魔法少女リリカルなのは The Annihilation Swords and Fists   作:zwart

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やっぱりクラスメイトも変人なのか?

家我が家に帰った俺はレジ袋からリボルバー拳銃を取り出して仕事(・・)部屋にある作業机に置いた。

 

やはり大きさに比例して重い。両手で構えても撃てる気がしない。

 

忌々しい"Princip"の文字を叩き潰してやりたい衝動を抑えて全ての弾丸を抜いて解体するが、殆ど普通のリボルバーと構造に変わりは無かった。恐らく衝撃は全てあの機械化義手のパワーで押さえ込んでいたのだろう。

 

テレビを付けてニュース番組にチャンネルを回せば海鳴市の解体が予定されていた廃ビルで銃撃された男の死体が見つかったらしい。発砲音を聞きつけた警察に確保される前に口封じ、といったところか。やはり危険を承知であの場で拷問すべきだったか。いや、あの程度の小物が有益な情報を吐けるとも思えない。だがせめてあの銃を配った人物の情報だけでも---

 

だめだ、思考が無限ループを始めてやがる。

 

部屋を出て無駄に幅のある廊下を突っ切って玄関に出た。靴を履き傘立てから木刀を手に取って表の庭に入る。気分転換がてらに木刀を振ることにした。我ながら大した脳筋思考だと思う。

 

玄関側の庭は、土台が少し盛ってある上に外回りには高めの坪と広葉樹が視界を遮る為殆ど通りからは内側が見えない。

 

因みにこの木刀は芯に鉛の棒を入れたので重い。あとこの間調子に乗って強度実験したら木刀より直ぐに木製の外郭が壊れた。完全な素振り仕様の失敗作だが造ってしまったものは仕方がないので完全に壊れるまで使うことにしている。

 

そんな愛刀(洞陣湖ではない)を手に、呼吸をするに等しい気分で素振りをする。これは転生してからの日課でほぼ毎日大体二百を数えた辺りで一旦手を止めて木刀を庭の天然芝に突き立てた。此処からは別の得物を使う。

 

「氷風」

 

ポケットから取り出した十字架に語りかける。そして彼女も応答した。

 

「Yes master」

 

左手に持つ十字架が僅かに輝き、魔法陣が手元に展開される。その中央からせり出した黒い柄を片手で握り引っ張り出す。

 

右手に慣れ親しんだ重量。それは今し方振っていた木刀より少しだけ軽いが頼りない訳ではなく、むしろ不自然なくらい頑丈だ。

 

それは鞘付の日本刀だった。柄頭と鞘の石突きから鯉口までたまに赤のラインやポイントがある以外は漆黒の、一メートルを超える刃渡りと40センチ程の柄からなる少し長めの打刀。

 

十字架---インテリジェントデバイス『氷風』を首に持って行くと細いチェーンが首を一周するように出現し、ペンダントのように葉木の首に掛かった。

 

そして空いた左手に鞘を持ち替え左腰へ、腰を落としてやや前傾姿勢に。

 

「………!」

 

無音の気合いと共に大地を蹴り------。

 

「あァ?」

 

不意に意味不明な気配を感じた。その異質さに首を傾げる葉木は自信のデバイスに疑問を丸投げした。

 

「魔力反応ですね。生物ではないようですが」

 

「近くにもう一つあるな。…これは、高町か」

 

「御学友ですか?」

 

「ああ、クラスメイトだな」

 

初めて会った時はその魔力保有量に戦慄した。結局自覚はないようだったが…

 

「違ったか?」

 

もう一つの魔力反応、高町が魔法を行使しているなら初めて見る自身以外の魔導師だ。面白い。

 

開けっ放しにした玄関の鍵を施錠して---ついでに木刀も傘立てに放り込み、2つの魔力がせめぎ合う夜の海鳴へ飛び出した。

 

 

 

 

 

魔力を追ってたどり着いた先は動物病院の近くだった。そこで葉木は砕け散った塀やアスファルトの道、電信柱と巨大な黒い生物というか塊。それから

 

「何やってんだオマエ」

 

「ふぇ!?」

 

コスプレみたいな格好をしたクラスメイトだった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

……ごく真面目に、同級生の奇行を無視するのならば、あの黒いのに高町が襲われている、ととれなくもない。

 

「高町、あれは敵か?」

 

「え、うん。多分そうかもなの……?」

 

……敵でいいや。攻撃開始。

 

