第48話
「さて、遅くなった訳を聞こうか?」
「「………」」
夜も大分更けた後、俺となのはは帰宅したのはいいのだが、そこには仁王立ちしている兄さんが問いただしてきていた。
『ねえ、紅莉君』
『すまん、連絡するの忘れてた』
流石に、家族でクリスマスパーティーをしようと話が決まっていたのに、この体たらくである。一家の大黒柱の……
「おい、大黒柱は僕だろ」
大黒柱である兄さんの言いたいことも分かる。
「おい」
黙れ、とーさん。とーさんは甘いんだからこういう部分で嫌われ役を買って出る兄さんのが大黒柱っぽいんだから。
話は逸れたが、フィアッセさんや美沙斗さんなども交えて、過去に無いぐらいに大盛り上がりするであろうクリスマスを俺となのはは連絡も無しに大遅刻である。
兄さんも恐らくは俺の髪の色を見て、色々と予測は立っているだろうが、あえて俺達の口から言わせようとしている。
因みに、帰って早々に出迎えてきた皆の反応は揃って俺が髪を染めたのは女の子にもてるためとか抜かしやがった。ねーよ。黒髪好きだよ。
「えっと、その……」
「あぁ~……兄さん」
「何だ」
なのはが何かを言おうとしているのを遮り俺は兄さんに声をかけると、なのはを見ていた兄さんは俺に目を向ける。殆ど予測は立っているんだろうなぁ。俺じゃなくてずっとなのは見ているし。
「明日、大事な話をしたい。それじゃ、ダメか?」
「遅れた理由を今じゃなく、明日に伸ばす。それほどのことか?」
「ああ」
兄さんの確認にしっかりと頷く。俺の目を見た後、兄さんはもう一度なのはを見た後にため息をついた。
「分かった。但し、明日納得のいく理由を聞かされなかったら、分かっているな?」
「オーライ」
「ごめんなさい……」
「なのは、謝る必要はない。それとも謝るということは、悪いことをしたということなのか?」
「ううん!違う!そんなことないよ!」
兄さんの言葉に必死で否定するなのは。当然だろう、俺達がやったことを悪いことをしたとは取られたくないしな。
「分かった。今日、この場では追及しない。皆もいいか?」
兄さんの確認に皆頷いてくれる。フィアッセさんや桃かーさんなどはなのはに軽く注意しているぐらいで後は皆、クリスマスパーティーの準備をしだした。
「紅莉」
「何?」
「お前がいながらか?」
「後で好きなだけ殴ってくれ」
俺も動こうとしたら、兄さんが声をかけてきて、その内容に俺は静かに目をつぶり覚悟を口にした。
「いや、殴らん。が、あまり気負いすぎるな」
「兄さんに言えた台詞じゃないと思うんだけどなぁ」
「だからこそだ」
やれやれ。兄さんには敵わないな。
「それじゃ、遅れたけどメリークリスマス!」
桃かーさんの音頭によりクリスマスパーティーが始まった。
「がつがつがつ」
「紅莉がここまで大食いするなんて珍しいな」
盛り付けられた料理を片っ端から手に取り口に入れる俺に晶が呆れたような感心するような声で聞いてくる。
「ほが(いや)、はががへっで(腹が減っていてね)」
「食うか、喋るかどっちかにしろって。てか、口に入れて喋るなよ」
「がつがつがつ」
「って、食べるほうを優先するのかよ!」
だって、めちゃくちゃ腹が減っているんだもん。
「ふぅ、多少落ち着いた。てか、何でレンちゃんいるし」
そう、入院中のレンちゃんが何故かいた。術後は良好と担当の先生もフィリス先生も言っていたんだけどさ。
