「たったの3つ…貴女は何をやっていたのかしら?」
「ご、ごめんなさい」
時の庭園にて一時帰還したフェイトは自分の母親であるプレシアに報告にきていた。
「現地に魔導師が…」
「その程度が障害になるような教育をあいつがしたと思っているの?」
視線だけで死んでしまうような鋭い眼光にフェイトは体が震える。
「現地には魔導師が二人いて、片方は問題ないのですが、もう一人のほうが…」
しかし、フェイトは震えを母に悟られまいと気丈に振舞いつつ理由を告げる。
「それがどうしたと言うの。貴女ができない…それが事実でしょ」
まるで虫を見るように見つめるプレシアに涙目のフェイトだがふと思い出して懐からひとつの封筒を取り出した。
「実はその魔導師が母さんにって…」
おずおずと手紙を差し出すフェイトだが、プレシアの視線はさらに厳しいものとなる。
「貴女まさかあいつらに私たちの情報を…」
射殺さんばかりの視線を投げられるフェイトだが、必死に首を横に振るう。
「ち、違う。わ、私も分からないから理由を聞いたんだけど…知りたかったらその手紙を母さんに渡して読んだ後に理由を聞けとしか…」
それを聞いたプレシアは怪訝そうな顔をしながら手紙を受け取る。もちろん手紙に細工がないのかどうかの検査をしっかりと行ってからプレシアの元へと持ってきたフェイトである。
「……っ!?」
おもむろに手紙を開いたプレシアの表情が変わる。
「どうしたの母さん?」
「………もういいわ、貴女は下がりなさい」
心配そうにプレシアに問いかけるフェイトだが、プレシアはそんなフェイトににべもなく下がるように指示をする。
食い下がろうと思ったフェイトだが、母を不愉快にはしたくないのか素直にその場を引いていった。珍しくお仕置きなどを受けずに…
手紙の文面にはこう書いてあった。
――お前の願いを叶えられるかもしれない。もし興味があるなら連絡を寄越してほしい。
と。
「たっだいまー。って、なんでなのはがこんなところにいるんだ?」
こんなところとはうちの道場だ。何故かはしらないけど、美由希の鍛錬を端に座ってみている構図であった。
「あ、おっかえりー」
「お帰りじゃないだろ…」
「あう…」
元気よく迎えてくれる美由希だが、兄さんと俺は呆れ顔である。寝坊しおってからに。
「それより聞いてよ。なのはったら私が鍛錬始めるより早くこの道場にいたんだよ?」
「「なん……だと…」」
「ねえ、みんなどういう意味かな?」
いやだってねぇ?ネボスケのなのはが早起きしているってかなり驚きだぞ?普段、俺がどれだけがんばってユーノと起こしていると思っているんだ?
いや本当にユーノがきてから楽になったわ。
「さてと、美由希シャワー浴びるなら先に行ってくれ」
「うん、お先~」
「お前らも遅れないように来いよ」
美由希と兄さんが母屋のほうへと歩いていくのを見送りながらなのはに視線を戻す。
「だいぶましな顔になったな」
「どういうこと?」
「何かを決意した顔になったって言うんだよ」
「あう~、やめてよ~」
頭を撫でてやってから俺も母屋へと脚を運ぶ。後ろからは髪型が~って声が聞こえてきたけどあえて無視した。
学校でのなのはとアリサの距離はいつもより開いており、喧嘩しましたとありありと示していたが、お互いに陰湿な雰囲気を放つことはしなかったためか、クラスメイトも見守ろうという感じで黙っていた。
時折アリサが俺の元へと話題を振りつつ、その実なのはのことを気にかけていたのを傍から見ている分には面白いのだが、そんな俺の視線に気づいてか二人ともきつい視線を送ってくる。
