魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第35話

「これで、終わり。皆、調子はどうだ?」

 

 紅莉がアースラで色々やっているころ、別の場所にてなのは達を襲った一同は回復に努めていた。

 

「ありがと、クロード君」

 

 腕を摩りながら手の感触を確かめている緑のジャケットを着ている女性、シャマルはクロードに礼を言う。

 

「まさか、あの状態からシャマルの腕を折るとはな」

 

「しかもジャケット着ているにも関わらずだろ。化け物かよアイツは!」

 

 ピンクの髪の女性、シグナムはリンカーコアを抜き取られたにもかかわらずシャマルの腕を折ったことに冷や汗を流し、赤い少女、ヴィータは戦いかつ敗れたことによる一種の恐怖が植えつけられたのか悪態をついていた。

 

「ザフィーラが庇ってくれなければ私もやられていたな」

 

「ああ、とっさに庇いはしたが、俺自身はそれでダメだった」

 

 青い男性、ザフィーラは紅莉の不意打ちに近いブレイカーからシグナム、ヴィータの両名を庇いはしたのだが、結果として自分は行動不能に落とされ悔しい思いをしている。

 

「しかし、まずったなぁ」

 

 全員の回復を終えたクロードは後ろ髪を掻きながらポツリとこぼす。

 

「何がだ?」

 

 代表としてシグナムはクロードに尋ねた。

 

「今日戦ったうち、白い女の子、高町と白い男子、緋凰は俺のクラスメートなんだよ」

 

 クロードの告白にシグナム達4人は全員驚愕の顔を示した。

 

「高町は結構何かやっていたのは知っていたんだけど、まさか緋凰までも関わっているとは思わなかった」

 

 なのはが何かをやっていたというのはジュエルシードをめぐって色々と派手に動いていたために把握をしていたが、特別介入しようとは考えていなかったようだ。

 

 そのため、今回の件が起こってしまったわけなのであるが。

 

「その様子だとわりと親しい友人なのか?」

 

「いや、そんなに親しいというわけじゃないな。ただ、緋凰がなぁ……」

 

 そういって遠い目をするクロード。紅莉のせいでクロードは芸人気質になってしまったといって過言ではないためである。

 

「緋凰と言うのは剣を持っていた奴のことか?」

 

「ああ。なんでも剣術をやっているとか何とか」

 

 曖昧な返事をするクロードにシグナムは更に説明を求めた。

 

「つっても、あいつ自身は自分のことはをそんなに言わないし、俺達も最初は尋ねたけどはぐらかせてばっかりで、次第に聞かなくなっちまったんだよ」

 

 クロードの認識としてはせいぜいがすずかと同等の身体能力をもっている程度の認識である。……その時点でおかしいと感じなかったのはクロード自身が魔法が身近にある騎士故の弊害である。

 

「おかしいんだよアイツは!アタシの攻撃を真正面から当てたはずなのに!」

 

「ああ、私もだ。流石にまずいと思って卑怯とは思ったが奇襲を仕掛けたのだが見事に当たらなかった」

 

「避けたって事か?」

 

 ヴィータとシグナムの二人の話を聞いてクロードがそう結論をつけるが二人は揃って首を横に振る。

 

「その場から全く動いていないとは思わないが……ただ、高速で移動したとかそんな感じではなかった」

 

「それに、紙一重で避けるにしては体を素通りした感じがしたし」

 

「幻術か?」

 

 それならば話は簡単である。ようはいると見せかけていない。本体は少しずれた場所に隠れているという具合ならば説明はつく。

 

「わからん。が、もしそうなら次からはそうはいかせん」

 

「あ~あ、シグナムのやつスイッチ入っちまったよ」

 

 ヴィータが後ろでに手を組んで呆れたように言うが周りの反応も似たようなものである。

 

 ただ、漠然とクロードだけは腑に落ちない感じはしていた。

 

「どうしたの?」

 

 そんなクロードの態度が気になったシャマルが尋ねる。

 

「ヴィータでもシグナムでもいいんだが、お前等緋凰の魔力ってどんな風に感じた?」

 

「魔力か?すまん、私は一瞬だったからなんても……少なくともA~AAぐらいかと思うが」

 

「アタシも同じ意見だ」

 

 二人の言葉に神妙に頷くクロードに二人はおろか残りの二人も何が言いたいのか分からずにいた。

 

