこかからスカウトが来るなら』と思い、それならよかれとやってきたこと。しかし、そんな話はない。

 

「大丈夫だよ! にこ姉ならいいお婿さん捕まえて、幸せに生きていけるよ! そうなんでしょ?」

「いやそれはプロアイドルとしてデビューして、無事卒業してからよ!?」

「大丈夫ですよ! お姉さまの魅力を必ずしも分かってくれる方が現れますよ!」

「あなたたちねぇ…。」

 

 私は食事を作り終えると、畳の上に寝転がって一息つく。

 

 どうしたらいいのかしら…。最近は専らそんなことを必死に考えるようになってしまっていた。卒業したころは、スカウトが来ると確信をもって過ごしてきたが、もう年が変わってしまった。そんなキレイ事は言ってられなくなった。そしてストリートライブを重ねるも、成果はゼロ。μ'sの曲を歌っていたら足を止めて聞いてくれるお客さんも少なからずいるものの、自分がイチから苦労して作った曲は全然だった。自らのプライドゆえ、それほど悲しいことはなかった。自分は、『μ'sの一員』としか見られてないのかと…。

 その時、少し重いものが乗っかってきた感触がした。

 

「虎太郎…。」

「あそんでー」

「もう、しょうがないわね。」

 

 こころとここあがご飯を食べ、私が虎太郎の面倒を見ている頃、電話が来た。

 

「あっ…ごめんね! 電話がかかってきちゃった♡ マネージャーさんかなぁ…?」

 

 そう言いながら寒い中ベランダへと飛び出すと、画面を確認した。絵里だった。

 

「も、もしもし?」

「もしもし、にこ?」

「え、絵里…アンタ、何の用よ…?」

「いや、ちょっとしたことなんだけど…希から聞いたんだけどさ、最近秋葉原駅でやってないの? ライブ…。」

「…やってたわよ。希が知らないだけでしょ?」

 

 …図星だ。たしかに、最近はやっていなかった。だが、去年と態度がさほど変わらない私はまた見栄を張る。

 

「嘘おっしゃい。」

 

 だがそれも、見破られていたようだった。

 

「定時に貴女を見なくなって不審に思った希が言ってたわよ。1日中いても、にこの姿はないって。」

「い、1日中いてたの?」

「らしいわよ。」

「ば、バッカじゃないの…!!」

 

 

「…ねぇ、にこ。どうしたの…? 一緒に活動してたでしょ? よかったら、話してくれないかしら…?」

「そんな…特に話すようなことでもないわよ…。」

「いいから話しなさい。」

「………わかったわよ。」

 

 絵里の毅然たる態度に、今回はこちらが折れた。そして、全てを話す。

 

「大丈夫よ! にこは可愛いし! それに…」

「それに?」

「頼るべき所が、いっぱいあるでしょ? あっ、亜里沙が呼んでるから、またね!」

 

 そういって、自分でかけてきたクセに切った。

 

 頼るべき所、かぁ…。去年は、μ'sとして皆と一緒に活動していたからよかったけど、今はもう既にメンバーじゃない。かつてのμ'sは、ない。

 

「あっ………そうだ♡」

 

 なぁ~んだ! にこったら、大事な人を忘れてたじゃん! にこの出世を加速させてくれる人を………♡

 やっぱり、持つべきものは人脈…“コネ”よね~♪ さっそく、明日面会に行こうかしら♡

 

 

 *

 

 

「で、そんだけの理由でお前はアポなしで俺ん家へ突撃してきたと。」

 

 (にこの出世を早める)大事な人………信翔と私は翌日、面会していた。信翔はジト目でこちらを睨んでくる。

 

「何よ、文句あるの?」

「ありまくりじゃっ!!」

 

 信翔が机を叩く。

 

「冬休み明けて受験的な理由でもクソ忙しくなったこの時期に、まぁアンタは他人様の貴重な休み時間を潰してくれるよなって話だよ。」

「そんなことより、相談があるのよ。」

「あ”ぁ? そんなことより出て行k―――」

「いいから聞きなさい!!」

「んだよ、自分から押しかけてきやがってあの態度ォ………!」

「何か言った?」

「いいや、なんでも。」

 

 信翔は相変わらず、頬杖ついて悪態もつく。

 

「ねぇ、真剣な話なのよ。マジメに聞いて頂戴。」

「やなこった。」

「ハァ!? なんでよ!!?」

「決まってんだろうが。お前の“真剣な話”ってぇのは大体は面倒事だろうが。そんなもん聞く耳持たねぇよ。」

「くぅ~!!!」

 

 まぁでも、確かにそうだった。この前はチビたちの面倒見させたことあったわね…。

 

「んで、何だよ? ガキの面倒はもうゴメンだぜ。ガキは嫌いでな。」

「違うわよ!」

「じゃあ何? 金貸してほしいのか? 言っとくけど信翔金融は取り立て厳しいから。」

「そんなワケないでしょ! 誰がアンタなんかからお金借りるのよ!」

「稜とかだな。あのチェリー田は凛とのデートに俺の諭吉三枚消し炭にしやがった。」

「え…あ、あぁ…そうなの…。」

 

 デートに3万円消費って…凛達一体何したのよ!?

