星崎 祈は勇者になる   作:小鴉丸

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第十一話 守り守られる関係

〜祈side〜

 

 

「(守り守られる関係か……)ははっ……頼もしい『勇者』だね」

 

心強い、これなら負ける気がしない。

 

「行こう!みんな!」

 

それぞれの戦闘用の衣装に変化する。そして僕らは大橋へ向かった。

 

 

 

 

 

〜園子side〜

 

 

大橋に着いた私達はそれぞれ強い気持ちを持って敵を待っていた。

 

「みんなを守るわよ!銀!」

 

「おう!任せろ!前みんなに迷惑をかけたからな」

 

わっしーとミノさんはいつでも敵が来ても動けるように構えている。

 

「無理はしないでね〜」

 

そんな会話をしている時に。

 

「敵だ……」

 

祈くんが奥を見据える。そこにいたのは布らしき物を身につけたバーテックスだった。

 

「わっしー!」

 

「了解!」

 

合図とともに戦闘が始まった。わっしーが弓で文字通り、天から矢の雨を降らせた。そのあいだに私、ミノさん、祈くんが敵に接近する。

 

「僕があいつを消滅させる。だから合図を出したら後ろに下がって」

 

「了解!」

 

そこで祈くんは足を止める。敵の方を向くと布の部分を大きく回転させて、矢を巻き落とされた。

 

「まだまだっ!」

 

須美は次々と矢を発射していく。

 

「凄いな……よし!負けてられねぇな!!」

 

「うん〜!行こうミノさん!!」

 

ミノさんと私で交互に攻撃をする。素早く攻撃を繰り返し敵を錯乱させ、ミノさんが大きな一撃を加える。

 

「うおおぉぉぉっ!!!!」

 

「勇者は根性〜!!!」

 

攻撃を受けながらもバーテックスは尻尾と思われる部分から、何かの塊を射出した。

 

「! 撃ち落とす!」

 

飛んでくる塊に対して矢を命中させた。矢は塊を穿つ。その塊はわっしーに届く前に爆発した。

 

「ミノさん!」

 

「おうとも!須美!」

 

「ええ!」

 

その隙を見てわっしーが援護する。そうして少しづつ追い返していく。

 

数分後。

 

「(もうそろそろかな〜?)」

 

チラッと祈くんの方を見る。

 

「……みんな!下がって!」

 

私達が下がる時にはバーテックスは後退を始めていた。そこに祈くんが追い討ちをかける。

祈くんは刀に炎を宿してバーテックスに迫る。

 

「これで………っ!?」

 

炎の刀を横に薙ぎ払おうとしていた祈くんの体がガクンと崩れ、炎が消えて刀が地面に落ちた。

 

「祈!?」

 

「くっ……ごめん」

 

バーテックスはそのあいだに壁の外に逃げていった。

 

「祈くん大丈夫?」

 

わっしーが祈くんに駆け寄ってきた。

 

「うん?だ、大丈夫?」

 

「何で疑問形なんだ?」

 

「あ、いや、何でも無い」

 

戦いが終わって結界が解かれる。私達は大橋記念公園に転送された。

 

「ふ〜、無事に勝てたね〜」

 

「でも祈、さっきはどうしたんだ?」

 

ミノさんが祈くんに質問する。

 

「視界が少しぼやけて……」

 

そう言って片目を手で隠す。

 

「大丈夫なの?」

 

「今は大丈夫だよ。ごめんね心配かけて」

 

「それなら良かったよ〜」

 

でも気になることもある。

 

「(本当に大丈夫かな〜)」

 

 

 

 

〜祈side〜

 

 

大橋記念公園に転送されて僕らは解散した。

さっきの戦いの途中に『火之迦具土』を星樹に宿した、だけど急に視界がぼやけて………。

 

『お前は俺だ』

 

声が脳に響いた。

それに気がついたら『火之迦具土』の力が消えていた。神降ろしは自分の意思に関係なく解除はされない。

 

