「きゃぁぁぁぁああぁッ!?」
モンスターを駆逐し、年の近いネプギアとユニが仲を深めている中、突如悲鳴が上がった。
聞き覚えのある声に、音源を振り向いてみると、そこには倒れているアイエフとコンパ、そして、プラネテューヌで見た
「はんっ、てめぇらなんざ、エミヤがいなけりゃ、楽勝なんだよ」
「あなたは、下っ端!」
「下っ端って呼ぶんじゃねぇ!」
条件反射で、叫び返す下っ端は、かつて味わった屈辱に燃え、戦意を滾らせている。
プラネテューヌのゲイムキャラの破壊に失敗した、下っ端だが、その失態は咎められることはなかった。
なにせ、相手は
むしろ、エミヤを相手に生き残り、エミヤの狙いを持ち帰ったことを逆に賞賛されたくらいだ。
しかし、その賞賛が、彼女のプライドを傷つける。
失敗を褒められて喜ぶような殊勝な性格ではない、彼女は、今度こそ使命を果たして見せると、ラステイションのゲイムキャラ捜索を行っていたころに見えたのが、ネプギア一行。
下っ端呼ばわりされた屈辱を思い出し、エミヤがいないのならばと奇襲を仕掛け、手柄を立てるつもりでいる。
「マジェコンヌの……
いいわ、ネプギア、下がってて。
あんな奴、アタシがやっつけてあげる」
「ううん、私も戦う。
私の大切な人を傷つけて、絶対に許さない!」
しかし、下っ端には大きな誤算があった。
対峙するは、未熟とはいえ女神の力を宿す少女たちであるということを。
「ハッ、意気がってんじゃねぇよ!
この間はエミヤにやられたが、あいつさえいなけりゃ、てめぇらみたいなガキんちょ二人、けちょんけちょんに……ん?」
光に包まれるユニの体。
その光の先には、黒いレオタードに身を包み、黒の髪を白に染め、瞳に
その手に持つ、身の丈よりも大きい漆黒の巨銃は、獲物を求め
「な、なんだそりゃ!? 聞いてねぇぞ!?」
「瞬殺してあげる!」
巨銃より打ち出される弾丸は、まさしく魔弾。
手に持った鉄パイプで、防御しようとするがその重みに耐えられず、弾き飛ばされる。
「さぁ、覚悟しなさい!
ラステイションを荒らす、お馬鹿さんは、このアタシが成敗してあげる!」
丸腰の状態で向けられる巨銃に、歯噛みする下っ端は、フードの内から、一枚の札を取り出した。
「クソがッ! エミヤ対策に持たされたってのに、てめぇらなんぞに使うハメになるとはなぁ!」
召喚札から、現れるのは、犯罪組織が作りだした、破壊兵器イプシロン。
四足で歩行するイプシロンの背は甲殻で覆われ、背負う光学兵器は、人間を簡単に殺すことが出来るレーザーを放つ。
「―――――――ッ、ネプギア、ここはアタシが抑えるから、早く逃げなさい!」
下っ端相手だけなら問題ない、だが、未知数の兵器を持ち出されては、ネプギアを護りながら戦うには分が悪い。
そう判断した、ユニは、自身が囮となり、ネプギアを逃がしてから戦うつもりでいた。
だが、それは、同じ女神の証を瞳に宿した、ネプギアの姿を見て霧散した。
「私が、あの機械を壊すから、ユニちゃんは、下っ端をお願い!」
目を見開いて驚くユニを背に飛び立つネプギアを敵と認識したイプシロンは、背負った光学兵器から
女神と言えど当たればタダでは済まない光線は、ユニの魔弾に匹敵するだろう。
だが、ネプギアの目に恐怖はない。
怒りを胸に、放たれる光線を全て紙一重で避け、疾走する。
―――――――――――この程度で、この程度の兵器であの人を抑える?
自分が超える壁として、高くそびえる悠理を侮辱されたようで怒りが胸に宿る。
一向に当たらないネプギアに、イプシロンは、攻撃のテンポを加速させ、疾走するネプギアの視線の先は、光線の雨だ。
―――――――――――こんなの怖くない、あの人の矢はもっと速くて、強くて、精確だった!
こんなもの恐れるに足らないと、さらに速度を上げながら、光線の雨を躱し、時には手にもつ
エネルギーを使い切ったイプシロンがチャージに入った一瞬の隙に、光弾が、光学兵器を精確に打ち抜く。
「
爆発音の後には静寂が訪れ、その剣先は静かに下っ端へと向けられる。
「ち、ちくしょう! 汚ねぇぞ! 女神候補生が二人がかりなんて……
お、覚えてやがれーッ!」
三文役者の捨て台詞を言い捨て逃げていく下っ端は、とっくに二人の意識の外。
「―――――――――ネプギア、アンタ……」
「ユニちゃん……ユニちゃんがラステイションの女神候補生だったんだね。
よかった、私、ユニちゃんのこと探してたの!」
苦悶の表情を浮かべるユニ。
対称的に喜びの笑顔で、ユニの元へと駆けよるネプギア。
「私と一緒に戦ってくれるよね?
お姉ちゃん達を助けて、ゲイムギョウ界を救うために!」
断られるとは露程に持っていないネプギア。
悠理を超えると誓ったが、一人で、ゲイムギョウ界を救えるというほど自惚れてはいない。
少なくとも、当面の危機である犯罪組織を壊滅させるには、ゲイムキャラと各国の女神候補生の協力が必要だと想い、また、ユニも同じ気持ちであると思っていた。
「触らないで!」
しかし、その手は、強い拒絶の意志によって跳ね除けられた。
「なんで……なんで、アンタがここにいんの!
なんで、お姉ちゃんじゃなくて、アンタが!」
「――――――ッ、それは……」
その問いに答えることはできない。
何故なら、一時とはいえ、それはネプギア自身が抱いた疑問だからだ。
「三年前、アタシは連れて行ってもらえなかった。
アタシだったら、助けられたかもしれないのに!
アンタじゃなくてアタシだったら!」
それは、ユニ自身も弁えている事。
今でさえ未熟なユニが、三年前に付いて行ったとしても、足手纏いにしかならないだろう。
それでも、言わずにはいれなかった。
帰ってきた女神が、ユニの姉であるノワールだったら、余所者である悠理に助けを求める必要なんてなかった。
―――――――――――こんな、惨めな想いをすることもなかったのに!
「――――――――確かに、私は三年前何もできなかった……
でも、今は違うよ、ユニちゃん。
私は、女神としてじゃなくて、この世界に生きる一人として、この世界を救うって決めたの。
だから、手を貸してほしい、私と一緒に戦って」
その、無遠慮な言葉の刃を、ネプギアは強く受け止めた。
もう、女神の使命の重さには押しつぶされない、三年前の弱い自分が作った負債から逃げない。
その強い姿は、強い姉に、強い悠理に、劣等感を抱くユニには眩しすぎた。
「―――――――うるさい!
話しかけないで……! もう、二度と話しかけないで!」
「待って、ユニちゃん!」
走り去るユニを、追いかけようとするが、気絶している二人を置いていくわけにはいかない。
小さくなるその姿は、女神の重責に耐えきれず悠理に泣きついた自分の姿を重ねて見えたのだった。
読み直してみると、誤字脱字が多いこと多いこと……
一応、投稿の前に読み直しているんですが、これがなかなか……
ともあれ、ユニとの決闘フラグも建てたことで、さくっとラステイション編を進めていきたいと思います。
それではまた次回、さようなら