「私と戦いたい?」
「うん」
昨日なのはが言ってきた内容はフェイトと決着を付けたいということだった。
状況に流され、一緒に行動するようになったが、それはあくまでもジュエルシードを集めるために効率的にやるためであったからだ。
なのはとしては、キチンと話をしたいと思っていたのだが、状況が状況だけになかなか上手くいかなかったようだ。
なので、ここらでキチンと認めてもらい、またフェイトの思いを知るためにも全力でぶつかりたいとの事だそうだ。
本当なら戦いなどせずに徹底的に話し合えばいいのだろうけど、出会いが出会いだけになのはとしてもきっちりとやりたいのだろう。
「戦う理由が……」
フェイトとしては、なのはと今やりあう理由がないと思い断ろうとしたのだが
《プットアウト》
「なっ!?」
レイジングハートから今まで集めたジュエルシードが全て吐き出されてなのはの周りに浮かび上がる。
その光景を目の当たりにしたフェイトは驚きの声を上げた。
「きっかけはジュエルシード。だから賭けよう。思いも願いもジュエルシードも全てを」
なのはの行動にユーノはおろか、クロノも何も言ってこない。
フェイトと全力でぶつかり合いたい。ただ、周りから見ればそれは非常に無意味なことだ。だから、昨日相談を受けた俺はそれをやりたければクロノとユーノに何故やりたいかをきっちりと説明してからだと伝えた。
なのははフェイトが来る前までに二人に必死に説明しお願いをしていた。
ユーノはわりかし簡単に説得に応じていたけど、やはりクロノは管理局側の意見として反対したのだ。
ロストロギアの所有を賭けるなど、通常で考えればありえなく、また彼女が勝ってしまい万が一にでも逃げられたらと考えての意見であった。
ただ、クロノは俺との戦いを一つの区切りとして任せることにしたのだと決めていたため一通りの注意をしてなのはに全てを任せたのである。
つまりはだ。俺との戦いはある意味お互いの意見をぶつけ合った戦いだったために人のことは言えないんだそうだ。
………俺はそんなつもりなかったんだけどねぇ。
それを言ったら、こっちが勝手に考えてやったことだとカッコよく笑いながら告げてきた。
《プットアウト》
「分かった……受けて立つ」
バルディッシュからフェイトが今まで集めた全てのジュエルシードが吐き出されなのはの挑戦を受けたのであった。
「ただ、今すぐではなく2日後の朝に行うことにする。これはお互いにコンディションを整えるのと相手を研究するための期間だ」
今まで静観していたクロノが決闘の日付を二人に言い渡す。二人はそれに頷いて、ジュエルシードを再び回収した後それぞれ分かれて部屋を出て行った。
「君はどうするんだ?」
部屋に一人残っていた俺にクロノが尋ねてきた。
「どうするって何が?」
「君は彼女……なのはといつも一緒に行動していたのだろう?ついていかなくていいのか?」
なるほど、そういうことか。
「う~ん、それだと不公平になりそうだからな」
「不公平?」
「ああ、なのはにはユーノが、フェイトにはアルフがついているだろ?そこで俺がなのはについたらサポートの数が不公平になる」
まぁ、あっちにリニスをつけてやればバランスも取れるのだろうけど。
「そうか。しかし、こういう場合は身内に勝ってもらいたいものだろ?」
「もちろん。やるなら勝って欲しいさ」
椅子に体を預けながら返すとクロノの顔が怪訝そうな顔になる。
「クロノってさ兄弟はいるか?」
「いや、いないが」
「今までは自分の意見は出来るだけ表に出さないで、いい子を演じようとしていた妹が初めて自分の意見をぶつけてきたんだ。
今までさ、何かあったら全力を持って守ってやろうと誓っていた妹が気づいたら隣に立っていたんだよ。
だから、俺はあいつがやると決めたのならば応援はするし助言を求められたら答えるつもりではいる。
でも、今回のことは私が一人で頑張ると言ってきたんだ。だから俺はそれを傍観させて貰うつもりさ」
まぁ、これはわりと最近気づいた事実なんだけどな。気づかないうちになのはは俺が守らなければと思い込んでいた。
なんて独善的な考え方だったんだろうと今にして思えば分かることなのにな。
「妹?」
そんな俺の台詞の中に気になることがあったのかクロノが尋ねてきた。
