ラブライブ!~武闘派高校生とμ's II~ 作:ステア(STER)
時間的に余裕がなくなってきたので、これからはもう余計なものをほとんど入れずに大急ぎ足で物語を進めていくよていです。ご了承下さい。
そして、今回もストーリの重要なカギを三つぐらい入れてますので。よろしくお願いします。
もうなんか最近物語が支離滅裂で申し訳ないです…。いつかリメイクします…。
いやぁ、時の流れってぇのは本当に早ぇものだと思う。だって…もうこんな時期になっちまったもんな…。
俺とメンバーは今、郊外の大きなアリーナの前にいた。
「ほぇ~…おっきいニャ~………。」
「ここが、地方予選の会場、かぁ…。」
「緊張しちゃうね~…。」
そう………ラブライブ!地方予選だ。
前の地区予選では随分と酷い目に遭ったが(穂乃果の所為)、今回は自信で満ち溢れている。根拠がないわけではない。皆の意思もあり、前回の反省もあってか、これまでみっちりと練習を重ねてきた。皆も、前回の失敗によるプレッシャーを乗り越えて、自信で満ち溢れてくれているはずだ。
そこへ、ことりが俺の肩をトントンと叩く。
「信翔くん………アレは?」
「アレか。アレは晃太と大悟をパシって取りに行かせたからもうすぐ届くはずだ。」
そして俺はスマホを取り出し、大悟に発信する。俺は初め、晃太に俺の車で衣装を取りに行かせようとしたが…あいつは変態だということを思い出し、何をするか分からない疑心に駆られ、まぁまぁ信頼のおける大悟を同行させたというわけだ。
「もしもし、俺だ。ブツは回収したか?」
『ブツって…プフッ。まぁ、回収はしたよ。服屋さん大分困ってたらしいよ。何せ、9着も頼まれたからだって。』
「まぁ、そりゃそうだな。で、今どこだ?」
すると、電話から雑音が聞こえる。再び音がなくなると、次に聞こえてきた声は晃太の声だった。
『おっす!』
「お前何してんだよ! 運転中じゃろ!」
『心配すんな☆ 俺はお前みたいにアホみたいな運転してへんさかい。』
「んで、今どこだよ?」
『えっとな~。今どこらへん? え、大宮? あ、ホンマや駅あるわ。』
「大宮か?」
『らしいわ。まぁ…なんしか、もうじき着くさかい。』
「了解。あっ、お前。衣装には触れてないだろうな? 指一本でも触れたらその金髪シュレッダーにかけるぞって通達したはずだが。」
『ししし心配すんな! それはちゃんと守っとる!』
「そうか。ならいい。大悟に替われ。」
少し静かになると、再び大悟の声だ。
『まだ何か用かい?』
「くれぐれも頼んだぞ。晃太は侮れねぇから。あと機材の件も。」
『分かってるよ~♪ んじゃあね!』
そして電話は切れた。
「何だって?」
「衣装はもうじき来るようだ。」
こうして、ことりと少し話していると後ろからけたたましいクラクションが鳴り響く。すこしビックリした俺は後ろを振り向く。すかさず大悟が出てきた。
「はい、コレ。」
大悟は会うや否や、俺に大きな紙袋を数個渡してきた。
「せんきゅ~。」
「お代は?」
「んなもんねぇよ。」
「嘘だァ! まぁいらないけどね。」
続いて、晃太が俺の車を駐車場に止めてやってきた。
「う~っす。」
「おい、触ってねぇだろうな?」
「当然やろ! サラなんて触ったかてしゃあないやろ! 俺は着た後のを貪りたi…グホッ!!」
「うるせぇ。」
腹にクリティカルヒットを入れられてもなおアイツは立ち上がった。
「ゴホゴホッ…いってぇなぁ…。あっ、そうそう皆! 今日は俺ら、スタッフやってるから!」
そういって、大悟に肩を借りながら奴は去っていった。
「相変わらず変な人だニャ。」
「フンッ。さてと、俺たちもそろそろ控室インしねぇとな。そうだろ?」
「そうね。もういい時間かとは思うわ。」
皆引き連れて、俺たちは控室へインした。早速目に着いたのは差し入れと思われるお盆など。
「うおっ! 差し入れあるじゃん! ありがてぇ!!」
俺は差し入れに食いついた。その時、穂乃果らが更衣室に入ろうとしたときだ…。
「ばあ☆」
そこから出てきたのは短髪の少女。眼鏡もかけていた。
「わあっ!!」
もちろん、メンバーたちはビックリした。最前線にいた穂乃果は尻餅をついた。唖然とするメンバーをよそにその少女はくるくるっと回りながら俺に近づいてきた。
「お兄ちゃんお久しぶりです~☆」
