魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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無印~A's
第26話


「体の感覚も大分マシになったな」

 

「1週間かかりましたね」

 

《前回は1ヶ月近くのペナルティだったから良かったのでは?》

 

 夜の鍛錬にて体の感覚を確かめながら呟くとリニスとエアが更に言ってきた。

 

 確かに前に試したときは1ヶ月近くはまともに動けなくて仕方なしに魔力で体を操作して鍛錬していたな。

 

 まぁ、そんな時位は休めとも言われたのだが日々の日課となっている鍛錬を休む気は更々ないし、何より兄さん達に怪しまれたらおしまいだと思い頑張った。

 

 ただ、視力が持っていかれてしまったのは兎に角痛かったな…

 

 そのお陰で気配察知がより敏感になったのも事実だけど。

 

「くぅん」

 

「おお、久遠久々だな。最近遊んでやれなくてごめんな?」

 

 鍛錬中に来訪者が現れる。俺達の友人の久遠だ。ここ最近は魔法関係が忙しくて中々かまってやる時間が取れなかった。

 

「大丈夫」

 

 休憩のため地面に座るとそこに久遠がすっぽりと収まり人化する。耳がピクピクと動き尻尾も俺にもたれかかっているために動きは確認できないが揺れいているかんじだ。

 

 これは、撫でろということなのか?

 

「えへへ~」

 

 とりあえず撫でてやると目を細めて嬉しそうにするのでそのまま撫で続ける。

 

 俺にナデポの才能なんて渡していないよな?

 

《天然ですね。恐ろしい…》

 

 違うといいたいのだが、久遠の表情を見ているとあながち否定できない……いや、しろよ俺。

 

 なんだかんだと人の頭を撫でる癖が付いているのは認めるけどさ…

 

「くぅ~♪」

 

 非常にご機嫌のこの姫様どうしよう?そろそろ休憩をやめて鍛錬の続きをしたいのだが…

 

 それに、体調が戻ったことにより以前よりも大分限界値が増えたような気がするんだよね…マジで戦闘民族っぽくなってきたな俺。なのはの冗談にツッコミをいれられなくなってきたぞ。

 

 その後、久遠を混ぜて鍛錬を行い。結局久遠は俺についてくると言ってきたので那美さんにメールを送ることで家に連れ帰った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ないよ~二人とも~」

 

 家に帰ってくると何やらレンちゃんと晶が脚立を持ち出して家の屋根へと上っていた。

 

「何やってんだ?」

 

『どうやら屋根にいる猫を捕獲しようとしているみたいですね』

 

 こちらに近寄ってきたリニスを頭に乗せながら尋ねるとそんな解答が返ってきた。

 

 フィアッセさんが心配しているのも分かるな。うちって結構高いつくりしているし屋根は結構な角度が付いている。

 

 もし落ちようものなら…

 

「にゃぁっ!」

 

「「あ…」」

 

「危ない!」

 

「エア!」

 

《間に合いません!》

 

 猫が暴れてバランスを崩して二人が落ちそうになり、急ぎセットアップし向かおうとエアに指示を出すが間に合わない!

 

 その時、目の前で兄さんの姿が消え…

 

「止まってーーーっ!」

 

 そして、フィアッセさんの声と共に二人が空中で静止した。

 

 兄さんはあと一歩近くまで進んでいた…あの動きは一体…

 

「フィアッセ!」

 

 美由希の声に我に返り、フィアッセさんのほうを見てみるとそこには庭に倒れ伏しているフィアッセさんの姿があったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「HGS……ですか…?」

 

「生まれついて、遺伝子に特殊な情報が刻まれていて、それによってさまざまな障害を引き起こす難病です」

 

 あの後、倒れたフィアッセさんを病院へと運び、主治医のフィリス先生の説明が始まった。

 

 初めての症例の報告は20年前と比較的新しい病気らしく、死病ではないようである。

 

「更にこの病気の中で20人に1人くらいの割合で特に強い症状を出ている人を【高機能性遺伝子障害者】通称HGSと言います」

 

 そして、私もその一人と言ってフィリス先生の背中に妖精のような金色の羽が浮かび上がる。

 

 病気だというのは分かっているけど、それを見て思わず綺麗と思ってしまった。

 

「色々な症状が報告され、また能力も様々にあります。特にフィアッセの能力は強力で…」

 

「その先は私が話すよ」

 

