魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第42話

「大丈夫かお前等?」

 

 仮面を片付けてからなのは達の下へとやってきたが、見たところ酷いダメージはまだ受けてないようだ。

 

「なんか、紅莉君すっきりしてる?」

 

 俺の顔を見たなのはが開口一番にそういってきた。

 

「今まで、散々じゃまされてフラストレーションが溜まっていたからな。すべてぶつけさせて貰った」

 

 なんか、落ちていくときに、仮面が外れて女っぽい顔が見えたんだが……まぁ、そこらへんは知らん。向かってくるなら子供でも相手するし。

 

 俺が理由を伝えると、なのはとフェイトの顔色が悪くなる。心外だ、お前らに溜まるわけないだろうが。

 

「喋っている暇はない!来るぞ!」

 

 エガの声とともに上を向くと、はやてが変化したやつがこちらを複雑そうな感情をもった瞳で見てきていた。

 

「将達を一蹴した騎士か」

 

 静かな、本当に静かな声で恐らくは俺のことを言っているのだろう、俺が来たことに僅かばかり緊張した顔になる。

 

「訂正だ。俺は騎士ではなく剣士だ。この一刀は己が目的のために振るうものだ……つっても、今はその刀を使ってないがな」

 

 未だにエグゼ状態なので刀を見せられないのは残念だが、今はそんなことをしている場合ではない。

 

「そうか、失礼した」

 

「分かればいいさ」

 

 あれが闇の書の暴走体か。その割には暴走しているようには見えないがな。

 

「お前も眠るといい。直ぐに終わる」

 

 やつがそういった瞬間、小さい剣。短刀に近い形の紅い魔力がこちらを襲ってきたので、俺達はそれぞれ飛び上がり散開する。

 

『紅莉』

 

 追尾してきた魔力弾をセイバーで弾きとばしていると、ユーノから念話が届く。

 

『今、君が相手しているのは闇の書……いや、夜天の書の管制人格だと思う』

 

『夜天の書?』

 

 聞いたことがない単語だ。しかし、夜天か。今、俺達がいるこの空のことを言っているのだろうか?

 

『うん。紅莉の言葉のおかげで大体が把握できたよ。まず、闇の書と呼ばれる前のそれは、主と共に旅をして、各地の偉大な魔導師の技術を収集し、研究するために作られた収集蓄積型の巨大ストレージなんだ』

 

 ユーノの説明になんとなく納得する。言いたいことが分かるからだ。

 

 一言に才能といっても腐るほどある。なのはのように魔力収束という能力をもっていたり、フェイトのように高魔力に変換資質、俺やエガのようなイレギュラーとしての力を知りたい、という欲求が出るのは人としてある。それの延長が研究者であり、あの魔導書なんだろう。

 

『けど、歴代の主が改変を行ってきたせいで、あの魔導書は破壊の力を使うことしかできなくなってしまったんだ』

 

『おやまぁ』

 

 元々は唯の資料本っぽかったのに、どっかのバカが改変して破壊衝動限定になってしまったとか。勿体無い。

 

 魔法の事は今一分からないが、これが武術などに置きかえれば話は簡単に理解できる。

 

 失われた技術を保持してくれる本をそれを使って壊すとか意味が分からん。

 

 もしかしたら、その技術を使いたくてそうなるように改変しようとして失敗したのかもしれないけど、やったことは失敗か。

 

『後は、無理に外部から操作をしようとすると、持ち主を呑み込んで転生してしまうということと、プログラムの停止や改変ができないので完成前の封印も不可能だ』

 

『了解。それじゃ、今のアイツは封印が出来ると?』

 

『結果から言えば出来る。けど……』

 

『分かっているよ。俺もそんなつもりはない』

 

 あいつを封印したとなると、中にいるはやてすら封印してしまうということになってしまう。だからこそ、そんな選択肢など捨て去って、新たな選択肢を導き出してやる。

 

「咎人達に、滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ」

 

 新たな決意をしていると、管制人格が手を前にして詠唱をしていた点。その手の先にはピンク色の光がどんどんと集まっていき、そして膨らんでいく……

 

「って、マズイ!」

 

「皆、逃げるよ!」

 

 俺の驚きの声を始めまりに、フェイトがなのはの手を取り、管制人格から距離を取っていく。

 

「エガ、お前も一旦下がれ!なのはの悪魔砲が来るぞ!」

 

「紅莉君、酷いの!」

 

 うるせぇ!あれをまともに食らうわけには行かないんだよ!