「俺自身もみやぶるを使って確かめたけど緋凰の魔力ランクはAだった」

 

 クロードの言葉を頷いて理解を示す4人であったがふとザフィーラが何かに気づいたように喋りだす。

 

「まて、そうだとすれば奴が最後に放った攻撃が説明できん。受けた感じであれは最低でもSクラスの威力があったぞ」

 

 ザフィーラの言葉にシグナム、ヴィータも思い至ったのか驚きの顔をする。

 

「その攻撃は見てないからなんとも言えないけど、そうだとしてもだ。もし、なんらかしら方法でそれを放ったとしてもだ」

 

 何かもったいぶるような言い方にじれてきている一同であったが、ぐっと我慢して続きを待つ。

 

「もし、緋凰が実質Aランクとしたら、効率が悪い幻術なんか使うと思うか?それに、ヴィータたちの攻撃が空振りしたといったとき、分身は消えたわけじゃないんだろ?」

 

「ああ、素通りしただけで分身が消えたってことは無かった」

 

「幻術は維持がめんどくさいはずだ。だというのにAランク程度の魔力で維持し続けられるか?」

 

「レアスキルってことは?」

 

 クロードの考察を聞いて、シャマルが可能性を述べる。

 

「もちろん、その可能性が無いわけじゃない。ただ、一概にあいつを侮るのはやめたほうがいいかもしれない」

 

 クロードの言葉に4人は再び神妙に頷いた。

 

「そういや、あいつら蒐集したけど、どれだけ集まったんだ?」

 

「ちょっと待ってね……嘘!?400ページまで集まっている!?」

 

「何!?」

 

 シャマルの報告に驚きの声を上げるクロード。

 

「あの二人で100ページ以上を集めたっていうのか!?」

 

「そうみたい。あの白い女の子なら分かるけど、男の子のほうは……」

 

 先ほどの報告でAランクしかなかったということなのに、これは一体どういうことだとみな頭を悩ませていたが、

 

「考えたって分からないものは分からない。とりあえずは、家に帰ろうぜ?はやても待っていることだし」

 

「そうだな」

 

「ああ」

 

「そうしましょう」

 

「わかった」

 

 クロードの言葉に、皆頷きもとの場所へと戻っていったのである。

 

 

 

 

†――――†

 

 

 

 

「無茶だよ2機とも!」

 

 技術室にてレイジングハートたちの提案を聞いたエイミィは叫び声を上げてしまう。理由は単純で

 

「カートリッジシステムの搭載なんて……」

 

 そう、レイジングハートとバルディッシュは主たちを傷つけた騎士たちが持っていたデバイスに搭載されているカートリッジシステムを自分達に組み込んで欲しいと願ったのである。

 

《やはり、そうですか》

 

「はぁ……」

 

 驚き騒いでいるエイミィとは裏腹にエアとリニスは予想通りだったためかため息をついていた。

 

《気持ちは分かりますが、ね》

 

 そんな中、同意を示したのはやはりというかエアである。

 

《主が傷ついてしまったのを自分のせいだと思っているのでしょう?》

 

《《………》》

 

 エアの問いかけに何も言わない2機。されど、この場合は沈黙は肯定であった。

 

《自分達にもっと力があったら。同じシステムさえ組み込めばマスターは負けないと、そう思っているのでしょう?》

 

《はい》

 

《その通りです》

 

 再びエアからの質問に今度は返事を返す2機にエイミィは顔を顰める。

 

 気持ちは痛いほどに分かる。少しの間だがメンテなど含めて2機の面倒を見ていたために、どういう性格は分かっていたからである。

 

「仕方ないですね。そうするなら、一からフレームを変えなければ……」

 

 そんな中、リニスはモニターに向かって高速で何かを打ち込んでいた。

 

「バルディッシュは元々私が設計し組み立てたもの。その時に、使うことはないと思いましたが様々なデータを集め、その中にはもちろんアームドデバイスもありました。

 フェイトには負担が大きいと思い外しましたが、今回はあの子も望みそうですし、何より私が作った貴方がこのまま負け犬になるのは我慢できません」

 

《い、イエス》

 

 なにやらマッドな笑みを浮かべながらバルディッシュに語りかけるリニス。

 

 その言葉を受けるバルディッシュは機械にあるまじき対応を見せる。

 

《でしたら私はレイジングハート、貴女の設計をしましょうか》

 

《お願いします》

 

 既にバルディッシュの設計に入っているリニスを他所にのんきな感じでエアがレイジングハートに提案し、それをレイジングハートは頼み込んだ。

 

《全く、貴女もなのは嬢もほどほどという言葉を知らなすぎです》

 

《しかし……》

 

《しかしもかかしもありません。マスターみたいな人外はともかくとして、なのは嬢は一応ただの人間ですよ?

