魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第14話

「しかし、ディーヴァ・レヴの開放するとあそこまでなるのか」

 

 久遠を救った翌日、学校が終わり部屋に篭って昨日の出来事を思い返す。

 

 あれを起動した瞬間、今までに感じた事無いほどの力の流れを身に宿して、下手すると全てを吹き飛ばすんじゃないかと思ってしまった。

 

《大変申し上げにくいのですがマスター……》

 

「どした?」

 

《あれはせいぜいがクォータードライブです》

 

「・・・・・・」

 

《マスター?》

 

「はっ!?」

 

 思わず放心してしまった。いま、エアは何と言ったっけ?

 

「クォータードライブってことは……あれで1/4?」

 

《はい。あれ以上の開放はまだマスターには早いと思い私のほうでリミッターかけましたから…》

 

 ………まじパネェ。さすがディス・レヴと対の無限機関だわ。

 

「ああうん、そうね…で、リニスは昨日からうずうずしているようだけどどうした?」

 

 なにやら昨日からリニスの様子が可笑しい。何かを聞こうとしてやめているようなってかんじだ。

 

「えっと、前に紅莉には特殊な力があるとは聞いていたのですが…あれは、一体…?」

 

 あれ?心臓のこといってなかったっけ?

 

《……ああ、そういえば言ってませんでしたね》

 

 どうやらエアが今までの会話ログを見直してくれて言ってなかったと教えてくれる。

 

「まぁ、信じる信じないはかってだからいいけどこれから言うのは事実だから」

 

「はぁ…」

 

 リニスにしては珍しい生返事を聞きつつ俺の力について教える。

 

「では、紅莉の魔力は無限だと?」

 

《それは少し違います》

 

「あれ?そうなのか?」

 

「紅莉が聞きますか?」

 

 いやだって俺だって詳しいこと知らんもん。ディス・レヴが負の力を使った無限機関だというのは知っていたから俺も魔力が無限だと思った。

 

《正確には力が無限です》

 

「この場合の力というのは怪力というわけではありませんよね?」

 

《はい。魔力・気力などといった兎に角【力】に関わる全てが上限なく上昇しつくします》

 

 つまりだ、俺の力は何もかもが上がると言うことか…まじチートだ。

 

《まぁ、実際に使いこなせてないのでせいぜいが強者程度ですので負けることはあるかもしれませんが》

 

 悪かったな未熟で。

 

《コレばっかりは慣れるしかありません。行き成り全開放などしたら肉体は弾け飛び魂は集合意識に飲み込まれて消えますし》

 

 集合意識ってCの世界か何かかよ。

 

「魔力ランクがA程度なのに私の実力が落ちずに維持できるのは?」

 

《例え普段開放していなかったとしても起動していないというわけではありません。

 ですので、マスターの普段の魔力はそこから漏れている魔力が還元されているものが普段の魔力として使われています。

 この状態の魔力量が普段のマスターの魔力量だと体が覚えてしまっているので常にその状態にしようとしている結果ですね。

 故に最初に申し上げましたがマスターの魔力は無限というよりも無尽蔵なのです。

 リニスに魔力を幾ら提供しようとマスターの魔力は一定値以下にはなりえません》

 

 なるほど。リニス曰く俺の魔力ランクはAで自身のランクはAAAだというのに何故維持できるのか分からなかったがそういう理由だったのか。

 

 俺自身はリニスに魔力を取られているという感覚がないし、普段は魔力なんて使わないから気にもとめなかった。

 

「それはそうと、那美さんにはなんて説明するかだなぁ」

 

 結局あの場で俺の力の一部始終を見たのは那美さんだった。

 

 兄さんはいつの間にか気絶していたようだし、薫さん(那美さんに教えてもらった)も久遠に倒された時点で気絶していたようだし。

 

 ………まぁ、恐らく二人共何かしら感づいているかもしれないけど何も言ってこないのでここは甘えておこう。

 

《今は那美様自体は何も聞いてこないという好意に甘えるべきでは?いずれきちんと説明する気があるのですよね?》

 

「それはもちろん。リニスのこと含めて教えるつもりだけどね」

 

「……私も、ですか?」

 

 リニスがやや驚きながら尋ねてくる。はて?そんなに以外かな?