 今まで眠っていたフィアッセさんが起き上がってくる。

 

「AS-30…通称【ルシファー】」

 

 そういって、今度はフィアッセさんの背中に黒い翼が広がった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、貴方達も見たのね」

 

 今日の出来事を桃かーさんに報告したらどうやら桃かーさんは知っていたようで感慨深げに告げてきた。

 

「かーさんも見せてもらったけど、綺麗よね」

 

 どうやら俺と同じように受け取ったようだ。

 

「てか、そもそもどうして話してくれなかったんだろう?」

 

「う~ん…やっぱり、おいそれと喋っていいことじゃないでしょ?」

 

 俺の疑問に桃かーさんが告げてくる。

 

「けどさ、久遠の例もあるし、どうってことはないんじゃない?」

 

「う~ん……」

 

 ここ最近の出来事で日常とは違う部分で言えば久遠など最たる例だろう。魔法のことを告げていれば魔法も入るんだが流石に告げていないことはいえない。

 

 てか、久遠の例を言ったら桃かーさんも兄さんもわりと悩みだした。

 

「兎に角、フィアッセとしてはあまり触れられたくないことだからこっちから聞いちゃだめよ?」

 

「ん、分かっているよ」

 

 流石に他人の領域にづかづかと踏み込むほどおろかじゃないつもりだ。

 

 てか、俺のほうが秘密が多い気がしてならない。

 

《気がしてならないというよりも、確実に多いですよ》

 

 そんなエアからのツッコミを無視しつつ俺はもう一度あの綺麗な翼を思い出していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、なのは、紅莉」

 

「どうしたんだ?」

 

 珍しく夜の鍛錬になのはが付いてきており、色々とやっていたら突如ユーノがやってきた。

 

 確かこいつって、ジュエルシードの管理とフェイトたちの証言者としてリンディさんたちに同行していってなかったか?

 

 それが、わずか1週間くらいで現れたもんだから驚いた。

 

「うん、今は色々と調書作っている段階で、僕のほうは一通り終わって少し余裕ができたから来てみたんだ」

 

 詳しく聞いてみると、何やらリンディさんが裏で色々手を回して直ぐに裁判~という流れにせずに少しでも罪を軽くしようとしているそうだ。

 

 そこで、口裏あわせではないが真実を告げながらも多少ボカスなど色々とやっているみたいだ。

 

 かなりグレーな内容なのだが、フェイトやアリシアのためにも頑張ってくれているので非難は出来ないな。

 

「それで、なのはがこの時間に起きているってどういうこと?」

 

「それってどういう意味!?」

 

 どうもこうも、そういう意味だろ。いい子は寝ている時間だ。まぁ、ここにいる理由を教えてやる。

 

「あまり、無茶しちゃダメだよ?」

 

「うぅ……なんで皆同じこと言うんだろ……」

 

 それに関しては家柄としかいえないな。

 

 俺然り兄さん然り。美由希もこの前の兄さんの動きを見てから鍛錬が無茶な段階にきており、連日針打っているし。

 

 晶もわりと無茶しやすい性格だし、レンちゃんも体のどこが悪いかは知らないけどそれでも元気と見せかけているし。

 

 この前のことでフィアッセさんも無茶していたというのを知ったし、桃かーさんも忙しいのにそれを見せないように無茶するし、とーさんも隠れて鍛錬続けているようだし…

 

 うん、家柄だね。高町家に住んでいる人全員無茶しやすい人種だ。

 

「まぁ、そのあたりはリニスに見てもらっているから。レイジングハートにも釘を刺したしな」

 

 意外な伏兵がレイジングハートだったと知ったときの衝撃はわりと大きかった。

 

 マスターが上達し自分もそれに貢献できるのが嬉しく楽しいためになのはの要求にキチンと答えようと必死なのだそうだ。

 

 それを知ったエアが非効率すぎると説教していた姿はかなりシュールな光景だったな…その後に色々とアドバイスしていたようだけど。

 

「ねえ、聞いてユーノ君」

 

「どうしたのなのは?」

 

 なのはが暗い雰囲気でユーノに近づいていて話し始めた。

 

「紅莉君ってね、魔法も何も使わずに私のシューターを切っちゃうんだよ?」

 

「へぇ~……えぇっ!?」

 

 なのはの説明に最初はただ納得したユーノだが会話の内容を思い起こして驚きの声を上げてこっちに振り向くユーノ。その目は何あの生物って言っているような気がする。

 