そんな状況にすずかは第三者を決め込んで助けてくれなかった…助けてくれよ。
「よかった。ごめんね、レイジングハート。また、私と一緒にがんばってくれる?」
《オーライ、マスター》
夕方バスを降りるとユーノが電柱の影に隠れており、その首にはレイジングハートがかかっていた。
先日の戦闘で破損したレイジングハートだが綺麗に直ったようだ。
なのははレイジングハートをやさしく包むように、愛おしそうにレイジングハートを手に包み込みながらレイジングハートに言葉をかけるとレイジングハートもうれしそうに答えた。
しかし、そこで終われば良かったんだが、ことは急ということかジュエルシードの反応が起こる。
「紅莉君、行こう!」
なのはの顔は何かを決意した顔になっており、前みたいな弱弱しさが感じられない。
なのはに引っ張られる形で反応があった場所まで来ると、そこには木に寄生したジュエルシードがあった。
「ユーノ」
「分かっているよ!展開!」
俺が言いたいことは既に分かっているのか直ぐに結界を展開した。
「ぬ?」
こちらが放ったわけではない魔力弾が木に向かっていくが、あたる直前にバリアを展開してすべて防いだ。
「これは…フェイトちゃん!」
こちらより後ろから飛来したことにより、誰が放ったかわかったなのはが名前を呼び振り返ると同時に、木の様子が変わる。
「ユーノ君逃げて!」
木が少し立ち上がるような動きをしたと同時に根っこが地面から浮き上がってきた。
「よっと」
こちらに向かってきた根っこは全て切り落としながら空へとあがる。
「どうするよ?」
なのはに、そして後ろまでやってきていたフェイトに問いかける。
「あんたがやれば一発じゃないか」
アルフが俺を見ながら言ってくる。
「別にかまわんが、その場合はあれは俺がいただくが?」
それを言うとフェイトが地上に降りていきながらデバイスを鎌の形にして構えてから振りかぶり魔力刃を投げつけると根っこを切り裂きながら本体部へ到着するもバリアで防がれた。
「レイジングハートお願い!撃ち抜いて、ディバイン…」
《バスター》
まるでフェイトを援護するようにレイジングハートをシューティングモードに切り替えて魔力砲を放つと木はバリアでガードするのだが…威力が高くて地面へめりこむ。
『なぁ、ユーノ』
『なんだい?』
『怖いな』
『ノーコメントで…』
念話でユーノに俺が思ったことに同意をもらおうとしたのだがノーコメントと返された。しかしユーノそれは答えているのと同じだぞ。
「貫け轟雷」
《サンダースマッシャー》
なのはの攻撃により意識を全て防御に回してしまっているせいかフェイトの邪魔ができなくなり、フェイトもまたなのはのように魔力砲を放ち木にぶつける。
方向が違う二種類の魔力砲に最初は抵抗していた木だったが、耐え切れずに消滅し、封印が完了した。
『ユーノ』
『どうしたの?』
『やっぱり、怖いな』
『う…んん゛、ノーコメントで』
もう一回同意を取ろうとしたが、やっぱりノーコメントと返されたが、今回はうなずきそうになったなお前?
「ジュエルシードには衝撃を与えたら駄目みたいだ」
「うん、またあんなことになったら私のレイジングハートもフェイトちゃんのバルディッシュもまた…」
どうやら前回のことで学んだようで、封印が完了しても直ぐに取りにいこうとはしていなかった。
ちらりとアルフを見てみるが、どうやらマスターであるフェイトに任せるようで掠め取るような真似はしないようだ。
《マスター。あと、1分前後でここに転移してくるものがいます》
ことの成り行きを見守っていると、エアから報告が入る。ここに転移してくるっていうことはフェイトの仲間か?