 

「ああ、いつまでもお前を隠しておくってのはなんというかねぇ?家族を隠しておくというのも違うだろ?」

 

「私が家族……」

 

「お前がどう思っているかは知らないが、俺にとってはお前はもう家族だよ……迷惑だったか?」

 

「い、いえ。ただ、そう言ってもらうのは初めてでしたので…」

 

「あれ?話だけ聞いているとフェイトとかいいそうだが?」

 

 なんというか、無垢な子って気がしてならない。あとマザコン。

 

「そうですね…フェイトには教師として姉としてと接してきましたので家族といわれても不思議ではないのですね」

 

 自分の今までを思い返して納得するリニス。

 

「さてと、この後のが問題だな。こいつをどうするかだ」

 

 エアから取り出したジュエルシードを指でくりくりと弄びながら意見を聞く。

 

「せっかく手に入れたからこれは切り札として持っておきたい」

 

 別段ユーノが信頼でないというやつではないと思っているが、万が一何かしらの事態に遭遇した時に交渉のカードとして持っていれば有利に働くかもしれない。

 

「そうですね。あの二人には申し訳ありませんが、私も目的があるので出来れば持っておきたいです」

 

「そうすると、どう言い訳をするかだが…」

 

《簡単ですよ?》

 

 うんうんと悩んでいるとなにやらエアからさらりと言われた。

 

「簡単って何が?」

 

《昨日のマスターの魔力はどう見積もってもSランクの魔力が出ていたので、壊してしまったと言えばいいのですよ》

 

「簡単に壊れるものなのかこれって?」

 

 ジュエルシードをつまみながら尋ねる。聞いた話だとロストロギアって古代のテクノロジーのだろ?そう簡単に壊れるものなのかって疑問が浮かぶが。

 

《テクノロジー自体は確かに失われているものかもしれませんが、強度は別です。昨日の魔法ならば壊せないことはないでしょう》

 

 あれってノリで名前決めて使った技なんだが、思った以上に威力があったようだ。

 

「じゃあ、そういうことにするか。そろそろなのはが塾から帰ってくるだろうからリニスは猫になっておいてくれ」

 

「分かりました」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「というわけでな、久遠に取り付いたジュエルシードなんだが俺が使った魔法の威力が高すぎたようで壊れてしまったんだ……申し訳ない」

 

「い、いえ。確かに、回収できなかったのは痛いですが、それでも久遠の命が救えたというならば僕はそこまでは言えないですよ」

 

 嘘は心苦しいと思いながら頭を下げると、ユーノは人がいいのかこれといって俺を責めるようなことを言わなかった…いいやつだ。

 

「それよりもくーちゃんにジュエルシードが取り付くなんて…」

 

「そもそも、思念に反応するというならば、知恵をもつものに取り付くってほうが自然だよな。俺もそこまで考えが回らなかった」

 

 俺の言葉になのはも神妙に頷く。なのはには取り付かれてどうなったかは教えてはいないがこういうことには聡いなのはある程度思いついているんだろうな。

 

「そういえば、紅莉君ってセットアップするとどんな感じになるの?」

 

 ボーっとなのはのことを考えていると尋ねられて現実に引き戻された。

 

「変わらんぞ?」

 

「え?」

 

「だから、夜の鍛錬とかに行く時の服装…お前を助けた時のあの服だよ俺は」

 

 そう。一人で夜の鍛錬をするようになってからは基本的にセットアップ前と後の服装は俺は変わらない。

 

 元々は戦いやすい戦闘装束として普段の鍛錬の服とセットアップ後が変わってしまったら逆にやりづらいからな。

 

 俺がそういうとなにやらなのはが不貞腐れ始めた。

 

「うぅー!うぅ………」

 

 と思ったら今度はなにやらしぼんでいく…何なんだ一体?