「そういや言ってなかったな。俺は俗に言う貰われっ子というやつなんだよ。
戸籍上では俺となのははきちんとした兄妹だぞ?」
態々言う必要がないからほとんどの場合は言わないけど尋ねられたら教えることにはしている。
「そうか、失礼なことを聞いたな…」
なにやらクロノが真摯に受け止めて謝罪してくるが軽く手を振って頭を上げさせる。
「それにしても、名前が違うから分からなかったな」
俺が気にしないことを分かったのかもう少し深く聞いてくる。
「クロノってさ、尊敬できる人っているか?」
実は尊敬できる人ってのは案外少ないんだよな。口では尊敬できるといえる人は沢山いるのだろうけど、心からそう思える人ってのはなかなかに少ない。
「……ああ、いるよ」
若干、間があったのだがどうしたのだろうか?まぁ、別にいいか。
「俺の尊敬できる人ってのは俺の母親だ」
「母親というのは今の家の人ではないよな」
「ああ、俺に戦い方を教えてくれた人だ」
誤解を生みそうだが、俺は桃かーさんだって尊敬しているし大好きだ。が、この場合はからんでこないだけだ。
「その人は気高くて強くとても輝いていた人だ」
それは人としても、武を扱う人としてもだ。
「だからこそ、俺は【緋凰紅莉】という名前が好きなんだよ」
別に名前を馬鹿にされようが、どんな風に呼ばれようが気にしない。この名前は母さんに貰った俺の誇りだ。
「戦い方を教えてくれたのは君の母親だったのか」
「ああ、あの人は今の俺じゃ太刀打ちできないくらいに強かったよ。いずれ成長してあの人がいた頂に上りたいと思っている」
一人の剣士として完全に別格の強さを有していた母さん。とーさんも言っていたけど、武を歩むものが辿り着く頂に母さんはいたという。
ならば、見てみたいじゃないか、その光景というものを。
母さんはそれゆえに疲れてしまったというが、そんなものその時に考えれば十分だ。
「そうか……一度会ってみたかったな」
「どうだろうな。生きていたら、俺はここにいなかったかもしれないし」
本当に分からない。一人で鍛錬していたところに送られてきたリニスとエア。これが運命だったと言われればそれまでかもしれないけどな。
「仮定の話をしても仕方ないか……この後時間は大丈夫か?」
クロノに聞かれて時計を見るとまだ午後の3時だからかなり余裕があるな。
「大丈夫だけど」
「だったら、模擬戦に付き合ってくれるか?君と戦うのは僕にとってもかなりの力になる。
それに、君の戦い方は魔導師の戦い方とも違うから参考になる」
そこまで評価されてしまったら断れないじゃないか。立ち上がりクロノについていき、その日はかなり充実した模擬戦をやることができた。
『そんじゃまー説明するよ~』
決戦当日、気力十分のなのはとフェイトは海上から聳え立つビル郡という一風変わった光景の上にお互いリラックスした状態でエイミィの説明を受けている。
なんでも、結界の中にこういった模造物を作り出す技術があるそうで、それにより様々な戦闘方法を訓練できるとか…
いや、この技術マジで欲しいな…特に兄さんなんかこの技術があれば色々と苦労している部分が消えるよ。
御神は場所を選ばずに常に全力で戦えるようにと、森や砂浜や暗い倉庫街など色々な場所で戦うようにして鍛錬しているし。
かく言うおれも、それに習おうと一緒についていって色々な戦闘経験を得て今の俺があると思っているし。
「始まったな」
「そうですね」
「フェイト……」
「なのは……」
アースラからではなく、生の現場に近い場所から観戦しているのは俺・リニス・ユーノ・アルフの4人でクロノも誘ったが、彼はアースラから監視しているようだ。
「こうしてみるとフェイトの機動性は凄いな」
「当たり前だろ!フェイトは頑張って頑張って今までやってきたんだ!」
俺の賞賛にアルフはまるで自分が褒められたごとく笑顔をしながら胸を張ってくる。
「けど、なのはも負けていない」
「ああ、クリティカルされずに要所要所できちんと防御しているからあそこまで対応できているんだろうさ」
それでもやっぱり魔法を始めてからわずか2ヶ月しか経っていないなのはだと不利感は否めないな。
「あんたならあの二人相手にどうするんだい?」
