フェイトちゃんを紅莉君に任せて私達はプレシアさんのいる時の庭園に来ていた。
途中の分かれ道でクロノ君はリニスさんと一緒にプレシアさんの下へと向かい、私達は駆動炉の封印を任されて進んでいたら広い広間に出て今まで以上の機械兵達が私達を待っていた。
ユーノ君のサポートで何とか迎撃することは出来ているけどこのままだとジリ貧になっちゃう…
「なのは危ない!」
「っ!?」
ユーノ君の声で振り返ってみると今までユーノ君のチェーンバインドで動きを封じ込めてきた機械兵が鎖を引きちぎってこちらに向かって剣を振りかぶっていた。
「ッ!」
「サンダー・レイジー!」
とっさに動けなく思わず目を瞑ってしまった私が感じたのは、ついさっきまで戦っていたフェイトちゃんの声と空を飛んでいたはずなのにそれとは別に私を抱き上げるような浮遊感であった。
「ナイスタイミングだったな」
《流石マスター。フラグを立てるのが上手いですね》
「断じて違ぇ」
私の直ぐ傍から聞こえる声はもう何年も前から慣れ親しんだ人の声。私は瞑っていた目を開くとそこには
「紅莉君?」
「おう」
紅莉君がニカッと笑いながら返事をしてくれた。
「大丈夫?」
「フェイトちゃん…」
フェイトちゃんが私達の元へと近寄ってきて心配してくれた。その顔はなんか今までと少し違って見える。
「ほれ、約束は守ったんだ、一人で飛んでくれ」
約束?なんか私としたっけ?そういえば、さっきから飛行魔法を使っていないのに宙に浮いている感じがしたから良く見てみれば…
なんと憧れのお姫様だっこされてたの!
って、違う!今はそんなことを考えている場合じゃなかった。
「うん、大丈夫。一人で飛べるよ」
出来るだけ平静を保って紅莉君に告げて降ろしてもらい一人で飛んだ。
一人で飛ぶと同時に後ろから大きな音が鳴り振り向くとそこには今まで以上の大きさの機械兵が。
「大型だ防御が硬い」
「うん」
フェイトちゃんの説明に頷く。あれは私一人じゃちょっと辛いかもしれない。
「でも、二人でなら」
フェイトちゃんが私に提案してきてくれた。
「うん、うん、うん!」
今までずっと一人でやろうとしていたフェイトちゃんが私を頼ってくれた!
「感動している暇はないぞ?敵は待ってくれない」
紅莉君に言われてみてみると肩から砲撃を仕掛けてこようとこちらをロックオンしていた。
「囮はやってやる、確りと決めろよ」
それだけを言い残すと紅莉君は一気に機械兵に近づいていき放たれた砲撃に対して刀に手をかけた。
「無粋な奴だ……緋凰流・奥義【断空】」
真っ直ぐ縦に振った刀は迫っていた砲撃をまるで抵抗がないかのように切り裂いていた。
「……彼がやれば早いかもしれないけど、でも彼は私達に任せてくれたから」
「うん、期待には応えなきゃね!」
紅莉君はシチュエーションを大事にするからきっと自分ができる場面でもあえて私達に任せるから、だから紅莉君の期待に応えてがっかりさせないように頑張る!
「レイジングハート!」
《スタンバイ・レディ》
「バルディッシュ!」
《ゲット・セット》
フェイトちゃんもバルディッシュを構えて準備が出来たようだ。
「紅莉君!」
「あいよ!やっちまえ二人とも」
紅莉君を巻き込むわけにはいかないから発射直前に紅莉君に声をかけるとさっきまで色々とあった装備のほとんどが壊されていた。
「ディバイィィィン・バスター!」
「サンダー・スマッシャー!」
私の砲撃とフェイトちゃんの砲撃が大型機械兵に直撃するけど、フェイトちゃんの言ったように防御が硬くて耐えられている、けど!
「「せー……の!」」
フェイトちゃんと声を揃えて一気に力を放出すれば打ち抜けないものはないの!