手近なアスファルトの破片を拾い、黒いスライムに投石。ズガッと中央に穴を開けたが直ぐに塞がる。

 

「Guee?」

 

振り向いた。まあいい。

 

雪風を上段に構え、鞘走る。踏み込み、一度で比我の距離をゼロにする。

 

やはり斬れなかった。魔力でも通せばどうにかなるのか。

 

即座に雪風を収納し、氷風を展開する。刀身に魔力を這わせて試し斬り。

 

ザックリ。

 

おォ、斬れた。

 

「ミンチにしてやるよ」

 

斬、斬、斬斬、斬斬斬斬、斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬斬。

 

「よしミンチ完了」

 

『とりあえずオーバーキルです、マスター』

 

さて、振り返れば高町みたいなコスプレが突っ立っていた。頭の上に載せている小動物は、何だ。あんな生物地球上にいたか?

 

「す、すごい。あれを一瞬で…」

 

しかも喋りやがった。

 

「え、と…葉木くん?」

 

本日二度目だ、この質問。

 

「そォだが」

 

「えっと…」

 

というか、ちょっと待て。

 

「今の黒い奴、何だったンだ」

 

「それは僕が説明します」

 

喋る珍獣が前にでた。

 

「ああ、大いに説明願いたい状況だけどよ、先ずその前にやることがあるな」

 

「あ、はい。さっきのジュエルシードを封印しないと」「違えよ」

 

今立っている道路と、周りの住宅。ぐるりと首を巡らせればそれらは木っ端微塵に砕け散ってたり、真っ二つになっている。

 

「ここに長居してたら通報されンな。確実に」

 

事態に気付いたのか高町と幻獣は急にソワソワしだした。キメェ。

 

説明は俺の家で聞くことになったが、その前に高町がその辺に落ちていた小石を封印(?)して回収した。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

高町とユーノは栗原家に案内されてリビングの机についた。

 

「紅茶とコーヒー、どっちがいい」

 

唐突に聞いてきた葉木になのはは慌てて、

 

「えっと、紅茶を」「だがこの家にはコーヒーしか無い。麦茶はあるがな」

 

拒否られた。真顔で。

 

暫くして「悪かったな。茶は茶だからこれで我慢してくれ」と言って麦茶を出してきた後に、何となくなのはは思った。

 

今の、冗談だったのかな…?

 

だとしたら物凄くセンスが無い。いや、冗談と気取られないセンスがあると言うべきか。

 

何はともあれ二人は一匹の説明を聞く用意が出来た。

 

「えっと、先ずは自己紹介から、僕の名前はユーノ・スクライア。こことは違う世界から来ました」

 

ユーノの自己紹介から始まった説明は先ずミッドチルダ等様々な別世界、時空管理局の話から始まり、ロストロギアと彼の地球にやってきた経緯に終わった。

 

「大変だったんだねー」

 

「ええ、まあ。ところで栗原さん、今度は僕から質問しても良いですか?」

 

「ああ」

 

「そのデバイス、どうやって手にいれたんですか?」

 

「………………」

 

……あれ?葉木君?

 

 

 

 

 

 

『どうしますか、マスター』(念話)

 

どうもこうもない。神に渡されたとか言えないから何か適当にガセを…。

 

「ひ、拾った」

 

「ダウトで」

 

バレた。何でだよチクショウ。

 

『マスター目を逸らしましたから。実は嘘下手ですか?』(念話)

 

「ノーコメント」

 

面倒くさくなったらとりあえずコレだ。

 

一人と一匹と一台の「えー」という台詞and雰囲気をスルー。さらに高町に爆弾を投げつけて話題を変えることにした。

 

「ところで高町、もうすぐ12時だが家に帰らなくてもいいのかよ」

 

「あ」

 

「あ、じゃねぇよ。ったく……電話貸してやるから先ず連絡つけろ」

 

リビングの端を指差す。その先にあるのは固定電話(盗聴、逆探知対応済み)が鎮座している。

 

高町が電話している間にグラスを片づけることにした。テーブルを拭いているとき、足に重みを感じてそちらを向くと、珍獣…ユーノ・スクライアが前足を俺の右足に乗せていた。

 

「あの…僕にも水をくれませんか」

 

あぁ、完全に忘れてた。




この主人公は面倒くさいことは力ずくでどうにかしようとする非常に悪い傾向があるようです。……そんなつもりなかったのになあ。

あと葉木はバリアジャケットのことを完全に失念していました。使ったことなかったんですね、たぶん。
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