魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第13話

『ジュエルシードは僕達の世界の古代遺産で、あれは昨日も言ったけど手にしたものの願いを叶える石なんだ。

 ただ、力の発現は不安定で暴走しやすいから僕達はそれを封印して保管しようと移動していたときに事故が起きたんだ』

 

『それじゃ、その事故って別にユーノ君のせいじゃないんじゃ…』

 

『そうだけど、でも危険なものをそのままにしておくことはできないから…』

 

『あれだな、爆弾が落ちたと思えば分かりやすいだろ?普通にしていれば爆発なんてしないけど、何かの拍子に起動して爆発したら目もあてられないだろ?』

 

『あ、そっか』

 

 授業の時間を使い、ユーノとなのはと念話で話す。まぁ、俺もデバイスもっているし簡単に割り込めるんだが…いつ話をしよう?

 

 昨日はちょっと焦りすぎてセットアップし忘れちゃったから生身で戦ったんだが、あとでリニスとエアに怒られた。

 

 まぁ、エアは出番かと思って使われなくて拗ねたって言ったほうが正しいけど

 

『兎に角、昨日みたいに危険があるし僕を手伝う理由なんて』

 

『ううん、大丈夫。困っている人がいる時手を差し伸べることができるならそうするべきというのが私達の考えなんだ』

 

『ああ、力はただ力だが使い方で変わるってな。それに別にあの程度なら苦戦するわけじゃないし』

 

『そういえば昨日、攻撃を受けたように見えたのに素通りしていたよね?あれは何だったの?』

 

『あれ?なのは知らなかったか?あれが緋凰流の技の一つだよ』

 

『しらないよー』

 

 ううむ、なのはは別に一緒に鍛錬やっているわけじゃないから知らなかったか。

 

『そういや、お前らに言っておきたいことがあったんだ』

 

『なに?』

 

『どうしたんですか?』

 

『まぁ、今日やることやった後に教えるよ』

 

 念話をそこで切り、肩肘ついて眠る。なのははどうやらずっとやっていたようだがこれ以上はあいつ次第だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くおーん!怖くないから、ね?」

 

「そうだぞ」

 

「ほら、くーちゃんこっち!」

 

 神社にて久遠を必死に呼んでいるみんなだけど、久遠は必死に皆から逃げる。

 

「ほら、久遠お願いだから~。予防接種すればみんなと一緒にいられるんだよ?」

 

「くぅっ!」

 

 そう、予防接種である。まぁ、動物に変な病気になってほしくないからという理由でやっているやつだし例外に漏れなく久遠も今回受けることになったのだが、どうやら久遠は注射が嫌いらしく素早い動きに逃げ続ける。

 

「ほら、くーちゃん油揚げだよ」

 

「くぅ!……くぅっ!」

 

 なのはが取り出した油揚げに一瞬気を取られたが捕まるまいと再び境内をあちこちと動き回る。

 

「久遠こっちだ!」

 

 そんな俺は物陰に隠れて少し時間を置いてから久遠を呼ぶ。

 

 呼ばれた久遠は俺が物陰にいるのと逃げれる場所にいると分かると一目散に此方によってきたので抱き上げる。

 

「うっし、病院いくぞ~」

 

「くぅっ!?」

 

 騙されたと腕の中でもがくが頭を優しく撫でてやる。

 

「まぁ、お前だけじゃないからさ。リニスにユーノだって受けるんだし」

 

「にゃっ!?」

 

「きゅっ!?」

 

 二人共聞いていないといっているが知らん、久遠だけに受けさせるのはかわいそう過ぎるだろ?

 

「くぅ!くぅ!」

 

「わっ、こら暴れるな。お前が元気でいてくれると俺だって嬉しいんだ。だから我慢してくれよ」

 

「くぅ!……くぅっ!」

 

 一瞬説得に成功したかな?って思ったのだがやっぱり注射がいやなようで再び暴れだすがそれでも外れないと分かったのか一瞬光ると久遠は人間化してしまった。

 

『えぇぇぇぇっ!?』

 

「あちゃ~」

 

「あぁ~」

 

 兄さん達を初めとする人たちは久遠が変化したことに驚いており俺と那美さんはついにばれちゃったといった感じだ。

 

「紅莉君も知っていたの?」

 

「ああ、はい」

 

「え?な、なんで?」

 