 

「ボクから質問いいですか?」

 

「かまわないけど、そんなに畏まらなくていいぞ?」

 

 コレといって畏まって話をするような人間じゃないと自分で思っているし。

 

「それじゃ、紅莉は魔法を普段どんな風に練習しているんだ?」

 

「してないが?」

 

「えぇっ!?」

 

 そんなに驚くようなことか?リニスとの鍛錬も週に1~2回程度の練習しかやっていないし。

 

「それであんなふうに戦えるの?」

 

「ああ、それか」

 

 戦えること=魔法と思っていたのかこいつは。

 

「俺はあくまで剣士だ。だから、対魔法ということではセットアップするけどそれ以外では魔法は使わないで鍛錬している」

 

「剣士?」

 

「紅莉君はね、緋凰流っていう流派の継承者なんだって」

 

「緋凰流、ですか?」

 

「ああ、この世界には魔法なんか日常にないから、自分の力でのみ戦い続けていたんだ。

 自分の力だけで戦うなんていうけど、ただ剣や槍を持って攻撃するなんてある程度力があるやつなら誰だって出来る。

 けど、それで生き残れるほど世の中なんて甘くないから技を磨く。そうして技を精錬させてより強く、生き残ろうと作られたものなんだ。

 緋凰流の歴史は古くて戦国時代から続く由所正しい流派なんだぞ?

 ちなみに、なのははやっていないけど、兄さんや美由希がやっている流派もかなり有名な流派だな」

 

 つっても、緋凰も御神も今では裏かその筋の人たちしかしらない流派だろうけど。剣道の道場で知っている人がいたら怖いかも。

 

「そういうのを古流剣術または古武術って言うな。現代では使えないものになっているから」

 

「でも、あんだけ有効に使えていましたよね?」

 

「ああ、違う違う。戦いにおいてはまず間違いなく有効だろうが、今の世は刃物を所持しているだけで捕まるからな、だから使えないになるんだ。

 スポーツとして剣道があるけどアレはあくまで精神を学ぶものとされているものだしな」

 

 でも勇吾さんとは木刀でやっているな…まあ、細かいことは気にしなくていいか。

 

「なるほど…つまり紅莉はそのケンジュツというのをやっているから魔法はそれに合わせている感じなのかな?」

 

《概ねそんな感じですね。もしマスターが魔法関係で戦うとしても使うのはせいぜい身体能力強化と足場生成だけですので》

 

「あれ?でも、ジュエルシード壊すぐらいの攻撃をしたって言ったけどそれって?」

 

「まぁ、奥の手の砲撃魔法って奴だな。一応エアからはある程度の知識を教えてもらったけど、どうも遠距離は苦手だったんで強力な一撃だけ作って後はずっと鍛錬しているだけだったな」

 

 嘘ではないよー。リニスがその場にいて延々と説得されて折れて作っただけだけど…

 

 ただ、作ったのはいいけどディス・レヴとかを使ってなくて作ったから威力しょぼかったけど。

 

「なるほど、つまりは紅莉は普通にクロスレンジで戦って相手が弱った時に大技で仕留めるって感じなのかな?」

 

 なにやらユーノは独自解釈で結論つけたようだ。訂正するのもめんどくさいし別に間違っていないから別にいいや。

 

「紅莉君?」

 

「ん?」

 

「紅莉君って刃物持ち歩いているの?」

 

「……………あ」

 

 いっけね。模造刀だと言っていたのに忘れていた。

 

「ものの例えだって。流石のとーさんも子供に本物の刀を持たすわけないだろ?」

 

 背中に冷や汗かきながら言い訳する。大丈夫だ、言葉を詰まらせたわけじゃない。誤魔化せるはずだ。

 

「だよねー」

 

「そうだよー」

 

「ですよねー」

 

 俺の部屋に乾いた笑いが響いたのは仕方ないだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅莉、病院へいかないか?」

 

「どうした兄さん。兄さんから病院へ行かないかって誘うのなんて珍しいじゃん」

 

 兄さんなんて、母さんやフィアッセさんが強引に言わなければ絶対に自分からは行こうとしないのに。

 

「この前のことでお前はまた無茶したのだろう?だったら、見てもらったほうがいい」

 

「本音は?」

 

「……………………別にない」

 

 なっがい間ですね!何かあるっていってるようなもんだと思うけど?

