「ねえ、皆。今度のクリスマスなんだけど」
教室で帰りの支度をしていたら、すずかが話しかけてきた。
「皆、予定ある?」
「一応は、パーティーを家でやる予定だが」
「夜だよね?その前にちょっとお願いしたことがあるんだ」
そういって、すずかが説明をしてくれる。どうやら、図書館で知り合った友人が入院してしまい、それじゃあ可哀想だから皆でお見舞いに行かないかということのようだ。
「それなら、行くしかないな」
俺の言葉になのは達も同意する。
「そういや、その知り合った友人ってのはどんな奴なんだ?」
「あれ?メールに写真を添えて送らなかったっけ?」
「あー……修行中に壊して修理中だわ」
代替機は型が変わって微妙に使いづらいんだよなぁ。携帯なんて電話できればいいんだし余計な機能つけるなよ。
「この子だよ」
すずかが仕方ないなぁなんて言いながら携帯の写真を見せてくれた。
「はやてじゃん」
「知ってるの?」
写真を見て驚いた。あいつ、すずかと知り合いだったのかよ。
「紅莉君って、何処で女の子を引っ掛けてくるのかな?」
「あー、とりあえず何を勘違いしているか知らないが、笑顔で胸倉を掴まないでくれ」
怖いし、なのは達も睨んでくるしで散々だ。
「病院で知り合ったんだよ。紹介してくれた人はフィリス先生な」
俺が説明すると、納得してくれたのか手を離してくれた。ところどころですずかが怖い。なんかこう……今の俺じゃない俺が封印した何かを呼び起こすような気がする。
「まぁ、クリスマスプレゼントはうちのケーキでいいだろ。それに、レンちゃんもいるし序に届けてやるか」
「ついでって言っちゃ可哀想だよ」
そりゃ確かに。早ければ来年の頭に退院できるって話しだし、病院に行くたびに針を打ってあげてもいるから回復が早くてよかったよかった。
「さっ、帰るか」
「ここ最近、あんた忙しそうね」
「叔母がきていてなぁ、そんで修行つけてもらっているんだ」
いやぁ、本当に12月入ってからの俺の充実度が半端ない。その分、ボロボロだけど、人の何倍も回復力はあるし、目立つような傷はリニスが消してくれているから大助かりだ。
「あんた、叔母さんなんていたの?」
「いたんだよ。6月ぐらいに初めて会ったんだがな」
まぁ、あの出会い方以外には会う確立ってのはなかっただろうけど。
「ちょっと興味あるんだけど」
「すまん、あの人は見た目は凄い美人だが、性格が残念すぎて会わせたくないんだ」
「あ、あはは……」
「こ、紅莉。そ、そんなこと言っちゃ……」
なんとか、フォローをしようとするフェイトだが、言葉が見つからず、なのはに至っては笑って誤魔化している。まぁ、二人とも餌食にあったからなぁ。
てか、桃かーさんと悪巧みを考えていそうで怖い。あの二人、楽しいことのためには全力だからなぁ。
「紅莉も人のこと言えないよ?」
声が漏れていたようでフェイトからツッコミが入る。うそん。
「態々我自ら出向いてやったぞ、ありがたく思え」
「あんたは、どこぞの金ぴかか!」
クリスマス当日、病室にいるはやての元へとやってきて、感謝しろといったら感謝の言葉ではなくツッコミが返ってきた。
「ナイスツッコミ」
「ナイスボケ」