そういってその少女は絡んでくる。俺は差し入れの中に入っていたきし麺を食べるのに夢中でほとんど見てなかったが、その時やっとまともに顔を見る。
正体は誰か、俺は既に見当がついてる。俺のことを『お兄ちゃん』だなんて呼ぶ奴はこの世に人間70億人いると言えど、1人しかいない。
「清華だろ」
「ピンポ~ン! さっすがお兄ちゃんだね♡ まぁ大翔だったら分からないだろうけど。」
「お前、髪の毛切ったのか? 何で眼鏡してんだ?」
「えへへ~。それにも気づいてくれたんだね! さっすがお兄ちゃん!」
「分かったから早く話せ。」
「髪の毛は邪魔だったからバッサリと切ってもらったんだ~。眼鏡は、勉強のし過ぎかな?」
「大丈夫なのか…?」
「大丈夫大丈夫! オトノキ入るために少し頑張っちゃっただけだから♪」
「そうか…。ところで、オトノキの偏差値は大体50前半ぐらいだぞ…。そんなに頑張っる必要はないんじゃ?」
「いいの! ちょっと気合入ってるだけだから!! 念をおすのはいいことでしょ!」
清華はキャピキャピしながら俺にまとわりついてくる。その様子を見て、穂乃果が少し頬を膨らましてるようだ。っていうか………なによりもなんか海未の視線が怖い。
「お、おい清華………。きついよ離れろよ…。何より皆もいるんだしよぉ…。」
「いーじゃん! 兄妹なんだし、何より普段そんなに会わないんだからたまには…。」
「俺たちは恋人じゃねぇんだぞ…。」
そう言いながらも清華はくっついてくる。何なんだこいつは…。そんなに久しぶりに会う兄貴と戯れたかったのか?
しびれを切らしたのか、穂乃果が口を開いた。海未はこっちに怖い目線を向けたまま動かない。
「もう! 清華ちゃんっ! 信翔君は穂乃果のだよっ!!」
開いたというか、滑らせたに近かった。控室の空気が凍り付く。海未はというと、突然なことに驚いたのか、顔を真っ赤にした。
「あっ………いや、その………。」
穂乃果も、まるで茹でダコのように顔をかああっと真っ赤にした。清華は一瞬にして目が変わった。
「え、どういうことどういうこと!? えっ、いつの間にデキてたの!?」
「あ、あのいや…そうじゃなくて………。」
「えっ、えっ、どういうこと!? 詳しく詳しく! はいお兄ちゃん詳しく! 特に性生活の方を―――」
俺は遂にイラッときて、少し清華を大人しくさせた。
「で、この差し入れは?」
「お母さんが作ったんだよ。清華も手伝ったんだ。」
「そうかそうか。」
清華が頭を差し出してきたので、仕方がないから撫でてやった。すると穂乃果も頭を差し出してくる。
「穂乃果も撫でて~!」
「バカ、お前はこの予選を無事に通過したらだよ。」
「そうだよね~。終わったらおうちで頭じゃなくて違うところを撫でるからね~! 所謂愛b―――」
変わりに穂乃果にはチョップをくれてやり、さっきまで撫でてた清華はビンタした。
~~~~~~~~~~~~~
リハの合間、俺は休憩を兼ねて少し外に出ていた。その時だった。近くにいてたのか、晃太が俺の所にすっ飛んできた。
「おっす! どないしたんやそないシケた顔しやがって………。」
「特になにもねぇよ………。」
「んなことあらへんやろ。水臭いど。ワイらマヴやろ? 何でも言うてみろよ。」
「………。」
「ホラ、言うてみ?」
「………実はな―――」
話してると、後ろからつんつんと肩をつつかれた。
「おはようございます~!」
俺の肩をつついたのはA-RISE五人衆の一人、星城徹也。すこしニタついてる気がするが気のせいだろう。あの時のあれがフラッシュバックする。
「信翔、危ないっ!!」
気が付くと、蹴りが飛んできた。俺は避けると、俺に蹴りを入れてきた奴の背後を取る。
「まだまだだな。尊矩。」
「まだ敵わぬか…。」
俺に蹴りを入れてきた尊矩は足を降ろす。実は俺、尊矩と会うことが多々あり、その度に闘っていたのだ。
「………二人だけか?」
四ノ宮敏行だっけ?が俺に口を利く。
「そうだよ。」
「そうか。」
「ま…まぁいい! 今回もA-RISEが勝利をいただくぜ!」
「何故なら私たちが」
「必死にプロデュースしてきたんですもんね!」
五人衆は少し痛いポーズをとって、こちらにアピールしてくる。ったく、なにやってんだか。
「残念やけど、それは絶対に譲れへんな。」
晃太が口を開いた。
