魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第9話

「くぁ…」

 

「紅莉君、眠そうだね」

 

「そうね。いつもだるそうにしているけど、眠そうってわけじゃないのに」

 

「なのはちゃん、何やっているかしらないの?」

 

 ここ最近、夜の鍛錬の後にリニスの魔法講座のせいで寝不足だ…

 

 あいつの理論詰めに正直頭がパンクしそうなんだが、知識がなさ過ぎても危ないとか説教をくらって受けているのはいいんだが、いかせん授業がつまらなくて眠い…

 

「ほら、しっかりしなさいよ」

 

「ううむ、すまないな」

 

 アリサに背を叩かれ背筋を伸ばすが頭のぼやけだけがとれないな…

 

「紅莉君いつもなのはより寝るの遅いけど何時に寝ているの?」

 

 なのはが大体22時くらいに寝ているのに対して俺はそこから夜の鍛錬を1時間ぐらい行ってから寝るんだが…

 

「大体0時くらい?」

 

 現在はリニスの授業があるために睡眠時間が6時間になって若干寝足りない。もう少し体力つけば余裕なんだろうが、子供のスペックだと限界があるようだ。

 

 エアに言わせれば魔法で強化すれば楽になるそうだが、緋凰流の鍛錬は己が身ひとつで行いたいために当然却下。

 

「あんた…一体何やっているのよ」

 

 アリサが呆れた顔しながら溜め息を吐く。となりのすずかもその時間まで起きている俺に苦笑い気味だ。

 

「まぁ、授業は聞き流しても余裕だけど」

 

「くっ、なんで不真面目なこいつのが成績いいのかしら」

 

 伊達に2回目の人生じゃねえよ。いつもテストの点数で勝負とか言ってくるけど満点しか現状とってない俺からすれば負けることは無い。

 

「でも、美術なら勝ってるんじゃない?」

 

「絵心ないんだ…」

 

 聖祥は図工じゃなくて何故か小学生から美術になっているためにその成績だけは低い。

 

「国語とかで勝てなきゃ意味無いわよ!」

 

 国語や社会なんかは結構適当なんだが、いかんせん習っている内容が中学近い内容だとしても覚えるのは楽だ。

 

 算数はいわずもがな。というよりも、3歳の時に数字に強くなったので楽だ。理科はまぁ嫌いじゃないし…生物以外は。

 

「なのはも理系だけはいいよなー」

 

「そうよねぇ。いつも私よりも上だったわね」

 

「にゃっ!?そ、それを言うならすずかちゃんはいつも満点だよ!」

 

「わ、わたし!?」

 

 俺がなのはのことを言ったらアリサが恨みがましくなのはを見たが、振られたなのははとっさにすずかに振る。

 

 すずかといえば今までの出来事を微笑ましくみていたのに突如振られてあわあわと慌てだす。

 

「それに私って運動神経皆無だし…」

 

「「「………」」」

 

 なのはの一言に今まで騒いでいたアリサやすずか、そして俺まで言葉をなくしてしまう…

 

「お兄ちゃんやお姉ちゃんも運動神経いいし、お父さんも昔はよかったって言うし、お母さんは普通だったっていうけどできるほうだし…

 それに、晶ちゃんやレンちゃんもいいし、フィアッセさんだっていいだろうし…

 うちの家で運動できないのって私だけなんだよ?なんでだろ」

 

 なんか呪詛を呟いてそうなくらい暗い雰囲気のなのは…

 

「べ、別に運動できなくたって大丈夫よ!」

 

「そ、そうだよ!」

 

 なのはの雰囲気が怖いのかアリサもすずかも頬を引き攣らせながら必死にフォローを入れる。

 

(紅莉もなんとか言いなさいよ!)

 

 とアリサが目で訴えかけてくるが、言えといわれたって何を言えば…

 

「あーなのは?」

 

「なあに?」

 

「うっ!?」

 

 こ、怖い!?兄さんの殺気でもビビらない俺がなのはの一つの行動で恐怖を感じる!?