 那美さんに尋ねられて素直に頷きながら久遠とであった経緯を詳しく教える。まぁ、しかたないよな。

 

「まぁ、人化したとしても連れて行くけどな」

 

「ひど……い……!」

 

 むしろ狐状態よりも拘束するのが簡単だったので連れて行ったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅莉……嫌い……」

 

「うぉぉぉぉぉっ!久遠悪かったって!だから嫌わんでくれ!」

 

 注射が終わった後の久遠は終始不機嫌でなのは達を帰らせた後にいつもの場所で機嫌をとろうとしたのが悉く失敗した。

 

 まぁ、撫でていたりだっこできたりと本格的に嫌われてないだけでも助かったとしておこう。

 

 てか、撫でるのやめるとやれと催促してくるので兎に角撫で続けてでも機嫌を取らなければ……!

 

 境内までやってくると兄さんと那美さん。それに、青い髪の綺麗な女性が話をしていた。

 

「おお、久遠!」

 

「くぅっ!」

 

 どうやら那美さんの身内のようで久遠を知っているようで、久遠も彼女を見て嬉しそうに鳴いて俺をそこまで連れて行けと催促された。

 

「兄さんまた女性を引っ掛けたの?いつか後ろから刺されるよ?」

 

「……何を言っている」

 

 久遠をあの女性に渡して兄さんに近づき一言。だってなぁ?ほら那美さんもあーって顔しているよ?

 

 久遠はあの女性と会うのは久々なのか嬉しそうに尻尾をパタパタと振りながら撫でられ続けているけど…

 

「兄さん今の気づいた?」

 

「…ああ、一瞬だが鋭い目つきになったな」

 

 そう、まるで仇を見るような目で久遠を見ていたのだ。

 

 それが何かは予想できないし、聞くのは失礼に当たるものだ。どうか、気のせいであってほしい。

 

「では、那美さん俺はコレで……紅莉はどうする?」

 

「あ、俺も今日は帰るよ」

 

 この後になのは達に魔導師であるって教えるつもりだったし。

 

「またな、久遠」

 

「くぅ」

 

「久遠がここまで懐くなんて珍しかね」

 

「でしょー?なんか、すっごく懐いてくれているんだ」

 

 久遠を一撫でしてから兄さんに合流して家路へとついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで紅莉君の話したいことって?」

 

「ああ」

 

 夜、鍛錬に行く前になのは達を部屋へと呼んで用件を済ませる。

 

「これだよ」

 

 首に下げていた翡翠色の宝玉。それだけだと味気ないといったらエアが剣と銃を交差させたのを翼で包んでいるようなモチーフへと変えてくれた。

 

「これは…まさかデバイス!?」

 

Exactly(その通り)!お初にお目にかかります。マスター紅莉のデバイスのエアナガンと申します》

 

 ユーノがまさかと驚いた表情で問えばエアはノリ良く返事をして挨拶をする。

 

「え?え?紅莉君って魔導師だったの!?」

 

 なのはが驚きつつ俺に詰め寄ってくるのをなんとかたしなめて理由を教える。

 

「半年以上前ぐらいにいつも鍛錬しているところにな何か光るものがあるな~って思って近づいたらこいつが落ちていたんだよ」

 

「落ちていたって……」

 

 ユーノが手に入れた経緯に愕然としている。まぁ、デバイス拾ったといっても納得できない部分はあるわな。

 

「え?じゃあ、昨日は私みたいにデバイスだっけ?それを使って?」

 

「いや、アレは素の俺が戦っただけだが?」

 

「ええっ!?な、なんで……」

 

「いや、忘れてたというか気が動転してたというか…」

 

《そうなんです、聞いてください。マスターはいつも私を…》

 

 エアの愚痴が始まってしまったのでその間に鍛錬の準備を開始する。

 

「あ、あの?」

 

「どうした?」

 

「貴方は昨日ボクの魔法について驚かれていましたけどあれは演技ですか?」

 

 着替えているとなにやらユーノがおずおずと聞いてきたので頷く。

 

「例えばあの状況で俺もそうだと言ったらあいつはどうした?」

 

 そういってなのはを顎で示す。ユーノもつられてなのはに目を向けるとそこにはエアの愚痴にうんうんと頷いているなのはの図があった。

 

「あんな状況で俺もだと告げたら訳が分からんものが余計に混乱させてしまうだろ?まぁ、忘れていたのもあるんだがな。

 だから、一日置いてから説明することにしたんだ。多少はあいつも状況が理解できただろ?」

 

