星崎 祈は勇者になる   作:小鴉丸

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ほかの方に影響されて僕も書いてみましたw

ゆゆゆ編が完結した後の話ですので祈、天照は自分達の役目を実行してる最中なので離脱中です。

ただの楽しみたいだけの作品ですので暇ならば読んでみてください。

軽いネタバレも含むので、嫌な方は注意です!

それでは、どうぞ!



特別編 花結いのきらめき
第一話 時代を越えて


~風side〜

 

 

「若葉ちゃん達……西暦の勇者は既に敵と交戦状態にあるみたいです。端末を見てもらえば分かるかと思いますが、戦力は二分されていて片方は未開放地区付近で戦っているのでそちらに戦力を回してください」

 

樹海化のアラームが鳴り響き神託を受けたひなたが私達に指示をする。

 

「おおう、これは距離があるわね」

 

端末のマップを見て思わず呟く。4:3で分けられていて3人の方が未開放地区付近で結構危ない状況だった。

 

「3人の方に私、友奈、夏凜、園子。中央で交戦中の4人には樹、銀、東郷。これで行きましょうか」

 

「りょーかいだよ~部長~」

 

「西暦の勇者、いったいどんな人達なのかしら……」

 

「こ、怖い人だったらどうしましょう」

 

それぞれ言葉を漏らす。

 

そんな中ひなたが付け加えるように一言言った。

 

「あ、待ってください。それとどこの勇者かハッキリとしませんが別に4人迷い込んでるようです。若葉ちゃん達とは別に居るようなので見つけたら協力してあげてください」

 

「一気に11人の勇者と知り合う事になるのね、こりゃ大変だわ」

 

「戦力が増える。と捉えればいいじゃない」

 

時期部長にさらりと言われる。

 

確かにそう捉えると気は楽になる、気はね。

向こうはいきなりこんな空間に飛ばされたと考えると警戒を強めているだろう。それに今は交戦中……いくら自分達と似たような姿の人物が現れても“仲間”と捉える事は不可能だ。

 

自分なりに考えて思わずため息が出てしまう。

 

「こういう時に星崎ファミリーが居ればね~」

 

この場に居ない勇者部員を呼んでみる。祈、天照、栞那はバーテックスとの最終決戦が終わった後に壁の外に行ったのだ。それは今代の勇者の使命が終え、次の代の勇者に託す為の時間稼ぎをする為に……祈達の使命を果たす為に。

 

「この時代の祈くんですか……。でも彼は外に居るんですよね?」

 

「でもこの状況、案外この世界に居たりしてな」

 

ひなたの言葉に銀がさらっと自分自身の希望を言う。

 

「あんた達、敵は来てるんだから行くわよ。西暦の勇者を助けるんでしょ」

 

夏凜が少しそわそわしながら言った。理由は恐らく……。

 

「そうね。栞那を助けに行かないとね」

 

笑いを含みながら夏凜の肩に手を置いて戦場へ向かう。後ろで夏凜が何かを言ってるが、それを無視して勇者部に部長として指示を出した。

 

「今回の目的は西暦及び所属不明の勇者4人の手助けよ! 間違っても同じ勇者なんだから揉め事は起こさず連携を取りなさいよ? それじゃあ、勇者部ーー──」

 

「「「「「「ファイトーーーー!!!!」」」」」

 

「ちょっ!? 私はそんなんじゃないわよ!! 違うからね!?」

 

 

 

 

〜若葉side~

 

 

「若葉、大丈夫か?」

 

「あ、あぁ。すまない無駄な心配を掛けたな」

 

額についた汗を拭い、刀を杖のようにして立ち上がる。

 

「無理しないでくださいね若葉さん! 私だって頑張りますから!」

 

ははっ、力強いな。

 

突然ワープした先は、視界に入る限りのバーテックスに埋め尽くされていた。この場にいるのは私、祈、杏だ。友奈達は別の場所に飛ばされたのだろう。

 

「……! バーテックス来ます!」

 

杏が声を上げて知らせてくれる。奥を見るとうじゃうじゃとバーテックスが埋め尽くしていて一面が真っ白に見える。

 

「一体何匹いるんだ?」

 

