魔法少女リリカルなのは The Annihilation Swords and Fists   作:zwart

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協力するなんて一言も言っていない

学校があるため早めに起こした高町+珍獣が帰って行くと、俺は件のプリンチップ社製化物拳銃を本格的に解剖した。

 

薬莢を調べた結果、火薬が初めて見るものだった。それに伴い、よく見れば銃全体が分厚く、激発に耐えられるよう強化されている。何故昨日気付かなかったのだろう。

 

あんな下っ端がこんな化け物を持っているのならば、此方でも相応の準備が必要だろう。パイファー・ツェリスカクラスは最低でも必要だろうか。いや、あっても撃てない。S&W M500。そんなイロモノよりDE…これも大して変わらん。そもそも火力を上げれば対抗できるものなのだろうか。

 

というわけで

 

「ハロー、マスタング」

 

『あ、ポッピングリーフ。今日は何を買うの?』

 

「あんたが今揃えられる個人兵器で一番威力のある品は何だ?」

 

とりあえず毎度お世話になっている商人に電話で聞いてみた。

 

『ジャベリンATGMとか』

 

「恐いなオイ」

 

ジャベリンATGMとはつまり、対戦車ミサイルだ。

 

『要らないの?』

 

「買っとく」

 

『ん。なら何時もの口座に代金を振り込んで』

 

「了解。ついでに聞いとくけど、パイファー・ツェリスカを超える威力の拳銃に心当たりはあるか?」

 

『さあ?正規品には無いと思うけど』

 

やはり販売してる訳じゃないのか。

 

電話を切ると、時計が鳴った。時刻は9時。これは………学校はサボりか。仕方ない。今日は一日修行で潰そう。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

知らない土地を歩いていると、足元に心許なさを感じたり、何だか落ち着かない。でも母さんの為だから探す。公園、路地裏、眼と魔力反応を頼りに。それにしても、もう大分暗くなってきている。アルフはもう見つけただろうか。

 

ふと、やけに庭の広い家を見つけた。ああいう場所に落ちてないとも限らない。少しだけお邪魔させてもらおう。

 

高い塀を、飛行魔法で飛び越し、庭に入る。人が居ないことはバルディッシュが既に確認してくれている。

 

余り手入れされていない、林のような庭だが、屋敷の近くには開けた場所が見えた。とりあえずこの林を探そう、と屈んだ瞬間に、後ろから右手を掴まれた。更に背中を押され、屈もうとしていた身体が俯せに引き倒される。バルディッシュが叫んだ。

 

『敵です。マスター!』

 

「ッ!! バリアジャケット!!」

 

だがBJが展開されるより早く、私の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

「ん………」

 

目を開けると光に当てられて目を細めるが、すぐに慣れて、光が天井の蛍光灯のものだと解った。

 

何だか寝心地が何時もと違う。それに部屋も明るすぎる。自分達の部屋ではないのだろうか。

 

「やっと起きたか」

 

頭の方から知らない声が聞こえてピクリとする。同時に眠りに落ちる以前の記憶を思い出す。そうだ、私はジュエルシードを探しに民家の庭に入って………。

 

ゾクリとする。現地の人間に捕まったのだとすれば、どうなるのだろうか。

 

「何をビビってやがる。縄打った覚えも拷問した覚えもねェぞ」

 

「あれ?」

 

身を起こす。確かに体は自由だ。

 

「余り動くな。一応脳震盪でぶっ倒れた直後だからな」

 

言われたとおりにクラクラする頭で振り返ると、そこには自分と同じくらいの歳に見える黒髪の少年が盆を両手に立っていた。

 

「誰?」

 

「不法侵入したヤツの台詞じゃないな」

 

そういえば無断で入ったんだった。

 

「えっと、ごめんなさい。私の名前はフェイト・テスタロッサっていいます」

 

「栗原葉木だ。ところでオマエ、管理局か?それとも犯罪者か?」

 

「え?」

 

一瞬意味が分からなかったが、直後にその意味を悟った。まさか彼は局員なのだろうか。

 

「ヤバい見つかったって顔だな。管理局員じゃないなら素直にそう言え。イエスかノーだ」

 

「の、ノーです」

 

「なら良い」

 

は? と思う間もなく、膝の上にお盆が載せられた。上には湯気の立つ美味しそうなグラタンが載っていた。次に彼は私の前に椅子を持ってきて、同じように膝に盆を載せて私のと同じグラタンを食べ始めた。

 

「食わないのか?」

 

「あ、いただきます」

 

反射的にスプーンを手に取り、手を合わせてしまった。だが、すごく良い匂いで、しかも朝から食べてなかったので結局流れるようにスプーンを動かした。

 

「おいしい」

 

思わずそう呟いてしまった。でも事実、私はこんなにおいしい料理は初めてだ。

 

「ありがとう。やはり客観的意見が出るっつーのはいいモンだな」

 

何だか恥ずかしくなって夢中で食べた。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

よっぽど腹が減っていたのか、グラタンをパクパクたべる小さい不法侵入者は、何だか見ていて和む。何というか、小動物的な可愛らしさというのだろうか。保護欲みたいなものを感じる。

 

だが、本題に移ろう。ちょうど侵入者---フェイトも食べ終わったことだし。

 

「で、何でフェイトは俺の家に入ってきたんだ」

 

「えっと、石を探してたんです」

 

魔導師が探す石………なんだアレか。

 

「ジュエルシードを探してるのか」

 

「!知ってるんですか」

 

「というか、持ってる」

 

昼間庭で拾った。危うく震脚モドキの練習で踏み潰すところだったが。

 

その後フェイトに懇願されて、ジュエルシードを渡すことにした。ユーノ・スクライアに渡すのがベストなんだろうが、生憎明日から俺は国外に出る。何故日本にプリンチップ社の雑魚がうろついてるのか探る為だ。早朝に出るので学校で彼らに渡すことは出来ないし、出向こうにも高町家の場所を知らない。何より面倒だった。

 

「ありがとうごさいました」

 

「ああ。もう不法侵入はやるなよ。ロクなことにはならないからな。あと俺は暫くこの家に居ないから来るんじゃねェぞ」

 

来ないと思うが。というかアレを探すということはユーノの関係者だろうか。……いや、あいつが石を探すのは聞く限り順当だしたぶん合法だろうが、フェイトは恐らく非合法に集めているのだろう。どのみち俺が気にすることではないが。

 

玄関で頭を下げるフェイトを見送り、荷造りに入った。弾薬は向こうで調達するとして、銃とナイフは持って行くか。ベレッタpx4と大振りの折りたたみナイフ。ピッキングセット等を偽装して鞄に詰める。偽装パスポートは既に作ってある。

 

 

 

 

 

向かう先はオーストリア。第一次世界大戦の火種となったサラエボ事件で暗殺された皇太子の祖国。彼を殺した青年の名はプリンチップという。




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