がっしりと握手を交わす、俺とはやてになにやら回りの空気が重いのは何故だろうな。
「てか、本当にレンさんそっくり」
「私も最初ちょっと思った」
アリサがはやての実物を見て感想を洩らす。そうだよなぁ、どうみてもレンちゃんだよなぁ。
「皆、そういうんやけど、そんなに似てるん?」
「そっくりだよ」
てか、なのは達はいつまで睨みあっているんだ。いくら病室にヴォルケンリッターがいたからって平静を保てないでどうする。念話で伝えると。
『無理だよ』
『私達は紅莉と違って普通なんだよ』
と返ってきた。てか、フェイトよ。それじゃあ俺が普通じゃないみたいじゃないか。
『絶対に、紅莉君は普通とは違う』
まさか、なのはにまで否定されるとは……慣れているからいいけど。
「ほれ、実家のケーキだありがたく食うがよい」
「いつまで続けんねん!でも、ありがとう嬉しいわ!」
はやてにケーキを渡そうとするのをやめてテーブルを借り人数分に切り分ける。人がやや多いけど、まぁでっかいホールケーキ持ってきたし、レンちゃんの分をかわいそうだが半分だけ貰って分けるとしよう。
「すまんなぁ、そっちのケーキはそのレンさん?って人の分やろ?」
「気にするな、レンちゃんはそこまでがめつくない」
「紅莉君、だったら誰ががめついの?」
「晶・美由希・なのは」
「私も!?」
なのはからの質問を返してやると、自分の名前が出てくると思わなかったのか驚く。お前、いっつも人が食っているケーキを横取りしていくだろうが。もう一つ貰えというと太るとか言い訳しおって。うちの家系は太りづらいらしいから問題ないだろ。
『おら、お前等も食え。別に毒なんて入っていない。てか、粗末にしたらきれんぞ』
桃かーさんが態々店用とは別のケーキを作ってくれたんだからな。ただ、変にテンションあがってホールを見せてきたときは呆れたが、結果は良かった。てか、後でフィリス先生にも持っていかんと。
『ああ、前にシャマルとエガシラにも言ったが、ここで暴れるな、暴れさせるな。お前等の家族のはやてがいるように、俺らの家族もこの病院にいるからな』
病室にいたシグナムとヴィータに注意しながらケーキを渡す。最初ヴィータは警戒していたんだが、ケーキを食った瞬間から完全にケーキを一心不乱で食っている。
「おーい、はやて」
「はやてちゃん、戻りましたー」
病室でがやがややっていたら、シャマルとエガが戻ってきた。
「うぉっ!?なんで、ここに皆がいるんだ!?」
「え、エガシラ!?あんたこそ、なんでここにいるのよ!」
戻ってきたエガが病室にいる俺らを見て素で驚いている。まぁ、少し席を外して戻ってきたらこの人数だからな。そして、エガがここにいることに驚くアリサ。そういや、言うの忘れていたな、まぁ、エガが説明するからいいか。
「いや、実はな俺ははやての幼馴染でさ、12月に入ってからはやての体調がよくないのを聞いて、母親に許可を得て一緒にいるんだよ」
「私としては、普通に学校に通えるなら行ってってお願いしたんやけど、一向に聞いてくれなくてなぁ」
「いいじゃねえか」
いちゃつくなアホ共、なにやら目を輝かせている女性陣がいるし、なにやらシャマルやヴィータ、シグナムが面白くなさそうな顔をしているぞ?