 

「エア、あれに耐えられるか?」

 

《結界破壊がどう作用するかによります。あれが防御すら破壊するならば、防げません》

 

 耐えられるかを聞いたんだがな、しかし、前にフェイトの5重のシールドすら砕いたから出来なくはないだろうなぁ。

 

「そ、そんなに危険なのか?」

 

 横に続きながらエガが尋ねてくる。

 

「こ、こんなに距離を取る必要なんてないよぉ……」

 

 なのはが、すごいしかめっ面で否定をするが。

 

「そんなことはない!なのはのあれだよ!?まともに食らえば、いくら魔力ダメージだからといっても絶対に死んだと思うようなブレイカーだよ!?わ、わた、私は……」

 

 なんか、フェイトが必死になって説明してるのだが、途中から壊れだした。

 

「お前、どんだけトラウマ与えているんだよ」

 

「だ、だってあの時はああするしか!」

 

 フェイトがブツブツとなにやら呪詛を撒き散らしながらも、なのはを必死に引っ張る姿を見て、エガもどういう攻撃かは分かったらしい。

 

「初見の時に、結界破ったあれだな」

 

「ああ、うん。理解した」

 

 エガもどういった魔法かは完全に分かったようだ。まぁ、結界破壊できるような魔法なんて早々あるもんじゃないしな。

 

「フェイトちゃん、後でちょっと話そうか?」

 

「ひぅっ!」

 

 なのはから不穏なオーラが放たれているが、俺に被害ないからいいか。

 

《マスター、前方に民間人の反応があります》

 

「は?」

 

 エアからの報告に思わず、間抜けな声を上げてしまう。なんだって結界内に民間人なんて。

 

《接触まで約10秒です》

 

 そのまま放置したらSLBに巻き込まれちまうな。

 

「エガ、なのは、フェイト!聞いていたな。民間人の場所で防御だ」

 

「了解」

 

「分かった」

 

「うん」

 

 俺の言葉に三人が返事を返したので一気にスピードを上げる。

 

《この反応は……すずか嬢とアリサ嬢です》

 

「マジかよ」

 

 更なるエアからの報告にエガがなにやら重い空気を振りまくが、そんなのにかまっている暇は無い。

 

「お前等、伏せていろ!」

 

「え、え?こ、紅莉?空を飛んでいる!?それに、なのは達も!」

 

「アリサちゃん!そんなことはいいから早く伏せて!」

 

 アリサたちの前に躍り出た後、振り向く。後ろでは混乱しているアリサだが、すずかが直ぐに状況を察してくれたようで、アリサを伏せるように上から覆いかぶさろうとしていた。

 

「貫け!閃光! スターライト・ブレイカー!」

 

 その直後に、完成したSLBが広域に向かって放たれたが、4人とも防御を展開していたおかげで無事に乗り切ることができた。

 

「エイミィ!」

 

『オーケイ!』

 

「ちょ、説明しなさいよーーーっ!」

 

「戻ったらな」

 

 転送されていくアリサが文句を言っていたが、それに一言だけ返したあと、再び前を向くと、先ほど巨大砲撃を撃ったばかりというのに、そんな様子を全く見せずにこちらへと向かってきた管制人格。

 

「もうやめろ!お前は、そんなことをするためにいたんじゃないだろ!」

 

 エガが彼女に向かって呼びかける。そういや、こいつはあちら側だったな。

 

「魔晄の騎士か」

 

 おお、なんとも中二感あふれる感じの呼び名で。羨ましくなんてないんだからね!

 

「主の眠りを妨げるならば、貴様とて容赦はせん」

 

 管制人格が腕を振るうと地面から触手が生えてきて、俺らを捕らえようとする。

 

「ふっ!」

 

「きゃぁっ」

 

「この!」

 

 俺はいち早く切り捨てて、回避したがなのは達はそうはいかなかったようで捕らえられてしまう。

 

《スライダー、パージ。いきなさい!》

 

 肩のスライダーがはずれ、なのは達に絡み付いている触手を斬りおとしていく。そういうのは、あと5年経ってからにしてくれ。

 

「主よ、もう少しだけお待ちを。必ずや、必ずやあなたに安らぎを」

 

「はやてはそんなことを望んじゃいないっ!」

 

 エガも脱出していたようで、大剣を振りかぶりながら接近していく。

 

《レジストリ・ロック》

 

「バインド!?だけど、こんなもの!」

 

 近くの魔導書から管制音が聞こえたと思ったらエガはバインドにかかってしまう。しかし、あの魔力量に力だから、直ぐに解こうと動いたのだが、それより早く、あいつの周りに3基のスフィアが浮かび上がり三角形を描くように配置された。

 

「一瞬で十分だ。虚無へと誘え。アキシオン・バスター!」

 

「ぐあぁぁぁっ!」

 

 まさか、俺自身の魔法すらコピーしているとは。だが、あんな巨大な魔法を撃った後だ、隙は十二分にある。

 

「エア!」

 

《T-LINKコンタクト!》

 

「くっ!」

 

 セイバーに魔力を送り、輝きが増したそれを一気に近づき打ち抜こうとしたが、多対一の戦闘になれているのか、ぎりぎりで防御されてしまう。

 

