魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第52話

「あけまして」

 

『おめでとうございます』

 

 残滓を片付け、家に戻った後、一眠りして目覚めると思ったよりは寝ていなかったようで午前9時を示していた。帰ったのは5時ごろだったから4時間は寝れた計算だ。

 

 てか、こんな時間に起きるのも珍しいな俺は。

 

「それで、紅莉たちは何時ごろ帰ってきたんだ?」

 

 御節を食べつつ、とーさんが尋ねてくる。

 

「5時ごろかな?日の出を見ながら帰ってきたし」

 

「せやったら紅莉やなのはちゃん、フェイトちゃんは初日の出を見たっちゅーわけや」

 

「そいえば、そうだ」

 

「ね、ねみゅい……」

 

「な、なのは。ほら、こぼしているよ」

 

 隣ではなのはが船をこぎながら御節を食っている。そんななのはを甲斐甲斐しく世話しているフェイトをみると、こいつらの関係がたまに分からなくなる。

 

「そういえば、紅莉の魔法については見せてもらったけど、なのはも紅莉と同じなのか?」

 

「いや、父さん。なのはが刀振り回しているなら俺達の鍛錬に混ざるんじゃないか?」

 

 ああ、そういや、魔法についてはある程度説明したけど、人によって違うとも言ってなかったなぁ。

 

 てか、普段のなのはを見て、刀を振り回しているのが想像できるわけがないから兄さんの言うことはもっともだ。

 

「う~ん、エア、何か映像あったっけ?」

 

《とっておきがありますよ》

 

 そういって、エアが映し出したのはなのはがジュエルシードを封印しようとしている場面であった。

 

『リリカル・マジカル・ジュエルシード、封印!』

 

「にゃぁぁぁぁぁっ!?」

 

「おお、これは、魔法少女らしい姿じゃないか」

 

「確かに。紅莉の場合は普段と違うの?って疑問があるけど、これはかわいいわね」

 

 映像を見て目が覚めたのかなのはが真っ赤になって隠そうとするも、エアは全員に見やすいように更にディスプレイの大きさを広げた。

 

 そして、それをみたとーさんと桃かーさんはなのはの姿をみてほっこりしている。

 

 言葉こそ出さないが、美由希や他のメンバーもそういった姿を見て微笑ましいのだろう笑顔が出ている。

 

「だ、大丈夫だよ。なのは、ほら皆、可愛いって言ってくれているし」

 

「はずかしいけどな。それに、バリアジャケットのデザインの元は制服だし」

 

「にゃぁぁぁっ!?」

 

 フェイトがフォローを入れるが、俺はあえてつっつく。それを聞いたなのはは頭を抱えてぶんぶんとふり、現実を否定しようと必死だ。

 

「でも、フェイトちゃんの格好もその……過激なんだね」

 

「ひぅ」

 

 フィアッセさんが流れ続ける映像の中で、フェイトの姿が現れ、それを見てそっと感想を洩らす。

 

 まぁ、過激というよりは装甲が薄いのだけど、見た目は確かにあれだしねぇ。

 

「紅莉は普段の鍛錬するときのコートが少し変わっている程度だが……」

 

「当たり前だろ。結局は戦いのための格好だから、一番動きやすい格好になるだけだよ」

 

 黒豆をつまみながら質問に答える。うん、美味い。晶また腕上げたなぁ。

 

「まあ、認めたのだから口うるさくは言わないが、それでも朝帰りなどは控えるように」

 

「「はーい」」

 

 そこは親の心配性と思ってくれとつけたしたとーさんの言葉に返事を返しながら正月を過ごすことにしよう。

 

 

 

 

 

「着物ですか?」

 

 そろそろ、お参りに行こうという話になったとき、突如桃かーさんがみんなの晴れ着が見たいとダダをこねだした。

 

 元々、文化の違うフェイトはそれがわからないのか首を捻ってばかりである。

 

「そ、日本の伝統の服よ」

 

 にっこりと笑いながら桃かーさんが説明をする。

 

「それはかまわないけど……着付けは?」

 

「私は出来るわよ?」

 

