魔法少女リリカルなのは The Annihilation Swords and Fists   作:zwart

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最後遊びました。ええ、あの作品大好きなんで。


もうひとつの物語 序章

フェイト、アルフ勢となのは、管理局勢のジュエルシード集めはほぼ拮抗していた。

 

残る石は12個。フェイトは集めた石を一度ブレシアに渡す為に時の庭園に向かった。

 

「そうだ、ケーキも買って帰ろう」

 

「そんなのあのハバアは……いや、そうだね。買っていこうか」

 

適当な店に入り、無難にショートケーキを買う。

 

あれから高町なのはにも遭遇しないし、栗原葉木も見かけない。高町達と会わないのは邪魔をされないので良いことなのだが。

 

人目を避けて魔法陣を展開、座標を入力して母の元へ跳ぶ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

時空航行艦アースラの中は、以外と広い。以前船(というか軍艦)に詳しいクラスメイトが語っていたのを聞き流したがそういう船の通路は人がすれ違うのも難しい筈だったが、そんな所はどこにもない。

 

「あ、クロノくんなの」

 

向こうから管理局の執務官をしているらしいクロノ・ハラオウンが歩いてくる。声を掛けたら眼があって、

 

「なのは、どうかしたか」

 

───近寄りがたいの……。

 

別に睨んでくるとか、嫌われてるとかいうわけじゃない。とことん事務口調なだけで、何だか生活の100%が仕事みたいな、そんな感じなのだ。

 

「どうもしないけど、その目のクマ、大丈夫?寝ないとだめだよ」

 

「問題ない。仕事は出来ている」

 

───問題だと思うんだけどなあ。

 

元々仕事中毒だったらしいが、ここまで酷くはなかったらしい。私がアースラに最初に来た日を境に悪化したとか。原因は私じゃないらしいけど。その日帰り際にNNNNNNOOOOOOOOOOOOOOOOHAAAAAAAAAAAA!!! という絶叫が聞こえたが、大体誰の仕業かは分かっている。学校でも不良がたまに似たような叫びをあげるから。でもSANADAって何だろう。

 

「葉木くんも少しは自重しないと、被害者がちょっと不憫なの」

 

「タカマチ、スマナイガシツレイスル」

 

言うが否やスタスタと物凄いスピードで部屋に歩行(・・)していった。

 

───あ、葉木(この言葉)今はクロノくんに禁句だったの。

 

さっきより三倍くらい怖くなったクロノの背中を見ながらなのはは内心で合掌した。

 

―――さてと、魔法の練習に行かないとなの。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

「ただいま、母さん」

 

時の庭園内の、いつもプレシアがいる研究室の前でフェイトは口を開いた。

 

今はアルフは居ない。プレシアは研究室に使い魔が入るのを嫌がるし、フェイトもプレシアに鍵を開けてもらわないと入れない。

 

「ああ、フェイト。ジュエルシードは集まりましたか?」

 

すぐに扉が開き、白衣のプレシアが気怠げに出て来る。フェイトは母の顔を見て嬉しくなったが、まずジュエルシードを渡すことにした。

 

「ただいま母さん、5個はあつまりました」

 

手を開き、母に見せる。

 

「………」

 

「少なくてごめんなさい。あの、変わりにケーキをッ!?」

 

バシンッ。

 

プレシアがデバイスの鉄鞭を取り出しフェイトを打ちつける。不意に襲った衝撃に受け身を取れずに背中から転倒。ユーザー保護の為にバリアジャケットが緊急展開され、手を放れたジュエルシードが床を舞う。

 

「たった、5つですか。これだけ待たせておいて……!!」

 

バシン、バシン。

 

「あああッ!?」

 

鉄鞭にプレシアの魔法による電撃が載せられ、非常展開のジャケットを易々と貫く電撃と打撃がフェイトの全身を襲った。

 

「ふざけないでッ。出来損ないの魔導師にしたって余りにお粗末だわ!!」

 

「ご、めん、な、さい……」

 

「聞こえないわよ!!」

 

打撃毎に大きく吹き飛ばされるフェイトの体を手足をバインドで縛り上げることで固定し、無茶苦茶に鉄鞭を打ちつけ続ける。

 

母による拷問は娘が気絶して動かなくなるまで続き、

 

「オイクソババア、フェイトに何してるんだよ……!!」

 

アルフが駆けつけたのはその直ぐ後だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

海鳴に一軒の大きな和風屋敷があった。内部こそ近代化された部分も多いが、その外見は塀の内外共に建築当時のままだった。

 