いや、それは考えにくいか。もし、仲間がいるのなら初めから一緒にいるだろうし効率が悪い。
しかし、俺みたいなイレギュラーだとしたら?いや、それこそありえないか。それなら余計に一緒に居ない方がおかしいし。
とりあえず、警戒をしながらことの成り行きを見守っていると、なのはとフェイトが互いに交差する瞬間に魔法陣が展開され、そこから一人の少年が現れなのはとフェイトを止めた。
「ストップだ!ここでの戦闘は危険すぎる。時空管理局、クロノ・ハラオウンだ。詳しい事情を聞かせてもらおうか」
ついに現れたか管理局。リニスとの会話で出てきていたからいつかは現れるとは思っていたが…
「まずは二人とも武器を引くんだ」
現れた少年…クロノによって空から地上に下ろされる二人だが空に上がったあのアルフは…
「いよっと」
「「なにっ!?」」
なのはたちの頭上から降り注ぐ魔力弾を全て切り落とすと、驚きの声が二つあがる。ひとつはアルフでもうひとつはクロノであった。
「どういうつもりだい?」
「こっちの台詞だ。自分の主含めて撃つ気かお前は」
尋ねられたのであきれながら答える。恐らく今のは念話によって事前打ち合わせすら行わずにアルフの独断での攻撃だろうな。
俺の指摘に多少うろたえているのがいい証拠だ。恐らくはクロノ目掛けて撃ったからフェイトへの被害はほとんどなかっただろうが、万一っていうのは予測できないからこそ起こるものだしな。
「あ、待て!」
後ろから声が聞こえたので見てみれば、フェイトがジュエルシードを奪い去ろうと空をあがって向かっていく。それは高望みしすぎだぞフェイト。
しかもだ、後ろからクロノが撃とうとしているのにも気づいていない。
「ハッ!」
「くぅっ!」
刀を振るい、フェイトの通り道に斬撃を飛ばし仰け反らせる。そのおかげか、フェイトは俺の攻撃を避けることで結果的にクロノの攻撃までよける。
「逃げるよフェイト!」
先ほどよりさらに容赦がなくなった魔力弾が降り注ぎ、クロノとなのはは防御せざるえなくなり、フェイトたちはその隙をついて逃げていった。
「どういうつもりだ!」
フェイトたちが離脱していったあと、クロノがこちらに詰め寄ってきた。
「どういうつもりとは?」
「先ほど君が行った攻撃のことだ。いったはずだ、戦闘行為を中止しろと」
「あのまま、攻撃しなけりゃジュエルシードが取られてしまったかもしれないだろう?」
「あれは、僕でも防ぐことができたんだ!」
う~む、あまりカリカリしていると将来ハゲるぞ。
「何っ!?お前は女の子に向かって後ろから攻撃しかけるのか!?」
「紅莉君白々過ぎるの…」
黙れ。ぎろりと睨んでやるとまるで口笛を吹きそうな感じで目をそらしやがった。
『落ち着きなさいクロノ』
「すいません。片方は取り逃がしてしまいました』
空中にディスプレイが現れるとそこには緑髪の女性がクロノを嗜めた。
『大丈夫よ。でね、それでちょっとお話が聞きたいからそっちの子達をアースラに連れてきてくれないかしら?』
「了解です。直ぐに戻ります」
クロノはさっきの女性にそう告げると、ディスプレイは閉じられてこちらに向き直るが。
「悪いが俺はいかないぞ?」
「なんだと!」
俺が行かないと告げると再び激昂するクロノ。
「落ち着けよ。なんで、知らんやつの言うことを聞く必要があるんだ」
俺がそう告げるとクロノは何を言っているんだこいつという表情になる。あれ?俺なんかへんなこと言ったかなぁ?