「私も自分で着るくらいならできるよー」

 

 なぜ、フィアッセさんが出来る……いや、日本びいきだし、ティオレさんもそうだから案外不思議ではないこともないが。

 

「てか、フェイトも着るか?」

 

「え、私も?」

 

「ああ。なのはだけじゃあれだし、着てみたいならなんとかするが?」

 

「うん、着てみたい、かな」

 

 ちょっと迷ったが、頷くフェイトに桃かーさんはばつが悪そうな表情になる。

 

「えっと、なのはの着物はあるのだけど、フェイトちゃんのは……」

 

「ああ、そこは安心していいよ。てか、誰の着物があって誰の着物がないの?」

 

「えっと、うちに住んでいる子達のはあるわ」

 

「それじゃ、無いのは……フェイト、水樹さん、美沙斗さんぐらい?」

 

「私も?」

 

「私もか?」

 

 桃かーさんに確認して、無い人の分を上げると、蚊帳の外にいた二人がやや驚いた声を上げる。

 

「ん?着ないの?」

 

「いや、別に着れなくはないけど」

 

「私は桃子さんを手伝おうと思っていたのだけど」

 

 ああ、美沙斗さんは確かにそういった感じで、日本美人ってところがあるから着付けもできそうだ。

 

「んじゃ、桃かーさんも序に着れば?」

 

「えー、いいわよぉ」

 

「着ましょう。ってなわけで、ちょっと実家に戻ってくる」

 

「実家って、橙璃さんのご自宅よね?」

 

「そだよー」

 

 あ、ついでに母さんが言っていた白凰の真打も取りにいってこよ……

 

「いや、色々見せたいものもあるし、着物もってうちに行こうか」

 

「イクイク!姉さんの家って見たこと無くて、行って見たいと思っていたんだ!」

 

 一番食いついたのが、水樹さんであったが、シスコンの気があるししょうがないか。

 

 そうして、俺達は戸締りなどを行って、緋凰家へと向かった。

 

「えっと、まずはフェイトが着れそうなのだろ?」

 

 家に辿り着き、結界を解除して中に入り、箪笥をあさりフェイトが着れそうなものをピックアップしていく。

 

「なんで、こんなにあるの?」

 

「母さんが何をとち狂ったのか、いずれ俺に着せようとして買いこんでいたんだよ」

 

 それを知ったときに止めるのをどれだけ苦労したか。

 

「好きな色を選んでくれよー」

 

 そういって、別の箪笥をあさり始める。今度は水樹さんたちが着れそうなものだが、これは母さん用の奴なら問題ないだろ。裾が長くてもつめれば問題ないし。

 

「ねえ、紅莉君」

 

「どうしたー」

 

 色々と出していたら、なのはが話しかけてきた。

 

「なんでこんなに沢山あるの?」

 

「覚えてないか?母さんは自宅にいたときは基本的に着物だぞ?」

 

 鍛錬の時だって、俺の実力がないのが分かっているからか、腕の裾をまくるだけでお終いだった。

 

「そういえば、うっすらとそんな記憶があるような、ないような」

 

「まぁ、お前が4つの時に逝ってしまったからなぁ」

 

「あ、ごめん……」

 

「気にするなって」

 

 逝ってしまったという言葉を聴いて暗くなるなのはの頭を撫でながら、色々と目移りしているフェイトに視線を向ける。

 

「どれがいいか、決まったか?」

 

「えっと、本当にいいの?」

 

「かまわないよ。てか、着物は着てこそだ。飾っとくなんてもったいない」

 

「それじゃ、これ」

 

 控えめに選んだのは黒の着物だった。俺やなのははやっぱりなという表情になってしまうが、仕方ないだろう。

 

「桃かーさんたちも決まった?」

 

「いいのこれ?かなり高いんだけど」

 

「いいのいいの。母さんも着てもらえるのなら喜ぶって」

 

 中には京友禅やら結城紬やらとやたらと高いものもあるが、そこは気にしちゃいけない。

 

「それじゃ、俺はなのはとフェイトの着付けをしてやるか」

 

「出来るの!?」

 

