ベイビー・パニック   作:高嶺 蒼

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 勢いで書いている為、キャラが崩壊していたらすみません。
 1話目はそんなにひどくないとは思いますが。
 楽しんで頂けたら幸いです。


ベイビー・パニック 1

 放課後。

 今日もレオこと対馬レオは従姉妹であり同居人、更に生徒会副会長で風紀委員長の乙女こと鉄乙女の手伝いをしていた。

 何をしているのかと言えば、ただの学校の見回りである。

 当の乙女は空手部に呼び出され、ここにはいない。

 レオは1人、学校の見回りをして回ってる。

 

 「あー、てっちゃんの弟くん、お疲れさま~」

 

 乙女と見回りをしているうちに、みんなに存在が認知されたのだろう。

 3年の教室の辺りを見回っていると、乙女の友達やら同級生にやたらと声をかけられる。

 乙女と一緒の時はまだいいが、1人の時は何だか気恥ずかしい。

 レオは愛想良く会釈しながら、少しだけ頬を染めて足早に見回りをこなしていく。

 その点、2年の教室は気が楽だ。

 

 

 「おー、対馬、お疲れさま~」

 

 「対馬君、今日も大変だね~」

 

 

 などと声をかけられながら、教室を見て回っていると、とある教室からがたがたと音がした。

 

 「み、見回りだ。やべーよ。乙女さんに見つかる!」

 

 教室の表示をみる。

 2ーC。

 レオの教室だ。

 ちなみに今聞こえた声にも、思いっきり聞き覚えがある。

 

 「おい、カニ!なにやってんだよ」

 

 声をかけながら扉を開けると、そこには見慣れた宴の風景。

 机の上にお菓子の袋をいくつも開け、その周りにはそれに群がる数人の女の子達の姿。

 その中にレオの幼なじみであるカニこと蟹沢きぬの姿もあった。

 

 「乙女さん、ごめんなさいっ」

 

 条件反射の様に謝ったカニは、そこにレオの姿しかないことに気づいてきょとんとする。

 

 

 「あれ?乙女さんは?」

 

 「今日は拳法部の方だよ。食った後はちゃんと片づけとけよ」

 

 「ちぇっ、謝って損した。うっせー、レオのくせに」

 

 

 悪態をつくカニにひらひらと手を振って教室を後にする。

 カニの面倒をみている暇はない。レオとてそれなりに忙しいのだ。

 今日もまだまだ見回らなくてはならない場所がたくさん残ってる。

 見回りを再会する。一般教室はほぼ回り終わったため、特殊教室を見て回る。

 

 視聴覚室、音楽室、家庭科室、化学室・・・・・・そして、第一化学準備室にさしかかったレオは少しだけ気を付けて中をのぞき込む。

 この部屋の主ともいえるあかり先生の姿はない。

 以前あかり先生がマッドサイエンティストぶりを発揮して作り出してしまったスライム君が、フルフル震えてこちらを見つめているだけだ。

 

 特に危険がなさそうなのを確認して中に入る。

 一応、おかしなものが増えていないかチェックしていると、空手部での修練が終わったのか、乙女が駆け込んできた。

 

 

 「レオ、すまん。遅くなった」

 

 「大丈夫だよ、乙女さん。ここを見たら、今日の見回りは終わりだよ」

 

 「ん、そうか。私がいなくても1人で出来て偉いぞ」

 

 

 ニコニコしながら、乙女が手を伸ばしてくる。

 頭を撫でられ、誉められるのが嬉しいけど恥ずかしくて、自然と顔が熱くなる。

 可愛いやつめ、などと言いながらご満悦でレオをなで回していた乙女の目線がふと横にそれる。

 それは、ちょうどあかり先生の机の上。

 

 「ん?栄養ドリンクか?」

 

 そう言って乙女が手に取ったのはいかにも怪しげなドリンク剤。

 レオは今までにあかり先生が巻き起こした騒動を思い出し、青くなる。

 

 (あれ、絶対に飲ませちゃダメだ!)

 

 飲んだら必ずやっかいな事になる、と慌てて手を伸ばした。

 

 

 「乙女さん、それっ」

 

 「レオ?なんだ、これはレオのか」

 

 

 それならそうと早く言え、と乙女が素直に返してくれそうな事にほっとした瞬間、カシュッと音がして瓶の蓋が開けられた。乙女の手によって。

 そして。

 

 「頑張って疲れてるだろうから、早く飲め」

 

 頑張った可愛い弟を労るため、乙女は栄養ドリンクと信じてやまないそれを、レオの口の中に流し込んだ。

 咄嗟のことに、吐き出すことも出来ずに口の中の液体を余さず飲み込んでしまう。

 

 「やべ、飲んじゃった」

 

 しかし、飲んでしまったものはどうにもならない。

 きょとんとした乙女を放置して、自分の体の様子を見る。

 

 ムラムラ・・・・・・はしないから、催淫剤とかではない。

 

 ちらり、と乙女を見てみる。

 綺麗で可愛いなーとは思うが、それはいつものことなので、問題はなさそうだ。惚れ薬の可能性もなさそうだ。

 

 壁を見つめ、拳を繰り出しても見た。

 普通に痛いし、壁も割れなかった。筋力増強剤とかでもないらしい。

 

 (じゃあ、なんだ?本当にただの栄養ドリンクだったのか?)

 

 そう思った瞬間、心臓がドクンと跳ねた。

 骨が、関節が、筋肉が・・・・・・とにかく全身に痛みが走り、立っていることさえままならなくなる。

 

 「レオ!?どうしたんだ!!」

 

 焦ったような乙女の声。かすむ視界に彼女の顔を映す。

 

 (やばい、毒だったのかな)

 

 抱き留めてくれた、乙女の体が柔らかくて気持ちよかった。まだ死にたくないと、素直にそう思う。

 だから。

 

 

 「あ、あか・・・り、せんせ、よ、よん・・・」

 

 「あかり先生を連れてくればいいんだな!?すぐ戻る!死ぬなよ、レオ」

 

 

 言うが早いか、ものすごい勢いで乙女が飛び出していく。

 それを見送ってしまうと、意識が急速に遠くなってきた。

 

 (寝ちゃ、だめだ)

 

 本能で、そう思う。しかし、体の痛みはひどく、体力は限界だった。

 

 (乙女さん・・・・・・)

 

 大好きな人の名前を胸の中で切なく呼びながら、レオは静かに意識を手放した。

 

 

 

 

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