「確かに…」

 

 俺の言葉に納得するユーノに頷きながらエアに近づく。

 

「ほれ、なのははもう寝る時間だろ?」

 

「うぅ…」

 

「唸ったってお前の寝ぼすけが直るわけじゃないんだからなとっとと寝ろ」

 

「授業中に寝ている紅莉君に言われたくないの」

 

「でも、成績はお前よりいいしな」

 

 エアを回収しながら居間へと降りる。

 

「あ、紅莉はこれから鍛錬?気をつけてね」

 

「ん、行ってきます」

 

 居間にはフィアッセさんがノンビリとテレビを見ていた。どうやら、桃かーさんは風呂中のようだ。

 

「あれ?兄さんは?」

 

「恭也なら出かけていったよ」

 

 兄さんがこの時間でかけるなんて珍しいな……普段この時間なら家にいるはずなのにな。

 

「あら?刀も持って出ていない?コンビニでも言ったのかな?でも、フィアッセさんの話だとコンビニに行く感じじゃなかったって言っていたし、模造刀がないって事は一人で鍛錬にでも行ったのかな?」

 

 現状確認を終えて兄さんの部屋を出て、そのまま頭にリニスを乗せていつもの鍛錬場までランニングがてら走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「今後のために一つは知られずに手に入れたいな」

 

「ユーノには悪いですが、確かに今後の手がかりとして一つは持っていたいですね」

 

《マスター!ジュエルシードの反応です!》

 

「なにっ!?」

 

 鍛錬中に突如感じた不穏な気配にエアの報告が上がる。

 

「場所は分かるか?」

 

「紅莉、コレは境内から感じます」

 

「急ぐぞ!」

 

 リニスから教えられそのまま境内を目指し走りだす。

 

「エアいくぞ」

 

《はい!》

 

 ジュエルシードなら俺の攻撃が通じない可能性が高い。ならば、出し惜しみするつもりはない。

 

「エアナガン、セットアップ!」

 

《ゲットレディ》

 

 俺の言葉を始動キーにして光が俺を包むと姿自体は変わらないが、手にもつ刀はやや機械っぽくなったものに体から湧き出る力はいつも以上となる。

 

「ついた!………これはっ!?」

 

 境内に到着すると目に映るのはめちゃくちゃになった境内でお賽銭箱なども壊れ鳥居すらも倒れている状態であった。

 

「一体なにが…兄さん!?」

 

 ふと目に映ったのは倒れ伏している兄さんの姿で急いで俺はその場に向かう。

 

「紅莉か…逃げろ…」

 

「何を言って「危ない!」くっ!?」

 

 兄さんの逃げろという言葉に疑問を感じていると突如聞こえた声にとっさに刀でガードするとそこには…

 

「ぐぅぅぅぅっ!」

 

「こいつは……」

 

 吹き飛ばされて体勢を立て直して目に映ったのは紅白の巫女服を着たような女性だった。

 

 特徴的な服に頭には人間にない耳に腰付近には九尾と思われるような尻尾が…

 

「もしかして……久遠か?」

 

「がぁぁぁぁっ!」

 

「ちぃっ!兄さんはここに!」

 

 迫ってきた久遠と思わしき女性の攻撃を弾いて兄さんに危害が加わらないように別の場所に走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久遠!どうしたんだ!」

 

「君は昼間の…」

 

 紅莉が久遠の豹変に驚きながらも必死に声をかけていると突如横から声が聞こえた。

 

 紅莉は先ほどの危機を告げてくれた声だと気づき横を向くとそこには夕方会った女性が刀を持った状態でいた。

 

「昼間の?」

 

「兎に角逃げるんだ!君が敵うような相手じゃなか!」

 

「知るか!友達があんな状態で逃げれるか!」

 

「薫ちゃん!紅莉君!」

 

 那美の声を聞いてはっと前を向けば久遠は紅莉たち目掛けて詰め寄り凶悪な爪を振るおうとしていたが二人は一瞬早くその場を退避した。

 

「兎に角子供の出る幕じゃなか!そんなものを持っていたとしてもたかがしれとる!」

 

 薫の焦る気持ちがあるぶん、紅莉にかける言葉には優しさもなにもなかったが心配だけはしているのを紅莉は分かっていたが…

 

