魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第1話

「いい、ここから動かないでね?動かれると流石の私でも守れないから」

 

「ああ、うん。流石に動けないって」

 

 転生してから早3年。遅いのか早いのかの判断が今一つつかないけど、前世なんかに比べれば激動の中を生きていると言う感覚はある

 

「ほ、本当に大丈夫なのかね!?」

 

 隣で肥えたオッサンが豚のように震えているけど気にならなくなったなぁ

 

「それと、紅莉良く見て置くように。見て盗むもまた鍛錬になるから」

 

「見切れればね」

 

「大丈夫よ。私の息子だもの」

 

 その信頼はどこから来るのか…

 

「さて…来たわね」

 

 母さんが言葉を発した瞬間、扉がものすごい勢いで吹き飛ぶ

 

「ぶひぃっ!?」

 

 あ、オッサンがマジで豚のように鳴いた

 

「悪いが、ここから先は通行止めだ」

 

 あ~あ、スイッチ入っちゃった。母さんは普段は女性らしい物腰なのだが、あることが起きると口調が変わってしまう

 

「チッ、ボディーガードが付け上がるな」

 

「そのボディーガードに打ち倒される不幸を呪え」

 

 スッと持っていた野太刀を引き抜きながら襲ってきたテロリスト達を睨みつける

 

 睨み付けられたテロリスト共は母さんの殺気に当てられたのか一瞬怯むも直ぐさま銃を構えて撃ってきたが

 

「あ、当たらない!?」

 

「そんなわけあるか!いいから撃ち続けろ!」

 

 銃弾は何故か母さんをすり抜けてそのまま母さんの後ろの壁に着弾する

 

「な、何がどうなっているんだ!?」

 

 テロリスト共のうろたえる声を聞きながら母さんはゆっくりと近づいて行く

 

「緋凰の前に阻むものは在らず」

 

 ポツリと母さんが言葉を零すが日本語で言っているため誰も理解しない

 

「緋凰を捕らえられるものなし」

 

「我等行く道、後に続く者のためなり」

 

 母さんの言葉に俺も続く

 

「緋凰は切り開くものなり」

 

 母さんの剣が煌いたと思うと次の瞬間には

 

「な、ななな…」

 

 お豚さんが何かを言おうとして何も言えずにいるが母さんは気にすることも無く刀を鞘に納めた

 

「もう安心ですよ。この周囲には敵意は感じません」

 

「あ、ああ…」

 

 口調が戻った母さんが先ほどの威圧感など無かったように柔和な笑みを浮かべながらお豚さんに手を差し出す

 

「た、助かった!ありがとう!」

 

 豚さんが歓喜しながら礼を言う。おお、まともな顔になった

 

「後は、できるだけ穏便にことを運んでくださいね?」

 

「すまなかったな。まさか、強硬派がこんな手で出てくるとは思わんかった」

 

「貴方のような綺麗な政治家は敵を生みやすいんですよ」

 

 見た目は汚く飢えた豚と思わしきこの人だけど、実際は母さんが言うようにとても綺麗な政治をしいて民衆の心を掴んでいるらしい

 

「流石は緋凰だ。眉唾物だと思っていた話も案外嘘ではないな!」

 

「我等緋凰はこういう暗い仕事を請け負っていましたからね」

 

「かのミカミと同じと言う訳か」

 

「御神?」

 

「やばっ!?」

 

 母さんが御神という言葉を聞いた瞬間から黒いオーラを出し始めた

 

(ちょっと、議員さん)

 

(ん?なんだね?)

 

(なんで、御神の名を知っているんですか)

 

(うむ、かつてアルバートというイギリスの議員に紹介されてな、一度だけ依頼したことがあるのだ)

 

 ヒソヒソと話すとなんという…

 

(兎に角母さんの前でその名前ださないでください)

 

(何故だい?)

 

(緋凰と御神は昔から友好的にしているのですが、母さんの場合はライバル視しているようで…)

 

(ぬぅ…もしかしてワシって地雷踏んだ?)