 

 グリンとこちらを向くなのはの瞳には光はなく、なにか逝っちゃっている雰囲気をかもし出している。

 

「あ、あれだ!お前は持久走とか得意じゃないか!」

 

 足などは遅いが、こいつは体力があるというよりも我慢強いからか同じペースで走り続けることができるのだ。

 

「でも、紅莉君は足も速くて持久走もいつも一番だよね」

 

「しまった!?」

 

「馬鹿っ!」

 

 くっ、フォローしようとして失敗してしまった。結局なのはの暗さは昼休みが終わるまで続き、最終的には翠屋でケーキを奢ってやったら直ってくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…痛え」

 

「どしたの晶?」

 

 学校から帰ってくるとなにやら晶が足をさすりながら弱弱しくなっていた。

 

「このおさるな、学校で調子に乗ったらしく足を挫いたみたいや」

 

「うぅ…いつもなら、直ぐに痛み引くのに」

 

 レンちゃんの説明に納得しつつ、次の晶の言葉に唖然としてしまう。いつも挫いて直ぐ治っていたの?どんだけ、回復力高いんだよ。

 

「シップや塗り薬は?」

 

 シップや塗り薬は俺や兄さんが使うために常備しているから使えるはずだけど。

 

「どっちもやったわ」

 

「それでも痛がっているのか。筋いったのかな?」

 

 いつも元気な晶が弱っているというのも気持ち悪いな。

 

「なはは!いつもピョンピョン跳ねまわっとるのにだらしないのお」

 

「うるせぇカメ!この…いだっ!?」

 

 レンちゃんのあおりに起き上がって向かっていこうとしたが、足に体重が乗ったら痛みがきたらしくて直ぐにその場で蹲ってしまった。

 

「病院は?」

 

「いきたくねえ…」

 

 はぁ…なんで、うちの一家は全員が全員病院嫌いなんだよ…俺もだけどさ。

 

「しゃあない。ちょっと待っててくれ」

 

 それだけ言い残して一度部屋へと戻りあるものを持ってリビングへと戻る。

 

「晶足出して」

 

「なにするんだ?」

 

「ん?うちの天命流直伝の針打ってあげる。いつもは直ぐによくなるっていうなら針打てばたぶんよくなるんじゃないかな?」

 

「……針ってそれか?」

 

「そだけど?」

 

 ちなみに天命流の針の太さは兄さん達が使う飛針くらい太い。

 

「針ってもっと細いもんちゃうの?」

 

「なんでも、襲われたときに武器となるのを考えるとコレくらい太くないとダメらしい」

 

 母さんなんかは投擲しながら正確に場所を打ち抜くことができたようだけど、まだまだ俺の技量は低いのでそれは出来ない。

 

「い、いややっぱり病院いこうかな?」

 

 晶が汗を流しながらそんなことを言うが…

 

「行きたくないって言ったの晶じゃん。それに、兄さんや自分に打っていて結構効果が実感できるから晶程度なら恐らく直ぐよくなると思うよ?」

 

 歴史あるうちの流派にあるくらいだからか不思議なくらい効果がある。美由希なんかはやってやろうとすると直ぐ逃げるが…

 

 父さんにも打っているが、概ね良好だ。

 

「つーわけで足出せ。いつもの人以外の意見も聞きたいから」

 

「お前絶対俺で実験しようとしているだろ!?」

 

「そんなわけ無いじゃん。あくまで医療だよ?ふざける部分なんてないよ」

 

 当たり前だ。流派の名を使っているのに実験なんて…美由希にしてたなぁ。それゆえに逃げられるようになったっけ?

 

「てなわけでプスリ」

 

「いぎゃっ!」

 

「ごめ、やっぱり痛いか。でも、まだ打つよプスリ」

 

「いてっ!?」

 

「う~ん、秘伝書には痛みは無いって書いてあったけど上手くならないなぁ。もう一個プスリ」

 

「ぐあっ!」

 

 母さんなんかに打って貰ったこともあるけど全く痛みが無かったのになぁ。

 

「おまけにプスリ」

 

「おまけなんていら…でぇっ!?」

 

 計4本打って、あとは5分くらいはそのままにしておく。これで秘孔が刺激されその部分を中心に活性化していくらしい。

 

「調子はどう?」

 

「お、おお!何かすっげー楽になった!痛みも感じないし」

 

「痛み止めの秘孔にも打っていたからそれが効いているだけだと思うよ?後は薬塗ってシップして安静にしていれば明日には大丈夫だと思う」

 

「ほあー、便利なもんやなあ。しかし、あのうるさいおサルが大人しくなるならやらせんほうがよかったかな?」

 

「もっぺん言って見やがれカメ!」

 

「なんどでも言ったらあ!」

 

「あ~あ」

 

 元気になるのはいいけど、レンちゃんも煽るなよなぁ…

 

 ほれ、騒ぎを聞きつけてやってきたじゃないか。

 

「二人共なにやってんの!」

 

「うっ、な、なのちゃん…」

 

「こ、これは…」

 