「そら、今日から病院は休みやからな、無理をしない条件で帰宅をOKされたんよ」
「なるほどね」
「そんで、紅莉は何でそんなに食うん?」
「俺ってかなり食うほうだと思うけど」
兄さん並みに食う自覚はあるんだが。それでも、腹6分目程度だ。兄さんもそれくらいしか食べない。満腹だと直ぐに動けないしね。
「でも、紅莉って恭ちゃんみたく、静かに食べるじゃん。なのに今日はなんていうか、兎に角腹に収めてやる!って気迫が感じられるけど」
「腹が減っているんだ」
流石に疲れたせいもあって、アースラから帰還が許可された頃には腹の虫がずっと鳴っていた。
「いいじゃんいいじゃん。沢山食べれば、大きくなれるだろうし」
水樹さんがほぼ無責任な感じで言ってくる。
「目指すは180cmくらいかなぁ」
目標としてはそれくらいの身長は欲しい。でかすぎても困るだろうけど、武芸者としては身長は欲しいな。
「む」
俺の目標身長を告げると、兄さんがなにやら難しい顔をする。いや、兄さんは小さいわけじゃないだろ。
その後も、楽しい会話が続いていくが、桃かーさんが手に取ったものを見て俺は幻武を発動した。
「さぁ、次は大人の時間よ!」
「離せ、兄さん」
しかし、兄さんに肩を掴まれてしまった。
「紅莉、理由は明日聞くとして、罰は必要だと思わないか?」
「それが、桃かーさんの相手だとすれば、断固断る!」
あれを相手しろと?絶対に嫌だ。しかも、水樹さんは絶対に桃かーさんと同じタイプだ。それを二人相手にしろとかどんな拷問だ!?
幸いにも桃かーさんからは完全に視線を外し、未だに肩を掴まれている兄さん以外からは逃げられている状況だ。だから、ここで兄さんを撒ければ逃げられる。
「逃がさん!」
「逃げ切ってみせる!」
体を回転させ、兄さんの手を弾き距離を取ろうとするが、食ったばかりで体の動きが悪いのか直ぐに追いつかれる。
「どけ、兄さん!あれの相手はゴメンだ!」
桃かーさんを素面で相手できるわけないだろうが!
「俺だってゴメンだ。だが、家族としてあれを放っておくわけにもいかん」
「とーさんがいるだろ。あの人はあれで酒とか強いし」
「恐らくだが、その内、高町母にやられて潰れるだろう。物理的かどうかは定かではないが」
とーさん使えねーな!
「なら、なのはを」
「お前は、そこまで鬼畜だったか」
「恭ちゃんが言う資格は絶対にないと思う!」
俺と兄さんの会話に美由希が入ってきた。桃かーさんのほうを見れば既に酒が入りだしている。やべ、時間がなくなってきている。
「ね、ねえ。紅莉君。そんなにお母さんの相手はいやなの?」
「お前は、桃かーさんの本性を知らないからだ」
なのはは早く寝るから桃かーさんの酒が入っているときを知らない。けど、俺の場合はたいていが鍛錬を行うために、遅くまでおきている。
いつぞやは、かなり鬱憤がたまっていたんだろう。鍛錬に行こうとした俺や兄さん達を捕まえて酒盛りしやがったし。その時は鍛錬を諦めて、いかに桃かーさんを潰すかを敢行したもんだ。
「あら、何皆で端っこで固まっているのよ。楽しいパーティーなんだから皆で盛り上がりましょ」
「そーだよー!」
「「「しまった!?」」」
俺と兄さん、美由希の声が重なる。テーブルを見れば、晶とレンちゃんは既に捕まっている。てか、せめてレンちゃんは離してあげて!