 

(見つけた不発弾を思いっきり爆発させたって方が正解かも…)

 

(ど、どうすれば…)

 

(とりあえず褒めてください。たとえ甲乙つけがたくても)

 

「大丈夫だよ母さん、緋凰が一番だって?ねぇ?」

 

 母さんを抑えつつ議員さんに目配せすると何かを悟ったのか

 

「あ、ああ。テロリストがここまで攻めてきたのに私が全く動かなくて済むなんてな…ハハハ、優雅にお茶でもしていればよかったかな?」

 

「あら、そうですか?」

 

 コロっと態度が元に戻って息を吐く

 

「それでは、悪いのですが今回の報酬を…」

 

「ああ、そうだったな」

 

「紅莉」

 

「はいはいっと」

 

 議員さんの前に俺が出て勘定し金額を提示する

 

「む?この程度でいいのかね?危険もあっただろう」

 

「いえ、適正な値段です。これ以上を要求すれば信用は得られず、コレ以下は使いまわしにされますので」

 

「ほう、子供なのによく分かっているじゃないかね」

 

 いや、別に子供だからってわけじゃなくて母さんが無頓着すぎて覚えただけなんだよ

 

 母さんって物の価値に全く興味ないのか、ある程度の食い扶持としての金さえあればって考えで困った

 

 それで、覚えたくも無いこんな暗い金勘定まで覚えてしまったよ…

 

 議員さんと話していると突如電話の音が鳴り響いた

 

「失礼」

 

 母さんが一言断ってから電話に出たのでそのまま議員さんとやり取りを続ける

 

 

 

 

 

 

「はい、もしもし」

 

『お久しぶりだね』

 

「あんたは…」

 

 電話に出てみれば聞きたくも無い奴の声が

 

『まぁまぁ、そんな恐ろしい声を出さないでくれよ。美人が勿体無いよ』

 

「あんたに言われたくないわね。なんの用よ」

 

『いや、何。あの(・・)緋凰橙璃(とうり)が子連れ狼をやっていると聞いてね』

 

「何?世間話をしたいわけ?警防隊というのも随分暇ね…陣内」

 

『ハハハ、今は育児休暇だよ』

 

 そういや、なんかそんなことを言っていたわね

 

「それで、どんな用よ」

 

『ああ、君が活躍すればするほど…』

 

「敵が増えるって言うんでしょ?分かっているわよそんなこと」

 

 そんなもん、家を出て行ったときから覚悟していたわよ

 

『君自身は心配していないが、ほれ息子ができたんだろ?少し加減をしてみてはどうだい?』

 

「チッ、うっさいわね」

 

『地が出てきたな。っと、それよりもだ』

 

「なによ」

 

『なに、子育ての先達として多少何かを教えようか?』

 

「何を言ってるか分からないんだけど」

 

『いや、単純に子供と言うのはいいなという話さ。恥ずかしながら娘が可愛くてね。いずれは君の子と遊ばせて見たいものだよ』

 

「ああ、確かにそれはいいわね」

 

『確か、あの御神の変わり者さんも嫁さんを貰ったと言う話だしね』

 

「あいつか…」

 

 思わず握っていた電話を強く掴んでしまう

 

『おいおいおい、すっごい嫌な音がするが壊すなよ?』

 

「あんたがムカつくことを思い出させたからでしょうが…てか、本当にその理由だけで電話をかけてきたっていうの?」

 

『そうだが?』

 

 今度あったらぶっ飛ばしてやろうかしら?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんか母さんがさっきからピリピリしているんだがどうしたんだろう?電話の内容がそんなに切羽詰ったものだったのか?

