魔法少女リリカルなのは The Annihilation Swords and Fists   作:zwart

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少しは休ませろ

……面倒くせえ。

 

栗原葉木は今手足を拘束され金属製の椅子に座らされていた。座る側の事を全く考慮していない垂直な背もたれは腰を痛めるくらいの用途しかないのだろう。

 

「答えろ。お前は何者だ、あの次元犯罪者とどういう関係にある!!」

 

「うるせえな。喚かなくても聞こえてンだよ」

 

「貴様!!」

 

あーあ、だりい。

 

 

事の発端は一時間前、葉木がオーストリアでの情報収集ついでのテロリスト(ゴミクズ)掃除(学校から見ればただのズル休み)を終えて日本に帰国した日の夕方に遡る。

 

 

 

 

***

 

 

 

 

久し振りに外人風の変装を解き、これまた久し振りに海鳴を歩いていると魔力の衝突を確認した。

 

「高町とフェイト……か?」

 

更にジュエルシードが一つ。そこそこ危険な状態だ。

 

自分の疲労と海鳴の危険を天秤にかけ────葉木は前者を選んで自宅へ足を向けた。

 

「ハイtake2」

 

自分の疲労と海鳴の危険を天秤にかけ────葉木は後者を選び魔力が衝突している場所、海岸沿いの倉庫街へ駆け出した。

 

 

金色の閃光と桃色の星が激突する。それぞれの移動、砲撃が衝撃波を生み、あたりの木々を揺さぶる。逸らされた桃色の砲撃は地面を抉り、雷撃は大気を焦がす。後にこの場の惨状を見た誰もがこれが小学生女児二人の"ケンカ"によるものだとは思いもよらないだろう。

 

当然高町なのはとフェイト・テスタロッサのことだ。

 

葉木は被害の少ない倉庫の一つに身を隠し二人を、というかジュエルシードの魔力を監視していた。

 

(……にしても二人とも大した空戦能力だ。特に高町のヤツは何時の間に訓練したンだ?)

 

あり得ない上達速度だ。あれが天才というものなのだろうか。

 

(だが経験に差がありすぎる。フェイトがどンだけの修羅場を経たのかは知らねェが少なくとも"戦士"の域には達している。この分なら高町が負けるな)

 

一合、二合、三合……四合目でなのはの体制が崩れる。フェイトがその瞬間を見逃す筈もなく雷撃の槍が即座に投擲された。

 

しかし、

 

「こ、のっ……!」

 

なのはは魔力量に物を言わせてその場で滞空し、更に巨大なバリアを展開して全ての雷撃を弾いて見せた。

 

「嘘!?」

 

「今度は、こっちの番なの!!」

 

大量に形成されるスフィア。量が量だけに直線にしか飛ばないが、弾幕という意味では優秀な連撃が放たれる。

 

それらをフェイトは右に左にと避けまくるが、2つ程回避しきれずにバルディッシュで弾き飛ばした。

 

その弾かれたうちの一つが消えずに軌道が大きく曲がり、とある倉庫を吹き飛ばした。

 

「「あ」」

 

全壊する倉庫を見て「やっちゃった」的な声を上げる二人。因みに周りの地面の舗装や植木は既にズタズタで、魔法弾が直撃した意外の倉庫も屋根が飛んだりているので今更な感じだが。

 

兎に角その倉庫を吹き飛ばされて迷惑な者がいた。持ち主?そんなモンどォでもいい。

 

「葉木君!?」

 

「帰ってきてたの!?」

 

「今帰ってきてたところだ。それよりどォすンだコレ」

 

「あう……」

 

「に、にゃはは……。倉庫ってどのくらいするんだろう」

 

「周りを見やがれ。倉庫街をどォするか聞いてンだよ」

 

「「………」」

 

やれやれと頭を振る葉木は指摘するだけして真剣に罪悪感に苛まれている9才児に一切の助け舟を出さずに「ジュエルシードが暴走してたら被害はどのくらいになったのか」と想像している。

 

少し前に二人が街中でジュエルシードを暴走させかけて公道のド真ん中に大穴を開けたことを葉木は知らない。

 

そしてこの戦闘が中断した瞬間を狙って動いた者がいた。

 

「管理局だ!デバイスを解除してその場を動くな!!」

 

地上5、6メートル程の虚空に突如魔法陣が現れ、続いて軍服のような格好の少年が姿を現す。

 

なのはは反射的に少年の言う通りにデバイスを解除したが、

 

「ッ……管理局!!」

 

弾かれたようにフェイトが動く。逃走に入る動きだが、一点の無駄があった。────ジュエルシードを回収しようとしたのだ。

 

「動くなと言っている!!」

 

少年がフェイトの頭上からデバイスの杖を向ける。その先に3つの鋭い先端を持つ魔法弾が築かれて、射たれる。

 

スフィアより早く飛ぶそれら全てがフェイトの背中へ疾走し、追いつき貫く直前に轟音が響いた。

 

「さっさと行け!!」

 

葉木が叫ぶ。その手にはたった今魔法弾を撃ち抜いた拳銃が握られていた。

 

「貴様!!」

 

少年が杖を葉木に向け直すが、その杖の両端に鈍色の鉄塊が殺到する。ベレッタから吐き出された7連射が杖を叩き落とす。その間にフェイトは姿を消した。

 

「まだやンのか?」

 

ベレッタの弾はあと6発。殺さずに処分するのは簡単だったがクラスメイトの前で人を撃ち抜くか否かで一瞬逡巡して───それだけあれば少年、クロノ・ハラオウンがバインドを使うには十分だった。

 

「……そういえばこんな魔法もあったな」

 

実は葉木はまともに魔導師とデバイスを使った戦闘をしたことがないので対人戦のプロでも対魔導師戦は割と初心者だった。(あれだけ好き勝手になのはとフェイトの戦闘を評価していたのにだ。)

 

「貴様を拘束する」

 

「チッ。面倒クセエなあオイ」

 

 

 

 

───そして冒頭に至る。葉木となのはは転移でアースラに連れてこられ、葉木はクロノ・ハラオウンに尋問を受けておりなのははアースラ艦長リンディ・ハラオウンに職質を受けていた。

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