「ほらほら!」
「ぐっ、引っ張るな酔っ払い共!」
「あーひどーい!」
悪態をついたら、桃かーさんに引っ張られ、胸に抱え込まれる。
「あ、桃子さんずるーい!私も紅莉をだっこしたーい!」
「だーめ!普段かまってくれない紅莉は私のものだー!」
「なのはを構えなのはを!」
「それじゃ、二人だーー!」
「にゃっ!?お、お母さん。お酒臭い!」
道連れとばかりになのはの名を告げれば、案の定なのはも引っ張り込んできた。
「大丈夫大丈夫。お酒は八百万の薬よー」
「答えになってないよー」
俺は兄さんと違って酒はいける口なのだが、流石にこの歳だと飲ませてくれない。いや、兄さんは確か美味い酒ならいける口だったか?
「じゃあじゃあ、私は恭也君をいただきー!」
「それじゃ、美由希は私が貰おうかな」
「ちょっ!水樹さん!」
「か、母さん!?」
どうやら美沙斗さんも酔っているようで美由希を桃かーさんと同じように抱え込む。
「あー!水樹さん酷いよー。恭也は私のだよー」
なんか、フィアッセさんがかなりの爆弾発言をしているように感じるのだが?てか、晶やレンちゃんがいつの間にかいなくなっているだと!?
その後、かなりもみくちゃにされ、気がつけば俺となのはが雑魚寝の形でソファーで抱えあって寝ていた。
「あ、頭痛い……」
「酒呑んでないけど、匂いで酔ったのか?」
朝起きたなのはの顔はかなり渋かった。
『それで、どうするんだ?僕達も説明に行ったほうがいいか?』
「う~む、悩みどころだがな。とりあえずは、魔法については事前知識があるからな」
朝起きて、まだ皆が寝静まっている時間(7時ぐらいだが、皆昨夜はかなり騒いで起きてこない)にクロノに連絡を取った。
「ただ、なのはの今後は自分で考えて伝えろと言ったからな、もしかしたらそれについて説明してもらうために来てもらうかもしれないな」
『彼女の態度はどうなんだ?』
「フェイトもはやても管理局に世話になるだろうし、なのはもなるだろうと予測はできるな」
十中八九そうだろうけど。
『彼女も来てくれるとなるなら、僕達も願ったりだ。君は?』
「俺か?正直に言えば、迷っている」
『何を、と聞いていいか?』
「かまわんよ。正直に言えば、なのは達を管理局に任せて、俺だけ外から見てるだけっていうのはいろいろ含めて心配が尽きん。それならいっそ、俺も入っておこうと考えている」
『ふむ。君の性格上、なぁなぁで入るというのがいやなのか?』
「それもあるが、そんなものは屑篭にでも捨てればいい。俺が悩んでいるのはお前等に迷惑をかけすぎる気がな」
『??どういうことだ?』
「俺の力」
『……ああ』
クロノも俺の力を忘れていたわけじゃないんだろうが、俺の力が管理局に入ったとしたら、どうなるかなんて言わずとも理解できるだろう。
『そこらへんに関しては僕に考えがある』
「聞こうか」
『君はあの力を使う必要がある場面以外では使わないと言っていたな』
「ああ」
あんな化け物みたいな力を普段使いできるか。クォータードライブだけで、アホなくらい出力が出るようなってしまったしな。
『聞くが、君が使う必要がある場面というのは?』
「今回の隕石クラス?」
暴走体クラスならば、アキシオン・ブレイカーを限界超えてまで溜めてから放てばトリプルブレイカー超える威力出せるだろうし、対人ならば、そもそもブレイカーすら必要には感じない。
『ならば、そんな力など持ってないと言って入ればいいだろ』
「そんなことできるのか?」
『言っておくが、今回の隕石などについては記録に残ってないぞ?残したのはせいぜいが暴走体までだ。リインフォースを助けたことについても残ってない』
「それでいいのか管理局」
あまりの仕事の雑さに憂いてしまう。
