魔法少女リリカルなのは The Annihilation Swords and Fists   作:zwart

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喧嘩

高町なのはは時空管理局の協力者としてアースラ艦長リンディ・ハラオウン提督の元でジュエルシードの回収をしていたため暫く学校に通っていなかった。

 

「今日は学校にいってきなさい」

 

当然なのはは義務教育期間中であり、比較的仕事のない日にリンディがなのはを学校に戻すのは何ら不自然のないことだ。ただし本人が通学をあまり喜ばなかったが。なのはもそろそろアリサとすずかにとってもらっているノートを回収しないと量が大変になるとは思っていたし、ついでにクラスの皆の顔を見ておこうと割と前向きに学校に登校した。

 

 

 

だが

 

 

 

 

三年一組出席者31/40名

 

天渦 ひかり:夏風邪で欠席

 

遠藤 豆男:改名が許可される年齢を引き下げてもらう為国と交渉に。

 

霧山 不隠:前日にボクシング部の先輩に呼び出されて返り討ちにした件で校長とオハナシ中。

 

桐原 真人:家の都合で欠席

 

栗原 葉木:限りなく不治に近い病気の闘病中につき欠席

 

磯城 竜也:複雑骨折打撲風邪その他で保健室登校

 

アリサ・バニングス:遅刻

 

藤沢 歩美:学校の備品を壊して謹慎中

 

弥生 涼音:不登校←これはいつものこと

 

欄外:担任の納歌群先生は前日に酔いつぶれている姿を居酒屋の息子が確認。遅刻と思われる。

 

 

都合9人の生徒+担任がバラバラの理由でホームルームに居なかった。

 

 

 

 

 

 

 

「おお皆喜べ!高町が帰ってきた。これで教室が少し賑やかになるぞ!!」

 

「「「うおおおおおおおお!!」」」

 

───え、ええー……。どうなってるの?確かに皆いつもそれぞれに問題起こしたり不登校になったりでHRに全員が集まったこと殆どないけど、3人欠席が普通だったけど今日は三倍少ないの!? 磯城君は学校休まないの!? そんなに解禁が惜しいの!? 最後に葉木君はどんな嘘ついてるのー!?

 

少し見ない間にカオス度が一段と増したクラスにトチ狂って稀代の問題児を三人も召還してしまった哀れなウサギのようになのははツッコミを入れてしまった。内心でだが。

 

―――あ、お腹痛くなってきた……。

 

余り休暇にはならない1日になりそうだとアースラの浮かぶ時空並みに深い溜め息をついてなのはは席についた。

 

どうでもいいがこれだけ欠席者がいて学級停止にならないのはそれぞれバラバラの理由で学校にいないからで、もっとどうでもいいが欠席または遅刻者九人のうち七人は学年トップレベルの成績優秀者だ。

 

「さあ皆、クラスの4分の一もいないけど気にせずに今日も元気に頑張ろう!!」「海鳴万歳!!」「一組万歳!!」「三女神万歳!!」「「「うおおおおおおおおおおおッ!!!!」」」

 

うわあテンション高いなあ……。でも何時ものことか。でも女神って何だろう。初めて聞いたけど。

 

隣のクラスの担任が雷を落としに到着するのは3秒後の話だ。そして納歌群先生の教員免許が執行されるのはもっと先だが確実にある話だ。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

学校帰りに、アリサの家に寄って遊ぶことになった。一応リンディさんに許可をとり、いつの間にかいたユーノくんを肩に載せてバニングス邸に向かう。

 

「全く、今までどこで何してたのよ」

 

その途中、やはりというか当然というかこの質問を受けた。

 

「……ごめん、ちょっと話せないないようなの」

 

「安心しなさい。答えを期待して言ってないから」

 

「うぅ…」

 

本当は隠さず言いたい。でも巻き込めないし、それでも胸は痛んだ。

 

「アリサちゃんは心配なだけだよ。私もだけどね」

 

「ちょ、すずか!? アンタねえ!!」

 

「ふふん」

 

つかの間、唖然とする。この空気は余りに軽くないかと。気を使って貰っているのは直ぐに分かった。

 

「……ありがとう」

 

「うっさい!! 絶対いつか聞いてやるから!!」

 

アリサちゃん、すずかちゃん。本当にありがとう。

 

 

 

 

 

「そういえば、昨日怪我した犬を拾ったのよね」

 

アリサの家に着いて、動物のいる広い前庭を通り過ぎる途中でアリサが思い出したように呟いた。

 

「犬?」

 

「そう。なんか毛がオレンジ色で、見たこと無いくらい大型犬なんだけど……あと頭のここんとこに赤い宝石が埋まってるのよね」

 

ほらあの子、と指差した先には確かにライオンでも入れるような檻が丁度いいくらい大型の犬が寝ていた。

 

「……え?」

 

確かにかなりの怪我を治療した後が残っていたが、なのははそんなことより問題なことに気付いた。

 

「(───アルフさん、だよね? )」

 

「(……アンタかい)」

 

試しに飛ばした念話に答えてくれた。やっぱりアルフさんだ。

 

「(どうしたのその傷。フェイトちゃんは?)」

 