「言ったはずです、知るかと。俺は友達を救うために来たんだ。

 それにたかがといいますが…嘗めないでください」

 

 紅莉は鞘から刀を抜き放ち切っ先を久遠に向けた。

 

「緋凰を阻むものはなし。久遠、何があったか知らないが少し大人しくしてもらうぞ」

 

 紅莉の眼には決意が表れており、雰囲気もまた変わっていた。薫はこんな小さな少年がかもし出す雰囲気に呆気に取られる。

 

「がぁっ!」

 

 今までで一番速く紅莉に近づいて爪が振るわれ、紅莉の反応が遅れ防御が間に合わないように思われたが…

 

「「え?」」

 

 那美と薫の呆けた声が聞こえる。爪は確かに紅莉に向かって震われたが、吹き飛ぶわけでも血が出るわけでもなく紅莉は刀を振ろうと構えていた。

 

「忘れたのか久遠?俺にそんな直線的な攻撃は通じないぞ」

 

 峰の部分で切りかかる紅莉だったが久遠は持ち前の素早さでその場を飛びのき紅莉の攻撃を避けて見せた。

 

『リニス、ジュエルシードはどこから発動している?』

 

 紅莉は戦いながらリニスにジュエルシードの発動場所を特定するように念話で指示を飛ばす。

 

 指示を受けたリニスは急ぎ場所を特定しようと探るとその顔を険しいものにした。

 

『見つけました』

 

『どこだ?』

 

『彼女です』

 

『何?』

 

 リニスの答えに分からずに紅莉は戸惑う。

 

『ですから彼女……久遠からジュエルシードを感じます。ユーノの話を纏めたならば彼女が発動したのでしょう』

 

「なんだとっ!?ちっ」

 

 リニスの報告に思わず叫んで止まってしまう紅莉だったが、目の前の状況がそれを許さず直ぐに回避して距離を取った。

 

 紅莉が離れたことにより今度は薫が久遠へと切りかかっていった。

 

『事実です…なぜ彼女がというのは私も感じております』

 

 リニスの口調は重いもので、彼女もまた心配しているというのは伝わってきたのであった。

 

『紅莉君!ジュエルシードが!』

 

 リニスとの念話を打ち切ると同時に今度はなのはから念話が飛んできた。

 

『知っている、今目の前にある』

 

『だったら私も!』

 

『来るなっ!』

 

『っ!?』

 

 紅莉の怒声ともつかない声に念話越しでもなのはが竦むのが分かった紅莉だがそんな暇はなかった。

 

『この場所には兄さんと那美さん、それに那美さんの知り合いがいる。だから、お前はくるな』

 

『で、でも…』

 

『俺を信じろ』

 

『………気をつけてね』

 

 たっぷりと間を取った後になのはのか細く心配する声と共に念話が切れた。

 

「那美さん、久遠はいったいどうしたんですか?正直あいつがあんな感じになるなんて想像つかないんですが?」

 

「そ、それは…」

 

 那美は一瞬話すかどうか迷った表情をしたが紅莉の顔を見て話すことに決めた。今の紅莉の顔はなんとしても久遠を救うという決意めいた顔をしていたためである。

 

「久遠はね信じられないかもしれないけど300年前から生き続ける狐なの。

 300年前にね、彼女が好きだった人がむごい死に方をしてしまったことで久遠は人を恨むようになっちゃって破壊の限りを尽くしていたの。

 当時の神咲一灯流が久遠を封じてその災いから人を守ったんだけど、私が小さいときに封印が解けてまた暴走したの。

 私の両親はそのときに死んでしまったんだけど、薫ちゃんが何とか久遠の力を封印することができたんだけど、その封印が近々解けそうだということで薫ちゃんはやってきたんだ。

 それで今日…薫ちゃんが久遠を……殺そうとしたところに恭也さんがたまたまやってきて薫ちゃんを止めている時に久遠の元に青い石みたいのがやってきたら久遠が…」

 

 那美の顔は悲壮感が漂い、紅莉もまた辛い過去を話させてしまったと顔をしかめていた。

 

「久遠は紅莉君が会っていたようにとても優しい子なんだよ?でも、昔からの恨みが重なり続けて…

 それに体が支配されちゃっているんだと思うんだ…だから…」

 

「分かりました」

 

「え?」

 

 那美が何かを決意しようとした時、紅莉にニッと笑いながら那美の言葉を遮った。

 

