吼ゆる狼の見る世界   作:烏兎

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第七話『邂逅』

「気ぃつけろ、こういうところにゃ大抵罠が張ってあるからな」

「本当に、詳しいものだなキミは」

 

あの後、報酬後払いの約束で高順と契約を結んだ俺らは高順らと共に少女の捜索を行っていた。・・・・のだが捜索開始当日に既に件の少女が既に拐われていた事が発覚、事は急を要すると言う事で手段を選ばず白玻波賊の下っ端を見付けて締め上げ本拠地を割り出し、救出へと赴く事になった。とは言え、全員で歩くと色々目立つので俺、高順、椿、呂布が捜索。蒼真、楓、友里、張遼が兵たちと共に待機し有事の際には動く、と言う形を取る事になった。

 

「元々こういう連中の相手をしてたんだよ、益州ではな」

「・・・・噂には良く聞いていたよ、益州には全てを射抜く雷がいたとね」

「んじゃあその雷が益州を離れ北上していた事も?」

「・・・・キミには隠し事は出来ないようだ・・・・その通り、私たち三人の任務は先にも言った少女の保護と勧誘、そして州境へと近づいていたキミらの調査だ」

 

つまりはいざという時、生還し情報を持って帰るために手練の三人で来たわけだ。誰か一人でも帰れれば良い、と・・・・だがこの二人の、強さを見る限りではどちらかといえば揃って無事に帰還するためにこの三人を選んだと見るべきだろう。

 

「一つ、質問に答えて頂こう」

「一つと言わずいくらでも、答えられる事なら答えるぜ」

「・・・・益州での事変は耳に入っている、その後のキミらが擁州に来た理由は?」

「うちの姜維のダチが擁州でそれなりに偉くなったらしくてな、で・・・・そのうち遊びに来てくれって言ってたから行ってみようぜーって話に」

 

そう言えば、すっかり高順たちの手伝いをする事に頭がいってたがもともとの目的はそれだったな。

 

「ほう、姜維殿のご友人が・・・・因みにお名前をお伺いしても?」

「えっと・・・・椿?」

 

そして肝心な椿の友達の名前を聞いた事が無い、名前を知らなければ探しようも無い。

 

「とーたく」

 

そうか、とーたくねぇ・・・・とーたく・・・・とうたく?董たく?とう卓?・・・・董卓?

 

「・・・・あの、聞き間違いでなくば・・・・董卓、と」

「あー、うん。きっと聞き間違いじゃねぇよ、俺も同じように聞こえたもんよ」

「椿、(ゆえ)と友達?」

「うん、月と友達。(れん)とも友達」

 

うん、まぁアレだ。真名を交換しあうぐらい仲が良いようで何より、だが・・・・聞かなかった俺も悪かった、だがそんな重要な事はもっと早く言って欲しかったと思うんだよ。

 

「・・・・ところで高順、目的地までどれぐらいだ?」

「約一里、幸いにも拐われたのはつい先日との事。よほどの事が無くば売られている事は無いでしょう」

「だと良いがな・・・・ん」

 

ふとした違和感、三人に対し停止の合図を出せば直ぐに地面に耳を付ける。騎馬の足音、数は・・・・百近いな。

 

「騎馬がおおよそ百、か」

「厄介ですね」

 

通常、騎馬と歩兵には絶対的な力関係がある。騎兵百騎で千の歩兵と同等、と言われる程だ。馬の持つ脚力、騎上からの長物による広い間合い、どちらも歩兵にとって強力すぎるのだ。・・・・まぁ、ここにいるメンツにとってそれほど厄介な事でも無いが。

 

「だが大した問題じゃあない・・・・だろ?俺らなら」

「・・・・確かに」

「っつーわけだ、椿、呂布・・・・やれるな?」

 

無言で頷き、それぞれが大槍と方天戟を構える。俺も大矛を、高順も長刀を構える。次第に近づく蹄の音、機は一瞬、恐らくは先頭を駆けてくるであろう頭領格とその周辺を固めているだろう連中を一息に始末する。それで他は混乱するだろう、逃げるならば本拠までの道案内とし、向かって来るだけの気概があるならば捕縛して勧誘するのもありだろう。

 

「・・・・おい、アレ・・・・」

 

目視出来る距離まで来た時、気づいた。統一された兵装、統率された馬脚、何より先頭に立つ将の立ち居振る舞い。間違いなくアレはどこかの正規兵だ、旗印は『龐』・・・・

 