「は、ははは……ほ、ほら、紅莉って剣術だっけ?それをやっているからじゃないかな?」

 

「うん、そうだよね。うん、紅莉君が人外なだけだよね」

 

 超絶に乾いた笑いをしながらフォローするユーノになのはが何やら失礼なことをほざきながら無理やり納得していた。

 

 本当に失礼なやつだ。人外とは兄さんや御神流のことを言うのであって俺は断じて違う。

 

 兄さんこそ天然の人外だ。俺はほら、チート能力貰った恩恵だし。

 

《それは違います。マスターのも天然ものです》

 

 お前は暇だからといって心を読むな。

 

「それじゃ、なのはの体も温まったようだし始めるか」

 

「うん」

 

「何をやるの?」

 

 ユーノの問いかけに答えずに少し下がっていろと注意してから俺となのはがお互いに距離を取ったことでユーノもこれから何をするか察したようだ。

 

 やるのは単純に模擬戦である。

 

 レイジングハートと練習していた魔法の確認を取りたいから相手をしてほしいとのことだ。

 

 俺としても今後は結構関わってきそうだから魔法の鍛錬を増やすか悩んでいたから丁度いいと思い受けた。

 

「私との模擬戦は拒否したのに」

 

「くぅん」

 

 ユーノとは反対側で久遠を抱きながら拗ねてらっしゃるリニスさん。

 

 悪かったよ。今後はお前にもお願いするよ…通常の鍛錬の10回に1回は。

 

 俺はどちらかというと魔導師としてより、剣士としてまずは完成したいんだ。

 

「それじゃ、カモン」

 

「その態度、後で後悔させてあげる!ディバイン・シューター!」

 

 挑発に乗ってなのはの誘導弾がこちらに向かって飛んでくる。

 

 これがフォトンランサーとかなら避ければ済む話なのだが、なのはの場合は威力は結構高くかつそれを自在に操るという曲者である。

 

 避けても背後からズドンは話にならないのでその場で全てを切り落とす。

 

「ディバイン・バスター!」

 

「っと」

 

 切り伏せると同時にバスターが俺が先ほどまでいた地点に放たれた。

 

 あと一歩回避が遅かったら飲み込まれたな。

 

「何度見てもあれをまともに受けようとは思えないな」

 

《はい、あれは見た目の恐怖も相当なものですね》

 

 

 子供とは言え、人を丸ごと飲み込めるほどの極太の攻撃なんて受け止めようとすら思えない。

 

 

 

 

 

 

「やっぱり避けられちゃったか」

 

《彼の反応速度もそうですが、状況判断能力は私達ではまず及びません。

 彼にまともに攻撃を当てるのならば、彼の予想範囲外の攻撃か読まれてもそれすら飲み込む位のものでないと》

 

 開始前の準備運動で既にある程度魔力がばら撒かれていたから、エアから教えてもらった魔力収束を応用してバスターのチャージを早めたんだけど避けられちゃった。

 

 卑怯かと思うけど、前に紅莉君が戦いの前に準備するのはなにも卑怯じゃないって言っていたから大丈夫だよね。

 

「ふっ!」

 

 紅莉君がこっちに真っ直ぐ向かってくる。速度はフェイトちゃんのほうが速いけど、威圧感はフェイトちゃん以上だ。

 

 私は紅莉君との距離を取るために後退したけど

 

《マスターダメです!上に!》

 

「ッ!」

 

 考えるより先に上へと上昇すると、今まで私がいた位置に紅莉君の斬撃が通っていった。

 

 威力は私のシューターと同程度なんだろうけど、防御の間に距離をつめられていたかもしれない。

 

「ううむ、分かりやすかったか?」

 

《多少溜めが長いですね。なのは嬢などは分からずともデバイスだと違いが認識できます》

 

 私との距離を取った紅莉君はエアに今の攻撃についての考察を聞いていた。

 

 エアがああいっている通り、私には分からなかった。

 

「ありがとう、レイジングハート」

 

《オーライ、マスター》

 

 兎に角、意表をついて紅莉君に一発お見舞いしてやる!