その屋敷の二階、角部屋は桐原真人の部屋だった。彼は自身で組み上げたデスクトップ型PCの前で椅子に座り、しかしキーボードには手を載せていなかった。

 

―――また葉木のヤツが学校を休んだ。

 

学校の皆や先生は風邪でもひいたとか、ズル休みとか言っているが、それは有り得ない。葉木は風邪をひきたくてもひけないくらい頑丈な体をしているし、無茶苦茶に見えても意外と真面目だ。

 

それに葉木は俺に隠しているようだが、俺だって血の臭いくらい知っている。家にある刀も血を吸ったものだ。葉木も苦労して消したりごまかしたりしたようだが、僅かに残っていた。

 

ピピッ、ピピッ。

 

検索域を関東に絞ってあるものを探させている自動の検索エンジンがまた当たりを引いた。

 

「こるで14件目か……」

 

検索内容は、失踪事件や殺人事件の内、Webにアップされて直ぐに削除されている(・・・・・・・)ニュースだ。消されてからの報告のため内容は読み取れないが、件数だけは確認できた。

 

最初は適当に見ていたニュースサイトの項目欄から突然消失したニュースを見るために別のサイトを探して、そのニュースだけがネット上から消されているのを見つけただけだった。

 

「これはマトモじゃない」

 

葉木の件と何か関係があるのだろうか―――?

 

その時、洋式に付け替えられたの扉を叩く音がした。

 

「真人、いるか?」

 

「爺ちゃん?どうかしたの?」

 

彼の祖父十蔵は余り洋式を好まず、洋風に改築された二階には普段は殆ど上がってこなかった。

 

「ちぃと、真人と話がしたくてのう。居間まで来てくれるか?」

 

一階から大声で呼ばなかったということは、妹や母には聞かれたくないのだろうか。

 

「分かった、今行くよ」

 

照明を消し、少し迷ってPCをそのままにして真人は階下の居間へ向かった。

 

「さて、真人。おまえはどう思うておる」

 

ちゃぶ台を挟んで正面に座るやいなや、十蔵は何の前触れもなくこんな質問をしてきた。

 

何をと真人は問わなかった。十蔵はボケたのでも孫で遊んでいるのでもない。この、武人の貌をした祖父は本気で問い―――恐らく試していた。

 

―――何を言えばいい。何故このタイミングで十蔵はこの貌をした。妹と母親に聞かせない理由は何だ。

 

二十秒程考え、真人は口を開いた。

 

「なんか、起ころうとしている?」

 

「具体的には」

 

「関東がキナ臭い」

 

十蔵は目をつぶり低く息を吐いて、言った。

 

「───合格だ。真人が答えを出すとは思わなんだがな」

 

「それは俺が異端だからか?爺ちゃん」

 

「何を言う。おまえの技もまた廃れはしたが我等が一門の一つ。異端なものか」

 

確かに修めんとする者は少ない道ではあるがな。と十蔵は苦笑し、続けた。

 

「確か三年生だったな」

 

「ああ、そうだよ」

 

「ふむ……。技も勘も、恥じぬものを持つと認識した。些か若すぎる気もせんでもないが───まあ、良いだろう。」

 

何か、先程までとは別種の緊張を覚えて真人は拳を握った。

 

「一門より「十」を預かりし者が任ずる」

 

「え、爺ちゃん……?」

 

この前置きを真人は聞いたことがあった。しかしそんな筈はない。俺がこの句を言われることなど……。

 

「桐原真人、ぬしを『武師』として、桐ヶ谷本家より与えられし名を用いることを認めよう───この意味が分かるか、真人」

 

呆然としつつも、何とか答えた。

 

「……桐ヶ谷の名の元に弟子をとり、有事においては戦力として本家に認識される……」

 

爺ちゃんや、あの人と同じ場所。

 

「そうだ。もうおまえの技はワシを追い越しあやつに近づいた。今の問答にも答えて見せた故、これからの事を説明する必要もない。だからおまえなんだ。―――名乗れ、孫よ」

 

───つまり、本家が動くくらいには大きなことが関東で起きて、その対応の為の即戦力として俺を爺ちゃんが選んだのか。

 

そんなことを頭の片隅では考えていただろうが、それでも殆ど呆然とした状態で真人は『武師』としての名を名乗った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「桐原真人を改め桐ヶ谷和人、桐ヶ谷十蔵より慎んで『武師』を拝命いたします」

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