「考えても仕方ないだろ。行くぞ、俺が切り込むから続いてくれ。杏、支援を頼むぞ」

 

「は、はいっ! 分かりました!」

 

そう言って祈が先行する。

 

神炎を宿した祈の刀で星のように無数のバーテックスを横薙にする。だが、減ったという気は全くせずにむしろ増えたようにも思える。

 

後ろでは杏が矢を連射して支援をしているが、気休めにもならないだろう。

 

「乃木若葉、続くぞ!」

 

居合切りをして私も祈の援護に入る。だがやはり手数が足りない。

 

「(くっ──! 厳しいな、祈もあまり力は使えないだろう。せめて、せめてあと1人くらい居れば……)」

 

徐々に押されているのが自分達でも分かる。突破出来るかもしれない方法はある、あるんだがこの後ろにも控えていると思うと今使うのは勿体無い。

 

と、その時だった。

 

「「「「うぉぉぉおおおりゃぁああああッ!!!!」」」」

 

声が聞こえたかと思うと空から何かが落ちてきた。それはバーテックスどもの中心に落ちて一気に吹き飛ばす。

 

「な、何だ?」

 

「増援、ですか?」

 

その謎の落下物のおかげで敵の進行が一時的に止まった。その間に落下物に私と杏は近付こうとする。

 

「待てお前ら。警戒しろ、敵かもしれないんだぞ」

 

「す、すいません……」

 

そうだ、ここは私達が知らない場所、つまり何が起きてもおかしくない。

 

「すまない、気を抜きすぎたようだ」

 

私と祈は落下物の方向へ武器を構える。先程の衝撃で起きた砂煙が徐々に晴れていき、影が見え始める。どうやらこちらに歩いてきてるようだ。

 

「油断するなよ。敵かもしれないからな」

 

こう祈は言っているが、その影は人の形をしている。すこしは気を緩めても──。

 

「(いや、こんなだから千景に怒られるんだろうな私は)」

 

迷いを払い、意識をその謎の影に向ける。そして霧は少しずつ晴れていき──。

 

「あら? 祈じゃない! 帰ってきてたなら連絡してよ〜!」

 

向こうは私達……いや、祈が見えると顔を緩ませて近付いた。黄色い大剣の人物は祈の背中をバンバンと強く叩いている。

 

「はぁ? お前誰だよ、馴れ馴れしいぞ」

 

パシッとその人物を払う。

 

「え~! 祈くん~忘れちゃったの〜?」

 

とてとてと紫の槍使いが祈に抱きつく、が。

 

「だから馴れ馴れしいって言ってるだろ。──挑発なら乗るぞ」

 

「わぁぁああっ!!!! 祈さんストップ! ストップです!!」

 

逆効果で祈が星樹を抜こうとする。だけど杏がそれを阻止してくれた。私がホッと胸をなで下ろしていると栞那に似た服装の人物と友奈のような人物がゆっくりと歩いてきた。

 

「すまないわね、乃木若葉。うちのチームのやつらが迷惑を掛けて」

 

「ごめんね〜若葉ちゃん」

 

何故名乗ってもいないのに私の名が知られているんだ?。

 

私は戸惑いながらも返事をする。

 

「あ、あぁ。こちらも短気なやつがいてすまない。……それよりもどうしてこの場に? それに私の名も知っているようだが」

 

「警戒させたわね。私達はあなたと同じ勇者よ、この世界のだけどね。事前に話はひなたから聞いてるわ」

 

「ひなたを知っているのか!?」

 

勇者という言葉にますます戸惑うが、それ以上に親友の名前を聞けて安堵する。

 

それにしても勇者だと? この人達は諏訪の白鳥さんじゃないだろうし……、そう考えると九州などの勇者なのか? いやだが……。

 

「この“世界”だと? どういう事だ?」

 

「それはね──」

 

友奈に似た人物が教えてくれようとした──のだろうが、その場に他の人物が2人歩いてきた。

その人物というのは片方は二丁斧を、そしてもう片方は弓を抱えていた。

 

「お~! マップ通りだ! ほら須美、罠じゃないぞ!」

 

「もう……それでも警戒はしなさいよ。今は4人じゃないんだから……」

 