機械兵は威力を増した私達の魔砲に耐え切れずに破壊することができた。
「なのは、ユーノはどうしてここへ?」
「クロノ君に駆動炉を止めてほしいってお願いされて」
「そうか……悪いがなのは達はそのまま駆動炉へ行ってもらえるか?」
少し考えた紅莉君は私達にそのまま向かって欲しいとお願いしてきた。
「紅莉君は?」
「あの馬鹿に真意を問いただす」
うわ、めったに怒らない紅莉君が怒っている…しかも、かなり頭にきているみたい。
裏で色々とやっていたことは後で教えてもらうとしても、ここは下手に刺激しないほうがいいよね。
「私も母さんに言いたいことがあるから」
「後でもっとお話しようね」
「きっと」
フェイトちゃんと言葉を交わした私とユーノ君はそのまま駆動炉へ、紅莉君達はプレシアさんの下へと向かっていった。
「知らないはずがないだろ!どんな魔法を使っても過去を取り戻すことはできやしない!」
「えぇ、そうね……でもね、それすら可能とするものが存在するのよ」
最奥まで到達するとちょうどクロノがプレシアに杖を突きつけてプレシアの願いを否定しているところだった。
俺達が更に駆け寄るとクロノとプレシアも気づいた様でこちらに向き直った時、プレシアが咳き込み口から血が吐き出された。
「母さん!」
「プレシア!」
フェイトとクロノの後方より現れたリニスがプレシアへと近づこうとしたが、プレシアが睨むとその足を止めた。
「何しに来たの……用済みだと言ったはずよ」
プレシアはフェイトに対して今までの様に暴言を言い放つ。しかし、フェイトはその言葉に怯むことなく真っ直ぐプレシアを見つめている。
「貴方に…言いたいことがあって来ました」
フェイトはプレシアに自分の思いのたけを語っていく。プレシアが言ったアリシアの代わりにすらなれないと自分を貶めているのはいただけないけど、それでも今のフェイトは前に比べてずっと彼女らしさが現れている。
「最後に、紅莉から言われた言葉だけど……私のこのフェイトという名前は紅莉の世界では運命という意味があるんだそうです。
そして、彼が言ってくれました。私は生まれるべくして生まれたんだと。
だから、母さん………私を生み出してくれてありがとうございます」
「何を言ってるの!私はアンタなんか要らないと言っているのよ!感謝の言葉を口にするなんて馬鹿じゃないの!」
今までの厳格な喋り方をしていたプレシアが、ここにきて喋り方が変わったな。
「それでも……それでも、私は貴方の娘をやらせてもらえてよかった」
「もう……もう、いいわ。アンタはリニスと一緒に好きにしなさい……私は行かせて貰うわ」
プレシアが持っていた杖で地面を叩くと足元に魔法陣が現れそして地響きが起こりだした。
『うわわわ、まずい、まずいよ!庭園がもう崩壊しちゃう!クロノ君たちも戻って!』
「了解した!みんな!」
「あいよ!フェイト戻れ!」
エイミィからの通信とクロノの指示に答えてフェイトを呼ぶが反応がない。
「ちっ!」
「きゃぁっ!」
フェイトの腕を取って無理やりアルフのほうへと乱暴だが放り投げる。
「リニスはアルフとフェイトを連れて先に戻れ!」
「紅莉はどうするのですか」
「俺はあいつを連れて行く」
一気に近づいてプレシアの下へと辿り着くと同時に
「何っ!?」
「「紅莉!」」
足元が崩れてしまい、下にある虚数空間へと落っこちて行ってしまった。
「え……?」
アースラに回収されたなのははリニスやフェイトが戻ってきたので駆け寄っていくが、一緒に行ったはずの紅莉の姿がなく尋ねると返ってきた答えは紅莉が虚数空間へと落ちていってしまったということだった。
「ごめんなさい。ごめんなさい」
フェイトは泣きながらなのはに謝り続けており、話ができる状態ではなかった。
「そんな……」
なのはもまた瞳に涙が浮かび上がってきて、その場に崩れるように泣き始めてしまった。
「貴方も馬鹿ね。私なんか放っておけばよかったものを」