「・・・・高順、『龐』って誰だ?」

「・・・・分かりません、少なくとも天水軍所属の者に龐姓の将はいない。長安や安定、擁州の将にもいない」

「わからんなら、やるしかあるめぇよ」

 

あーだこうだと考えても仕方が無い、ならば動くべきだ。

 

「お前ら何モンだ!!」

 

―――――――――

最近、隣の擁州の賊が涼州領内で色々と動いていると言う情報を得た。本来ならば擁州諸侯の誰かに許可を求めるべきなのだろうが、既に馬騰様を始めとした馬一族の方々がキレかけている。ヘタをすれば大軍を連れてその賊の討伐に動きかねない、そうすれば涼州に食指を伸ばそうと画策している中央の高官連中に馬一族を排除し涼州支配へと乗り出す大義名分を与えてしまう。

それだけは避けねばならず、何とか自分を始めとした百騎が秘密裏に擁州へと潜り込み賊を討伐する事で納得させたのだった・・・・が。

 

「お前ら何モンだ!!」

 

まさかイキナリ誰かに見つかるとは思わなかった、現れたのは四人。大矛を持つ青年、長刀を携えた男、大槍を肩に担ぐ少女と方天戟を持つ少女。四人ともが一騎当千、強者のみが持つ闘気を放っている。その中でも大矛を持つ青年は主君でもある馬騰に勝るとも劣らぬ覇気を放っている。

 

「・・・・人にモノを尋ねる時は先ずは自分、と教わらなかったかね?」

 

恐らくだが彼らは擁州軍の者、本来ならば彼らの質問に非は無い。だが、それでもなお聞きたかった。主君と同じ覇気を持つこの青年の名を、何を考え、何を思っているか、振るう武の重さ、とにかく知りたいと・・・・始めての感覚だ。

 

―――――――――

 

「人にモノを尋ねる時は先ずは自分、と教わらなかったかね?」

 

俺の質問に、まさかそう返してくるとは思わなかった。兵装からして益州軍じゃあない、そして擁州軍でも無いとなれば涼州軍か司州軍か荊州軍となるわけで。ヘタをすれば逆上して襲いかかってくるとも思ったが冷静に返してくるとは思わなかった。

 

「・・・・傭兵部隊『飛雷』を率いてる、李厳ってモンだ」

「益州の曇天を舞う雷、と評されたあの『飛雷』か」

 

なんだその評価、初めて聞いたぞ俺は。っつーか益州領内でしか戦った事ねぇのになんでそこまで名が知れ渡ってんだ?

 

「何故名が益州領外に広まっているか、と言う顔をしているな。単純な話、それだけキミらの戦いざまが鮮烈で華があったからだ。例えキミらにその自覚があろうが無かろうが、それだけキミらの戦いは周囲を惹きつけたと言う事だ」

「へぇ・・・・」

 

風評、ってやつか?そう言えば桔梗さん、俺たちが活躍するととにかく『飛雷』の名で勝ち名乗りをさせていたがそういう事だったのか。これから先、広い中華に打って出るには必要なものだ。矢張り桔梗さんには感謝だな。

 

「さて・・・・いい加減質問に答えよう、私は龐徳。涼州刺史馬騰配下の将、此度・・・・白波賊の涼州侵入を受け、先手を打ち討伐するために此処にいる」

 

龐徳と名乗った男の、眼前へと進み出たのは高順だ。

 

「私は天水太守董卓が配下、高順と申します。龐徳殿、貴殿ら涼州軍が擁州に入るという話は聞いておりませんでしたが・・・・まさか無断での侵入でしょうか?であれば涼州刺史の釈明、及び・・・・」

「・・・・無断での侵入だ、それについては謝罪しよう。だが・・・・こちらの話を聞いて欲しい、全ての判断はそれからにして欲しい」

 

高順と龐徳がにらみ合う中、俺は二人を交互に見比べながら椿へと問いかけていた。

 

「なぁ椿、どう思うよ?」

「?」

 

何が?と言いたげに首を傾げる椿、俺は笑いながら答えた。

 

「あの二人、欲しいな」




第七話でした。因みに・・・・英雄譚キャラは出演予定は今のところ無いです。未プレイだからキャラが把握できませんで・・・・次回はVS白波賊です。

そしてお気に入り登録数が百を越えました!皆様マジありがとうございます!今後共宜しくっす!
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