こ、子供? いや私達も子供だが、これは……。

 

現れた人物達は私達よりも小さく小学6年生くらいだろうか? 私が再び困惑する中、2人の小さき少女は楽しそう(?)に会話を続ける。

 

「そもそも、この地図も急に追加されてて敵の罠かもしれなかったのよ? それを銀は──」

 

「あー! あー! でもほら結果的に勇者と出会えたじゃないか! こんにちはー! ほら、須美も挨拶挨拶!」

 

「え、えぇ……? こ、こんにちは……」

 

「あ、ああ」

 

ペコリ、頭を下げられて釣られてしまう。私がそうしていると祈と杏達が近付いてきた。

 

「疲れた……」

 

「あはは、祈さん……」

 

とても疲れきった様子で祈は地面に座り込んだ。その2人の後ろから先程の2人の勇者もこちらに来る。

 

「あら、今度は銀が居るわね?」

 

大剣の勇者が二丁斧の勇者を見て驚いた。紫の槍使いは2人を見るや否や抱きつくという謎な行動をとる。

 

「わぁ〜! 昔のわっしーとミノさんだ~!」

 

「わわっ!? だ、誰ですか!?」

 

「この匂い……そのっち?」

 

私はその光景を見て心から思った。

 

「(一体何なんだ、この場所は)」

 

他の勇者は大丈夫なのか? こんな馴れ合いをするよりも、向こうに増援に行った方が……。

 

と思っていてる時だった。

 

「園子、敵が来たわ」

 

その言葉て前を見ると再びバーテックスの群れが近付いてきていた。

栞那の勇者装束に似た勇者が抱きついていた勇者に注意をする、その勇者は「ごめんね~」と言い立ち上がった。上から落ちてきた勇者は私達3人を手助けするように前に立ち並んだ。

 

「ま、警戒されてるようだけど私達は味方よ。言葉だと説得力は無いけど、信じてくれれば助かるわ」

 

大剣の勇者が語り掛ける。それに答えたのは祈だった。

 

「数は多い方がいいから今はその安い言葉を信じてやる。若葉、杏。今はこの勇者と連携をとる、だが何かあったらこいつらを迷わずに攻撃しろよ」

 

「了解した」

 

「は、はい!」

 

そんなぎくしゃくしてる私達の間に割り込む人物──小学生の少女達が居た。

 

「アタシ達も手伝いますよ!」

 

「力は無いけど、私達でも支援程度にはなると思います」

 

戦力は少しでも多かった方が助かる。徐々にバーテックスの群れが近付いて来る中、連携をとるためにそれぞれの名前を確認する事にした。

 

「すまないが名前だけ教えあおう。連携をとるなら尚更だ。私は四国勇者、乃木若葉だ」

 

それに続いて祈と杏が言った。

 

「勇者、星崎祈だ」

 

「同じく勇者、伊予島杏です。よろしくお願いします」

 

私達3人の紹介が終わると大剣の勇者がいるチームの面々が口を開いた。

 

「勇者は助け合いよね! 私の名前は犬吠埼風よ!」

 

「讃州中学2年、結城友奈です!」

 

「三好夏凜よ。よろしく」

 

「乃木園子です~、よろしくね~」

 

そして最後に二丁斧と弓の少女が紹介をする。

 

「三ノ輪銀です! 力にだけは自身があります!」

 

「神樹館6年、鷲尾須美です。微力ながらお手伝いします」

 

祈はピリピリしてる部分はあるが、戦力がこんなにも増えたのは助かる。これならこの場面を乗り切れると思う。

 

気合を入れて武器に手を掛ける。

 

「(来るなら来いバーテックス! 私達は、負けない!)」

 

新たな戦力を加えて、再び戦闘が始まった。

 

 

 

 

〜須美(ゆゆゆ)side〜

 

 

「西暦勇者は交戦中。銀、樹ちゃん西暦勇者の支援をして、私は後ろから狙撃をするわ」

 

「は、はい!」

 

「任せなってね!」

 

支持を出すと2人が跳躍して交戦中の場所に飛び降りるのが見えた。それを確認した私は銃を構える。

 