 

「兎に角行くぞ、この前何があったかは聞かんがその代わりコレは聞いて貰う」

 

「………はぁい」

 

 聞いてこないといわれちゃ流石にこれは言うことを聞かないと罰があたるよなぁ。

 

 

 

 

 

 

「あら、恭也さん連続で来るなんて珍しいですね」

 

 順番が来て診察室に入ると銀髪の綺麗な小柄な女性が兄さんに話しかける。

 

「兄さんここでも…」

 

「何を言っている?」

 

 このフラグメーカーが!って言いたい。忍さんやフィアッセさん辺りが聞けば拗ねるぞ?

 

 いや、フィアッセさんは口や態度では出さないけど、雰囲気が変わるから…

 

 他にも晶やレンちゃんや那美さん。美由希なんかも何となく狙っている感じはするけど…

 

「今日はこいつを見てほしくて」

 

 そういって前に出されたので頭を下げる。

 

「ああ、話に出ていた弟さんですね」

 

「緋凰紅莉です」

 

 どうやら話ですでに俺のをことを喋っていたのか知られていても必要だと思い自己紹介をする。

 

「こんにちわ。フィリス・矢沢です。本当はフィアッセの主治医なんだけど整体の資格も持っていてこっちも最近やり始めたの」

 

 へ~、フィアッセさんの主治医なんだ…あれ?フィアッセさんって病気だと言っていたけどどんなのかを聞いたことなかったな?

 

「それで、紅莉君のは…肩の炎症かぁ」

 

 カルテを見てフィリス先生はなんともいえないような表情になる。まぁ、間接とかじゃない分性質悪いからなぁ。

 

「肩に関してはまぁ、その内治るかなって思っているんですが」

 

「う~ん、恭也さんみたいなのを想像していたからコレは意外だけど大丈夫よ。今の医療って進化しているし治るからがんばろう?」

 

 お、おお?な、なんか今までの先生とは全く違う言葉が返ってきた。

 

 今までだと無理して使うなとか、完治は絶望的だとかしか言わなかったのにフィリス先生はきちんと説明をしてくれる。

 

 兄さんを見ると頷いてくれているし。

 

「一応、カルテに書かれているだけじゃ分からないから見せてもらうね」

 

「はい」

 

 上着を脱いでそのまま座っているとフィリス先生は立ち上がり後ろに回り右腕と肩に手を添える。

 

「それじゃ、持ち上げるね。これは、どう?痛い?」

 

「いえ。つっぱる感じもしないです」

 

「そう、それじゃコレは」

 

「ん。それは少し」

 

 後ろに上げながら引っ張られると流石に辛く直ぐに言うと先生は直ぐにやめてくれる。

 

「う~ん、怪我したのは2年前なんだよね?そのわりには稼動域が広いなぁ」

 

 カルテを書きながら今の診察で思ったことを呟く先生。

 

「恭也さんもそうだったけど、今までの治療を見てみるとここまでになっているのなんて…………う~ん」

 

「えっと、フィリス先生?」

 

「なんですか?」

 

 声をかけると直ぐに此方に向き直る。

 

「えっと、他の先生には言っていないのですが実はですね………」

 

 とりあえず、先生には俺が普段やっていることについての説明をした。

 

「はぁ、つまり紅莉君は流派の一つを使って治そうとしていたと」

 

「はい。一応効果は確認できているので続けていたんです」

 

「なるほど。でも、どうして今まで黙っていたんです?」

 

「先生は信じてくれたんですが、他の先生は子供が何言っていると」

 

「あー………」

 

 俺が言いたいことを理解してくれたのかフィリス先生はなにやら微妙な顔で納得してくれていた。

 

 というよりも、この人はマジでいい人だ。他の先生なんて症状を確認して終わりだったし向き合ってくれてなかったからなぁ。

 

「えっと、今度でいいからそれを見せてもらっていいかな?」

 

「いいですよ?」

 

 なにやら興味津々といった感じの先生だが見せて減るものじゃないしね。

 

「それじゃ、後は整体かな?下も脱いでそこのベッドにうつ伏せで横になって貰える?