 

 

 

 

 

「何か狙っているな」

 

 なのはと模擬戦を開始して数分。なのはが何を狙っているかまではわからないが、何かをしようとしているのは感じる。

 

 ばればれというほどでは無いので俺以外ならまず通用するだろうな。

 

「乗ってやるのもいいか」

 

《マスターも物好きですね》

 

 呆れるように言って来るエアに苦笑いしつつ鞘を一瞬見やる。

 

「チャージは?」

 

《80%ほどです。これで大体はなのは嬢のスターライトブレイカーと同等程度でしょう》

 

 鞘へのチャージの限界はS+までのチャージが限界だそうだ。

 

 正確に言うならば悟られずにチャージできる限界がそれだそうで、それ以上になるとばれるとか。

 

 後の条件は他の魔法……フィールドやガン・スレイヴなんかを使えば溜めていた魔力の何割かが霧散してしまうという。

 

 デメリットに関して言えば元々俺は近づいて斬るを当たり前と考えている分、デメリットになりえないし、威力としては十分だ。

 

「仕掛けるぞ」

 

《イエス》

 

 俺の言葉に律儀に答える相棒を手に一気になのはに近づく。

 

 加速を使わない俺の速度はフェイトに比べれば遅いはずでなのはでも十分に対処できるはずなのだが、なのはは何を思ったのかその場から引かないで俺の攻撃を受け止める。

 

「ディバイン・スマッシャー!」

 

 右手を前に突き出してプロテクションで俺の刀を受け止めていたなのはは何を思ったのか左手に持っていたレイジングハートで俺に殴りかかってきた。

 

 右手に持っていた鞘でなのはの攻撃を防ごうとしたのだが、鞘にレイジングハートが当たった瞬間に閃光と爆発による衝撃が俺を襲う。

 

「ぐっ、これを狙っていたのか」

 

 予想外の攻撃を受けて仰け反る形になってしまった俺に更に追撃とばかりにバインドで俺の四肢を塞いできた。

 

「だが、この程度は問題ない」

 

 脱力から一気に力を込めてバインドを破壊すると頭上には

 

「全力全開!」

 

 全開が全壊に聞こえそうなほど膨張した魔力がなのはの前に集まっていた。

 

「いくよ紅莉君。受け止められるかな?」

 

 やられたな。そんな挑発を受けたならば避けるなんて無粋にもほどがある。

 

 刀を鞘に納めて抜刀の形を取る。

 

「切り伏せる。アキシオン・ブレイカー」

 

「スターライト・ブレイカー!」

 

「デッド・エンド・スラッシュ!」

 

 ブレイカーの激突になるはずだが、俺の攻撃は線に対してなのはの攻撃は面……しかも、バスターとは異なり俺を飲み込んでも余りある範囲のため、俺の攻撃もなのはに届いたが、なのはの攻撃も俺を飲み込んだ……

 

 

 

 

 

 

 

「紅莉、大丈夫!?」

 

 模擬戦が終わり、地上に降りてくるとユーノがいの一番に俺に声をかけてきた。

 

「なんで、私には無いんだろ?相打ちだったのに…」

 

 見た目の問題だな。あんなのまともに食らったらどうなっていたことやら…

 

 目の前全てがピンク色の閃光で埋まり。体全体にくる衝撃だったんだぞ?

 

「ブレイカーでかなり軽減したからな、わりと平気だ」

 

 だが、あれの直撃は受けたいとは一切思わない……フェイトのやつトラウマになってなきゃいいけど。

 

 その後、ユーノは一日うちに泊まっていき、次の日の夕方に帰っていった。




†久遠放送局†

久遠「皆さんこんばんわ。今日もやってきました久遠タイム!MC担当の久遠だよ」

エア《アシスタントのエアナガンことエアです》

久遠「ついに機械まで来ちゃった」

エア《どうでもいいです。今回の話はその後の話といろいろな伏線みたいな感じの小話にオマケの模擬戦でした》

久遠「作者の予定だとA'sまでの間の話としてとらハの話を組み込むみたいだよ」

エア《とらハをやると言ってリリなのの話に組み込めませんでしたからね》

久遠「てか、久遠の活躍が少ないよ!」

エア《まぁ、そのための放送局ですからね我慢してください》

久遠「くぅ……なのはが使った技は一応作者が考えたオリジナルっぽい何かだよ」

エア《性能としては、杖の先端に魔力を溜め、インパクトの瞬間に放出するというもので、近接技というよりも接近された敵を再び遠ざけるための技という感じですね》

久遠「では、今日はここまで!MC久遠と」

エア《エアナガンがお送りしました》
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