「さてと、俺はフィリス先生とレンちゃんにケーキを渡してくるわ」
流石にこの時間だし、この時季だマッサージは無いだろ……たぶん。
「まて、緋凰!」
病室を出るとエガが追ってきた。
「なんだ」
「管理局にここを知られるわけにはいかない!」
そういって、結界を作動させようとデバイスを取り出そうとしたエガの腕を取る。
「ぐぁっ!」
腕を極められ苦悶の声を出すが知らん。
「言ったはずだぞ、ここで暴れるなと」
俺の声に体が震えるエガ。どうやら、忘れていたというよりも焦っていたようだな。
「それじゃあな」
腕を放して病室へと再び向かっていく俺にエガは追ってこなかった。
「やっほーレンちゃん元気?」
「おー、紅莉やないか。どないしたん?また、地獄のマッサージ受けにきたんか?」
「れ、レンちゃん?フィリス先生がいるところであまりそういうことを言うのは?」
病室に入ると、レンちゃんと診察をしてくれたのか、話し相手になってくれていたのか、フィリス先生が丁度いたのだが、レンちゃんが余計なことを言って、フィリス先生の目が変わってしまった。
「紅莉君は私のマッサージをいつもそんな風に思っていたんですね」
言葉は可笑しいが、恐ろしい笑顔で詰め寄ってくるフィリス先生に後ずさりする俺。
「まぁまぁ、フィリス先生。ここはうちに免じて許してあげてください。それにほら、今日はクリスマスですし」
「それも、そうですね」
レンちゃんの一言で、いつもの優しい雰囲気のフィリス先生に戻る。あんたは女神か!……あれ?きっかけはレンちゃんだっけ?まぁ、いいや、目的を達しよう。
「はい、クリスマスケーキ。桃かーさんから」
「おー!」
ケーキを渡すとレンちゃんは嬉しそうに目を輝かせる。なんのかんの言って女の子なんだねぇ。
「あ、いつもお世話になっているフィリス先生もよかったらどうぞ」
「ありがとうございます」
箱から取り出し、4分の1を皿にとってレンちゃんに渡す。
「ここに来る前にレンちゃんの2Pキャラの人たちにもわけちゃったから減っているんだゴメン」
「2Pキャラってなんやねん!」
レンちゃんからツッコミが入る。
「ああ、はやてちゃんですね。確かに、そっくりですねぇ」
幸せそうにケーキを食べながらしみじみと言うフィリス先生。誰がどう見てもそっくりなんだよね。
「そないに似てるん?」
「今日、はやてからも同じこと言われたな。そっくりだよ。2Pキャラの言うように色違いって感じ」
「その子、いくつなん?」
「なのはと同じ歳だから9歳?」
「寸掌ッ!」
「ぬわぁっ!?」
歳を教えた瞬間にレンちゃんから寸掌を貰い吹っ飛ばされる。ベッドに半寝の状態なのに廊下まで吹き飛ばされた。
あんた、病人だろ大人しくしていろよ、あと、めちゃくちゃ威力高い。
「それはうちが小学生と大差ない体型っていいたいんか!」
「そこまで、言ってねぇ!」
目を吊り上げるレンちゃん。ああ、そういうことだったのね。確かにレンちゃんって歳の割には体型が、ねぇ?
「絶招 浮月双雲覇!」
「ぐっはぁっ!?」
ぜ、絶招ってあんた……てか、病人なんだからそんな大技を使うな……ガクッ。
「死ぬかと思った」
「良かったな。うちが全快やったら確実に息の根止めてたで?」
「物騒すぎる」
まぁ、ツッコミの延長だったから避けなかったけど、ガチもんだったら避けるけど。
「ん?」
「どないしたん?」
「いや、ちょっとね」
あいつら、俺の警告を無視するとはいい度胸だ。
「それじゃ、俺はもう行くね」
「了解や」
レンちゃんに別れを告げて、病室を出る。そして、思考を一般人から戦闘者へと切り替える。
「エア、病室に影響がないように結界を張るには?」
《問題ありません。一応は彼女等が張った結界が生きています……リニスに連絡を入れたのでマスターの心配することには及ばないでしょう》
「分かった」
エアの報告に頷き、向かってくるリニスに念話を入れる。
『リニス、俺等が病院を離れるまでレンちゃんを頼む』
『分かりました』
短いやり取りを終えて、結界の中へと入りセットアップし一気に駆け上がる。
「お前等、言ったはずだぞ、暴れるな、暴れさせるなと」
遣り合おうとしているなのはたちに上から声をかける。自分でも驚くほど冷え切った声だ。
ヴォルケンズはおろか、なのは達まで顔を青くしている。
「お前等、今日は帰れ。今の機嫌だと手加減が一切できん」
ヴォルケンズに目だけを向けて告げる。エガも警戒はしているが、俺が口を酸っぱくしていっていたことだから今のところ大人しい。
そして、いくばくかの沈黙が流れたと思ったら突如全員にバインドがかけられる。
色合い的にはクロノに近いが、あいつが俺らまでバインドを使う理由がないし、何よりクロノの気配は感じない。
「ぐっ」
バインドを引きちぎり、動こうとしたら再びバインドがかけられる。しかも、先ほどよりもより多く。
「また、テメエらか!邪魔するな!」
「貴様が、我等の邪魔をするのだ。そこで大人しくしていろ」
バインドを引きちぎろうとするのだが、先ほどまで以上に硬い。
「エア!」
《きついです。術者から常に魔力が送られ、硬度を維持されております》
「あぁぁっ!」
必死にバインドを引きちぎろうとしていたら突如悲鳴が聞こえてきて、下を見てみると、ヴォルケンズの胸から光の球体が現れていた。
《蒐集》
「シグナム、ヴィータ、シャマル!」
エガが必死にあいつらの名前を呼んでいるが、あいつもバインドが解けないようでその場から動けないでいた。
それよりもだ。なんで、仮面の片割れが闇の書を持ってやがるんだ?しかもだ、その触覚ともいえるヴォルケンズのリンカーコアを蒐集しているだと?