なのはに視線で聞いてみるが、なのはも理由がわからずに首を横に振っている。
「言っただろ、時空管理局だと」
「言ったね。だから、その時空管理局って何?から始まるんだけどさ」
あくまで知らぬふり。てか、大まかにリニスから伝えられたのは魔法の警察みたいなものとしか教わってないし。
「君たちは時空管理局を知らないのか?」
「知らん」
「あの、えっと、知らないです」
「ごめん、教えてなかった…」
ユーノの事情を考えれば教える必要もないだろうしね。
「んじゃ、俺は帰るわ」
「だから、話を聞きたいからついてきてほしいと言っているだろ」
「いやだから、嫌だって断っただろ?」
こいつこそ何を言っているんだ。てか、俺はこれからちょっと用事があるから帰りたいんだよ。
「そっちが話しに来るなら無碍にしないけど、こっちから出向くのは断る。ああ、なのははどうするか自分で決めろ?行くもよし、帰るもよし、好きにしたらいい」
むしろなのはだけ行ってくれて事情を聞いてきてくれたほうがありがたい。
そういって、帰ろうとしたら足元に魔力弾が放たれる。威嚇のためか殺気がなかったので当たることはないとそのまま避けないでいたらやはりあたらなかった。
「はぁ…こっちは穏便に済ませたいんだ。もう一度言う。そっちから来るなら歓迎するけど、こっちからは行くことはない。無理やりというならこっちも抵抗するが……覚悟しろよ?」
「ぐっ」
殺気を叩きつけると、たじろぎ額に汗を浮かべる。こっちの言いたいことを理解したのは表情から分かったので再び踵を返して歩いていくと今度は攻撃が来なかった。
紅莉君の自由すぎる態度に思わず呆れてしまった。だけど、紅莉君らしいなぁって思う。
「それじゃ、君たちだけでも」
「ごめんなさい」
紅莉君に睨まれてたじろいたけど平静を取り戻して目の前のえっと…クロノ君が私たちに向き直るけど私は頭を下げる。
「どういうことだ?」
睨んできたけど紅莉君に比べれば大したことはなかった。紅莉君が睨んでくると怖いのなんのって…今はその話じゃないよね。
「えっと、別に紅莉君みたいに貴方たちが信用できないってことじゃないんだけど、それでも後ろから撃つような人たちについていくのは…」
フェイトちゃんを撃とうとしたのはある意味私も納得ができる。漫画とかでもそういうシーンがあったからなんとなくだけどクロノ君がやろうとしたことは理解できるから。
でも、紅莉君に撃った理由は違うような感じがするし。
「紅莉君は私にとってとても大切な人なんです。理由もなく、撃ったことには…」
「彼がこちらの意図を無視して立ち去ろうとしたからだろ」
理由は分かる。けど、紅莉君がいったことを理解してないんだろうなぁ。
「えっと、紅莉君も言ったんですけど私たちは時空管理局?というのを知らないんです。それで、ついていってもいい組織なのかどうかの判断が出来ないんです」
「君たちは魔法を使っているのに本当に知らないのか?」
今までの態度が嘘のように素の状態で聞いてくるクロノ君。うん、なんだかこの状態のほうが彼らしいという感じがする。さっきまでの彼は何というか…うん、そう見せようとしていて肩肘を張っていた感じがする。
「えっと、なのはもさっきの紅莉も現地でたまたま力を手に入れた魔導師なんです。だから、管理局のことを知らないのも無理はないかもしれません」
「そうだったのか…しかし、このまま帰すのは」
『クロノ、かまいません』
「艦長よろしいのですか?」
『ええ、知らないというのに無理やりついて来てもらっても彼女たちには悪いでしょう。
なので、後日改めて話し合いをしたいと、先ほどの彼にも伝えてもらえますか?』
「あ、はい」
さっき現れたディスプレイがまた現れてクロノ君を止めてくれた。
『それじゃ、連絡先を聞いてもよろしいかしら?』
うちの電話番号でも教えればいいのかなって思っていらユーノ君がなにやらレイジングハートを使って出来るからといっていろいろとやってくれた。
『それじゃ、早ければ明日にでも連絡をいれますから。クロノ、戻っていらっしゃい』
「わかりました」
そういうとクロノ君の足元に魔法陣が現れて消えていった。
「ユーノ君。後で時空管理局ってのを教えて」
「うん。紅莉にもきちんと話をしないと」
「にゃはは…紅莉君、興味ないっていうかも」
紅莉君ってたまによく分からないんだよね。
「それじゃ、帰ろうユーノ君」
「うん」
《マスター、通信が来ました》
「割と早かったな」
うちに戻って休んでいるとエアから報告が入る。昨日の今日なので当分こないかなって思っていたけど、直ぐにきたとなるとフェイトは昨日から今日の間に一度戻ったのかな?
「リニス」
「既にいます」
リニスを探してみればベッドの脇の自分の寝床からベッドに飛び乗っていた。
「エア、繋いでくれ」
《はい、映像映します》
そして、空中に夕方にみたようなディスプレイが現れそこには一人の女性が映った。
「プレシア…」
リニスがあちらに聞こえないようにポツリと呟いた。それにしてもこういうディスプレイってどうやっているんだ?魔法陣が展開されているところをみると魔法か?