虚数空間に落とされ、何とか姿勢制御ができるようになった後プレシアを回収したらそんなことをほざいてきた。
「お前にだけは言われたくないわ」
本当に。誓いは必ず守ってやると言ったのにこいつが変な強攻策を取ったせいでとんだ事態に陥ってしまった。
「なんで、あんなことをした?」
俺の問いかけに最初は何も語ろうとしていなかったプレシアだったが、今の状況では無意味と悟ったのか口を開いた。
「今更どんな顔をして母親面をすればいいというの?ならば、徹底的に嫌われて消えたほうがあの子のためにもいいじゃない」
なるほどと俺は思わず頷いてしまった。ようは、不器用なんだなこいつは。
「お前の考え方も分かる。けどな、子供ってのは親に認めて欲しくて、必要にされたくて頑張るんだよ」
俺もそうだ。母さんに認めて欲しくてだから緋凰流を収めようと必死に鍛錬している。
なのはだってそうだ。寂しい幼少期の時に親や兄弟に迷惑をかけたくないからいい子を演じていた。
フェイトだって、母親が必要だから集めろと理由も知らずにそれでも必死に傷つこうが頑張っていたんだ。
「だから、不要だというな。子供はそれでも親が必要なんだよ」
プレシアの反応はない。これで彼女の心が少しでも変わってくれたら嬉しいがね。
「そういや、落ちていった時に見たがアリシアはどうした?」
「貴方達の母艦へと転送したわ。もともと私一人が消えるつもりだったから」
「それだと、アリシアが蘇ったかどうかは結局お前は分からないじゃないか」
「貴方の言葉に嘘がないと分かっていたから、私が消えてもやってくれると信じていたわ」
やれやれ。どうしこう、変なところで信頼を得るんだろうね俺は。
「お前はまたアリシアと暮らしたかったんだろう?」
「ええ、そうよ。でもね、私はもう長くは生きれないわ。それならいっそのことアリシアとフェイト……姉妹で支えあって生きていって欲しかったのよ」
そういや、こいつの体はかなりやばかったんだったな。
「それでも最後まで責任を持つのが親だ。親なら最後まで面倒を見て、後を託せる人を見つけてやれよ」
「それが、あなたのつもりだったのだけどね」
「10歳の餓鬼に任せるなよ」
精神年齢的にはできるかもしれんが、それでもまだ世間では俺達の年齢がこれから二人だけで生きていくには辛すぎる。
「さて、無駄話はここまでとして、ここから出ないことにはアリシアを復活させるどころか俺の夢すら叶えられないな」
上を見ても下を見ても何もない空間が広がりどこが出口だがさっぱり分からない。
説明じゃ重力の井戸だと言っていたが、最初こそ下に落ちていたけど途中からはその場で浮いているだけのような状態だ。
「無駄よ。ここでは一切の魔法は使えず、何もすることは出来ないわ」
後ろからプレシアが全てを諦めたような力のない声で伝えてくる。
「ならばその常識をぶっ壊す!エア全力で行く。いけるな?」
《イエス、マスター》
俺の呼びかけに胸元の宝珠が力強く輝きながら返事をしてくる。
「テトラクテュス・グラマトン」
《ディス・レヴ、フルドライブ》
初の全力の開放で一瞬だけ力に引っ張られそうになるが、直ぐに感覚を掴み制御することができた。
《フェザー展開》
俺の背中から翼が生える。パッと見はディスナガンよりアストラナガンの翼に近いな。
「そんな、ここでは一切の魔法は使えないはずなのに……それにこの力は!?」
俺の状態を見てプレシアは固まっているが俺は気にせずに左手で刀を持ち右手で抜刀し構える。
「この程度で俺は立ち止まるわけにはいかないんだ……だから!」
力が刀へと集まり光り輝く。なんだか宝具みたな感じだな。それを俺は袈裟懸けに一気に振りぬいた。
「なのはさん、フェイト。落ち着いてください」
「でも!」
アースラの医務室にて未だに泣き崩れているなのは達にリニスは優しく声をかける。
「紅莉なら大丈夫です」
「ぐす……え?」
リニスの一言により泣いていた二人はピタリと止まる。