『では、残して欲しかったのか?まぁ、残したら残したで地球に迷惑が多大にかかるからやりたくはないのだが』
「すまん助かった」
ですよねー。
『それに、誰が信じる。君があの巨大隕石を消したなど』
「誰かは信じるかもな」
『それで、地球は危険な因子が存在すると断定されれば制圧されるぞ』
「その時は管理局を潰しにかかるだろうけどな」
『それができる君がいるからこそ、やりたくないんだよ』
まぁ、管理局の力がどれくらいかは知らないが、いざとなったら守りきれる自信はある。命に変えても守りたいものがここにはあるのだから。
『兎に角だ。入るならば、ある程度は情報を操作すれば君は近接技術が突飛すぎる人物として知れ渡るぐらいだ』
「いやいやいや。俺よりも優れているのはいるだろ?』
『どうだろうな。それについては僕からはなんとも言えない。後はそうだな……君が微妙なのは鍛錬時間や戦闘経験あたりか?』
「よく分かったな」
管理局に入るのはまぁ、別にいい。だけど、それに伴い鍛錬時間や戦闘経験が減るのは耐えられない。
鍛錬時間は寝る時間を削るかなんかをすればいいんだが、兄さんのような人との戦闘経験が減るのは少し厳しい。
『そこらへんは調べてみるが、要は強敵とやりあえれば君としては満足なんだろ?後は、実戦か?』
「そうだな」
経験は何よりも重要だ。勘の働き方も換わるし、100を知れば100通りの1000を知れば1000通りの戦い方を学べる。
『そこは調べてみるよ』
「やけに積極的じゃないか」
『君ではないが、知り合いは多いが友人と呼べる人間は少ないからね。僕としても得がたい友人はぜひとも来てもらいたいものだ』
やっべ、超照れる。てか、一言多いが、事実なために何にも言えないのが悲しい。
「まっ、兎に角これから家族会議だから、その後にまた連絡入れるわ」
『ああ、頑張れというのも変だが頑張れよ』
そういって、クロノとの通信を切った。さてと、いきますか。
「では、第二回高町家家族会議を始めます」
何故かノリの軽い桃かーさんの進行で始まる家族会議。
「さて、まずは昨日の帰宅が遅かった件から聞こうか」
兄さんがしょっぱなから本題に触れてくる。まぁ、どの道教えるしかないからしかたないけどな。
「実はね……」
そこでなのはから語られる今回の事件。
「つまり、紅莉だけでなくなのはも魔法を使えて、最初は巻き込まれ、最後は自分で危険に飛び込んでいたと」
要約する兄さんになのはは反論しようとしていたが、俺が手で制した。
「悪かった。守ると誓っていて俺は守れなかった」
「なんで!なんで紅莉君が謝るの!?私が自分で決めて自分でやったことなのに!」
俺が皆に謝ると、なのはが怒りを孕んだ声で抗議してくる。
「そうか、自分で決めたか」
「え?」
兄さんの納得がいったような声になのはが驚いたような呆けたような声を上げる。
「なのはは今まで自分の意見を極力出さないようにしていただろう。なのに、今回は自分で決めて自分でやり遂げようとしたんだな?誰かに言われて、状況に流されてではなく」
「そうだよ。私がやりたかったの」
兄さんの確認の言葉にしっかりと頷くなのは。
「だが、話を聞く限りでは、魔法というのを改めて知る必要が出たな。前に紅莉に魔法は危険があるかどうか聞いたが、聞いた話では五分五分だった。今回の話では危険しかなかったと思うが」
「それは……」
「兄さん、それは俺達が扱う力も同じだろ」
「む?」
「結局、俺達の流派も魔法も根本は一緒なんだ。使い方一つで人を殺す道具から人を守るものに、ね」
緋凰も御神も根本は人を守るために使うのが本来の使い方だ。そのために障害となるものは殺すこともある。そこに矛盾があるからと言って立ち止まることはない。