 紅莉君も武術をやっているなら、整体をしていたほうがいいと思うから」

 

「下もですか?」

 

 普通上だけじゃないの?

 

「はい。ああ、下着は当然着たままでいいですから」

 

 ニッコリと笑いながら告げてくれる先生に反論は無駄だと悟り下を脱いでベッドにうつぶせに横たわる。

 

「それじゃ、いくね。えい」

 

「グガっ!?」

 

 い、行き成り関節を……

 

「う~ん、やっぱり少し骨が歪んでいるなぁ……子供のうちからあまり歪んでいると成長によくないよ」

 

「がっ」

 

 きょ、矯正されるのはいいんだけど、関節を外すか普通…

 

「筋肉なんかはそこまでついていないから身長を伸ばす妨げにはならないかな?それでも同年代に比べればついているね」

 

 その後優に30分は整体を受け続けたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なんじゃこりゃあっ!?」

 

「ど、どうしたんですか紅莉!?」

 

《いかがされました?》

 

 病院から帰って部屋で母さんの残した秘伝書を読んでいたら、思わず声を上げてしまった。

 

「すまん。いや、秘伝書の内容があまりに突飛でね…」

 

 書かれている内容をもう一度見直す。俺が見ているのは奥義の行なのだがそれについて書かれている内容が……

 

 てか、絵も書いてあるが、これはまた何と言うか…

 

「ねえ、とーさん」

 

 夜、帰ってきて休んでいるとーさんに声をかける。

 

「どうした?」

 

「とーさんって緋凰の奥義は全部見たことある?」

 

「奥義か?少し待ってくれ……」

 

 そういって、とーさんは目を瞑って考え込んでいる時折動きを見せるのはどうやら思い出している内容を体が勝手に表現しているようだ。

 

 途中の動きになにやら腕をぶらぶらと動かすような動きをしていたことからやはり間違ってはいなさそうだけど…

 

「緋凰の奥義っていくつだったっけ?」

 

「幻武を抜いて5つかな?」

 

 俺の答えを聞いて一瞬キョトンとした表情になるが直ぐに元の表情に戻った……一体なんだったんだろう?

 

「だったら、見たことはあるな」

 

 やっぱり、御神と繋がりがあった分とーさんも緋凰の奥義は見たことあったのか。

 

「それでどうしたんだい?」

 

「いやね、漸く今やっていることが形になったから次に行くか、もっとそれを極めるかを考えていたんだ。

 それで母さんが残した秘伝書を見ていたら次の行の奥義が何かめちゃくちゃでさ」

 

「めちゃくちゃ……ああ」

 

 俺の言葉に思い浮かぶのがあったのかとーさんは納得した顔になる。

 

「あのさ、乱舞って本当にあんななの?」

 

「あんななのだ」

 

 俺の言葉にとーさんは呆れたような表情になる。

 

「最初に見たときは曲芸かなにかかと思ったよ……橙璃のやつを受けるまではね」

 

「母さんの?」

 

「ああ、あいつの大太刀でやられたらたまったものじゃなかった……範囲がやたらと、ね」

 

 とーさんの顔は何故か哀愁が漂う感じがして詳しくは突っ込めない雰囲気になってしまった。

 

「しかし、次にあれをかい?正直今の紅莉じゃどうやっても体が壊れるから禁止にさせてもらうよ」

 

「うん、何かの間違いであって欲しいと思って聞いただけだから。あれをやるくらいなら別のをやるよ…」

 

「そうしてくれ…」

 

「どうしたの二人共?」

 