「私は紅莉の使い魔です。彼に何かあった場合は私にも影響があるはずなのですが、現在の私はいつもと変わらない状態です。
つまり、紅莉はまだ健在しているはずです」
やさしく言い聞かせるようにリニスはなのは達に語りかける。
「な、なにこれ!?」
「うぅっ」
「これは…!?」
リニスからの話で泣き崩れていたのが収まったなのは達だったが、その直後なにか空間全てを押しつぶすような重圧を感じた。
『なのは、フェイト!』
更にそこでクロノから通信が入る。
『悪いがブリッジまでこれないだろうか?』
クロノの言葉を聴いた二人は互いに目を見合わせると同時に頷き立ち上がりブリッジまで走っていった。
「どうしたの?」
「ああ、先ほどから次元震とはまた違った反応が起こっていて万が一もあるからこちらに来てもらったんだ。
それに君達も感じているだろ?」
クロノの言葉に頷く二人。
「うわわ、なにこれ!?クロノ君。前、前!」
「前がどうしたんだ?これは!?」
エイミィの言葉になのは達も前を見ると崩壊した時の庭園の直ぐ横に一筋の線が入っていたのである。
最初は唯の線であったが次第に中心から開いていき、開いた場所の奥は確認できないが、それがこの空間とは別の場所だと多少の理解は出来たのであった。
「あれは!」
次元の裂け目と呼べばいいのだろうか?そこから何やら二つの影が飛び出してきたのをアースラに乗っている人は見た。
「紅莉君!」
「紅莉!それに母さんも」
裂け目から飛び出してきたのは背中に翼を生やした紅莉であったのだ。なのはは目の端に涙を浮かべ嬉しそうに。
フェイトもまた涙を流しながら二人の帰還を喜こびリニスは安心したようにほっと息を吐いた。
「推定魔力………測定不能!?」
そんな傍らエイミィが紅莉をスキャンしていたのかその結果を見て驚いていた。
「ははは、紅莉には敵わないな」
「全く、彼を測る方法が知りたいな」
そんな中、ユーノとクロノは紅莉の状態をみて何故か笑いが出てしまっていたのである。
裂け目から出た紅莉はアースラに向かって飛び、そのまま収容された。
アースラに収容された俺達を出迎えてくれたのはなのはを始めこの事件で知り合った人全てが出迎えてくれた。
「紅莉君」
「っと、心配かけたな」
なのはが胸に飛び込んできて抱きしめてくるのを受け止めつつ頭を撫でて謝る。
「うん、うん」
赤く腫れぼったい目をしていることから、さっきも泣いていたようだな……女を泣かせるなんてまだまだだな俺も。
「紅莉…」
「よう、約束は守ったぞ」
フェイトが近づいてきたので片手を挙げて答える。
「ありがとう」
プレシアはこの艦に収容されると同時に拘束されたが、大人しくそれを受け入れていた。
「心配したんですよ本当に」
「悪かった。今後は出来るだけやらないようにするわ」
更に近づいてきたリニスの言葉に苦笑いしながら答える。
「さて、色々と言いたい事はあるんだが、その前にやることがあるんだ。クロノ」
「どうした?」
今までこの成り行きを見守っていたクロノに話しかける。
「アリシアのポットがこちらに転送されているはずだがどこにある?」
「それなら、一応艦長の指示の下、部屋に収容しているが」
「悪いが案内してもらっていいか?」
俺の言葉にクロノは頷いて案内してくれとある一室に案内された。そこにはポットに入って浮かぶアリシアとその近くで漂っているアリシアがいた。
よかった。あのまま時の庭園にいてここにいなかったらどうしようと思ったから。
「ここじゃ狭いな……クロノ訓練室を貸してくれないか?」
「かまわないがどうするんだ?」
「アリシアを復活させる」
クロノの問いに笑みを出して目的を教えてやる。
案内された訓練室に今いるのはこの事件の関係者の人たちのみだ。
プレシアも連れて来られているが、その手には手枷が付けられている。
何でもあの手枷には魔法を発動するのを阻害する効果があるようだ……どっかの能力持ちの海賊に対抗するためのものと同じようなものか?