「確かに、俺の説明が不足していた。これは、申し訳なかった。けど」
「そっから先は私が」
「どうぞ」
俺がどういうことを言うか分かったのか、なのはが言葉を遮ってきたのでそのまま任せることにした。
「紅莉君も言ったけど、一歩間違えれば魔法はとても危険だと思う。ううん、危険だよ。だからこそ、私はそれを知ってもらいたい。正しい使い方を知ってもらいたいの」
そこで一度言葉を区切り深く深呼吸するなのは。
「今回の件と前の件……フェイトちゃんと出会うきっかけになった事件を見て、実際に関わって強く思ったの。それで、色々と魔法の世界について教えてもらったらそれを教えられる場所があったの」
「あ、そこらへんは前に挨拶にきたリンディさんいるでしょ?あの人が、その魔法の世界の組織で結構偉い人らしくてね。色々とお世話になったよ」
ちょっと抜けていた部分の補足説明を行う。
「だからね。私はこれからも魔法に関わっていくし、その組織に入りたい」
確りと、前を見つめ、意思の強い目で皆を見るなのは。
「そうか」
ただ、一言兄さんは答えた。
「それはいつからを考えている」
「出来ることならば、直ぐに」
「ならば、結論から言おう。俺は反対だ。今から直ぐに入ることもあるまい」
「そんな!」
だろうな。兄さんならば否定するだろうと思った。
「いや、ただの兄としてならばお前がやりたいことが出来たというならば、素直に喜び応援したい。しかし、命の危機がある現場になのはの歳で送り出せる家族がいると思うか?」
「でも、紅莉君やお兄ちゃんは……」
「差別するつもりはないが、俺や紅莉はそれこそ自我が芽生えたそのころからそれが当たり前の世界で過ごすことを前提に生きてきた。勿論進んで行こうとは考えていない。だが、状況がそうならば迷わず人を斬る。その覚悟を小さい、なのはよりも幼い頃から心に刻んできた」
兄さんの台詞に桃かーさんや美沙斗さん、フィアッセさんが悲しそうな顔をする。意外にもとーさんも何かばつが悪い顔をしている。
「なのは、もう一度考えてみろ。もし、それでも変わらないならば、覚悟を示してみろ。不破恭也として、お前の覚悟を見てやる」
「兄さん、その名は」
「使うことは無いと思っていたが、最後に使うにはいいかもしれない」
それ以上は何も言うつもりはないのか、腕を組んで目を瞑ってしまった。
「さてと、恭也になにやら男親の台詞を全て取られてしまったな」
とーさんが頭を掻きながら苦笑い気味に呟く。
「なのは、僕からはたった一つ。妥協は許されないよ?」
「うん」
とーさんの言葉に力強く頷くなのは。
「よかったわ。なのはにやりたいことが出来て。小さい頃から我慢を強いられてきたなのはが我侭を言ってくれるなんて。心配だけど、がんばるのよ」
「お母さん、ゴメンね?翠屋継げなくて」
「な~に、大丈夫よ!お母さんはまだまだ若いし、いざとなったら恭也か美由希の子供にお願いすればいいんだしね」
可愛くウインクする母さんだが、台詞が台詞だけに噴出す兄さんと美由希。兄さんとしては、黙っているつもりで不意打ちがきたもんだからかなり居心地がわるそうだ。
「紅莉はどうするんだ?」
なのはの件がひと段落したので今度は俺の番のようだ。
「正直に言えば迷っている。さっき、魔法関係の友人と話していたのだが、現場に出れば危険な任務もある。それはある意味で、実戦経験がつめるということで願ったりと思っているが、その分、大成するのが遅れそう……いや、鈍るかもしれないとね」
水樹さんと美沙斗さんがとてつもなく微妙な目をしている。この歳で実戦経験を望んでいるからしかたないかもしれないけど。
『実際は?』
『なのは、フェイトが心配だからですが何か?』
アイコンタクトで聞いてきたとーさんに本音を語る。ぶっちゃけ、なのは達が管理局に入らないなら、それにこしたことはない。