「久遠は望んで破壊をしていないんですよね?」

 

「う、うん。たぶん……ううん、絶対にそうだよ」

 

「だったら、俺は久遠を救って見せます」

 

「救うってどうやって……」

 

 すっと立ち上がり久遠を見つめる紅莉はそのまま那美に告げる。

 

「これから起こることは誰にも言わないでください。いずれきちんと話したいと思いますが……今はまだ…」

 

 紅莉の言葉に那美は頷く。久遠を救おうとしている少年の背が物語っている……必ず助けると。

 

「久遠!」

 

「がぁっ!」

 

 遂に薫も地に伏せ止めを刺そうとしていた久遠だったが紅莉の呼びかけに腕を止めて紅莉を睨みつける。

 

「止めを刺すならいつでもできるだろ?そんなことより俺と遊ぼうぜ?」

 

 挑発するように手招きする紅莉。久遠は一瞬どっちにするかを迷ったが紅莉の持つ刀を見てターゲットを薫から紅莉に変えて襲い掛かる。

 

「久遠お前を救ってやる」

 

「がぁっ!」

 

 紅莉の声は届かない。久遠は獣の雄たけびを上げなら紅莉に攻撃をする。

 

「さっきも言っただろう。俺にそんな攻撃は通じないと」

 

 腕が紅莉を素通りし空ぶる。無防備な状態の久遠へと紅莉は攻撃をするが受け止められ…

 

「がぁっ!?」

 

 刀を受け止められた紅莉が悲鳴を上げる。

 

「一体なにが……あれは電気か…」

 

 痺れる体で前を久遠を見ればそこには久遠の体からバチバチと電気が走っているのであった。

 

「ふぅ…全く厄介な…が、二度はきかない」

 

 痺れがなくなった紅莉は再び構える。襲ってきた久遠に先ほどと同じように刀を振るが同じように受け止められる。久遠はにやけた顔で紅莉の顔を見るが逆に自分が驚きの表情をしてしまった。

 

「言っただろう?二度は効かないと……ハッ!」

 

「があっ!?」

 

 空いている右手の鞘で久遠のわき腹へと攻撃を仕掛けると今度は久遠が悲鳴を上げた。

 

「久遠願え!共にいたいと!明日が欲しいと!」

 

 紅莉が久遠へと声をかける。それは、那美と同じように紅莉も久遠に願うことであった。

 

 一緒にいたいと思える友達だからこそ、退治するのではなく救いたいと。

 

「忘れたのか久遠!那美さんと過ごした日を!俺と一緒にいた時間を!あの時間がなくなっていいのか久遠!」

 

「なみ……こうり……」

 

「久遠…意識が!?」

 

 今までの獣の声ではなく、人の声で言葉を話す久遠だが体はいまだ動き続けて紅莉を倒そうと襲い掛かっている。

 

「久遠!お前は俺と一緒にいたいか!」

 

「こうり……いっしょ……」

 

「そうだ!リニスと俺と!あのころのように一緒にだ!」

 

「いっしょに……いたい……」

 

 久遠から一筋の涙が流れる。それを見た紅莉はなにかを決意した顔となる。

 

「そうか……だったらもっと強く願え久遠!一緒にいたいと!俺が助けてやる!」

 

「こうり……」

 

 声を張り上げ久遠に呼びかける紅莉は一度大きく距離をとる。

 

「行くぞ……エア!」

 

《イエス、マスター。どこまでも》

 

 紅莉は自分の愛機へと呼びかけると愛機からは頼もしい言葉が返ってくる。紅莉は愛機の返答に満足したのかふっと笑みを漏らしまたキリッとした表情になり瞳を閉じて一度深く深呼吸しカッと目を見開いた。

 

「テトラ・グラマトン」

 

《ディーヴァ・レブ、ドライブ!》

 

 それは唯一神を現す神聖な四字。それを唱え終えた紅莉の周りは眩い光に照らされる。

 

 那美はその光に思わず目を閉じてしまい、久遠はその光が嫌なのか身をよじっていた。

 

「くっ、初開放だが凄い力だ…それに……」

 

《気をしっかり持ってくださいマスター!念動力で外部からの思念はシャットダウンしていますが、マスターがしっかりしなければ取り込まれます!》

 

 ディーヴァ・レブ。それは、あらゆる活力の思念を集めそれを力に変える機関である。

 

 紅莉の転生特典として得られた力のうち正の力を司る無限機関。

 