「エア、ジュエルシードを」
《プットアウト》
エアから吐き出される7つのジュエルシードのうち6つをそれぞれを基点に正三角形になるように並べ六芒星を形作る。
「アリシアを」
「分かったわ」
ポットから出され検査着みたいな服を着せられたアリシアを六芒星の中心においてもらう。
因みに服を着せたのは前見たく目潰しされてはかなわないからだ。
最後のジュエルシードをアリシアの胸の上に置いて、霊の状態のアリシアを彼女の本体の近くへと誘う。
傍から見れば俺が何もない空間に手を出して何かやっているように見えるだろうけど、気にすまい。
「そのジュエルシードはどうしたんだ?」
「あの虚数空間に落とされた時に序に落ちてきた奴を回収したんだ。ただ、全部ではなくて5つが限界だったけどな」
六芒星の端まで戻っていく間にクロノが俺が大量に持っていたジュエルシードに疑問を持ったようで聞いてきた。
「あれ?そうすると紅莉君って2つ持っていたってことになるけど…」
「紅莉は一つしかもっていなかったんじゃないか?」
俺の答えに疑問に思ったなのはとユーノは不自然に思ったのか更に尋ねてきた。
「ん?ああ、前に言った久遠に取り付いたやつを壊したって話は……あれは嘘だ」
「えー!酷いよ!」
「悪いな。ジョーカーは最後まで隠しておくつもりだったんだ。それに何もなければ返せばよかったしな」
文句を言ってくるなのはの頭を撫でてやり改めて振り向き膝を突き六芒星の端を手で触れる。
「もう少し下がっていろー。力に当てられても知らないからな」
俺の忠告を聞いてみんな部屋の端まで下がったのを見計らい。
「テトラ・グラマトン」
《ディーヴァ・レヴ、ドライブ》
今のままでは力が足りないのでディーヴァ・レヴを開放する。
《続いて、ティプラー・シリンダー輪転》
平行世界から力を吸収したりすることが出来るティプラー・シリンダーの機能を書き換える。
それにより、上がっていた力が落ち始めるが今の量で問題はない。
《マスター行きますよ?覚悟してくださいね》
「分かっている……
《
「ぐぅっ!」
エアの言葉が発せられた瞬間、脳が軋む感覚が俺を襲う。
「ぐ…集え我が英知。我が望みを叶えん為に今ここに」
脳が更に叫びを上げる。体にも大量の電撃が流されたかのように痺れ痛みが走る。
《接続…エラー、トライ、エラー、トライ、エラー……コンプリート》
何度かのトライアンドエラーを繰り返し、終了したのを見て言葉を紡ぐ。
「我が望みは彼の少女をもう一度歩みを……ならば捧げよう、願いを」
手を突いていた場所に魔力を流し始める。六芒星を囲むように円を描き、更に六芒星にも線が入っていく。
「さぁ、願え。さぁ、さぁ、さぁ!さぁ、祝福を彼女に!」
俺の言葉と共にジュエルシードの輝きまして行く。やがて部屋の全てが光に押しつぶされ視界を殺されるが、最後の最後に俺はキチンと見た。
アリシアの魂が胸に置いたジュエルシードと共に体の中に入っていくのを……
《ディーヴァ・レヴ及びティプラー・シリンダーシャットアウト。マスター大丈夫ですか?》
「な、なんとかな……」
未だに頭はズキズキと痛むし体も悲鳴を上げているが大したことではない。
「紅莉君!」
「紅莉!」
なのはとフェイトがこちらに駆け寄ってくるのをその場で待つ。未だに体がまともに動かないし。
「紅莉君髪が!」
「それに目も」
髪と目が持っていかれたか。
「手鏡持っているか?」
「え?ちょっと待ってね……はい、これ」
なのはがポケットを弄ると手鏡を手渡してきたので見てみると、髪は白く色落ち、左目も白黒が反転していた。