「ワシらかて、これまで一生懸命練習に練習を重ねてきたんですわ。そして団結力も、これまで以上のものになってる。まぁ、何が言いたいかってと、ワシらも自分らには負けてへんちゅうこっちゃ。」
「面白い。」
少し風の吹く中………俺たちはにらみ合いを続けていた。すると、五人衆の女がいきなりしゃがんだ。
「うっ………。」
「ど、どうした
「また気分が悪くなったのか…。だから言っただろ、無理して出てこなくてもいいって…。」
「でも…私がいなかったら五人衆じゃないじゃん…。」
「大丈夫だよ。おい敏行、こいつを頼んだ。」
「はいよ、リーダー。」
A-RISE五人衆の紅一点・神谷時代はそのまま退場していった。四人衆となってしまったが、こいつらとのにらみ合いはやめない…。
「まぁ、楽しみにしてますよ。今回が本当の決着ですね。」
「あぁ、今回は敗者復活戦がないからな。だが、俺らは絶対に勝ち取って、本大会に駒を進めてみせる!」
「そうですか、まぁ精々頑張って。お、おい…時代を追いかけるぞ!」
そうして、四人衆は走り去ってしまった。俺も、晃太と別れ控室へと去っていった。控室へと帰ると、皆が待っていた。
「どこに行ってたの?」
「いや、ちょっと外の風に当たってな…。ところで清華は?」
「清華ちゃんなら、おばさんに連れられて出て行きましたよ。兄さんのことをよろしくって言って。」
「そうだったのか…。ったく、お袋め…。」
どうやらお袋が来ていたみたいだが、今の俺には関係ない。時間を見ると、あれから1時間も経っていた。今回、俺たちはトップバッターで、開会式の次となっている。そしてその開会式は残り1時間。
「さあ、練習しましょう! 信翔…指揮、お願いできますか?」
「あ、あぁ!!」
*
「頑張って来い! お前らの集大成のために!」
そういって、俺はもう既にメンバーたちを舞台へと放った。このアリーナにはありがたいことに、テレビが置いてあった。そこからライブの中継が見れる。暖房がついたこの部屋でな。
まぁそれはいいや。まだメンバーたちは映し出されておらず、俺は正座待機状態にある。そうやって、準備完了の時を今か今かと待ち望んでいた時…。コンコンと扉にノックが…。
………晃太か?
「どうぞ。」
ガチャ、と音が鳴って二人入ってきた。
「清華、お袋!?」
「あっ、やっと見つけたわ!」
「お兄ちゃん、さっきぶり~。」
お袋はなぜだろう、着物姿である。清華はさっきと変わりはない。
「はぁ~…。お父さんと清華にとんでもない所に連れて来られちゃったわー…。」
「でもでもお母さん! アイドルって悪くないでしょ!?」
「そうねぇー…。って何せ、お母さんの時代にも一応アイドルはいたし、お母さんもアイドルに一時期憧れてた時期があるし。今のアイドルっていいわね! 可愛いし♪」
「でしょでしょ! 私は現時点で憧れてるんだけどね~♡」
「それにしても、アイドルになんてなれないお父さんはなんであんなにアイドルが好きなのかしらね~?」
「お母さん、男の人は皆、頑張る若い女の子が好きなんだよ~♡」
「もちろん、知ってるわよ~♡」
そう言いながら母娘はキャッキャ言いながら俺たちの楽屋で楽しそうに雑談してやがる。
「お袋、清華…何しに来たんだよ…。ここ一般人は立ち入り禁止だぞ。」
「あら、一般人じゃないわよ。関係者よ。」
「だって、パパパワーがあるもんね♪」
「ねー♪ いやぁあなた達、本当にお父さんに感謝しなさいよ。」
「お父様様だね~♡」
「特に信翔、あなたはね! だって、お父さんの仕事を継ぐのよ!」
「クラウン・プリウスだね~♡」
「それ、皇太子って意味…。まぁそりゃあ、親父にも感謝してるけどよぉ…。」
その時だ。テレビの画面が一気に変わる。どうやら始まったみてぇだ。そう、あいつらの本大会進出を賭したライブが…。
「あっ…始まった!」
「さぁ、お手並み拝見と行きましょうか。」
お袋は俺たちの敵かよ……。ジト目になりながらも、地区予選のときとは比べものにならない光を放ちながら、愛しのメンバーたちはステージへと進む。二人も、その様子を俺の隣でまじまじと見つめる。
…あっ、テレビに少し親父映った。
「ねぇ、信翔。最近どう?」
ふと、お袋がそう漏らした。
「あ?」
「変わりなく、暮らしてる…わよね?」
「あぁ。そっちこそ、変わりなく暮らしてるか?」
「えぇ。あ、そうそう! 清華に彼氏ができたらしいわよ!」