 俺ととーさんがなにやら疲れた顔をしていると近くを通りかかった美由希が心底不思議そうな顔で尋ねてきたけどなんでもないといって部屋へと戻った…

 

 

 

 

 

 

 

 

「リニスってさ何か弾幕のごとく魔力弾を沢山だす魔法とか持ってない?」

 

「何を藪から棒に…」

 

 夜の鍛錬の時にふと夕方のことを思い出してしまい、リニスに話を振る。

 

 あの奥義の取得条件を考えると今のようなことがリニスが出来れば習得は簡単までとは行かないけど行けると思うんだよね。

 

「まぁ、出来ますが」

 

「出来るのか!?」

 

 たなぼた!?いや、リニスが優秀な魔導師の使い魔だったらいけるのか?

 

 その内カードを使って色々な魔法を使うんでは…

 

「馬鹿なことを考えてないで理由を教えてください」

 

 なぜたまに俺の心は読まれるのだろう?

 

《予定調和ですね》

 

 そっかー、それなら仕方ない………しかたないのか?

 

「まぁ、理由は緋凰流の奥義をちょっと試してみたいというだけなんだよ」

 

 ぶっちゃけとーさんが言うとおり生身で使ったら体なんてぶっ壊れると思うし。

 

 なら、生身がダメなら魔法ありでやってみようじゃないかという考えにいたたった。

 

 緋凰の鍛錬に魔法を取り入れるのはものすごく抵抗があるのだが、一度興味をもってしまったものは中々振り切れないわけで…

 

 こういうのを好奇心はネコをも殺すっていうのかね?………リニスの前でこの例えはシャレにならないな

 

「それで、やるのですか?」

 

「ちょっと待ってくれ………うん、やろう」

 

 色々悩んだけどやっぱり気になってからは一度は試してみたいと思う。

 

「では、セットアップしてください」

 

「了解。エアナガン、セットアップ」

 

《ゲットレディ》

 

 俺の言葉と共にエアが起動して持っていた刀がエアと変わる。

 

 前に俺の刀が消えたと焦ったがエア曰く

 

《私には保管場所が用意されております。マスターがどんな状況でも仕舞って置けるので大丈夫です。

 なんでしたら普段持ち歩けないものは入れておきますか?》

 

 と言っていたので基本的に刀を持ち歩くと色々と怪しまれたりするので普段しまっていざという時に取り出せるようにしている。

 

 ただ、鍛錬前などは出して持ち歩く風に見せかけるという手間はあるが、街を歩く時などは手ぶらで済むので必要経費と割り切れている。

 

「では、結界を張りますね」

 

「頼むわ」

 

 こういった結界などは俺は一切はれないのでリニスに頼りきりである。

 

 前に教わったが人一人入れるスペースがやっとだった……

 

「では………」

 

 準備が終わったリニスが空中へと上がり周りには黄色い珠が浮かぶ…たしか、スフィアだったかな?

 

「おお、かなり凄そうだ」

 

《実際、あのスフィアに込められている魔力はかなりのものです》

 

 リニスの回りに浮かぶ20以上のスフィアを見て感想を漏らす俺に冷静に状況を分析したエアが告げてくる。

 

「私がフェイトに教えた魔法において切り札といえるものです。

 このスフィアから秒間10発のフォトンランサーを4秒間続けて照射し続けるというものです。

 もっとも、フェイトには負担が大きかったので秒間5~8発程度にしなさいと伝えましたが」

 

 フォトンランサーは確か誘導性はないけど、射出スピードがある魔法だったな。

 

 仮にだ、スフィアが30あったとして秒間10発を4秒間続けられるとしたら…

 

 30×10×4=1200という計算になるわけだが…

 

「また無茶な…魔法は何でもありか?」

 

 戦いにおいて4秒は一瞬とはいえないがそれなりに早い。

 

 攻撃を4秒間耐え抜けといわれればかなり余裕を持って耐えられるだろうが、あの魔法相手だと無理だといえるな。

 

 フォトンランサー自体の速度は拳銃の弾よりは遅いがそれでもかなり速い部類に入る。

 