「俺も一時期は着ていたしな」

 

 母さんが意味無く教えてくれたけど、まぁ、覚えていて損はなかったし。

 

 

 

 

 

 女性陣全員が、着物へと変化を遂げ、華やかな空間となる。

 

「てか、水樹さんと美沙斗さんが洒落にならん」

 

「二人とも、日本美人だからなぁ」

 

 俺の感想にとーさんが返してくる。別に、フィアッセさんや桃かーさんが似合ってないわけではない。

 

 ただ、二人の着こなしが、古きよき日本美があるように感じられ、凄まじいのだ。

 

「てか、本当に胸部以外は母さんそっくりだ」

 

 そういって、アルバムにあった一枚の写真を取り出す。

 

「一言多いよ!それに、緋凰や御神、不破は昔からこんなもんだよ!」

 

「まて、水樹。確かに、それは事実だがお前と一緒にしないで欲しいんだけど」

 

「うわぁ、紅莉君のお母さんってこんなに綺麗だったんだ。小さい頃だからあまり覚えてなかった」

 

「うん、凄い美人だね」

 

 コントを始める二人をスルーしてなのはとフェイトは俺が取り出した写真を食い入るように見ている。

 

「あれ?この隣にいるのってもしかして紅莉君?」

 

「ああ」

 

「女の子?」

 

「ほっといて頂戴」

 

 たまたま取り出した写真は俺が紬を着ている写真だった。当時は4歳とかそんなもので、あまり男女の区別がつかないような歳でもあったせいで、それを着れば女の子に見えてしまっても仕方ないだろう。

 

「紅莉!」

 

「絶対に着ないぞ」

 

「最後まで言わせてくれたっていいじゃない……」

 

 拗ねる桃かーさんだが、そんなもん、興奮度と目を見れば何が言いたいのか一発で分かるわ。

 

「そんじゃまぁ、ちょっと剣士組は俺についてきてーいいもの見せてあげる」

 

 そういって、歩き出すとぞろぞろと剣士組が後ろについてくる。なのはやフェイトもついてきたがっていたが、諦めてもらい、純粋な剣士組のみついてきた。

 

「よっと」

 

「隠し扉」

 

「なんて、ベタな」

 

 とある一室の畳を持ち上げると現れる扉に数人が呆れたような声を洩らす。

 

「いよっと」

 

 鍵を開けて、重い音共に扉が開くと地下へと続く階段が現れた。

 

「こっちだよ」

 

 そのまま、階段を下っていくと小さな部屋へと辿り着く。小さいとはいっても8畳前後はあるけど。

 

「うわぁ」

 

 美由希が目を輝かせるのも仕方ないか。辿り着いた部屋には刀刀刀と所狭しに飾られている。

 

「これは、どうしたの?」

 

「生前、母さんが趣味で集めた刀みたい」

 

 美沙斗さんが尋ねてきたので答える。生前、突如母さんが鞘袋を抱えて帰ってきたと思ったら刀であったなんてことはざらに起こりえたことだ。

 

「見せたいものってはこれか?」

 

「そ。剣士としては、こういった刀を見るのも悪くないでしょ?って、美由希!取り付かれたように抜こうとするな!中には洒落にならない妖刀やマジで取り付こうとするやつもあるんだから!」

 

「え?あ、ごめ!」

 

 兄さんの説明に答えていると、目の端に映った美由希に注意する。てか、マジで危ない趣味を持ったやつだ。

 

「って、これ御神にあった刀じゃないか?」

 

「ですね」

 

「まぁ、姉さんだし、どっかしら出回っていたのを回収したか、出て行くときに腹いせでちょっぱったかのどっちかじゃない?」

 

 とーさんたちも思い思いに刀を見ているのをよしとして、俺は目的のものを探す。

 

 ふと、視線をさ迷わせていると一際存在感がある刀が目に入る。

 

「あ、姉さんの刀」

 

 俺の視線を追ったのか、水樹さんもその刀を目に入れて声を出す。ただ、俺はその刀のしたに飾られた刀が目に入っているが。

 

「見つけた」

 

 近づいていき、それを手に取る。

 