 

 でも、それにしては情報を聞き出そうという感じはないし、この後は日本に帰る予定のはずだったけど

 

「んじゃ、またね」

 

 乱暴に電話をきってこちらに向かってくる母さんの表情は既にいつもの表情であった

 

「ごめんなさい、かつての仕事仲間からだったわ」

 

「いや、ミス・トオリ助かった。また、何かあればお願いしていいかな?」

 

「そうね。私自身もやぶさかじゃないけど、少し遠慮しようかしら?」

 

「どうしてだね?」

 

「この子を育てるのにあまりあっちこっちいくのも、ね」

 

「ふうむ、それは確かに。私も子供がいるから分かるよ」

 

 おろ?今まで散々連れまわしたのに今更腰を落ち着けるのか?電話の内容と関係あるのかな?

 

「というより、こんな子供に金勘定させている者が教育できるのかね?」

 

「うぐっ」

 

 議員さんがからかうと母さんが呻いた

 

「そ、それもあるかもしれないけど、教えるのは私が使っている流派よ」

 

「ほう、あのゴーストマジックかね?」

 

「ゴーストって、別に私は幽霊じゃないわよ」

 

 確かにアレは幽霊って思うかもしれないよなぁ。銃弾がすり抜けるなんてなんの冗談かと思うし

 

「兎に角!私達はコレで帰るわ。あなたも、大事な議会はもう終わるのでしょ?」

 

「ああ、本当にありがとう」

 

 議員さんが再び礼を言った後、俺達は議員さんを案内して無事演説が終わったのを見た後に空港へ向かった

 

「さ、帰りましょ海鳴に」

 

「うん」

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、紅莉。今回はあまり緋凰流は使わなかったけど一つ使ったのは分かったわよね?」

 

「幻武でしょ?」

 

 敵にはゴーストと恐れられる緋凰流の技だ

 

「そう、私達の流派の基礎にして奥義となる歩法術よ。正直これを収めなきゃ次の技には行かないわ」

 

「う~ん」

 

「おさらいね。私が使う緋凰流の正式名称は?」

 

「緋凰月陰(つきかげ)流」

 

「そう、他に緋凰流には緋凰陽明(ようめい)流と緋凰天命(てんめい)流というのがあるわ」

 

 何となく御神に似ているけど言ったらかなり危ないから言わない

 

「主に月陰は武器を使うための技があり陽明は徒手格闘を主としているわ」

 

「天地はそれとは関係ないんだよね?」

 

「ええ、人を壊すということは逆に生かすということに繋がるという結果から生まれたいわば整体術よ…やろうと思えば攻撃に使えるけどね」

 

 怖いよ

 

「さて、月陰流の最大の特徴は武器の固定が無いことよ。継承する人物が使うのに合う丈の太刀を使うの。これはね、一人ひとりで合う武器が異なることがあるからそうなっていったの。

 例えばだけど、私は野太刀を使っているわね?」

 

「うん、女とは思えない怪力だけど」

 

「何か言ったかしら?」

 

「いえ!」

 

 いけね、思わずぽろっと本音を零してしまった。母さんは女の細腕とは思えない力でFateの佐々木小次郎なみの野太刀を使いこなしているんだよねぇ

 

「私の妹は私ほどじゃないけど長めの太刀を使うし、確か今の頭首は脇差だったかしら?」

 

 本当にバラバラだなおい。てか、脇差ってよりも小太刀じゃ…いや、言うまい

 

「たとえ武器の長さが変わっていても、奥義自体に強弱はつかないわ。向き不向きはあったりするけど些細なものよ」

 

「へ~」

 

 俺が曖昧な返事をしていると母さんは苦笑いを返す

 

「まぁ、私も習い始めの頃は紅莉みたいな反応だったと思うけど、でもそれが今じゃわかるからね」

 

 そうして柔和な笑みで俺を撫でる母さん

 

「さてと、マズは紅莉に合う武器を見つけなきゃね。ついてらっしゃい」

 

 こうして俺は海鳴の自宅へと帰った後に自宅の隠し部屋に案内されて俺の相棒となる武器を選ぶことから始まった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの、拒否権は?」

 

「あるの?」

 

「デスヨネー」




次回こそ、原作キャラが出ます
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