「えっ」
「も~う、お母さん! それは言わないって約束じゃん!」
「ゴメンゴメン…。」
清華に彼氏がいるとは驚きだ。突然なことに驚きながらも、こんな令嬢らしくねぇバカ娘を好いてくれる物好きなその男に感謝する。だが我が妹のツラを拝んで面食らう。
妹の初彼氏なんてものは祝ってやるのが兄としての務めだとは思うのだが、俺は戸惑いを隠せないでいた。それは清華の性格が性格だから…そして、まさか妹に先を越されるとは思っていなかったから。ケッ。
「そ、それはおめでとう…。で、でもアイドル目指してるお前が、交際とかいいのか…?」
「な~に言ってるの? 自分はアイドルを手籠めにしようと牙剥いて今か今かと待ち望んでるクセに…♡」
「えっ」
清華と接するたび、心が見透かされている感が半端ないのだが、ここまで見透かされているとは思ってなかった。清華の言ってることはまぁ事実では…ある。ってか言い方…。
「お兄ちゃんさ、好きな女の子…いるんでしょ?」
「…あぁ。」
「穂乃果ちゃん…だよね?」
「………あぁ。」
その後は度肝を抜かれたのか二人とも阿鼻叫喚に似た雑音大合唱。ったく、こいつらは………。
と思いきや、すぐに静かになる。
「まぁ、いいんじゃない?」
清華の口から出てきたのは、意外な答えだった。背筋が凍るほど淡々とした口調だった。
「だって、穂乃果ちゃんもお兄ちゃんのこと、大好きっぽいし。」
俺は黙り込む。清華は更に続けた。
「幸せにしてあげなよ。あと…そうそう、穂乃果ちゃんといえば天真爛漫で太陽のような明るさがあると思うけど、一度恋しちゃった乙女は誰でも豹変するから。寂しがり屋になるかも知れないから、いつまでもそばにいてあげて。そう、いつまでも…。男の人は男として女の子への誠意がないとだめだよ♪」
こ、これは応援されてるのか…? よく分からんが…。
「信翔。」
すべてをぶちまけてスッキリしたのか、清華は寝転がる。矢先、母が口を開いた。
「な、なんだよビックリしたな…。」
すると母は手を肩に載せてきた。
「頑張んなさい。」
…とだけ、言ってくれた。俺は嬉しくなったが、同時に疑問が湧いてくる。
「おいお袋…。俺が身元も知れねぇ奴と交際しだしてもいいのか?」
「そんなこと、気にすることあるの? 家柄がどうだのと…そんな古臭いの、お父さんとお母さんが若い世代に終わったと思ってたわ。気にすることないじゃない。あ、でもそうね…。信翔に言われたらちょっと興味出ちゃったわ♪ ねぇ、穂乃果ちゃんはどんな子?」
やっべ………。俺、地雷踏んじまったかも。
「アイツは老舗和菓子屋の長女だ。もし家柄云々の話題が挙がってきても問題はなかろう?」
「えっ? 穂乃果ちゃんて老舗和菓子屋さんの娘さんだったの!?」
「そうだよ。って知らなかったのかよ清華…。」
「んで、向こうの親御さんにもお世話になってる。」
「そ、そうなの!? 大丈夫!? 挨拶しなくて…。」
「心配いらねぇよ。ったく心配性だなぁ…。」
そんな話題が盛り上がってる中、テレビをふと見るといつの間にか既に出番は終了しており、次のグループへと移ろうとしていた。その瞬間に、ドアを開けて踊り終わったメンバー達が入ってきた。
「わっ!」
「皆さんご無沙汰してますわ。いつも信翔をありがとう。」
「の、信翔くんのお母さんと清華ちゃんだニャ…!!」
「いえいえ、私どもが再三信翔にお世話になってる方でございます…!」
「あ、そろそろお父さんに呼ばれちゃうわね。清華、帰りましょ!」
「は~い!」
「えっ、もう帰っちゃうの?」
「ごめんね紗奈ちゃん! 今度また一緒に遊ぼう!」
そういうと、あの母娘はそそくさと出て行ってしまった。
「あっ、差し入れのお礼…言いそびれちゃった…。」
「大丈夫だ穂乃果。俺が言っといてやる。」
まず、あの
*
そして…地方予選もそろそろ終盤に差し掛かってきた…とは露知らず、俺は寝入ってしまっていたようだ。目が覚めると目と鼻の先には絵里の顔が…。
「ぎゃっ!」
俺はそんな素っ頓狂な言葉を発して戸惑いをさらした。希とにこは、クスクスと笑っている。
「もう…希ったら。」
俺の言動に少し驚いた絵里は少し照れて頬を膨らませて希をにらむ。まぁ、無理もねぇよな。だって…
「なぁ、何でお前、俺に膝枕してたんだ?」