「こんなもんで俺を支配できると思うなよ!俺は俺だ!」

 

《ディーヴァ・レブ安定しました》

 

 強い意志の力により、外部からの思念に耐えた紅莉は自分の変化に驚きを示す。

 

「こいつは…」

 

《それがマスターの力です。現状のマスターの力は他を寄せ付けません》

 

 湧き上がる力に紅莉は手を握り締める。力に溺れることなくしっかりと前を向く。

 

「久遠!行くぞ!」

 

「……うん………」

 

 久遠が頷くのをみた紅莉は刀を鞘にしまうと抜刀の構えを取る。

 

「コレはお前を倒す剣に在らず。コレはお前を救うための剣だ!」

 

――緋凰流・奥義【葬刃】

 

 勢い良く抜刀すると閃光が境内を照らしつくす。いまだ意識のある那美とリニスは光の奔流により視界を奪われる。

 

 光が収まり目を開けてみればそこには子ぎつねの状態で倒れ伏している久遠の姿があるだけであった。

 

「久遠!」

 

 那美はすぐさま久遠の元に駆け寄り抱き上げる。

 

「くぅ…」

 

 弱弱しく返事をする久遠に那美は胸を撫で下ろす。無事であった…生きている。しかも、凶暴に暴れまわるわけでもなくただ穏やかに息をしているのだ。

 

 那美は嬉しさからか涙を流すと久遠はそんな那美の涙を舐め上げる。

 

「那美さん離れて」

 

 しかし、紅莉の硬い声にハッとした表情で近くを見ると黒い靄が辺りに浮かんでいたのである。

 

「あの中心にジュエルシードが?」

 

《はい。あの中から反応があります》

 

 紅莉はエアにジュエルシードの反応を問うとエアからは予想通りの答えが返ってきた。

 

(リニス。悪いがもしかしたら俺はアレを壊してしまうかもしれない)

 

 今度はリニスへと念話を送る紅莉。今紅莉の頭は今にも沸騰しそうなくらい怒っていた。

 

 久遠を暴走させたあの石っころをそのままにして置けるかと…

 

 もしかしたら、今後の手がかりになるかも知れないあの石を出来れば知られずに回収しようと話していた矢先に今回のことが起こったのである。

 

 そのために、一応リニスへと謝罪の意味も込めて紅莉はリニスに念話を送ったのだが…

 

(構いません。私も紅莉と同じ気持ちです…慕ってくれたあの子をあんな姿にするなど許して置けるわけがありません。ですので思いっきりやってしまってください)

 

 しかし、リニスからの返答は紅莉に同意するものであったのに紅莉はやや驚きながら気を引き締めた。

 

《憎い憎い憎いにくぃぃぃぃぃぃぃっ!》

 

「あれは…久遠の中にあった怨念の固まりか…そうか、人間がそこまで憎いか」

 

 先ほどまでの怒りが急速にさめていく紅莉。那美の話を聞き、そしてジュエルシードが関係している。そのことを思い出した紅莉は一つの結論に至った。

 

「久遠が持っていた怨念にジュエルシードは反応したんだな」

 

《はい。恐らくは封印が切れる瞬間に強い反応が呼び起こしたのだと》

 

《憎いぃぃぃっ!》

 

 ただ、その場で只管呪詛を吐く怨念にふと紅莉は表情を和らげた。

 

「いいんだもう憎まなくて、お前はもう憎まなくていいんだよ」

 

《憎いぃぃっ!》

 

 まるで子供に言い聞かせるように怨念に話しかける紅莉だったがそれでも怨念は呪詛を吐く。

 

「終わらせてやるよ、悲しみは終わりだ…もう眠れ」

 

 刀を鞘うと紅莉の前に魔法陣が現れ紅莉は再び抜刀の構えを取る。

 

「さぁ、眠れ………アキシオン・ブレイカー!」

 

 抜刀し切っ先を怨念に向けるように抜き放つと切っ先から極太の閃光が走り怨念を飲み込み全てを消し去った。

 

「安らかに眠れ」

 

 納刀しながら紅莉は怨念に聞かすように天を見ながら呟いたのであった




というわけでりりなのととらハの合作となりました

リリなのだと犬に憑依ですが、この作品では久遠に憑依となりました

また、それに当たって本来ならば大人久遠の尾は5本ですがジュエルシード補正で9本になっております
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