「今回はこんなもんで済んでよかった」
「こんなもんって……」
「前に使ったときなんて左半身完全に麻痺したからな」
そう、一度この方法を思いついてやってみたのだがその時なんて髪の色は抜け落ちるわ目は見えないわ体は動かないわで散々だった。
仕方ないのでエアのサポートとリニスの変装魔法を使って通常と変わらない動作をしていたが、治るのに1か月はかかった。
この技はティプラー・シリンダーの平行世界の力を集め、時空間に飛び越えられるなどの性質を知って第二魔法を使えないかと考えて思いつたものだ。
けど、俺は魔術師でもなければ『 』に辿り着いたものでもないので完全なことは出来ないと思ったから力の使い方を限定してみた。
それを思いついたのはふとしたきっかけだったのだが、衛宮士郎が投影を行うとき憑依経験をするというものをアレンジしてみた。
平行世界の俺自身に接続し、俺が持っていない知識、技術を借り受ける方法だ。
例えば今回の様にアリシアの復活を可能とする俺。例えば身体能力は劣るが科学技術が随一の俺などあらゆる可能性の俺へと接続する魔法だ。
ただ、これは世界の修正かはたまた身の丈を超えたことによる反動か兎に角、反動が凄まじいのが難点で戦いには使えない。
「う…ん……」
後ろから少女の声が漏れるのが聞こえたので近づく。
「あ……」
ゆっくり目を開いていく少女。
「よう、目覚めはどうだ?」
「ありがとう…」
俺が尋ねると少女は小さな声でお礼を言ってきた。
「気にすんな。俺が自分で勝手にやっただけさ」
「ううん、それでも」
久々の自分の体だというのに確りと喋るアリシア。俺達の後ろから嗚咽が聞こえてくる。
「ねぇ、まだ力が入らないから立たせてくれる?」
「喜んで」
アリシアに手を貸して立たせてやると彼女はよろよろとフェイトに近寄っていく。
「あ、えっと…」
「今までごめんね。そして、知らなかったとは言え私の為にありがとう……フェイト」
「あ、ああ…」
フェイトの目にも涙が浮かび上がる。ふと、プレシアのほうを見てみると彼女を介抱していたリニスもまた泣いている。
「大丈夫。全部知っているから。これからはずっと一緒だよ」
「アリシア……」
「うん、お姉ちゃんに任せて」
「フェイトちゃん良かったね…」
なのはも貰い泣きなのか泣き出す。結局そのまま数十分の間は誰もが涙を流し、なにも喋らなかった。
「ママ」
「アリシア…本当に貴方なの…」
アリシアの体を支えながらプレシアの下へと連れて行くと、プレシアは恐る恐る確認する。
「うん、そうだよ」
「アリシア」
プレシアが飛びつこうとしたのだがアリシアはそれを避ける。
「あ、アリシア?」
「ママ、正座」
「な、何を言っているの?」
「良いから正座」
なんかアリシアから逆らえぬ雰囲気を悟ったのかプレシアはその場で正座をした。
「ねえママ…私は昔妹がほしいって言ったよね?」
「え、ええそうね…」
完全にアリシアの雰囲気に飲み込まれたプレシアは引きつった顔をしながらアリシアの言葉に頷く。
「ねぇ、そうしたらフェイトは私の妹じゃないの?たとえ私を元に作られたとしても」
「何故貴方がそれを…」
「そんなことは聞いてないよ、ママ」
うむ、怖くなってきたのでアリシアも座らせて退散しよう。そうしよう。
内容は非常に気になるものだが今ここにいるべきじゃないと本能が告げている。
その後、説教が終わったアリシアは久々の本体のせいか、疲れが出て倒れるように眠ってしまいアースラで見てもらっていた。
そして……
「ついにお別れだな」
「うん……」