「いやぁ、その…。貴方の寝顔を見てたらちょっと可愛いなって思って…。」
「うるせぇっ!」
「アハハハハ! 絵里怒られてやんの♪」
「も~う!!! もともと希がやれって言ったんでしょうが!」
「アレ? ウチそんなこと言ったっけ?」
「言った!!」
OG組三人は笑い散らす。俺は頭を掻いた。
「そういえば穂乃果らは?」
「穂乃果ちゃん達だったら、閉会式で舞台やで。」
「というか私は、穂乃果のやっていたことをそのままやっただけよ?」
「はぁ?」
どうやら、訳を聞くと…穂乃果が閉会式に出るまで俺に膝枕してたのだという。これには俺はたまげて、顔を赤くした。
普段は明るくて元気だが、時たま見せる女の子としての行動には、本当に驚かされるし、可愛い。そう思う俺に―――これまた突然、にこが話しかけてきた。
「ねぇ、アンタ―――」
「えっ、あ?」
「アンタ…穂乃果のこと好きでしょ?」
このくだり、本日で二回目な気がするが、ものすごい大打撃を受けた。如何せん『穂乃果は好きか?』と聞かれたことはあっても『穂乃果が好きだろ。』と断定的な見方で来られることはなかったからだ。
しかも、『アイドルは恋愛絶対禁止!!』とか叫びそうなにこに指摘されたのだからその打撃は倍のダメージを生む。
「その反応…単なる噂だと思ってたけど、まさか本当だなんて…。」
「まぁ、ウチは知ってたけどね♪」
「まず穂乃果が恋してたことすら知らなかったわ。」
希は前から知ってたのか…胡散臭いな、と思ってはいかんか…。そんでこのハラショー姉さんは穂乃果の恋心すら知らなかっただなんて…。まぁこの先は『お前が言うな』とか言われそうなので割愛する。
その点、にこは鋭いな。流石、と言えるのかは知らんが。
「で、何だ? お前は反対か?」
「ええ! 断固反対よ!! アイドルが恋愛なんて聞いたことある!? もし交際のスキャンダルが出ようものなら、クビになるか丸坊主にするかって目に見えてるわっ! 私は、アンタ達のことを思って言ってるのよ!」
案の定、にこは『アイドルの恋愛は絶対禁制』という己の考え方をこれでもかというほど美化し、俺に押し付けてくる。半年以上前となんら変わらぬ。
そして俺は思った。アイドルが恋愛したら『クビになるか丸坊主にするか』といった究極の選択を迫られるのか…?と。
すると、一連の会話を聞いていた絵里が急に立ち上がった。
「にこ、恋愛して何が悪いの?」
「えっ」
「私は悪いとなんて思わないわね。だって、高校生でしょ? 思春期真っ盛りじゃない。大学の友達に聞いたんだけど、共学校のスクールアイドルは半分以上が彼氏持ちらしいわよ。」
「えっ、嘘―――」
「嘘ちゃうよ。ウチもそれ聞いたことある。」
「まぁ私たちはねぇ…」
「女子校やったし? 男の人とそんな運命的な出会いなかったから…」
「「まぁ、今になっても彼氏できない訳なんだけどね~…。」」
二人は自分たちで言い出して、自分たちで勝手に落ち込んだ。
「ば、バッカじゃないの! にこはアンタ達とは違うのよ!」
「ほ~う、そうですか~…! ストリートライブばっかりしてるくせに…。」
「というか、恋愛禁制を唱えたの、どこの誰やったっけ?」
「…も、もう!!」
ニコがじたばたと暴れる。来年成人式を迎える者とは思えないような目も当てられない惨状だった。
「そ、それにっ! 恋愛禁制とか言ってたのは事実だけど、この話にはまだ続きがあるのよ!」
「は?」
「あの子、聞き分けが悪くってね…それにアンタ…『恋愛は好きにしろ』って言ったそうね。」
「あぁ、確かに言った。」
「ハァ。もう好きにしなさいよ。もうこれ以上何かを言うつもりにもならないわ。ファンにバレなければいいんじゃないの。」
「おっ、にこっちが折れた♪」
「よかったわね。信翔さん。」
「お、おう…。」
よ、喜んでいいのか分からん…まったくもって分からん………。
「その代わり、穂乃果のこと…しっかり守ってあげなさいよ。」
「…ああ。」
~~~~~~~~~~~~~
少しむしゃくしゃした俺は、再び外へ出る。そこには、たまたま通りかかった真姫、凛、花陽がいた。しかも、何やらスマホの画面を見てビックリしている。
「あっ、信翔さん…!」
「これ………本当!?」
「え?」
画面を覗き込むと、タイムラインのようだった。そして一番目立つ投稿が、矢澤にこの投稿で、投稿時間は………さっき!?