「分かった。ならば、俺は不破士郎としてお前の覚悟を見よう」
「本気?かつて、母さんと肩を並べたようだけど、その体で俺とやろうというの?」
「嘗めるな。子供にはまだまだ負けん」
それで、話はまとまり。お開きとなる。その瞬間を狙い爆弾を落とさせてもらう。
「そういや、兄さんはいい加減に忍さんかフィアッセさんかは決めたのかな?いつまでも二股野郎ではいられないよ?あと、とーさんって昔母さんと結婚の約束していたのに、結局別の人と結婚して逃げられたんだよね?」
「なっ!?」
「なぜ、お前がそれを知っているんだ!?」
俺が落とした爆弾は効果は抜群のようで、兄さんは慌ててフィアッセさん見る。俺はなにもみてないよー。
「士郎さん」
「も、桃子!?」
「どういうことか、きっちりと説明してもらえますよね?」
「ま、まて!それは、随分と昔のことで!」
「説明してもらえますよね?」
「………はい」
いい気味だ。俺を試そうとするからそうなるんだ。
「こんな感じで話はまとまったよ」
『そうか。それで、君にあった話なのだがな、一つだけ希望に添えるかもしれない』
「へぇ」
『なんでも、クロードの師匠に当たる人が管理局にいるらしくてね、彼から君とは合うかもしれないって教えてくれたよ。それに、あそこはかなり忙しいと有名だしね』
「ん?あいつ、管理局に知り合いがいたのか」
『ああ。彼の母親が元は管理局の騎士だったようだ。彼の父親が次元漂流で一度管理世界に流されててしまったときに出会い恋に落ちたようだよ』
「まるで小説なような展開だな」
『彼も言っていたよ』
「まっ、それならばそれでいいさ。それに、覚悟を示さなきゃいけないしな」
実はこれが一番厄介だ。あの時は軽口を叩いたけど、とーさんの静かな気迫に押されそうになった。現役引退して何年も経っているのにあの気迫とかチートだろ?
「てか、ヴォルケンズはその辺りの話を知っているのか?」
管理局を忌避していたのに、実はクロードが管理局と繋がりがあるとか。
『それなんだが、彼の母親は騎士だ。魔導師ではない。しかも、古代ベルカ式を使うようでね、彼女等の存在は彼の母親にとっても神聖視的な感じだったらしい。それに、彼の行動理由が騎士として引けぬものと覚悟をみて送り出したらしい。さっき、彼女の母親から謝罪と、もし必要ならば検挙してもかまわないと連絡がきたよ』
やれやれ。騎士連中というのはどうやら物語で語られるような連中のようだな。俺のような自己満足野郎とは大違いだ。
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
「くぅ………かはっ……」
アースラに色々と報告にきた序に、なのはとフェイトに針を打つ。
「な、なんでこんなにいたいの………」
「な、なのは……よ、よく喋れるね……」
無茶したこいつ等の体はパッと見じゃ分からないけど、相当にダメージがたまっていたので、それを癒すために色々と針を打った結果、その痛みに悶えている。
「紅莉、貴方の針は既に痛みは感じないはずですが?」
それを見ていたリニスが聞いてくる。
「そうね。私も打ってもらっているけど、痛みは無いわよ?」
それを聞いた二人が涙目でこっちを睨んでくるが、涙目で睨んでも迫力は無い。
「無茶した罰だ」
「なるほど」
「納得したわ」
俺の言葉に納得を示す二人に、なのフェイはそんなっ!って顔をする。
「おー人間サボテンやな」
後ろから声をかけられ振り向けば、はやてとヴォルケンズがその光景にやや引いていた。
「因みに、美容やケアなども出来るぞ」
『ホント!?』