 それは、今までに感じたことがないくらいに手に吸い付くようだった。

 

「綺麗」

 

 すっと刀を引き抜くと、美由希が呆けたような声で感想を洩らす。

 

「それって、紅莉の刀と似てない?」

 

「うん。これだ……俺の白凰の真打だ」

 

 持って、見て分かった。今まで持っていたのが影打というのも分かる存在感だ。

 

「エア、影打を」

 

 俺の指示に直ぐにエアが影打を取り出し、鞘から抜き左手で持つ。

 

「ふっ!」

 

「なにを!」

 

 左手で持った影打目掛けて真打を振り下ろす。何の抵抗も音も無く通り過ぎた。

 

「いやはや、ここまでとはね」

 

 左手を動かした瞬間、中ほどから刀身が滑り落ちる。

 

「今まで俺を支えてくれてありがとう。お前の意思は真打が引き継いだ。お前はゆっくり休んでくれ」

 

 そういって、鞘に戻した影打を真打が飾られていた場所に祭る。

 

 そして、飾られていた母さんが使っていた刀も手に持ち振り返る。

 

「さ、行こう。いつまでも待たせるわけには行かないからね」

 

「ねえ、紅莉」

 

「どうした?」

 

「ここにある刀……何本か持っていっていい?」

 

「ダメ」

 

 戻ろうとしたときに美由希からの提案を却下して戻った。

 

 

 

 

 

「お、アリサたちがいたな」

 

「え、本当?」

 

「ああ。リンディさんたちもいるな」

 

「あ、見えてきた……何で分かるの?」

 

 居間に戻った後、直ぐに神社へと向かうために家を出た。その後、神社へと続く階段前にアリサたちを発見した。

 

「あけおめ」

 

「最初の挨拶くらいしっかりやりなさいよ。あけましておめでとう」

 

 文句をいいつつも、しっかり挨拶してくるアリサ。

 

「おろ?すずかは?」

 

「すずかだったら」

 

「あけましておめでとう!」

 

 後ろから声をかけられ、振り向くとそこにはすずかがいた。

 

「紅莉君?」

 

「ああ、うん」

 

 いや、驚いた。元々、忍さん似の将来美人になるだろうとは思っていたけど、和服を着ただけで、ここまで綺麗になるとは思わんかった。

 

「似合っているぞ」

 

「え、本当?嬉しいな」

 

 微笑を浮かべ喜ぶすずか。たまにはっちゃけるけど、こんな風なら大歓迎だ。

 

「はいはい、リア充はいいからとっとと行くわよ」

 

 アリサにせかされ階段を上っていく。普段はそこまで大変ではないだろうが、着物なんぞ着ているせいで各々結構大変そうだ。

 

「紅莉~」

 

「久遠!」

 

 飛び込んできた久遠を抱き寄せる。久遠の周りには若い女性達が群がっていたのを見ると、恐らくはコスプレした少女が手伝っているとでも思ったのかもみくちゃにされたんだろうな。

 

 未だに人見知りは解消されないし、あそこまで囲まれちゃさすがに怖いのもあったんだろう。久遠の頭を撫でてあげながら落ち着かせる。

 

「あ、皆さんいらしたんですね」

 

「那美さん、あけましておめでとう」

 

 俺達に気づいた那美さんがやって来た。兄さんは直ぐに挨拶したのを皮切りに俺達も続いて挨拶していく。

 

「はい、あけましておめでとうございます」

 

 にっこりと微笑んで挨拶を返してくれる那美さん。

 

「~♪」

 

「凄いご機嫌だな」

 

「紅莉と久々」

 

 久遠が抱きつきながらご機嫌なのはどうやら、ここ最近まで忙しくてゆっくり会っている暇がなかったせいで寂しかったようだ。

 

「ごめんなぁ、ちょっと忙しくてさ」

 

「大丈夫、これから遊ぶもん」

 

「そうだな」

 

 なおもご機嫌な理由は俺もやっとこさ、落ち着いたのでこれから遊べると分かっているからだった。

 

「こら、久遠。紅莉君に迷惑でしょ離れなさい」

 