「『織田信翔、アイドルの高坂穂乃果を熱愛!? 穂乃果も恋心を抱いてる様子♡』…これ、何よ?」
「…!?」
少し処理が追い付かなかった俺だが、すぐに合点を付けた。
「あのにこにー星人がああああああっ!!! いますぐ調子に乗ったあのツインテールを切り裂いてやるううううううっ!!!!」
「のっ信翔くん!? お、落ち着くニャ~!!」
爆発しそうになった俺は何とか宥められ、近くのベンチに座り込んだ。
「で、どうするの?」
「えっ?」
「どうするのよ?」
「海未に言われて目が覚めたよ…。告白するつもりでいる。そしてアイツを………。」
「そう、よかったわ。」
真姫は意外にもそれ以上なにかを言及することはなかった。
「あれ…? 何かいちゃもんを付けてくると思ってたが意外に何も言わないな。」
「だって、他人の恋愛でしょ? 私がどうこう言う筋合いなんてないわ。」
筋の通った言葉を淡々と返してくる真姫。俺は言葉が出なかった。
「それとも何? 何か言ってほしかった?」
「あ、いや…。」
「なんだか今日の真姫ちゃん、別人みたいだニャ…。」
「淡々としすぎて…あのぉ、真姫ちゃんのお姉さんですか?」
「違うわよっ! 私にお姉ちゃんはいないわ!」
「あっ、やっぱりいつもの真姫ちゃんだニャ。」
「もう! からかわないで!」
俺たち三人は吹きだして笑う。真姫は顔を赤くして髪をいじっている。
「そういえばこの前晃太に聞いたんだが、髪の毛を頻繁にイジる奴は欲求不満らしいぞ。」
「ヴェエッ!?」
「え、まさか…。真姫ちゃん…。」
「す、好きな人が…?」
「ちょっ、何でそうなる訳!? 意味わかんない!」
意外とすんなり認められたことに驚きを隠せなかったが、まぁそんなことはいいか。それよりも、もうそろそろ学校に帰らねばならない。皆を呼ぼうか。
*
俺は部室にいた。もう皆は帰ってしまったはずだ。そして俺は、今回のことでサイトを更新しなければと思い、必死でキーボードを打っていた。
―――遅かった。結局、俺は穂乃果に告白することができず、「バイバイ」とだけ言って別れた。いやそれでいい、俺はそう思った。決勝進出の興奮から醒めていた俺は、驚くほど冷静になっていて、ネガティブであったゆえに…だろうか。
「…。」
胸に様々な思いが駆け巡る。だが俺は、何も言うことなくただキーボードを打つ。9時まで残っているとセコムの人が来るため、余計な感情は捨て、仕事に集中していた。
………つもりだった。
まさに作業の真っ最中。扉のノックの音が聞こえた。何だ…こんな時間に?と不審を抱く一方、穂乃果ではないかと少し心が躍った。
「は、入っていいぞ。」
そうして入ってきたのは想い人の妹である雪穂と、亜里沙であった。なぜだろう、紗奈はいなかった。
「なんだ、お前らか…。」
少し期待してしまった俺にはすこし赤面だな。それにしてもこいつら、こんな時間まで学校で何やってやがんだ?
「お前ら、何してんだ? もう遅いぞ、帰れ。」
「いや…信翔さんが作業してらっしゃると聞いて、何かお手伝いできることはないかな…と思いまして。」
「何かお手伝いできることがあったらなんでも言ってくださいっ!」
「いや、特に何もねぇんだけどさ…。そうだな、それじゃあ…お茶を頼めるか? ちょっと熱めで。」
「はいっ! 了解です♪」
二人は、作業を始めた。俺はそれを振り返るすきもなく、ただただキーボードを打っていく。その内、湯呑みがキーボードの横に置かれる。
「少し休まれてはどうですか?」
「すまねぇな。雪穂。」
俺は湯呑みに手をかける。あちちっ、マジで結構熱いな…。でも、この暖かさが身に
「進捗のほどはいかがですか?」
「まあまあだ。九時には帰れそうだな。」
「違いますっ! そっちじゃないです!!」
「えっ」
亜里沙の言葉に少し怪訝に思う。
「その…お姉ちゃんとは、どうですか…?」
「………。」