 

「アンタって…顔、広いわよね。」

「まぁ、東織グループの人間である以上、多少は…な。」

「芸能事務所とか、知ってるわよね?」

「事務所ォ? そうだなぁ…。まぁなぁ。」

「ねぇ、どうか私に紹介してくれないかしら! お願いッ!」

 

 もちろん、信翔は唖然とする。私は手を合わせて懇願した。

 

「私、大学も行ってないし、ストリートライブと家事とバイトの繰り返し…。でも、これ以上ママに迷惑かけたくないの! 一刻も早くプロデビューする必要があるのよ…!!」

 

 私は必死に信翔を説得しようとするが、信翔は座椅子に座って腕を組んで聞いてるだけだった。

 

「…頼み方が違うんじゃねぇか?」

「え?」

「人に対するもっと相応しい頼み方が違うんじゃねぇかって話だよ。」

「た、確かにそうね…。」

 

 そうよね…プロアイドルデビューするんだから、お願いの仕方も重要よね…。

 

「に、にこはぁ~…宇宙1の美貌を持って生まれてきたし~! だから、この日本で輝くアイドルにならなきゃと思ってるんだニコ~♪ だからぁ、にこにーに相応しい事務所、教えてくれない? お・ね・がぁいっ♡」

 

 信翔の顔がみるみる曇っていくのが分かった。死んだ魚のような目になったアイツの第一声は…

 

「キモチワルイ」

「な…何よぉっ!!」

「あのさぁ…お前、ふざけてんの?」

「はぁ? アンタがアイドルに相応しい頼み方をしろっていったから…。」

「んなこと言ってねぇよ。人に対する誠意のこもった頼み方がこの社会にはあるんじゃねぇかって聞いてんだよ。」

「な…何言ってんのかサッパリ…。」

 

 信翔はハァとため息をついた。

 

「まず正座してだな。手と額を地面に擦り付けて懇願する方法ってのが誠意のある頼み方だよ。」

 

 ちょ、ちょっと待って!! それ、単に『土下座』じゃん!! このドS男はにこに何てことをさせようとしてんのよ!!

 

「どうした? 早くしろよ。」

「ぐっ………!」

 

 信翔はにこも知ってる有名なアイドル事務所の名刺をチラつかせる。なかなかゲスいことするわね…。

 プライドをとるか捨てるか…ゲスい信翔の前で私は選択を迫られた…。

 

「し…仕方ないわね。きょ、今日だけだから! いつかアンタを見返してやるぐらいビッグになるんだから!」

 

 私は、手を前に付き…信翔に対して深く頭を下げる。プライドの高い私からしてみれば、自分より年下なのに上の立場にいるコイツに土下座するのは癪だが、これも『矢澤にこ』の芸能界進出のため………。

 

「どうか…私に事務所を紹介してください! 私はどうしてもアイドルになりたいんです! 私を見捨てないでください!」

「あ…頭を上げてくれ………。」

 

 戸惑いがこもった声が聞こえた。頭を上げると、信翔は唖然としていた。

 

「お…お前の熱意は伝わった…。なんか…ゴメンな…。」

「何よ…土下座までさせておいて、今さら悔やむの?」

「………そんなことより聞きたいことがある。お前はさっき、お母さんのためとかホザいていたが、お前はそのためだけにやんのか? お前は何のためにやる?」

「ま…ママのためだけじゃないわよ! 知ってるでしょ! 私がそのぅ…スーパーアイドルになりたいこと…!!」

「まぁ………知ってるが。でもな、いくら俺のコネがあったからっつって向こうが採用してくれるとは限らん。向こうも商売だしな。その地獄の道を意地でも通ってデビューするって固ぇ意志があんなら、こんなもんいくらでも持って行きやがれ。」

 

 そういって差し出してきたのは、一つの箱。それを開けると…あらゆる芸能事務所の社長さんなどの人の名刺…もしくは芸能人の本物のサインまで入ってある。

 

「嘘…これ全部持ってっていいの!?」

「構わん。最早俺にとっては無用の長物だ。」

「あ…ありがとう!! 嬉しい!!!」

 

 感情にまかせて私は抱き着いていた。信翔は嫌がるものの満更ではない表情。

 

「大好き♡♡」

「やめろやめろ!!」

 

 そのうち、信翔はにこを引きはがした。

 

「まぁ…その…なんだ。まぁデビューに向けて頑張れよ。一応俺からもお前のことを連絡しておこうとは思うが、全て向こうの推量と一存で決まる。自分磨きは怠るな。」

「うん! ありがとう信翔!」

「礼には及ばん。さぁ、もうちょっとしたら俺出かけるから、早く帰ってくれ。」

 

 そして、信翔から半ば強引に家を追い出された私は、意気揚々としながら帰路についていた。

 

「アイドル道に楽あらず…ね。頑張らなくっちゃ♪」

 

 今日は久しぶりに、ストリートライブしにでも行こうかしら♡




OG組(元三年生組)も忘れてはいけませんよね。
絵里と希は大学に行ってますが、にこは大学には行ってない設定です。

そしてまだ彼女はアイドルになることを夢見ています。

こちらの方も見守っていきましょう。


さて…時系列的には間もなく『ラブライブ!地方予選』が始まります。関東地方の地方予選にでるμ's II、そして地区予選一位通過のA-RISEを始めとしたライバルユニットを果たして下せるのか!?
(ちなみにメンバー達は敗者復活戦上がりです)

信翔と穂乃果の恋路などと併せてご覧くださいね!

次巻に関しましては、一見明るそうなあの二人の孤独なお話です。



ちなみに、今から27年前の1989(昭和64)年1月7日は、激動の昭和が終焉を迎えた日でもあるそうですよ。
あっ、1989(平成元)年ってそらまるとシカちゃんの生まれ年でもありますね!
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