ベイビー・パニック   作:高嶺 蒼

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ベイビー・パニック 12

 フラワーショップYASIからの帰り道、なごみの提案で買い物をして、やっと家へとたどり着いた。

 買い物の荷物は乙女が全部担当した。

 本当はレオを抱っこしたかったが、わざわざ食事を作りに来てくれたなごみに持たせるわけにもいかない。

 荷物を置いたらレオを抱っこしようと、いそいそと玄関の扉を開け、乙女はなごみを家の中へと招き入れる。

 

 

 「さあ、椰子。入ってくれ」

 

 「・・・・・・お邪魔します」

 

 

 礼儀正しくそう断り、レオを抱いたまま靴もきちんとそろえるなごみの姿に、乙女はうんうんと頷く。

 椰子はやっぱり礼儀正しくいい後輩だなぁと思いながら。

 

 「じゃあ、早速食事の準備をしますね。鉄先輩、レオの着替えをお願いしてもいいですか?」

 

 そう言いながら、なごみはレオとさっき買ってきたレオの着替えの入った袋を乙女に差し出す。

 乙女は嬉々としてレオを受け取り、頬をすり寄せ、レオを堪能する。

 

 

 「レオの着替えだな?了解した。あ、それと椰子」

 

 「はい?」

 

 「乙女先輩と呼んでいいんだぞ!」

 

 「は?いえ、別に今のままで・・・・・・」

 

 「恥ずかしがるな。ほら、乙女先輩だ。呼んで見ろ」

 

 「・・・・・・」

 

 「遠慮はいらん。さあっ」

 

 「・・・・・・乙女先輩」

 

 

 根負けして、ぼそりと呟くように乙女を呼んだ。乙女は嬉しそうに笑う。

 

 「うむ。今度から遠慮せずにそう呼ぶんだぞ?じゃあ、私は部屋でレオを着替えさせてくる。分からないことがあったら呼んでくれ」

 

 晴れやかにそう言って、レオを抱っこしたまま自分の部屋に向かってしまった。

 なごみは、少し疲れたような目でその後ろ姿を見守った。

 乙女の事は嫌いではない。

 嫌いではないが、根性だの気合いだの、色々勢いが良すぎて疲れる。

 まあ、あの変人ばかりの生徒会メンバーの中ではずいぶんましな方かもしれないが。

 少なくとも乙女は進んで人の嫌がることをしようとはしないし、顔を合わせる度に喧嘩をふっかけてくることもない。

 色々話しかけてきて、ウザい思いをさせることもない。

 

 そこまで考えて、なごみはウザいの筆頭といっていいお節介でお人好しのセンパイの顔を思い浮かべる。

 すごく美男子な訳でもないし、すごく不細工なわけでもない、中途半端なだけど優しげな容貌の少年・対馬レオ。

 

 あのウザい先輩が子供になるだけでこんなに可愛いとは以外だった。

 なごみはもともとそれ程子供が得意ではない。というか、自分の家族以外あまり興味がないのだ。

 しかし、小さくなったレオは違った。

 

 あの小さくて無邪気な存在は何とも可愛らしく母性本能をくすぐられるというか、もみくちゃにして可愛がりたくなるというか。

 なんというか興味深い。

 

 (おいしいご飯作ったら、レオは喜ぶかな)

 

 そんな事を思う。

 レオがにこーっと笑う顔を思い浮かべると、唇の端にほのかな笑みが、知らず知らずのうちに浮かんでくる。

 

 なごみは優しい微笑みを口元に浮かべながら、持ってきたエプロンを手早く身につけた。

 買ってきた材料を手早く冷蔵庫にしまいながら、必要な材料だけをキッチンに並べていく。

 レオもお腹を空かせているだろうし、それ程準備に時間はかけられない。

 でも出来るだけおいしいものを、レオには食べさせてあげたかった。

 なごみは材料を前に、しばし考え手順を確認し、それから猛然と料理に取りかかるのだった。

 

 

 




 話が遅々として進みませんが、頑張っております!(笑)
 見捨てずお付き合いくださってる皆様、ありがとうございます。
 明日も投稿しますよ~
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