二人が聞きたかったのは、俺たちの恋路の進捗らしい。意味わからん…。
「けっ、お前らもか………。もう、言わないでくれ…。告白よぉ、しようと思ったんだけど………。」
「…いますよ。」
「えっ」
雪穂は静かに呟いた。聞こえるかどうかというほどの…小さな声だった。
「いるんですよ、お姉ちゃんが………。」
「何だと!?」
「穂乃果ちゃん、待ってるんですよっ! 屋上で………!!」
俺はガタッと椅子を立った。雪穂の顔を見つめる。
「行ってあげてください。わかってるでしょう? ………お姉ちゃん、待ってるんですよ? 貴方の、告白を………。」
俺はその瞬間、自分が今何をするべきかが見えなくなり、
そして真っ先に走ってったのは、勿論屋上だ。バンッと扉を力強くブチ開けて回りを見渡す。いた、穂乃果が…。ビックリしたようで、こちらを凝視する穂乃果が………。
「のっ………信翔君!?」
「よう、穂乃果…。ここにいたとはな………。」
俺は穂乃果に寄り添う形で座りこみ、天を仰ぎ見る。穂乃果も少し戸惑いながらも俺の隣に座ってくれた。
「本大会進出、おめでとうな。」
「あっ…ありがとう! なんてったって、信翔君のお陰だよ~!」
「そうか、そういってもらえて冥利につきるってもんだ。でも最大は、お前ら自信の頑張りだぞ。」
「えへへ…そうかな?」
「ああ、そうだぞ。」
『撫でて』と言わんばかりに穂乃果がひょこっと頭を突き出してくる。俺はゆっくりと撫でてやった。
その後は、俺は頭を撫でっぱなし。すこし無言になり、その身を騒がしき都会と静寂の宵闇の狭間に身を置く。穂乃果は撫でられて満悦し、俺は未だ天を見る。
星が綺麗だ。満点の星空だ。そんな屋上で、なんとなくいいムードが漂い始めた。そんな気がした。
「ご褒美、なにか頂戴?」
さっきまでの元気いっぱいな穂乃果とは違っている。俺にしか見せない、まさに乙女チックと言える女の表情だ。この顔を見せつけられた俺はただの男となってしまうようで、アイツのお願いをいつものように「んなもんあるか」などと突き放せるわけがなかった。
恋する者は、罪だな。
「ねぇ、早く―――」
「クソッ、ズルいぞお前…。」
やはり、穂乃果は待っている。そう感じた。そして、『それならリードしなければ』と思い、少し焦った。そして繰り出したのは―――
「ホラ、これがご褒美だ…。」
俺は穂乃果を包み込むように体勢を動かし、右手は穂乃果の左手を取り…左手は腰に回す。予想外だったのか、穂乃果は少し戸惑う。
「え、ちょっと信翔君…っ! 何して―――」
穂乃果は顔を真っ赤にする。俺はそれが可愛く感じてしまっていて仕方がない。そしてこみ上げる感情で羞恥を掻き消した俺は―――
「んっ!? んん~!?」
…唇を、奪った。そう、穂乃果の唇を、俺から………。
これは、本日晃太に言われたことである。
『女を落とすには、熱い濃厚なキスが一番やで! すこし余裕をもって、かつ強引めに唇を奪ったったら、女はコロッと落ちよるで。せやけど、これはまわりの雰囲気とかよう見計らいや。ほんで、脈がなかったら絶対にやったらアカンで!』
…とのことだ。俺はとくに女性経験がないためよく分からず、今はこの女性経験豊富な変態に頼るしかない。癪だがな。
少し、穂乃果が何を思っているのかが怖く思えた。
そして唇を離そうと思ったが、今度は穂乃果の方が爪を立てるぐらい強く抱きしめてきて、離れようにも離してくれない。
そう…俺は、リードするどころか逆に主導権を持ってかれたようなものだ。そして堪能しつくしたのか、彼女は俺を解放した。
「ぷはっ…♡ ふふ、ビックリしたでしょ?」
「………!!」
「穂乃果もビックリしちゃったよ…。だって、いきなりキスするんだもん…。これがご褒美だなんて…穂乃果、ちょっと嬉しいかも…♡」
穂乃果は少しとろけた表情で微笑む。もう、ここまでやってしまったんだ! 後戻りはしねぇ!!