一応、魔法ばれがおきないように部屋には結界を張っているけど、どうなんだろう?忍さんあたりがみたら徹底的に解明させてくれって頼まれそうだ。
『貴方があの手紙を?』
なんの挨拶もなしにプレシアが聞いてくる。
「ああ、そうだ。俺は緋凰紅莉だよプレシア・テスタロッサ」
俺は頷きつつ挨拶をしながら彼女の名前を呼ぶと、壮年らしからぬ美貌をもつsの顔を歪める。
『私が聞きたいことは二つ。まず、どうして私を知っているか。そして、あの手紙の内容よ』
どうやら、あまり雑談できる雰囲気ではないようだ。
「そうだな、まずプレシアのことを知っている理由を話そうか。何、簡単さ。俺の使い魔が知っていただけだ。そして、お前がやろうとしていること、目指していることをな」
『使い魔ですって?』
鋭い目つきで睨みつけられるが俺は気にせずに視線をおろしてリニスを見ると彼女も覚悟を決めたのか一度頷きそして元の姿に戻る。
「お久しぶりです、プレシア」
『貴女はリニス……!?どうして、そこにいるの!』
プレシアの表情が初めて睨みつける以外の表情となる。
「偶然が重なったとしか言えませんね」
リニスはプレシアの怒声に近い声にもたじろがずにすらすらと答える。
『偶然ですって?』
「ええ、私が消える瞬間に何者かがこの紅莉の傍に送り、図々しいですが貴女を止めるために、フェイトのために力を貸していただきました」
『私を止めるですって。無理よ、私はもう止まらない。それに人形のためとはどういうことかしら?』
リニスとプレシアが話しているために俺は置き去りだが今は割り込む必要もないので静観していよう。
「彼女は貴女が生み出したのですよ?それをあんなふうに…」
『だからこそよ。だったら、好きにしていいのも私の自由よ』
「彼女に愛情を注がないのに好きにしてもいいとお思いですか?」
『愛情?馬鹿を言わないで。私の愛情はアリシアのためにあるのよ』
割り込まないと思ったのだが、なんかヒートアップしてきたし止めるか。
「おちつけリニス」
「しかし、紅莉」
「いいから任せろ」
「……分かりました」
尚も言い下がろうとしたリニスだったが、俺の顔を見て下がってくれた。
『ふん、よく躾けているわね』
「ああ、あんたの使い魔だけあって優秀で助かっているよ」
答えになっていない答えを言う。
『当然よ、私が維持するだけでもきつかった子よ?』
おっと、なにやら自慢が入ったな。リニスも自分をほめられて恥ずかしいのかやや赤くなっているが。
「まぁ、俺の魔力は無尽蔵なんできついって感じはしないがね」
『無尽蔵ですって?デタラメを…』
まぁ、これはあくまでエアが言っていることなので本当かどうかは分からないけど。
「さて、無駄話を続けてもいいが次の話に行こうか」
『ええ、そうね』
最初の高圧的な感じがなくなったな。いい傾向か?