「(友奈ちゃんに似ている人が居るわね……。西暦組の武器は……手甲、大鎌、旋刃盤、薙刀ね。昔の天照さんはそのっちの方に居るのかしら、逆にこっちには栞那ちゃんが居るけど……)」

 

状況を判断、個人的な思考をすこしして標準を定めて発砲する。恐らく銀達が私の狙撃を説明してくれたのだろう、自然に消えゆく敵にあまり疑問を持ってないように思える。

 

1度スコープから目を離し端末で周囲の情報を確認する。

 

「これは……?」

 

そこには正体不明の2人が移動している事が分かった、それも移動先は銀達が応援に言った場所だ。もしかしてこれが、ひなたさんが言っていた迷い込んだ人物なのだろうか?

 

「(敵、じゃないわよね? 少し確認してみようかしら……!?)」

 

スコープで移動中の2人を見てみる。その正体を見て、私は驚いた。

 

「祈くんと、そのっち……? でも……」

 

考えている間にも2人は交戦中の場所に飛び降りる。私は意識を切り替えて再び、狙撃を開始する事にした。

 

「考えても仕方ないわね、気になる事は後に回して今は支援を──」

 

 

 

 

~祈(わすゆ)side~

 

 

「園子もうすぐ着く?」

 

僕が園子に聞くと端末を見て教えてくれる。

 

「うん〜、もうすぐだよ~」

 

僕らはいきなり謎の空間に飛ばされた、そのうえ他の2人と離れてしまうという事態が発生していた。

 

「それにしても地図なんて機能があったんだね〜」

 

「いや無かったでしょ、恐らくだけどこの空間に来て追加されたんじゃないかな」

 

お姫さま抱っこで抱えている園子が、腕の中で呑気に柔らかな表情で言う。園子曰く「祈くんの腕の中にいると落ち着く」との事らしい。

 

「それにしても空を飛ぶなんて貴重な経験、滅多に出来ないから嬉しいなぁ〜」

 

僕はとある場所に移動するために、神装で宙に浮いている状態だ。

 

因みにその“とある場所”というのは地図の点が集合している部分だ。

 

「現実の空を飛んでみたいけどね。それよりも他の勇者と合流しないと……」

 

「この点って本当に勇者なの~?」

 

「勇者、じゃないかな。僕らと同じく青い点だし、ほら今動いてるのが僕ら」

 

説明をしながら徐々に近付いていく。すると奥に続く、白い集合体が見え始める。

 

「あれ、全部バーテックス……?」

 

園子が目を見開いている。それは僕も一緒だ、だが少し違う意味で驚いている。

 

「(この光景、あの時の光景か? でも──)」

 

1度僕は未来に飛ばされて、成長した園子と剣を交えている。その時の光景に所々似ているのだ。

小型のバーテックス、周囲に張り巡らされた神樹の根。そしてこの空間……。一致する点が多すぎる、もしかしてまた未来に飛ばされた? と考えてしまう。

 

「! 祈くん! あれ見て~!」

 

指を下に指す。それに釣られて下を見ると、数人の人間がバーテックスと戦っていた。

 

「当たりだよ〜祈くん! 手伝いに行こう!」

 

両手をグッとして「勇者は根性〜!」と気合を入れている。

 

「よし。それじゃあ──行こうか園子!」

 

「うん!」

 

神力でスピードを底上げしてその場所に僕と園子は降り立つ。

 

「援軍か!?」

 

「……あなた達は?」

 

突然の登場に驚いている勇者に僕らは名を名乗った。

 

「神樹館6年、乃木園子です〜! 状況はよく分からないけど、お手伝いに来ました~!」

 

槍を取り出して敵を攻撃してから言う、その園子に続いて僕は星樹に力を降ろして紹介をする。

 

「同じく神樹館6年、星崎祈です! 安い言葉ですけどあなた達と敵対する気はありません! 戦いに参加します!」

 




取り敢えずゆゆゆ組、わすゆ組、のわゆ組の合流です。無理矢理感が目立ちますね……自分でも反省はしております。

こっちは地道に投稿していくので、もしも続きが楽しみという方がいたら気長にお待ちください。

それでは読んでもらいありがとうございました!

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