「どうしたのなのは?」

 

「あ、ううん。何でもないよ」

 

つい、念話をしていたからアルフさんを見つめたまま黙り込んでしまった。そこへユーノくんが助け舟を出してくれた。

 

「(彼女からは、僕が話を聞いておくよ)」

 

「(うん、お願い)」

 

私は念話を聞き取りながらアリサちゃん達と屋敷に入っていった。話しているのはアルフさんとユーノくん。あと……クロノくんだ。

 

 

 

「(……アンタがいるってことは、管理局も聞いてるんだろうね)」

 

そうだ、と僕が答える前にクロノが先に言った。

 

「そうだ。正直に全部話してくれれば悪いようにはしない。君も、君の主も」

 

クロノは多分聞きたいんだろう、彼女の主フェイト・テスタロッサの母でありこの事件の主犯と目されるプレシア・テスタロッサのことを。

 

「(……分かった、全部話すよ)」

 

そしてアルフが語りだしたのは、ぐちゃぐちゃの母子の話だった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

なのははアルフの告白を聞いていて、途中から平静を装えなくなり一旦アリサ達のゲームしている部屋から席を外した。

 

鞭を打ち娘を奴隷のごとく『使う』プレシアと認めてほしくて、前のように母親に優しくしてほしくて従順に従うフェイト。その間にどのような暴力が満ちていようと変化しない歪な親子の関係。

 

───ひどい。

 

今まではフェイトと話をして、それから友達になりたいと思っていたなのはだったが、今はそれ以上に別の感情を抱いた。

 

「(なのは、聞いていたな。これから僕らはプレシア・テスタロッサの身柄確保に向けて動くことになるだろうが、君はどうする)」

 

「(決まってるよ)」

 

あのきれいな髪と目の、何度もぶつかったあの子と、友達になりたいあの子を、

 

「(私はフェイトちゃんを助けたい。だから私も行くよ)」

 

「(───了解した。だがどうする。今聞いた話だとプレシアのいる『時の庭園』は座標が一定していないから此方では追跡できないし、ここのところフェイトとも遭遇していない)」

 

「(あ、フェイトちゃんについては一応考えてることがあるんだけど───)」

 

あまりアリサ達を待たせていられないので部屋に戻ったなのははすずかからゲームのコントローラーを受け取りながら提案した。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

灰色の風景があった。

 

高度な技術により見上げる程高く建てられたビルが乱立して青空を覆い尽くしている。だがそれらの根元は40メートルいじょう海に浸かっており、人は住んでいない。否、全ての建造物は最初から人が住むようには作られていなかった。

 

これらは全て結界内にアースラスタッフが用意したレイヤー建造物。管理局の魔導師が使う数ある模擬戦ステージの一つだった。

 

「ここなら大丈夫だよね……。出てきて、フェイトちゃん」

 

たっ、と背後に誰かが降り立った。だがそれはフェイトではなく、

 

「あー、ちょっと待て、なのは」

 

「……え?」

 

フェイトを抱えた葉木だった。

 

「え!? 何で葉木くんがここにいるの?」

 

彼は空いている手でフェイトを指差す。その体はあちこちに傷がついていた。

 

「少し前にコイツが重傷の体で街中歩いてンのを見つけたんだが、コイツは一体……」

 

「栗原、葉木ッ!!」

 

突如魔法の五連射(スティンガー・レイ)が精確に葉木のみを狙って放たれた。バックステップで避けるその視線の向こうにはデバイスを構えたクロノ・ハラオウン。

 

「テメエにも用はあるが少し待ちやがれ。まだ治療が終わってねェンだよ」

 

更に別の動きがあった。

 

「もう、いいから、離して葉木」

 

フェイトがバリアジャケットを纏い葉木の手を振り払って宙に立つ。若干のふらつきは見られるが、その足は確実に魔法陣を踏みしめている。

 

「フェイトちゃん……」

 

なのはがフェイトの正面に立つ。クロノも杖を構え直し、葉木は氷風の刀身を呼び出した。

 

「この結界の広さならば二人を邪魔せずにもう一戦くらいは出来る。……投降するなら今のうちだ、栗原葉木」

 

「オーケー上等だ。肩慣らしに相手してやるよ執務官」

 

 

「ジュエルシード……。全部これが始まりだった。私は魔法に出会って、フェイトちゃんはこれを集めに地球に来た」

 

「……」

 

『put out all jewel-seeds』

 

『put out』

 

「バルディッシュ?」

 

主の命令を待たずに戦斧は四つの石を吐き出した。戦斧は何も言わない。ただ自身の姿を刃に変えるだけ。

 

「戦おう。全部のジュエルシードを賭けて。最初で最後の本気のケンカ」

 

なのはがレイジングハートを握り直し、互いのデバイスから吐き出されたジュエルシードを挟んでフェイトも意を決してバルディッシュを構えた。

 

『『『『counting.10』』』』

 

『9』

 

『8』

 

『7』

 

『6』

 

『5』

 

『4』

 

『3』

 

『2』

 

『1』

 

「「「ゼロッ!!」」」

 

青と黒、桃色とと金色が瞬いた。

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