「何だったんだ……あれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……知りたいか?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

あの時の声が聞こえた。

 

『俺もいつまでもこうしてても退屈だしな』

 

こうして?どういう事だ。

すると、僕の目の前から人が現れた。

 

「やぁ初めまして。俺」

 

「はぁ?」

 

会って早々そんなことを言われた。

でも、とても僕に似ている。鏡に写したかのように。

 

「俺、って名前は?」

 

「俺は……名前、かぁ。強いて言うなら『天照』かな」

 

「天照ねぇ」

 

ますます疑問だ。

 

「お前が神装を発動させるだろ、あれは俺の力を半分引き出すやつだぞ」

 

「引き出す?」

 

「ああ、だから言ってるだろ。お前は俺だって」

 

「あー、ごめん分かんない」

 

全く理解出来ない。

とりあえず話をそらす。

 

「この後君はどうするの?」

 

「……お前について行きたいが、もう少しだけ隠れとくわ」

 

「隠れるって、はぁ……」

 

何か聞き返すのがめんどくさくなる。

 

「じゃあな〜。祈〜」

 

そう言うと天照は僕の前からいなくなった。ほんとよく分からない奴だった、今度会ったらちゃんと話を聞こう。

 

「……帰るか。ん?」

 

端末が振動していたからポケットから取り出す。

 

差出人:三ノ輪銀

件名:明日何か用事あるか?もしも空いてるならアタシとどこか行こうぜ!

 

明日か。明日は何も無かったような気がする。断る理由も無いし……いいか。

僕は素早く文字を打ち返事を返す。

 

 

 

 

〜銀side〜

 

 

家に着いたら弟は寝ていた。それを確認したアタシは自分の部屋に入り、ベッドに横になった。

 

「はぁ〜〜、疲れた〜〜!」

 

一気に体から力が抜ける。弟を世話することもだが、寝ることや友達と会うこともアタシの心の安らぎだ。

 

「ん、メールか」

 

差出人:星崎祈

件名:いいよ。じゃあ明日銀の家に行くね

 

なんとオーケーが出た。

 

「(よ、よし!これはチャンスじゃないか!?)」

 

祈を誘ったのは理由がある。アタシ達三人の勇者は祈が好きだ。だから勝負みたいなのをしている。

それにアタシはあの時に好きなんて言ったから……

 

「(ひょっとしてこれは、祈に気づいてもらえるんじゃないか!?)」

 

何か寝る前にやる気が出てきだぞ。勇者は根性!それは恋愛もだ。押して押して、押しまくる!

 

「須美、園子悪いな、先に仕掛けさせてもらうぜ」

 

明日が楽しみだ。

こうも楽しみな日は今まで無かったからな。

そうしてアタシは眠りについた。

 

 

 

 

〜祈side〜

 

 

「おーい、祈ー!」

 

向こうから元気な声が聞こえる。

 

「おはよう、銀」

 

今日は銀とイネスに行くことになった。僕はどうせ暇だったからちょうど良かったけど……。

 

「ねぇ銀」

 

「どうした?」

 

イネスに向かいながら銀に話しかける。

 

「僕を誘うくらいなら須美や園子を誘って行けばよかったのに……せっかくの休みがもったいなくない?」

 

「はぁ……そんな事か……」

 

ため息をついてから僕の方を向き。

笑いながら。

 

「アタシは祈と一緒に行きたいんだよ」

 

「っ……そ、そう言ってもらえると嬉しい、かな」

 

あー、銀が可愛い。

そういえば今日の服はあの時園子の家で着たのにとても似ているし、より可愛く見える。

 

「あはは、今日は楽しくなりそうだね」




次の話はイネスでの話です。

次回予告

「やっと着いたー」

「ダメだ!意識するな!」

「あれって須美に園子?」

「何するの?」

「で、デート!?」

第十二話 勇者の休日
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