「ぬおぉぉぉぉっ!」
「ふん」
今まで別行動だったのか、ザフィーラが現れ止めようとしたが、逆に止められ蒐集を受けてしまう。
「うわぁぁぁっ!」
「はやて、何故ここに!?」
はやての叫びが終わると、足元に魔法陣が展開され闇の書が現れる。そして、莫大な魔力がはやてから吹き上がると同時に体が変わっていった。
「また……また、全てを壊してしまうのか」
はやてとは似ても似つかない、銀髪の女性がそこにはいた。
「エア!」
《トロニウム・レヴ、ドライブ!》
「おらっ!」
「何!?」
一気に出力を上げて、バインドを強引に砕き。
「貴様は沈め!セイバー、アクティブ!」
鞘からセイバーを抜き放ちすれ違いざまに一撃、それだけでは終わらずに何度も何度も切り刻む。シールドを張って何とか凌いでいたが、やがて体勢は崩れ、シールドはすべて破壊した。
「終わりだ!」
《T-LINKフルコンタクト》
セイバーにより一層強力な魔力が纏われ、それを一気に叩き込むと仮面の片割れはビル郡を突き破りながら吹っ飛んでいった。
「――!貴様!」
あいつの名前を呼んだのだろうか、俺を仮面越しから睨んでくる。
「手前等は俺の大切なもんに傷をつけた、その報いを受けろ!」
《スライダーパージ》
スライダー2機が残っていたほうに向かっていくが、仮面はそれを避けたが、突如前のめりになり、後ろを振り返る。後ろには先ほど避けたスライダーが仮面を押し出していた。
「はぁぁぁっ!」
セイバーに再び魔力が纏われたのを確認するとこちらに向かってくる仮面に俺も同じように突っ込んでいく。
「くっ」
「ぶち破れ!」
このままではまずいと思ったのかシールドを張ったが、それすらも突き破り、仮面にセイバーをそのまま突き刺し、俺はセイバーを離してそのまま通り抜けて止まる。
「バースト!」
開いていた手を握ると同時にセイバーに纏われていた魔力が爆発し仮面はそのまま落ちていった。セイバーは爆発と同時にこちらに戻ってきたので鞘にしまう。
「クロノ!あいつらの処理を頼むぞ!」
「大声を出さないでも聞こえている」
先ほどこちらに到着したクロノに後を頼み、なのはたちの元へ向かっていった。
†久遠放送局†
久遠「皆さんおまたせ、漸く更新したよ!」
ユーノ「なんか、僕の影薄くない?」
久遠「なんか、クロノを出している分、ユーノの出番が減っちゃったんだって」
ユーノ「えぇっ!?普通は、クロノじゃないの?KYとかで」
久遠「なんか、作者が映画版A's(BD)を見てクロノがかっこよくて出番が増えたんだって。その分のしわ寄せがユーノだってさ」
ユーノ「酷いなぁ」
久遠「そこは作者か読者に頼んでね。では、次回もお楽しみに」