『私の望むこと…つまりは、貴方はアルハザードへの行きかたを知っているというのね?』
「ん?お前の望みはアリシアの蘇生じゃなかったのか?」
なんとなく話が違うような…リニスの話じゃプレシアの目的はアリシアの蘇生だったんだが。
「プレシア!まだ、そんな夢物語を!」
突如横からリニスが叫びあげる。やめい、誰かにばれたらどうするんだ。
『夢物語?違うわよリニス。アルハザードは存在する。そしてジュエルシードがそれを叶えるわ』
なるほど、どこにあるか分からない場所に行くには確かにジュエルシードのような願望器を使って運んでもらおうというわけか。
『それで貴方はその場所を知っているのね?』
「いや、知らん」
再び尋ねてきたプレシアに即答すると今まで以上の鋭い視線を送ってくる。射殺さんばかりとはよく言ったもんだ。
『どういうこと?私をからかってただで済むと思っているのかしら?』
「おぉ怖い怖い。落ち着け、俺はアルハザードへの行きかたなんて知らんが蘇生法が存在するといっているんだ」
おどけながら、本題を伝えるとプレシアの目の色が変わる。
「ただし、現状では5割だ」
『詳しく聞きましょう』
俺が成功率が5割と告げるとプレシアが続きを促してくる。
「5割の理由は現状のアリシアを見ないとなんとも言えないということだ。魂が存在しなければ蘇生など出来ない」
聞いた話だと実験か何かのミスによる事故でアリシアは死んでしまったという。そのときに魂ごと消滅してしまっていたら俺の力ではどうにもできない。
英霊みたいな存在ならばおろすことも出来るが、リニスの話を聞けば普通の子供ということだ。別枠に隔離されているということがないからな。
『魂ですって?非科学的な』
「悪いがその問答には意味がない。お前が信じなければそれでよし。俺は手を出さないから好きにしな。
よく考えな。あるかどうか、成功するかどうかわからない賭けをするか。または俺に見せて試すかを」
『もし、貴方がいう魂というのが存在すればアリシアは生き返るのかしら?』
「ああ、俺の名前に誓おう。できると。その方法も既にある」
最初は失敗したが後に何回か試して成功した。といっても蘇生法を試したわけじゃないがまぁ、失敗はすまい。
『そう…だったら』
「おっと、俺もただじゃおきない男だ」
『何が目的かしら?金ならば腐るほどあるわ』
お願いしようとしたプレシアの言葉をさえぎり暗にただではやらないと伝えるとプレシアは直ぐに金の話を始める。
「俺もいらん。むしろ余っているからな」
母さんの遺産相続してから驚いた。あの人金の管理できていないのに何故か金を腐るほど持っていたんだもん。
総資産を計算後にとーさんたちに見せたら乾いた笑いしていたっけ?
『だったらなんだと言うの?』
「俺が要求するのは二つ」
『アリシアが生き返ってくれるならば安いものよ』
おっし、言質をとったぞ。
「紅莉、悪い顔をしていますよ」
おっと、思わず表情にでていたようだ。俯いてやったからプレシアにはばれていないだろう。
「ひとつは……フェイトを家族として扱ってやれ」
『何を馬鹿なことを…』
「言ったはずだぞ?ただではやらないと」
『………あともうひとつは何かしら?』
返事をせずにもうひとつのことを聞いてきたた。まぁ、直ぐにやれといわれても無理だろうしこっちはゆっくりとことを進めよう。
「リニスをこのまま俺の使い魔にさせてもらう」
「紅莉?」
俺の二つ目の要求の意図が分からないのかリニスが尋ねてくるが今話しているのはプレシアのためにあえて無視する。
『別にかまわないわ。そんなにその子のことが気に入ったのかしら?』
「ああ、お前も言っただろう?優秀だって。俺もそう思うし実際助かっているからな」
俺一人だと広域結界なんて張れないし。エアいわく戦闘に特化しすぎた弊害だそうだ。
しかしな、俺は別に特化したつもりはないんだが…
「それじゃ、近日中に一度そちらに呼んでくれ。きちんと見ないと分からない部分が多いからな」
『ええ、今からでもいいかしら?』
プレシアの提案に時計を見る。現在の時刻は5時半…なんとかなるか?
「分かった。準備できたらこちらから連絡を入れる」
そういって、一度連絡を切ってからちょっと出てくることを誰かに告げようとしたらなのはが帰っていた。
「ん?行かなかったのか?」
「あ、うん。紅莉君を後ろから攻撃する人たちについて行くのはなんか危険かなって思って」
うれしいことを言ってくれるじゃないか。
「そうか。まぁ、お前が決めたことだ何も言わんよ。そうだなのは、ちょっと出かけてくる。夕飯までには帰るから伝えといてもらっていいか?」
「うん、いいけど何処に?」
「ちょっとな」
答えをはぐらかせてから部屋へと戻ろうとしたらなのはに声をかけられた。
「明日くらいに話をさせて欲しいって言われたんだけどどうしよう?」
「それじゃ、緋凰家に呼んでくれ。誰も住んでいないから都合がいいだろ」
御神家なみにでかい屋敷だから中に転送してもらえればばれることもないだろうし。
「うん、伝えとくね」
「頼むな。んじゃ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
なのはに見送られながら俺は再びプレシアに通信を繋ぎ時の庭園へと転送された。