 ……まぁ、あの恭也殿と同じ血が流れていると考えるとあながち一般人とはいえないかも知れませんがね》

 

《そんなに凄いのですか?》

 

 完全に機械の会話ではなく、人の会話となんら変わらない話をしながら話を進めている2機だが、エアの言い分は酷すぎる。己が主に対して言いたい放題であった。

 

《兎に角、ただカートリッジシステムを搭載しただけだとフレーム強度の問題も出ますから少し時間をかけますよ》

 

「でも、相手は待ってくれそうもありませんよね?どうしますか」

 

 モニターからは一切目を離さず、エアの提案にどう対処するかを問いかけるリニス。

 

《そこが問題なんですね》

 

 リニスの言葉に返事をするエア。現状設計はどんどん進んできており、そう時間をかけずに出来上がるとは思うが、組み立てに時間がかかると予想される。

 

 不完全な状態で今の二人に持たせるのは危険なためにどうしようか酷く悩んでいるのである。

 

「いやいやいや、私も手伝うし、信頼できるスタッフ紹介するから」

 

「でも、足りますかね」

 

 エイミィの言葉に頷きつつ、いまだに足りるかどうか微妙な感が否めないリニスは顔を顰める。

 

「話は聞かせてもらったわ」

 

「私達も手伝うよ!」

 

 そんな時、扉から声が聞こえてきたのでリニスも一旦手を止めて振り返る。

 

「プレシア……」

 

「何、信じられないような目で私を見ているのかしら?」

 

 振り返った先にいたのは杖を突きながらも気丈に振舞うプレシアにそれに付き添うアリシアであった。

 

「貴女が手伝ってくれるのですか?」

 

「不満かしら?」

 

 分かってはいるが、あえて聞かなければいけないような気がして改めて尋ねるリニスにそれに対して不敵に笑うプレシア。

 

「もう、二人とも考えすぎだよ!」

 

 そんな、二人の間に割って入ってきたのはアリシアであった。

 

「ママったらね、紅ちゃんに言われて不器用なりにフェイトに接しようとしているんだけど、今までのことを振り返っておっかなびっくりかつ最終的にはそっけなく接しちゃってどうしようか悩んでいるんだよ。

 そんで、今回のことをきっかけにフェイトと近づこうと考えたんだ!」

 

「あ、アリシア!」

 

 アリシアの告白にプレシアは真っ赤になりアリシアに対して怒鳴るという聊か信じられないことをやってのける。

 

「きゃー、ママが怒ったー」

 

 怒られたアリシアは棒読みもいい感じでリニスの後ろに隠れた。

 

「ゴホンッ。ま、まぁそういうわけよ」

 

 いまだに赤い頬をそのままにそっぽを向いてそう答えるプレシアにリニスは我慢できずに噴出してしまった。

 

「な、何がおかしいの」

 

「いえ、そうですか、フェイトのために………変わりましたねプレシア」

 

 どこか満足気にプレシアの態度に頬を綻ばせるリニスにそれを正面から見たプレシアはふと笑い

 

「あの子……紅莉に言われたのよ。子はね、どんなに辛く当たられようが親に認めて欲しいんだって。そのために頑張るのだからって。

 だからね、今度は私が認めてもらえるようにしなくちゃ、ね」

 

 そういって、かつての面影もない顔で語るプレシアにリニスは一つ頷き少し場所を空けた。

 

「では、プレシアにアリシアはバルディッシュを担当します」

 

《では、エイミィと紹介されるスタッフはレイジングハートを担当ということで》

 

「はい。そして、私が両方のサポートをします」

 

 次々と決まっていく内容に全員が頷いた。

 

「あれ?エアは搭載しないの?」

 

 ふと気づいたエイミィがエアに尋ねる。

 

《必要なのですか?》

 

「へ?」

 