「このまま打ち抜く!」

 

「お前も我が内に眠るといい」

 

「なっ!?」

 

 あいつが、何かを呟いたと思ったら、突如俺自身が光の粒子に包まれ始めた。

 

「紅莉君!」

 

「紅莉!」

 

 なのはとフェイト、二人の叫び声に近いような声を聞きながら突如として俺の意識は遠くなっていった……

 

 

 

 

 

†――――†

 

 

 

「そんな……」

 

 紅莉が、光の粒子となり消えてしまったことで、その場にいたなのはは驚愕の表情で固まってしまっている。

 

「なのは!」

 

 そんななのはの態度にフェイトが肩を揺さぶるが、なのはは目を見開いたまま反応を示さない。

 

「……して……」

 

 そんななのはだが、突如何かを呟きだした。

 

「返して……」

 

 まるでうわ言のように、誰に聞かせるわけでもないのに呟きながらレイジングハートを構えて、周りにはシューターがいくつも展開されていく。

 

「紅莉君を返して!」

 

 今までのどの声よりも大きな声でそういうと、シューターを闇の書に向かって放つ。

 

「なのは、落ち着いて!あの紅莉だよ!大丈夫だから!」

 

 そんな、なのはの様子を危ないと感じたのかフェイトは慌ててなのはを抑える。

 

「フェイトちゃんは何でそんなに冷静なの!心配じゃないの!?」

 

 錯乱に近い状態のなのはは親友であるはずのフェイトにすら暴言を吐く。普段のなのはならば、こんなことは絶対に言わないのだが、今の精神状態では仕方ないのかもしれないと、フェイトはどこか別の部分でそんな思いが浮かんでいた。

 

「心配だよ。でも、落ち着いて考えてみて?あの紅莉だよ?虚数空間からすらもさらっと帰ってきた紅莉だよ?そのうち、帰ってくると思うな私は」

 

「……あ、そっか」

 

「おいぃぃっ!さっきまでのやり取りはなんだったんだよ!?」

 

 フェイトの言葉に納得したのか、すっかり頭の熱が冷めて同意を示すなのはに今度は今まで黙っていたクロードのツッコミが入る。

 

「いい?紅莉を普通の常識に当てはめちゃダメだよ?アリシアを復活させてくれた時点で私はそこらへんはもう考えないようにしたよ」

 

「そうだよねー。だめだなぁ……なんか、紅莉君に依存しちゃってるのかな私?うぅ……こんなことが紅莉君やお兄ちゃんに知られたらどんな風にいじられるんだろ……フェイトちゃん?」

 

「い、言わないよ!」

 

 色々とすき放題言う、なのはとフェイト。戦いの最中だというのに、緊張感はどこへやらといった感じである。

 

「おい、お前等!喋っている暇はなさそうだぞ!」

 

 クロードの言葉にはっとなり前を向く二人。先ほどまでとは変わり、その瞳には力強い光が宿っている。

 

「ただ、守られるだけの存在が私を止められると思うのか」

 

「止める!紅莉君がいなくても、私はやってみせる!そして、貴女もはやてちゃんも助ける」

 

「紅莉に笑われないためにも、紅莉と一緒にいるためにも、貴女を止める!そして、大団円を迎えてみせる」

 

 お互いにデバイスを突き出し、宣言する。

 

「レイジングハート、エクセリオンモード」

 

「バルディッシュ、ザンバーフォーム」

 

「「ドライブ!」」

 

《ドライブ、イグニッション》

 

《ゲット、レディ》

 

 二人の強い意志を受け、デバイスたちもまた、主に答えるために最後の力を解放し解き放った。

 

「あの二人には遅れられないな……行くぜ、ザックス」

 

《諒解》

 

 二人の姿を見たクロードまた、二人に負けじと気合を入れなおし剣を構え、覚悟を決めたのであった。




†久遠放送局†

久遠「なんと、フェイトじゃなくて紅莉が吸収されちゃった!?でも、この作品のフェイトだと、吸収されても意味がないよね」

すずか「初期の予定だと、フェイトちゃんも吸収されて、そこに原作フェイト(アリシア、プレシア二人がいない)がフェイトちゃんに色々と精神的に追い詰める予定もあったんだよ」

久遠「うん、夢じゃないよね?いや、悪夢かな」

すずか「それだと、色々と酷そうだからやめたんだって」

久遠「それが、あの変なギャグシーンに繋がったわけか」

すずか「そういうこと。ただ、あそこもシリアスにする予定を変更してああしたんだって。言葉攻めみたいなのがあるのは、その名残だよ」

久遠「シリアスすぎるのを嫌う作者らしい」

すずか「でも、紅莉君だと本当に常識きかないし」

久遠「常識?なにそれ、おいしいの?」

すずか「……私達にも言えないもんね」

久遠「だよねー。常識ってなんだろう?では、次回もお楽しみに」
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