やっと4限目。
3限目の終わりのチャイムが鳴り、休み時間に突入しても、教室に戻る気になれなかったなごみは、休み時間の喧噪の中、レオを連れて竜宮に向かった。
屋上で過ごすのも悪くないが、今日は風が強く、レオには少し寒いだろうと考えたのだ。
その点、竜宮であれば寒いこともないし、今の時間なら他のメンバーが居ることもない。
レオと2人、ゆっくりと過ごせるだろう。
もうすっかり4限目をさぼることを決めたなごみは、人目を避けるように竜宮の中へ入り込む。
ドアを閉め、何事もなくここに来れたことに小さく息をついた。
腕に抱いていたレオをソファーの上にそっと降ろし、
「レオ、ジュース飲む?」
微笑み、そう尋ねる。
「飲む~」
レオの答えを聞きながら、なごみは冷蔵庫の中をのぞき込んだ。
竜宮の冷蔵庫の中身はかなり充実している。
その中からオレンジジュースを見つけて取り出すと、給湯スペースでコップに中身を半分ほど注いだ。
「はい、レオ。こぼさないようにね?」
言いながらコップを渡し、レオが両手でしっかり受け取るのを確認してから、なごみは自分のお茶を入れるために再び給湯スペースへ。
今日は何となく緑茶の気分だった。
急須を取り出し、自分の為に緑茶を入れる。
湯飲みではなくあえてマグカップに緑茶を注ぎ、なごみはレオのいるソファーへ戻った。
レオは、美味しそうにオレンジジュースを飲んでいた。
その様子を目を細めて眺めながら、なごみも緑茶を飲む。
なごみは自分が子供好きだとは思っていなかった。
小さな子供をこんな風に可愛がる自分など想像できなかったが、レオの事は可愛くて仕方がない。
可愛くて可愛くて、頭から食べてしまいたいくらいに。
今だって、ジュースを飲み終わったレオの口元を濡れタオルで拭ってやりながら、拭くんじゃなくて舐めちゃえば良かったな、なんて思ってる自分がいる。
変態か、と思わず自分に突っ込みたくなるが、相手の実際年齢は17歳なんだからいいじゃないかと反論する、欲望にまみれた自分もいた。
(先輩は、元の状態に戻ったとき、今の記憶は残ってるのかな)
そんなことを思う。
今のレオは大きかった自分の記憶が無いのだから、逆になってもきっと同じだろうとは想像できる。でも、もし覚えていたら?
(・・・・・・殺るしかない)
思わず頬を羞恥に染めながら、そんなことを思う。
どんな手段を使っても無理矢理記憶を消去しなくては。
そう思う反面、自分はきっと元に戻ったレオに対しても、以前の様な態度に戻れないかもという危惧もあった。
以前はうっとおしくてウザいだけの先輩だった。
だけど、今は違う。
あのうざい先輩は、可愛くて仕方がないレオと同一人物なのだ。
これから先はあの顔を見る度に、小さくて可愛いレオの顔がちらつくに違いない。
グラスとマグカップを几帳面に片づけた後、なごみはソファーにもたれてレオを抱き上げる。
なごみの胸にうつ伏せになるようにしてこちらを見上げるレオは、本当に何ともいえずに可愛らしい。
「ずっとこのまま、一緒にいられたらいいのにね」
ついつい、そんな言葉が口をついて出る。
レオが元に戻ってしまったらきっと寂しい。
小さなレオと、ずっと一緒に居たいという思いが、思わずこぼれ出てしまったのだ。
「レオ、一緒にいるよ?」
きょとんと首を傾げ、なごみの言葉の裏に隠された意味を理解しないまま、レオが答える。
そんなレオが可愛くて、なごみは優しく微笑んで柔らかな髪の毛を撫でた。
しばらくそうしていたら、大好きななごみの体温に包まれたまま頭を撫でられたレオの目が、眠そうにとろんとしてくる。
「レオ、寝ても良いよ?」
言いながら、レオが眠りやすいようになごみ自身もゆったりとソファーに横になる。
胸にレオを抱きしめたまま。
静かな室内に、ぷー、ぷーとレオの可愛い寝息が響く。
なごみは目を閉じたまま微笑み、その愛おしい音色に耳を澄ます。
そしていつのまにか、引き込まれるように彼女自身も眠りの海へ落ちていった。
今日一度昼寝をしていたレオは、それほど長く寝ることなく、昼休みに突入する前に目を覚ました。
ぼんやりしたまま、柔らかな2つのクッションから顔を上げ、片手でごしごしと目元をこする。
なごみはまだ寝ているようだ。
穏やかな寝息が聞こえてくる。
レオは目を閉じたままのなごみを寝ぼけ眼で見つめていたが、不意にお腹がきゅーっと鳴った。
両手でお腹を押さえて情けない顔をし、それから親指をくわえてなごみの顔を見た。
なごみはまだすーすー寝ている。まだ起きそうに無かった。
レオは、昨日なごみがご飯を食べさせてくれたことを思い出し、再びきゅうぅぅっとお腹を泣かせる。
なごみが起きればご飯を食べさせてくれるに違いない、そんな考えのもと、なんとかなごみを起こせないかと頭をひねった。
その時不意に、王子様のキスで目覚めるお姫様のお話を思い出したレオは、なごみの唇をじいっと見つめる。
それからおもむろに、よじよじと彼女の体をよじ登るように進みはじめた。
そうしてレオがなごみの顔の近くまで進んだときには、なごみは半ば目を覚ましかけていた。
いくらまだ小さいとはいえ、3歳児に体の上を這い回られるのは流石に辛いものがある。
頬にぺとんとレオの手が触れるのを感じて、思わず目を開けようとした瞬間、唇に柔らかな何かが押し当てられた。
(レオから、キス!?)