 あいも変わらずになのはに弱いなぁ…まぁ、妙な迫力があるのと小学生に強く出れないってのが大きいんだろうけど。

 

「いつも言っているよね?もっと仲良くしなきゃダメだって」

 

「そ、そうなんだけどさ。このカメが…」

 

「言い訳はいりません!」

 

「はあい…」

 

「レンちゃんもだよ!」

 

「はぁい…」

 

 こうして、対晶レンの最終兵器のなのはの出現によって喧嘩することなく平定された。

 

「紅莉君もいたんなら止めるなりなんなりするの!」

 

「今回俺は晶の治療してただけなんだけど!?」

 

 二人のせいで踏んだり蹴ったりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行け、ガン・スレイブ」

 

《射出します》

 

 俺の指示とともに3機の小型の誘導兵器が展開し迫り来る魔力弾に向かい飛んでいく。

 

「くっ、厄介ですね」

 

 銃口から魔力ビーム(?)が射出され迫り来る魔力弾を壊すとともに魔力弾を放ったリニスを四方から攻撃しだす。

 

 その攻撃に苦虫を噛み潰したような表情で苦情を言いながらリニスが砲撃の準備をしだしていたので。

 

「チェック」

 

「…参りました」

 

 ガン・スレイブのせいで視線が外れたときに迫り首筋に刀を添えてそういった。

 

「大分魔導師戦も上達してきましたね」

 

 夜の鍛錬時は基本的に兄さん達とは別にやっているのでリニスとはたまにこういった模擬戦をやっている。

 

「未だに空を飛ぶというのが今一理解できてないけどね」

 

 今まで飛んだことなど無かったもんだから空中の姿勢制御なども疎かだし。

 

「でも、最初のころに比べればガン・スレイブを展開した後に自分も動けるようになりましたしいいのではないですか?」

 

 確かに最初に比べればマシになったとは思う。最初にガン・スレイブ使った時なんてその場から一歩も動けなかったからなぁ。

 

 動こうとすればガン・スレイブの動きが止まってしまい意味が無かった。

 

「でも、やっぱり空を飛ぶというのは何となくやりづらい。緋凰流の技は全てが上手く機能しないし」

 

 飛んでいると踏ん張って攻撃するというのがうまくいかない。

 

「なぁ、足場生成魔法ってのはないのか?魔法を使おうとするときに出る魔法陣は乗れないし」

 

 最初に見たときはいける!って思ったんだが無駄だった…

 

《それですと、マスターの機動が落ちますよ?》

 

「機動力が落ちるのも嫌だけど…せめて、刀を使っているときは足場が欲しい」

 

 ガン・スレイブを使っているときは別に構わないんだけどさ。

 

《マスターは私を振るわれる時に足場があればいいのですよね?》

 

「ん?ああ、振るときだけあればな。移動するときとかは別に飛んでいても問題は無い」

 

 御神みたいに動き回るわけじゃないし。それでも、速度を最終的に出したいと思う。

 

《少し検討してみます。マスターの望む形になると思いますよ?》

 

「おお!頼むわ」

 

《それでは私は少しの間動けないので本日はここまでにしましょう》

 

「そうですね。時間もそこそこに深けてきましたし」

 

 それに反対する理由も無いのでその日はそのまま帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

《どうでしょうか?》

 

「マジで出来るとは…」

 

《私に不可能はありません》

 

「確かに斬撃の威力が上がりましたね。まさか、シールドごと切り裂かれるとは思いませんでした」

 

 リニスが感心したように言うが俺もまさかここまで威力が上がるとは思わなかった。

 

 魔力を使っているからか、普段の何十倍にも威力が出ている気がする。

 

《せいぜい2~3倍程度だと思いますよ?恐らくはご自身のイメージとのギャップが大きいのでは?》

 

 確かに理想と現実の差をいつも感じていたが現状はほぼ理想どおりに動けているからな。

 

《マスターの弱点は技量に体が追いついていないことです》

 

「そうなのか?」

 

「私もそれは常々思っています。紅莉の技術は恐らく同年代ではありえません」

 

 まぁ、昔から刀を振っていればそうなるだろうけど。

 

《マスターの怪我の一因もそこではないでしょうか?実際の場面を見ていないので確証はありませんが》

 

「緋凰流とはこれほどの実力なのですか」

 

「いや、母さんを見てきた身としては俺なんて母さんの10%あるかないかじゃないか?」

 

 俺の言葉に驚き固まるリニス。まぁ、実際の緋凰をみたらその驚きも納得に変わるだろ。

 

 てか、兄さんと美由希の戦いを見るだけでも変わるかも?