プレシアが起こした事件の全てのことが片付き、クロノたちはプレシアを連れて管理局があるミッドチルダというところに戻るという。
「ほら、挨拶してきな」
「紅莉君は?」
「俺も後で行くよ」
なのはにフェイトの下へと先に行かせる。
「君にも世話になったな」
「よしてくれ。俺はある意味で事件をかき回したんだ。礼を言われるような立場じゃないさ」
俺の近くにクロノとユーノがやってくる。
「あいつらはどういう感じになるんだ?」
「プレシア・テスタロッサは過去の事件と今回の事件で相当な罰が課されるだろう。
フェイト達に関してはまだ子供ということもありそこまでではないと思うが」
フェイト達の今後を尋ねるとクロノからはあまりいいことは言われなかった。
「けど、悪いようにはしないさ」
「そうか」
フェイトに関してもプレシアに利用されていただけという抜け道はあるんだろうが、それだけだときっとあいつはまた孤独になるからそれを受け入れないだろうな。
ここからはあいつらが自分で決めて自分で歩いていってほしい。もし、俺の力が必要ならばその時は力を貸そう。
「紅莉くーん!」
「ほら、呼ばれているぞ」
「ああ、行ってくる」
クロノに別れを告げてフェイトとなのはの下へと向かう。
「ありがとう紅莉。貴方のおかげで母さんも姉さんも一緒にいることができる」
「気にすんな。俺は俺がやりたいようにやっただけだからな」
「本当なの……少しは相談して欲しかったな」
フェイトの礼を受けて自分で勝手にやったと告げたら、なのはがやや拗ねたような感じで言って来る。
「悪かったな。今度からは相談するよ」
「何度もあってほしくないよ」
「うん、そうだね」
確かにな。いろんな話をしていたら時間などあっという間に過ぎ去ってしまい。ついには別れの時間になってしまった。
「ねえ、フェイトちゃん。リボン交換して」
「え?」
「思い出に出来るものがこれしかないから」
「うん」
互いのリボンを解いて相手に渡すなのはとフェイト。
「それじゃ、また」
「ああ、また会おう」
「きっと!」
転送魔法陣の上で光に消えていくみんなを見送り俺達は家へと帰っていった。
†久遠放送局†
久遠「皆さんこんばんわ久遠です。今日のアシスタントは」
アリシア「アリシア・テスタロッサが担当するよ!」
久遠「紅莉がついにフルドライブしたね」
アリシア「なんか色々と常識を覆させているね紅ちゃんって」
久遠「紅ちゃん?」
アリシア「皆と同じ呼び方もあれかなって思って聞いたらいいよって言ってくれたよ?」
久遠「そっか。それで紅莉の力だけど、本来ならば動力機関みたいなものなんだけど、作者は都合のいい解釈をして全ての能力を上げる機関にしたみたい」
アリシア「なのはも言った界王拳云々みたいな感じ?」
久遠「そんな感じだって」
アリシア「ふ~ん。それで、私を復活させたあれは?」
久遠「この力をつけるに当たってふと思いついた力なんだって。そういやできるなと思って考えたらしいよ?」
アリシア「そのお陰で私が復活できたなんて」
久遠「うん。最初は復活させるつもりはなかったようなんだけど、能力決めた後に出来るならやっちゃおうって……出番ないかもだけどね」
アリシア「え!?私、今後の出番ないの!?」
久遠「そんな先まで考えている作者じゃないよ」
アリシア「そんなぁ……」
久遠「では、今日はここまで!4月1日ということで皆は何か嘘をついたかな?作者は出勤ということを言っていたけど実は嘘って言ったようだよ!」
アリシア「えげつないわね…」
久遠「元々休みだからいいだろだって。では、MC久遠と」
アリシア「アシのアリシアがお送りしました」