じっと戦いを眺めていたらアルフから聞かれた。
「そうだな……まずはなのはだが、あいつの場合はクロノと同じように戦わないといけないな」
重い防御といってもそれなりの機動性を持っているし、シューターやバスターの威力はわりと洒落にならない威力がある。
俺の特性としては徹底的なクロスレンジが持ち味だから近づかなければ意味がない。
だからなのはに対しては正面突破をして近づいていくしかない。
「フェイトの場合は逆に動かずに近づいてくるのを待ったカウンター型での対処だな」
フェイトの場合は早いから追いつけない。またあいつは見た感じだとクロスレンジを主体としたオールラウンダーだから遠距離攻撃はわりと楽に裁ける。
決め手がなく近づかなければいけないと焦ったら儲けものだな。
速いが見えないことはない。それに速さならば兄さんが特にそうだ。
兄さんは速くて
この言葉だけじゃ言葉遊びに見えるかもしれないが、俺の攻撃は出が兎に角早い。だからカウンター型としての後の先も取れる。
「アルカス・クルタス・エイギアス…疾風たりし天神……今導きのもと撃ちかかれ……バルエル・ザルエル・ブラウゼル………」
少し考え事をしていたらなのはがバインドに引っかかり、フェイトが詠唱を開始していた。
「マズイ!フェイトは本気だ!」
「なのは!」
「ユーノ動くな」
俺でも感じる威圧感にユーノが動きそうになるのを俺は刀を向けて静止する。
「でも!」
「全力の一騎打ちだ。邪魔をするなら……誰が相手でも容赦はしない」
『紅莉君の言うとおりだよ!全力全開の一騎打ちだから!私とフェイトちゃんの勝負だから!」
食い下がろうとするユーノに淡々と告げていると、なのはからも抑止の念話が届く。
それを聞いたユーノは何かを言おうとしたが、大きく息を吐いて下がった。
『分かった!負けないでねなのは!』
しっかりと応援の言葉を送ったあと、ユーノはそのまま強い眼差しで戦いのなりゆきを見守りだした。
「フォトンランサー・ファランクスシフト………打ち、砕けー!」
前にリニスに見せてもらった以上の数、威力の攻撃が次々となのはへと向かっていく。
「スパーク……エンド」
最後に残ったスフィアを収束し一本の槍としてなのはに投げつけた。
もうもうと立ち上がる煙により、なのはの状態が確認できないが、どうやら海にへは落ちてないようだ。
「前に見せてもらったときに抑えていると言っていた理由が分かったな」
「フェイト……よく、ここまで」
リニスはどうやらフェイトの成長を喜んでいて俺の声は聞こえていないようだ。
『ユーノ、クロノ』
『どうしたの紅莉、こんな時に』
『どうしたんだ?』
煙が晴れていない間に俺はクロノとユーノに念話を送る。
『怖いな』
『え、あ、ああ……うん』
『そうだな……』
見た感想を伝えると、前はコメントを否定したユーノだが今回は素直に賛同してくれた。
クロノもまた、同じ感想を持ったようだ。
「煙が晴れてきたな…」
そんな男同士のちょっとした確認が終わると煙が晴れてきてそこにはボロボロになりながら何とか飛んでいるなのはの姿があった。
「くっ!うわぁぁぁぁっ!」
そんななのはの姿を確認したフェイトは最後の力を振り絞り近づこうとしたが
「バインド!?いつ……!」
どうやらなのははただ黙って相手の攻撃を受けたわけでなく、着弾前にバインドを設置していたようだ。
「ディバイィィン・バスターーッ!」
お返しとばかりにロックされているフェイトに向かってなのはのディバイン・バスターが発射される。
左が開いていたフェイトは左手を前に突き出して防御をしている。もともと防御が薄いフェイトのために防御越しでもガリガリとフェイトを削っていく。
「しとめきれなかったか」
なのはの砲撃は何とかフェイトが耐え切り。終わりに見えたが…
「なんだい……あれは……」
アルフは言葉を何とか搾り出すのも無理はない。ピンクの光の粒子が上空へと集まっていき膨らんでいく。
《スターライト・ブレイカー》
「使い切れずにばら撒いちゃった魔力をもう一度自分のところに集める」
「収束……砲撃……」
「エアから貰ってレイジングハートと考えた知恵と戦術、最後の切り札」
ん?今なのはの奴エアの名前を呼ばなかったか?