 距離を開ければかなり余裕を持って見られるが近~中距離ならばかなり脅威の速度をもつからな…

 

「一応どんなことをするか分かりませんが、緋凰の奥義の練習と言うことでスフィアを25、秒間5発を4秒と言う形でやってみましたが」

 

 都合500発のフォトンランサーか…

 

「やりすぎだわ」

 

 正直50程度だと予想していたのにまさか10倍とは思わなかった…

 

「す、すみません…今から作り直します」

 

「ああ、いいよいいよ。なせばなる。うん、いい言葉だ」

 

《若干開き直りが入ってますね》

 

 うるせぇ黙れ。仕方ないだろ?ここまでになるとは思わなかったんだよ。

 

「エア、悪いがガチガチに身体強化かけてくれ。これから使う奥義は正直今の俺には使いこなすのは無理な奥義だから」

 

 主に体の負担と出来上がってない体で出来るような奥義じゃなかった。

 

 むしろコレが秘奥義じゃないの?って思うけどそれは違うらしいから。

 

 母さん曰く

 

『緋凰の奥義の中でもっとも意味がなく、もっとも疲れ、もっとも使いどころが分からない奥義だ』

 

 と書いてあったが強ち間違いじゃないだろうなぁ…この奥義を生身で使う場面なんてあるのだろうか?

 

 他に書いてあった事といえば、この後にこれを参考にした技を奥義にしたようなのだが、コレが消えなかったのは初代が使いこなし教え伝えられたためのようだ。

 

 奥義と名が打ってある以上、おいそれと消すわけにはいかなかったんだろうと思う。

 

「それじゃ…こい!」

 

 決意を瞳に秘め、リニスに告げると彼女も頷き手を上げる。

 

「ファランクス………打ち抜きなさい!」

 

 リニスが手を下ろしたと同時にスフィアから溢れんばかりのフォトンランサーが次々と打ち出されていく。

 

 俺は既に構えていたために打ち出された最初の攻撃が着弾する前に奥義を発動した。

 

――緋凰流・奥義【乱舞】

 

「でぃいりゃぁぁぁぁっ!」

 

 その場にしっかり足をつけて迫り来るフォトンランサーを次々と切り落としていく。

 

 緋凰流・奥義【乱舞】はぶっちゃけ言えばただ我武者羅に剣を振り回して攻撃する奥義だ。

 

 もっとも意味がないというのは人間相手にこんな回数を斬る必要などない。

 

 もっとも疲れるのは生身でこの速度に到達しても上の理由で使ったあとの状態がなす。

 

 もっとも使いどころが分からないのは、この奥義のもつ弱点で動くことができないことだ。

 足を肩幅以上に広げしっかりと踏み込みつつ腕を振り回すものだから、対人戦で動き回らない状況と言うのが考え付かないためである。

 

 なんか、奥義書の中での母さんの付け足し部分に

 

『ああでも、マシンガンが放たれたときに防ぐのには役に立った』

 

 と書いてあったけど………冗談だよね?

 

「あああああっ!」

 

 そして、最後のフォトンランサーを叩き落して漸くリニスの放ったファランクスは終わった。

 

「ぜぇ……ぜぇ……」

 

「まさか、全てのフォトンランサーを叩き落す暴挙に出るとは…」

 

《無茶苦茶にも程がありますね。マスターはやはり人外でしたか》

 

 く、くそ。息を止めながら一心不乱に振りまくったせいで終わった後に息切れを起こして喋れん。

 

 必死に呼吸を整えようとしているのだが全くうまくいかない。

 

「魔法の手助けをした理由も頷けますね。いまだ10の紅莉が生身で使えば体を痛めるどころか確実に壊します」

 

《ですね。今回ばかりはガチガチに身体強化かけたので大丈夫でしたが乱発されるとアシストしても意味はありませんね…》

 

 あ、安心してくれ…これは恐らく大きくなったとしても使わん。

 

 もう少し前面に攻撃範囲を持っていけるのならば迎撃用の壁のように使ってもいいかもしれないけど絶対に大きくなるまでは使わないから…

 