 尋ねたはずのエイミィが何故か尋ねられ首を傾げてしまった。

 

《マスターの戦闘にカートリッジを使うような場面はありませんよ?》

 

「紅莉の場合は使う魔法なんてせいぜいが、飛翔・足場精製・身体強化程度ですよ。

 中距離用に斬撃飛ばしたり、止め用に溜め技使いますがそこらへんはオマケですしね」

 

 エアとリニスの言葉に唖然とする三人。

 

《元々マスターは魔力や魔法なんてオマケなんて考えるような人ですからね》

 

「一切の魔力使わないでも今回の敵だったら圧倒するんじゃないですか?刀が持つかどうかは別ですが」

 

 リニスの言葉に背筋に冷たいものが流れる三人。魔導師や騎士相手に素の状態で勝てるといっているようなものである。

 

《マスターにとって出力を得るというのは必ずしもプラスではありません。マスターにとって必要なのは良く切れる刃。ただそれだけですよ。

 まぁ、今回のことでちょっと私も頭にくることがあったのでマスターにお願いして別のスタイルをとって貰う予定ではありますがね》

 

 その言葉を最後に作業に集中しだし、会話は打ち切りとなった。

 

 

 

 

†――――†

 

 

 

 

 

「初めましてだね」

 

 クロノに紹介したい人がいるといわれ案内されてやってきたところには壮年の男性がいた。

 

 話を聞いていくうちに、この男性……グレアムさんも地球出身のようだ。

 

 その後、出会いがあったためにこっちに移り住んできたらしい。

 

「なるほど!まだ、彼女の歌を聴くことは可能なのか!」

 

「ええ、俺のデバイスに曲のデータも入っているので後でクロノ経由でお渡ししますよ」

 

 その後、話していたらグレアムさんは俺と同じティオレさんのファンであった。

 

 そこで意気投合してティオレさんトークを長くしすぎてクロノの咳払いとともに終結したがまさかこっちの世界に来てもティオレさんの歌を理解するひとがいたとは……

 

 その後、リンディさんの号令の下、海鳴で先日のやつ等に対しての対策本部をおくことが決定した。

 

 なのはは目に見えて嬉しそうにしており、フェイトも凄く嬉しそうだった。

 

「さて、情報のすりあわせをしようか」

 

 なのは達を先にいかせて俺とクロノは別室にやって来た。

 

「どういうことだ?」

 

 つれてこられたクロノはなにやら怪訝な顔をしているが、俺にそれは通じんぞ?

 

「お前、今回の件について何か知っているだろう?」

 

 俺の一言により、表情が変わるクロノ。

 

「気づかれていたのか」

 

「なんとなくな。雰囲気がいつも以上に鋭かったからな」

 

 普段仕事をしているこいつはいい意味で緊張感を持っている。だけど、今回の件に関しては何か他のことがあるのか凄く張り詰めている。

 

「君には敵わないな……前に僕に尊敬できる人がいるかと聞いたね」

 

「ああ」

 

 ここで古いといってはそこまで経ってはないが、それでも古いといえるような話題が出てきた。

 

「僕が尊敬しているのは父だ」

 

「ほう」

 

 クロノの父か。そういや、母親のリンディさんは知っているけど父親の話は今まで出てこなかったな。

 

「父も局員だった」

 

「だった。過去形か」

 

「ああ、とある事件で殉職したんだ」

 

 殉職。ある意味で軍隊に近いようなシステムの管理局ならば仕方ないかもしれないな。

 

「とあるロストロギアがらみのその事件で父は殉職した」

 

「そのロストロギアとは?」

 

「闇の書。今回の事件と同じものだと思われる」

 

 クロノ言葉に俺はただ黙って聞いているだけであった。




†久遠放送局†

久遠「皆さんおひさー!アイドルの久遠だよ」

プレシア「ここまで違うのは凄いわね」

久遠「あ、ツンデレお母さんいらっしゃーい」

プレシア「その呼称はやめてくれないかしら?」

久遠「さてさて、レイハたちがパワーアップするけど原作とは異なり安全性が極端に上がるよ」

プレシア「無視とはいい度胸ね」

久遠「ここではスルースキルが必須だよ?それじゃ、今回は特にこれといって報告はないからここまで!」

プレシア「そうね、私も休むわ」

久遠「では、次回もお楽しみに!」
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