「おい、エア」
《前になのは嬢のデータを貰った見返りとして、身体強化の術式と彼女のレアスキルの詳細を話しただけですよ?》
「「レアスキル!?」」
ユーノとアルフがそろえて大声を上げる。
《彼女のレアスキル【魔力収束】は周辺の魔力を一箇所に集めることができるレアスキルです。
正直、使い勝手がいいとは言えませんが、一撃必殺の威力は確実に出るでしょう》
エアの説明を聞いていたらなのはの準備は完了したようだ。
「受けてみて、これが私の全力全開…。スターライト・ブレイカー!」
なのはがレイジングハートを振り下ろすと同時に極太の閃光がフェイトを飲み込んでいった。
『ユーノ、クロノ』
『なにかな?』
『どうした?』
『……怖いな』
『うん……僕、なのはを怒らせないようにするよ…』
『ああ、あれを受けたいとは思わない』
あんなのトラウマになるぞ?
《マスターのブレイカーのが威力出ていますがね》
見た目の問題だよ、見た目の。
「っと、流石に終わったか回収してくる」
フェイトが下へと落下していくのを感じ加速を使って一気に落下ポイントまで飛び受け止める。
「紅莉君…」
「おつかれ、よく頑張ったな」
「あう、やめてよー」
なのはもフェイトを回収しようと一生懸命飛んできたのだが一瞬早く俺が到達したので普通に飛んで近づいてきたのを頭を撫でて褒めてやる。
「……う」
「気がついたか」
左手で支えていたのを右手も使って抱きかかえる。
「あーーーーっ!」
「はうっ!」
なんか、なのはが不機嫌そうに大声を上げて、フェイトはフェイトで変な声を出すな。
「こ、紅莉君!何やっているの!」
「あうあうあう…」
「なにって……ああ」
格好を見てようやく理解した。俗に言うお姫様抱っこをしていたからフェイトは驚いているのか。
「飛べるか?」
「だ、大丈夫です」
多少どもりながらも気丈に振舞おうと俺から離れて一人で飛ぶフェイト。
「フェイトちゃん、もう一発いっとく?」
「ひぅっ!?」
「やめんか、阿呆」
なのはがなんか不吉なことを呟き、フェイトが目に見えて怯えたのでチョップをして止める。
「だったら私も」
手を広げて抱っこを強請るポーズをするなのは。
「後でな」
「絶対だよ!約束だよ!」
「ふふ…」
俺となのはがコントを繰り広げていたらフェイトの顔に笑顔が出た。
「お、初めて笑ったな」
「私の負けだね…約束どおりジュエルシードを渡すね」
「うん」
バルディッシュからジュエルシードが吐き出されなのはが回収しようとしたその時…
「二人とも下がれ!」
あたりに雷が落ち始める。これは、前回のプレシアの攻撃か!
《マスター、雷が一箇所に収束されております》
エアからの報告を聞くまでもなく、極太の雷が今まさに落ちようとしている。
なのはたちは既に満身創痍の状態ですばやく動くことは不可能、ならば!