「ふぃ…漸く落ち着いた…それにしても攻撃範囲が極狭だったなぁ…」

 

 正直アレはありえない。腕をふる角度がよくなかったのだろうが、普段の間合いより狭いとかありえないだろ。

 

《ですねぇ…攻撃用より防御用として作られたのでは?》

 

「いや、うちの防御は基本は幻武だから恐らく攻撃用じゃないか?」

 

 そこら辺については書かれてなかったから分からない。

 

 ああでも、この奥義をやり始める前に腕をしならせられるようにするための鍛錬法が書いてあったから、やはりこれは違うのかもしれないな。

 

「紅莉」

 

「ん?おお!久遠、もう大丈夫なのか!」

 

 後ろから名前を呼ばれて振り返るとそこには人モードの久遠がゆらゆらとシッポを揺らして笑顔で立っていた。

 

 普段ならば近づいてきても気配で分かるのだが、疲れていた影響で分からなかった。

 

「こうり、ありがとう」

 

「おお!久遠にもてた!」

 

 あまりの嬉しさに良く分からんことを口走りながら久遠の頭を撫でると久遠は気持ちよさそうに目を細める。

 

「紅莉がくれた、明日」

 

「そうだな。これからはお前が生きたいように生きればいいさ」

 

 どうやら久遠はあの時のことをしっかりと覚えていてくれているようで、俺の言葉を伝えてくる。

 

 久遠を縛るものはもう何もないんだ。後は久遠が生きたように生きればいい。

 

 緋凰の名の下に歩む人より更に先にそのものがしっかりと歩ける道を作るのが緋凰のありかただ。

 

 それはたとえ久遠のような人在らざるものでも代わらないと俺は思う。

 

 だから、俺は久遠が歩ける道を作った。後は久遠次第だ。

 

「紅莉は久遠を助けてくれた。今度は久遠が助ける」

 

 そういって、なにやら久遠が決意した目になるのだが。

 

「久遠気持ちは嬉しいけど俺は別に」

 

「助ける」

 

 別に構わないという前に再び言われてしまう。

 

「で、でもな?その姿じゃできることが」

 

「ん!」

 

 その力じゃ無理だといおうとしたら今度は少し力むとそこにはあの時戦った久遠の姿が…

 

 あ、でも良く見ると尻尾が九尾から五尾になっている。

 

 恐らくは此方のほうが本当の数なのかな?あの時はジュエルシードの力で増えていたのかも…って、そうじゃなくて!

 

「く、久遠?その姿は…」

 

「できた」

 

 で、できたって…もしかしてぶっつけ本番ですか?

 

「えい」

 

 久遠が腕を振るうとなにやら落雷が落ちたんですが…

 

「凄い威力ですね…」

 

 リニスが口元を引くつかせながら久遠の攻撃の感想を言う。

 

 うん、そうですねー。

 

「これなら大丈夫だよね」

 

 そういう大人久遠。うん、あの時は余裕がなかったけど耳っ子+シッポの美人とか威力が高すぎる。

 

「私と大して変わらないのでは?」

 

 うん、やっぱり心読まれたのね。

 

「いいよね?」

 

 再び元に戻って見上げてくる久遠。やめて!純粋な目で真っ直ぐ見られるの弱いんだよ!

 

「あ、ああ、よ、よろしくな?」

 

「うん」

 

 そういって抱きついてくる久遠にもう乾いた笑いしか出ない俺であった。




紅莉→自分の力に唖然、なのは達に嘘をつく、フィリスと出会い地獄の整体、奥義がイミフ

なのは→自分は学校の制服っぽいのに紅莉は普段着で複雑

ユーノ→ケンジュツって凄いな

恭也→弟を道連れ

リニス→紅莉の奥義にビックリ、久遠ちょっと嫉妬

久遠→デレた

今回から主要人物の起こったことを書こうと思います。

結構他の方の小説を読むと冒頭などにあったりしますが、私の場合は後書きで
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