 

 俺なんて美由希にどんどん置いてかれているからなぁ。

 

 父さん曰く年齢のせいだって言うけど、年齢だけのせいにしたくない。

 

「ん?視線を感じる?」

 

「おかしいですね。隔離結界なので誰も入れないはずですが」

 

 俺の言葉にリニスが悩む。

 

「結界内に元々いたんじゃないか?」

 

「それなら結界を張る前に気づくはずなんですが」

 

 とりあえず、視線を感じる場所へと視線を向けるとそこには…

 

「きつねか」

 

「ああ、動物でしたら確かに見逃しますね」

 

 リニスも視線の正体がきつねだとわかると納得している。どうやら結界を張るにあたって人間のみ確認していたようだ。

 

「おいでおいで」

 

 屈んでチチチと手で手招きをする。

 

「くぅ~ん…」

 

 きつねは此方を窺うだけで動こうとしない。まぁ、怪しいことをさっきまでやっていたしなぁ。

 

「なんかあったかなぁ?」

 

 手でポケットをまさぐると。

 

「お、これでどうだ?」

 

 おやつのビーフジャーキーがあったのでフィルムを剥いてそれを見えるようにかざしながらもう一回手招きする。

 

「おお、来た来た」

 

 恐る恐ると言った感じだが、此方に向かってくるきつね。なのはがみたら発狂するんじゃないか?あいつ動物好きだし。

 

「くぅん…」

 

 ビーフジャーキーの匂いを嗅ぎながら此方をもう一度見る。

 

「食べていいぞ?大丈夫だって、ネコだって食えるし」

 

「紅莉?そのネコとは私のことですか?」

 

 後ろから変なプレッシャーが俺のみにかかるが表情を崩さないように微笑む。

 

「おお食った」

 

 色々悩んだんだろうが、結局は誘惑に勝てなかったんだろうな。

 

「!?」

 

「あちゃ」

 

 声を上げたら、驚いて逃げてしまった。

 

「ん?」

 

「こちらを窺っていますね」

 

 リニスの言うとおりある程度逃げると茂みに隠れながら此方を窺っている。

 

「スマンスマン。別に驚かせるつもりは無かったんだけどな」

 

 まるで言葉が分かったのかきつねはまたこちら側にソロリソロリとやってくる。

 

 しかし、この山にきつねっていたのか。見たところ子ぎつねだけど、首に鈴がついているから誰かのペットか何かかな?

 

「くぅ~ん」

 

「ん?さっきのか?すまん、あれは一個しかなかったんだよ」

 

「くぅ~ん…」

 

 ぬおっ、なんか罪悪感がこみ上げてくる。

 

「かわいいですね」

 

「ああ…」

 

 俺とリニスはすっかり虜になってしまいきつねの姿を見続けていたのである。

 

「う~ん、お前さんの名前は…リニス、ネコの姿になったら分からないか?」

 

「紅莉は私をなんだと思っているのですか?できるわけないでしょ」

 

 でも、ネコの言葉は分かるとか言ってなかったか?

 

「久遠…」

 

「久遠かいい名前だなって、リニス言葉は分からないと言ってなかったか?」

 

「私はなにも言ってませんよ?」

 

「んじゃ、エアか?お前万能だと思っていたがそこまでだったか」

 

《やろうと思えばできますが、私ではありませんよ?》

 

 出来るのか。てか、エアじゃないなら?

 

「くぅん」

 

「お前が自分で言ったのか?」

 

 きつねに話しかけると一瞬だが光輝きそこにいたのはきつねじゃなくて金髪の少女だった。

 

「久遠…だよ…」

 

 か細くゆっくりと喋る彼女。ふと気づけば頭に耳、腰辺りにシッポが生えていた。

 

「そっか、久遠って言うのか。よろしくな。俺は紅莉」

 

「こうり」

 

「私はリニスと申します」

 

「リニス」

 

《私はエアナガンです。エアと呼んでください》

 

「えあ」

 

 見た目よりも若干精神年齢が幼いという感じかな?

 

「リニスは…久遠と…一緒?」

 

「一緒とは?」

 

「なかま?」

 

 ああ、そうか。恐らくだけど久遠は妖狐かなんかでリニスの耳と尻尾をみて仲間と思ったのかな?

 

 それとも、きつねだからネコが好きなのか?