「斬り耐える!」
《歪曲フィールド、ディフレクト・フィールド展開!》
なのは達の上へと上がり頭の上に刀を構え踏ん張る体勢を作り、またエアが二つのフィールドを展開する。
その動作と同時に雷が降り注いできた。
「ぐ…ぐぅぅ…!」
予想よりもはるかに強かった衝撃に歯を食いしばり絶えること数秒の後、衝撃が徐々に無くなっていった。
「耐え切ったか」
《お疲れ様ですマスター》
「フィールドの展開助かった」
あれがなければ飲み込まれていただろうな。
『大丈夫か!』
「ああ、悪いが回収してくれ」
「どうなっているんだ」
「先ほどの攻撃は前回と同じようにプレシア・テスタロッサからの攻撃だ」
そんなことは分かっている。それよりも、その先の状況だ。
「彼女には悪いが、二度の攻撃に加え、ジュエルシードを強奪したことによりこちらも黙っているわけには行かなくなった……だから、強硬手段を取らさせてもらうことにした」
ブリッジのモニターを見ると、アースラの局員達が時の庭園の玉座の間へと侵入し更に奥へと進んでいっていた。
「え…」
映し出されるのは生態ポッドに入ったアリシアの姿。
『もう、待てないわ…終わりにするわ』
プレシアは局員達を吹き飛ばすと愛おしそうにゆっくりとアリシアへと近づいていく。
何故だ、何故今になって約束を違えるプレシア。
俺は言ったはずだ。必ず生き返らせてやると…なのに…
『せっかくアリシアの記憶をあげたのにちっとも役に立たないグズでノロマな人形』
そこからエイミィから語られるプレシアの過去。そして、それを認めアリシアとフェイトの違いを次々と述べていくプレシア、そして…
『大っ嫌いだったのよアンタなんか!』
「っ!?」
その一言で今まで耐えていたフェイトだったがそれこそ糸の切れた人形の様にその場にへたり込んでしまった。
「フェイト!」
「プレシア!貴方はまだ!」
『うるさい猫ねぇ…私の邪魔をしないでちょうだい…あなたはその人形と遊んでいればいいわ』
なんだ、妙に引っかかる。彼女はどこを見つめている?こちらを見ているようだが、そうでないような…
「兎に角医務室に連れて行こう!」
なのはの言葉に我に返り、急いでブリッジをでて医務室へと向かっていく。
「クロノ君!どこへ…」
「現地へ向かう」
医務室へと走っている途中、クロノと会いなのはが尋ねると現地へと向かうとの事だった。
「だったら私も!」
「僕も行くよ!」
「当然俺も……ぬ?」
俺もついていこうとしたら服を何か引っ張られる感覚があり見てみるとフェイトが俺の服を掴んでいた。
「紅莉とアルフはフェイトについていてあげて」
「すまん、頼む。後リニス、なのは達のサポートを頼む」
「分かりました」
頭に乗っていたリニスが飛び降り人型になると再び廊下を走っていった。
「アルフ行くぞ」
「うん、分かったよ」
「ねえ、あんたはさ…その、フェイトやあのアリシアって娘のことを知っていたのかい?」
医務室につき、フェイトを寝かせた後にアルフが恐る恐る尋ねてきた。
「ああ、知っていた」
「だったら何で…」
「まず、何故知っていたかだがリニスを助けたとき、彼女が教えてくれた」
俺の言葉にピクリとアルフは体を震わせた。
「そして彼女はプレシアを止めたくて、フェイトに愛情を注いで欲しく、かつて夢見た光景を夢見て願ったんだよ」
俺の言葉にわずかだがフェイトが反応したように見えた。
「だから俺はそれを叶えると誓ったんだ、この刃に……名前にかけて」
緋凰は進みたい人がいたとき、その人が安心して通れる道を作るためにある。俺は彼女……リニスの純粋な願いを叶えてやりたと心から思い、それを受けた。
「だから、俺は行動した。プレシアを止めるために、アリシアを取り戻してやり、フェイトを家族として迎えてやれるようにと」
「アリシア…を……?」
「フェイト!」
いまだ焦点の合わない瞳だが、確実に言葉を発した。
「そうだ。裏技だがそれを使えばアリシアを取り戻してやることができたんだ。
それゆえに、ジュエルシードが必要だったのも事実だがその旨を伝えたからこそプレシアはお前を管理局ではなく俺の元へと送ったんだろうな」
そう、フェイトは実際は管理局に協力させるためではなく、俺に協力させるために送られてきたのだ。
ただ、あの場で俺の協力者と説明することも出来なかったために、ジュエルシードを集めるための同士だと伝えたのだ。
「でも……私は……」
「フェイト」
ゆっくりと彼女の体を起こして目を合わせる。
「確かにお前はアリシアのクローンだ」
「お前!」
俺が告げた言葉にアルフが噛み付いてくるが視線を合わせると直ぐに引っ込んだ。どうやら、俺の目を見て、俺に任せてくれるらしい。
「けどな、お前が母親のために頑張ったのはアリシアの記憶を持っていたからか?」
「………」
「確かに最初の動機はそうだったのかもしれない。大好きな母親が課した課題をやり遂げたいと。
だけどな、今まで頑張ってきたのはアリシアなんかじゃなく、お前だろ?」
まだ、反応はないがほんの少しだけ瞳に光が戻ったような気がする。
「それにさ、プレシアだけのこととは関係なくお前に関わろうとしたなのははどうだ?