心臓がどきんと跳ねたが、なごみはすぐに目を開けずに様子を伺った。
そっと薄目を開けて見れば、レオはなごみの方をみてしきりに首を傾げている。
「なごみちゃん、おっきしないね~・・・・・・」
しきりに空腹を訴えるお腹に手を当て、親指を口にくわえる。
そのまま、きょとっと周りを見回し、その目線がある場所で止まった。
ふっくらと膨らんだなごみの胸元で。
今よりももっと小さな頃の記憶が刺激され、レオはごくりと唾を飲み込む。
レオは知っていた。
あそこから出る液体は甘くておいしいのだ。
どうにもこうにもお腹が空いてしまったレオは、にじにじとなごみの体を再び下る。
目指すはもちろん双子の小山のてっぺんだ。
なごみはそんなレオを、何をする気だろうと薄目で見守る。
ほんのちょっぴり、どきどこしながら。
それなりに時間をかけて、一旦なごみのお腹のあたりまで下ったレオは、思い切りよく制服の裾からぐいっと頭を突っ込んだ。
躊躇などしない。
とにかくお腹が空いているのだ。
驚いたのはなごみだ。
思わず漏れそうになった驚きの声を、手で押さえて押し殺す。
レオはなごみのそんな様子に気づくことなく、ぐいぐいと進んだ。
目指す山まで後少し。
そうしてたどり着いた山は、それなりに強固な布地で覆われていたが、その密着度は乙女のさらし程ではない。
レオの小さな手がぐいっと引けば、ぽろんとこぼれ出たのは薄桃色の可愛い突起だ。
そこに吸いつけば、大好きなものにありつけると、レオは信じて疑わず、なんの躊躇もなくそこに唇を寄せた。
「ちゅぷっ。ちゅうぅぅ」
「・・・・・・んっ」
なごみの、押し殺した声が漏れる。
だが、吸うことに夢中のレオは気づかない。
しばらくの間、レオは無心に吸い続けた。
その小さな口の中で、小さな突起は充血し、ムクムクと大きく固くなる。
だが、レオにとってそんなことは些細なことだ。
なんで、甘いおいしい飲み物は出てこないんだろうと首を傾げながら、それでも諦めきれずに吸い続ける。
執拗に与えられる刺激になごみの身体が小さく震え、その口からは堪えきれない甘い声がどうしても漏れてしまう。
太股をもじもじとすり合わせながら、なごみは思う。
このままじゃいけない、と。
このまま続けたら、何か危ない扉を開いてしまいそうだった。
「レ、レオ。もう・・・・・・」
途切れ途切れの言葉でなんとかレオに話しかける。
その声に反応したように、もそもそとレオが動いた。
ゆっくりと制服の裾から顔を出し、うつむく。
なごみは制服の上からずれてしまった下着を何とか戻そうと苦心しながら、しょんぼりした様子のレオの顔をのぞき込んだ。
「レオ、どうしたの?」
「おっぱい、出なかった・・・・・・」
しょぼーんと擬音が浮き出そうな程に沈み込んだレオの声に、なごみは思わず困った顔をした。
そんなの出るわけ無い。
出るわけ無いのだが、レオのがっかりした顔を見ていると、なんとなく悪いことをしたような気分になる。
起き上がり、レオを抱き直してから頭をそっと撫で、
「ごめんね、レオ」
そう声をかけた瞬間、きゅーっとレオのお腹が可愛い音をたてた。
レオは情けない顔でなごみを見上げ、
「レオ、お腹空いたの・・・・・・」
レオが訴えた瞬間、ちょうど4限の終わりのチャイムが鳴った。
レオの訴えを聞いたなごみは、にっこり微笑む。
「ちょうどお昼休みだよ、レオ。よし。じゃあ、ご飯にしようか」
言いながら、なごみは給湯室の方へと向かう。
今日のお昼はレオや乙女と食べようと、大量に作ってきたお弁当を朝のうちに竜宮へ運び込んでおいたのだ。
頑張って作って来て良かったと思いつつ、レオの期待の眼差しに見守られながら、なごみは電子レンジを駆使してせっせと食事の準備をするのだった。
読んで頂いてありがとうございました。
次回はランチタイムです。乙女さんや姫も合流予定です。