 

《マスター。ネタに走るのはどうかと。詳しくは言いませんが》

 

 てか、エアは分かるのかこのネタ。

 

「そうだな、詳しく言うと違うが仲間みたいなものだよ」

 

「♪」

 

「あ、あの紅莉?説明を」

 

 久遠が機嫌よくリニスに抱きつくが、抱きつかれたリニスは困惑している。

 

「恐らくだけどこの世界には妖怪というのが存在してな、時を経て動物が力を持ったり、元々力をもつ動物なんかがいるって言われていたんだ」

 

 どちらかと言うと御伽噺とかそんなもんだと思っていたけどね。

 

「それで、力を持ったものの中には人に化ける術を持つものがいるんだ。

 リニスの耳と尻尾を見た久遠はきっと仲間か何かと思ったんじゃないか?」

 

「この世界にはそんなものが存在していたのですか…使い魔とかではないのですよね?」

 

「違うよ。一固体として存在しているんだ」

 

 まぁ、ほとんどは小説やそういったものの中の世界だけど魔法があるんだこういった存在がいて不思議じゃない。

 

「リニス仲間~♪」

 

「いや、私は…そうですね、仲間ですよ」

 

 否定しようとしたが久遠を見てやめた。確かに久遠にそんなことをいおうとする気が起きない。

 

「紅莉も仲間~♪」

 

 そういって、俺に擦り寄ってくる久遠。おおう、可愛いな。

 

「俺も?」

 

「紅莉…中に何かある…久遠と似たようなの」

 

「え?」

 

 久遠と似たようなもの……?

 

「つっ!?」

 

《マスター。久遠から何か感じましたか?》

 

「あ、ああ。しかし、なんだこれは?」

 

 何かと聞かれて分からない…けど、何かを感じるのは確かだ。それが何かを特定できないのが気持ち悪くぐるぐると回っている。

 

《ディス・レヴに多少の影響が与えられています。しかし、この程度ならば一度落ち着けば引っ張られることはありません》

 

 エアに言われたように落ち着くために目を閉じてゆっくり息を吸って吐く。そうすると、先ほどの感覚が一切なくなった。

 

「だいじょうぶ?」

 

「ああ、心配してくれてありがとう」

 

「♪」

 

 嬉しそうに尻尾をパタパタと振る久遠に先ほどの感情などなくなり穏やかな気持ちになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くぅ~ん」

 

 あの後、きつねの姿に戻った久遠を抱きながらもと来た道を戻る。今日は休日だから一度神社のほうへ行ってから参拝して戻ろう。

 

 リニスも一目につく場所に行くために既にネコの姿になって俺の頭の上にいる。なんでそこにいるのかと前に聞いたら落ち着くとか…俺の頭は座布団かなにかか?

 

「くおーん。くおーん?」

 

 神社に近づくにつれて、久遠を呼ぶ女性の声が聞こえてくる。

 

「くぅ~ん」

 

「あ、久遠そっちにいたの…へぶ!」

 

「………」

 

 み、美由希みたいに何も無いところで転ぶ人を見てしまった…

 

「あの?大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫です。慣れてますし」

 

 慣れているってことは美由希みたいに転びなれているってことでいいのか?

 

「くぅ~ん」

 

「あ、久遠」

 

 久遠が俺の腕の中から心配そうに声を上げると女性は久遠が俺に抱かれていることに気づいた。

 

「あら、珍しいわね。久遠が他の人に懐くなんて」

 

「くぅ~ん!」

 

「そう、よかったわね」

 

 そういって、優しそうに撫でる姿を見てみると恐らくはこの女性が久遠の飼い主なんだろう。

 

「えっと、あっちのほうの丘で出会いまして」

 

「ああ、そっちに行っていたのね。あ、申し遅れました。私はこの神社の管理をやっている神咲那美って言います」

 

「あ、俺は緋凰紅莉です」

 

 そういってお互いにお辞儀をするのだが。

 

「あがっ」

 

「きゃんっ」

 

 至近距離だったために頭突きする形になってしまい。お互い頭を抑えて蹲る。

 

「ご、ごめんなさい」

 

「いえ、こっちこそ」

 

 お互いに謝りつつ笑い合う。

 

「ここには良く来るの?」

 

「えっと、休みの日や後は夜とかには」

 

 夜は遅い時間だけどね。

 

「そっか、久遠を見かけたら声をかけてあげてね」

 

「はい」

 

 その後神咲さんに別れを告げて家に帰った。

 

 その数ヵ月後やや興奮しながら久遠のことを報告してきたなのはに既に友達だと告げるとめちゃくちゃ拗ねられてしまったのは余談である。




やっと久遠だせた!大好きだよ久遠!かわいいよ久遠!癒しだよ久遠!

この小説の久遠は既に多少喋れる程度になっております
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