あいつはそれこそ、お前を確りと見ていたんだぞ?」
「なのは……」
「ああ、そうだ。あいつはお前と分かり合いたいと常に声をかけていたんだ。
そして、俺もそうだ。俺はお前を誰かのクローンとかそんなの関係なく、がんばっている女の子としか見ていない。お前はお前だからな。
一度問おう。お前は誰だ?」
「私は……」
徐々に瞳に光が戻っていく。
「私はフェイト・テスタロッサ」
「ああ、そうだ。たとえ、かつての研究の名前から取った名前かもしれないけど、お前をあらわす名前だ。
そして、お前の母親がつけてくれた名前だ。俺達の世界では【運命】って意味がある。
お前は生まれるべくして生まれた一人なんだよ」
言うべきことは終わった。後はこいつしだいだ。
「エア、セットアップ」
《ゲットレディ》
光が俺を包み、俺のバリアジャケットが生成される。白いロングコートとインナーが黒とシンプルな格好だが俺が戦いへと赴くための姿だ。
右手にはエアが作り出した一振りの刀。これがあれば俺は切り開いていける。
「待って」
「フェイト!」
後ろを振り向くとそこには立ち上がった姿のフェイト。アルフが心配そうに駆け寄っている。
「いけるのか?」
「うん、母さんに会って話がしたい。それにあの子にもお礼が言いたい」
そういうとフェイトのバルディッシュが起動したがその姿はボロボロである。
「ごめんねバルディッシュ。もう一度私と頑張れる?」
《リカバリー》
フェイトの言葉に答えバルディッシュは見る見ると修復していく。
「ありがとう。そうだよね、バルディッシュもいつも私といてくれたんだよね…アルフも」
《イエス、サー》
「フェイトぉ!」
アルフが感極まってかフェイトに抱きつく。
「感動の場面は後に取っておいてくれ。今は時間が惜しい」
「うん」
「ごめんよ」
俺の言葉に頷くフェイトと謝罪するアルフ。
「転送ポートに行くのも面倒だ。エア、時の庭園の入り口に転送してくれ」
《イエス、マスター》
俺の言葉に返事をしたエアが俺から魔力を受け取り俺の足元に転送魔法陣を展開し俺達は時の庭園へと跳んだ。
†久遠の部屋†
久遠「皆さんこんばんわ?こんにちわ?久遠です。この部屋は作者が久遠を出せないために作ってくれた部屋だよ。
MCはもちろん久遠が担当するよ。そしてアシスタントは」
那美「こんにちわ。神咲那美です。ここって何をするの?あと、なんでアシスタントが私なの?」
久遠「ここは主に今回の話を振り返ったりNG集を出したり色々やるんだよ。あと、那美になった理由だけど久遠が呼んだのとアシスタントは毎回変えるから気にしても意味ないよ」
那美「それってむしろゲストじゃ…」
久遠「気にしないの。それじゃ、今回のことを振り返るけど……確かになのは怖いね」
那美「久遠、いつの間にそんなに流暢に喋れるようになったの?あと、確かに怖いね。フェイトちゃんのトラウマにならなければいいけど」
久遠「リニスが教えてくれたよ!あと、紅莉も一杯教えてくれた」
那美「うぅ…飼い主としての立場が…」
久遠「では、第一回目にしていきなりのNGを出すよ」
~なのはがSLBを撃とうとしたときにもし違った名前なら?~
なのは「受けてみて、これが私の全力の魔法……ティロ・フィナーレ☆彡」
~END~
久遠「流石にあのシリアスシーンにこれを入れちゃダメだよね」
那美「それよりも魔法少女違いだよ~」
久遠「作者がギャグを入れたがりな傾向なんだけど、前回にやりすぎて評価が下がったから考えを改めるようだよ?」
那美「それじゃ、これからはシリアス路線なのかな?」
久遠「そうじゃなくて、真面目なところではふざけないようにするってさ」
那美「う~ん、まぁ、真面目ばかりはつまらないからいいのかな?」
久遠「あと、今回の話は原作版と映画版をミックスした形にしたんだって」
那美「どうして?」
久遠「なんか、2ndを見た後に1stを見たらかなり面白くて取り入れそうなものは取り入れようとしたんだってさ」
那美「うん、確かに映画版だと再構成だから良い部分は沢山あるよね」
久遠「では、今回はここまで!久遠と」
那美「神咲那美がお送りしました」
久遠「なのは後ろ!」