通信で聞いてくるリンディさんとエイミィ。序に言えば、プレシアとシャマルですら食いついてきた。シグナムは興味ない振りして、耳だけはこちらだけに向けている。本気で興味ないのはヴィータとリインフォース、ザッフィーくらいだろうな。てか、ザッフィーもふろう。
「わりとマジで。てか、プレシアに打っているうちの一つがそれだ。体を保とうと、ケアするというのは健康に繋がるからな」
美容美容と一概にバカに出来ない。若くいようとそういった行為は決して見栄だけではなく、体を維持するというのにも役に立つ。
ちなみに母さんや水樹さんが外見以上に若く見えるのは恐らく打っているから。桃かーさんにも打っているが、回数が多いほうじゃないから、桃かーさんは女優などにいる、老けない人だろう。
とーさんや美沙斗さん?あれは、戦闘民族ゆえに若い期間が長いだけだろう予測している。
「つーわけで、お前にもな」
「ぎゃあっ!?」
「あ、主!」
大声を上げるはやてに心配そうに声をかけるリインフォース。その他の面々は顔が険しくなる。
「い、行き成りなにすんねん!」
「おいおい、俺は親切でだな」
「行き成りやることはないやろが!?」
「あ、主。足が」
「は?足?」
「おまえ、自分がどんな格好なのかキチンと見てみろ」
因みに、ザッフィーをもふる前だから俺は立っている。そんなはやてが俺の胸倉を掴んでいる。
「た、たっとる!?私、立っている!?」
そう、車椅子から立ち上がっているのだ。
「あ」
だが、認識してしまったのが原因か、直ぐに椅子に落ちるように腰掛ける。
「まっ、今まで使ってなかった筋肉を一気に緊張させたから最初はこんなもんかな?」
「つまり、紅莉が針を打てば、はやての足はもっと早く治るってことか?」
「間違いなくな」
ヴィータが震える声で尋ねてくるのに頷いて答える。この程度の麻痺ならば俺や兄さんよりも軽い。
使われなくなって長いから筋トレも必要だから歩けるようになるのは先だろうが動かすだけならば問題なくできるようになるだろう。
「こ、紅莉君……感動の場面で悪いけど……は、早くぬいて~」
「も、もう大丈夫だから~」
「あと、一時間はそのままやってろ。まぁ、お前等が無理したら問答無用でこれからも打ち続けるがな」
今回のダメージを抜くのに恐らくは3日はかかるだろうから、これから3日間は地獄だろうけど。痛みについてはわざと出るようにしているからね!
「こ、紅莉君は?」
「そ、そうだよ。紅莉だってかなり無茶を……」
俺も巻き込もうとするなのフェイだが、考えが甘い。
「打つのは基本的に自分だぞ?自分相手に痛くするわけあるか。水樹さんにしてもあまり得意じゃないって言っていたから、お願いしても無駄だろうし」
俺の言葉に、がっくりとうなだれる二人。残念だが気絶できるほどの痛みでもないからな。たっぷりと生き地獄を味わってくれ。
「さ、紅莉君。次は私達の番よ」
いつの間にか現れていたリンディさん。おい、仕事しろ。てか、俺の能力の説明はいいのか?
てか、ザッフィーをもふらせてくれぇ。
†久遠放送局†
久遠「おい、また久遠がでてないよ!」
はやて「しゃあないやろ。まだ当分は出番あらへん感じやな」
久遠「黙れ2Pキャラ!」
はやて「ちょっ!?私が、1Pでもええやろ!?」
久遠「レンを元に作られた存在がそんなわけあるか!」
はやて「公式になんも乗ってないのに、そんな設定出すな!」
久遠「くぅん……久遠の出番はいつ?」
はやて「急に可愛いなったな。作者の話じゃ次は覚悟編で、その次あたりやない?知らんけど」
久遠「待っていてくれる読者がいるのに……」
はやて「久遠は何故か人気が何処でも高いからなぁ……」
久遠「だって久遠だもん。狐っ娘最強だよ!」
はやて「いや、それはちゃうんじゃ……」
久遠「それじゃ、次回もよろしく!」