俺はすかさず、再び穂乃果の手を取る。
「ひゃっ…!」
「穂乃果ッ!」
「な、なに…?」
「お前は…堕落して喧嘩することぐらいしか楽しむことがなかった俺に、改めて色々な感情を戻してくれた! お前のことが好きだ、愛してる! 俺と付き合ってくれッ!」
ふっ…ここまで俺に言わせるとは、なかなかの女だ。あの時から女に関する興味なんか半ば消え失せていたのに…。俺は、救われた。荒くれ男をブッ飛ばすことぐらいしか興味がなかった俺を、こうやって普通の男のように告白させてしまうのだから…。今は穂乃果を始めとした皆に感謝している。
あの時の俺は、なんていうだろうか。否、何も思うまい。
そして、当の穂乃果は………。その頬を真っ赤に染めていた。目には涙を浮かべている。俺は真剣な眼差しを、微塵にも動かず、穂乃果の緩みつつある瞳をしっかりと見ていた。
「…嬉しい。」
「…え?」
「嬉しいっ!!!」
彼女は、今度は自分から…俺に抱き着いてきた。
「そこまで想われてるだなんて思ってなかった…! あのとき『好き』って言ってくれたのも―――」
「そうか、そうか………。」
泣き崩れ、言葉が詰まる穂乃果。俺も涙を流しながら、彼女と抱き合っていた。お互い落ち着いてくると、再び、静かに唇を合わせた。
「こ、こちらこそお願いします………/// 穂乃果のファーストキス奪ったんだから………穂乃果のこと一生可愛がってね…♡」
穂乃果が俺の耳で囁く。俺はきつく抱きしめることによってそれに応えた。
雪穂と亜里沙の奴は、俺たちが部室に戻ると既にいなかった………。まぁその後、成り行きで一緒に穂乃果の家に帰ることになったのだった。
俺らは恋人ムードが出来上がっている。穂乃果はすげぇくっついてくるし、満更でもないと思う俺がいる。これが、本当の恋人ってやつなのか…。本当の恋をして、本当の恋人を得た俺はそう感じた。
「あれ?」
「ん、どうした?」
「こっち、道違ってない? こっちは穂乃果の家の道じゃなくて、信翔君の―――」
「ワザとでしょ?」
………図星だ。そうだよ。チッ、自然な感じで家に招待しようと思ったんだがなぁ~…。
「チッ、バレたか…。」
「ふふ、穂乃果はもう信翔君の恋人だから、なんでも分かっちゃうよ! そう、家に呼んで、ナニをしようかと企んでるのも…♡」
「う”っ…!!」
男は、女が絡むと単純になるってのは本当らしい。俺が、まさにその通りだ。冷静を保っていられない。
「すっかり顔真っ赤っかにしちゃって…。」
「あ、いや…。そんなこと考えてねぇよ…!! ただ…なんというか…。」
「ちょっと早い気がするけど………穂乃果はいいよ♡」
大分くっついて帰っていたのだが、より一層彼女はくっついてくる。これ以上、隠すこたぁねぇのかと思った俺は、穂乃果の手を取る。
「じゃあ、行こうか。」
そして穂乃果の手を引くが、ここで自宅に電気がついていることに気が付く。
「あれ? 信翔君の家、電気ついてるね…?」
「あ、本当だ。何でだ………?」
俺がすこし警戒しながら鍵を開ける。
「おっ、親父!?」
案の定だ。親父たちがいた。
「おっ、信翔が帰ってきたぞ!!」
「お兄ちゃ~ん、あっ穂乃果ちゃんもおかえり!!」
「おかえり信翔。あっ穂乃果ちゃんもいらっしゃい。ご飯出来てるわよ。」
すっかり
「お兄ちゃんどうしたの? そんながっかりした顔して。穂乃果ちゃんも………。」
「い、いや…。その…。」
「あ、もしかして子作りの予定あった? ごっめんね~…。お父さんがどうしてもお兄ちゃんの家に行きたいって…。」
「うっせぇっ! そんな予定あっか!!」
「どうしよう~…清華、この年で『叔母さん』って呼ばれるようになっちゃうの~?♪」
「あ、あのぅ~清華ちゃん…?」
「お父さんもお母さんも、四十代で『孫』ができるんだね~!」
「おっ、本当だなぁ!」
「そうねぇ。私も『おばあさん』なのねぇ~…。」
「おい! こんな年でさすがに子作りはしねぇよ!!」
ったく、清華は…。俺と穂乃果は顔を真っ赤にした。
「ちょっと信翔、穂乃果ちゃん。こっちに来てくれないかしら?」
俺と穂乃果は、母に呼ばれた。母は俺の家の台所で飯を作っている。
「貴方たち、お付き合いしてるのかしら?」
「あ、その…。実は今日から…。」
「そう、付き合ったのね。」
「あっはい! お母さん、よろしくお願いします!」
「アナタが穂乃果ちゃんね。ふふ、すごく可愛らしい子。信翔もいい子を捕まえたわね♪」
「あ、ありがとう…。」
「穂乃果ちゃん。信翔は不器用な子だけれどもよろしく頼むわね。」
「はっはい!」
「あと、信翔…。」
「お父さんには言ったの? こういうことはちゃんとお父さんに言わないと、ね?」
「…フン、まぁそうだな。」
親父にはまったくこのことは話してなかったな。ということで親父に話すことに…。
「親父…。」
「おい、見ろ…。」
穂乃果のことを離そうとしたときだ。親父がテレビを指さしていた。
「おい…どうなってんだコレ…。」
テレビには………『
「…信翔、穂乃果ちゃん。気を付けるんだぞ…。」
親父がそう呟いた。そしてこの後、東京は混沌に包まれることになろうとは…。
はい……。すみません。最後の方は力尽きたんです…。
そして、二人がしてたのは決して
さて、これからは執筆が無理になるので、かなりの期間お休みさせていただくかと思います。
ところでですが…活動報告で次回作を聞いてみましたところ、どうやら『未来編』を希望される方が多いようで………。
ご安心ください、色々考えてますのでね!
余談ですが今、ちょうどEテレでラブライブやってますね。