「べー」

 

 小さく舌を出して、注意する那美さんに反抗的な態度を取る久遠。

 

「ああ、別に迷惑じゃないですし、癒しになりますから」

 

「紅莉君がそういうなら……」

 

 しょうがないと言った表情であきれ果てる那美さん。

 

「いつまでもここにいれないので、失礼しますね。久遠も手伝って」

 

「またね、紅莉」

 

「おう」

 

 手を振ってくる久遠に手を振りかえすと久遠と那美さんはそのまま消えていった。

 

「手伝ったほうがいいのだろうか?」

 

「手伝いたいけど、何をどうすればいいのかわからないからなぁ」

 

 手伝うにも色々と準備が必要と分かった俺達はそのまま邪魔にならないように帰っていった。

 

 

 

 

 

「【ね】年賀はがきが届かなくてもいいんだもん」

 

「てりゃ!」

 

「甘い!」

 

「取られた!」

 

「やった」

 

 大人組みが宴会を始める中、俺達はカルタをやっていた。ただ、さっきから色々と鬱ネタの内容なのが気になるが。

 

「残りは一枚だから、終わりか」

 

 正直、残り一枚を取り合うなんていうのは意味がないので、自分がとった数を確認する。

 

「5枚か」

 

「あんたにしては遅いわね。私は10枚」

 

「うぅ……3枚」

 

「フェイトちゃんが圧倒的だね」

 

「そ、そうかな」

 

 まぁ、三人で18枚で残りは全てフェイトが取っているしな。

 

「いや、本気でやってもいいけど、お前等一枚も取れないけどいいのか?」

 

「どんだけよ」

 

「ためしにやってみるか」

 

 そういって、再びすべてのカードを床にランダムに並べていき、再び読み手をすずかにお願いした後、構える。既にこの時点でどこに何があるかの把握は済んでいる。

 

「【あ】」

 

「ほい」

 

「え?」

 

「うそ」

 

「はやっ」

 

 すずかの口が開いた瞬間に札を取る。ちなみに一種の読唇術を使っているので声が出る前に既に動いていた。

 

「分かったか?」

 

「凄く」

 

 俺の問いにアリサが重々しく頷いた。遊びで必死になるのはいいけど、楽しめなくするのはご法度だからな。

 

「さてと、この後はどうする?すずかもカルタやるか?」

 

 百人一首にしてもいいが、それだと確実にフェイトが分からないだろうから却下だけど。

 

 その後は、桃○を20年プレイや、人○ゲームで人を蹴落としたり、仕事が終わった久遠と合流など楽しく過ごしたのであった。

 

 

 

 

 

 

「しっ!」

 

 暗闇に紛れながら刀を振るう。無心ではなく、我武者羅でもなく、一太刀一太刀ゆっくりと振るう。

 

 無心に振るう期間は既に終わりだ。これからは、より確実に敵を倒すために質を上げていかなくてはいけない。

 

 特に真打を手にして分かったが、これはまだきちんと俺は使いこなせていない。

 

 名刀や業物と呼ばれるようなこいつは主を求めていたのだと思う。俺がそれに選ばれたことは誇らしいが、使いこなす前に、こいつに使わせてもらっている状態は早く脱さなければいけない。

 

 妖刀のように主にも切りかかるようなものではないと思うが、こいつ自身が、俺が担い手に相応しくないと思えばそこで終わりだ。だからこそ、質が重要になる。

 

 一振り一振りの間が伸び、汗が吹き出る。イメージと体の動きの差が激しいせいで体力がどんどんと削られる。

 

 2時間ぐらい振っていたら、後ろから足音が聞こえ、聞こえたほうへとバックステップで一気に距離を詰め振り向きながら刀を振ってしまった。

 

「「ひっ」」

 

 目と鼻の先に切っ先が向けられ、小さく悲鳴を上げる二人。

 

「ごめ」

 

「ううん、私達が悪いから」

 

「そ、そうだよ。紅莉の邪魔をしたのは私たちなんだから謝らないで」

 

 いや、そういうことじゃないんだけどな。けど、二人が近づいてくるのにも気づかないなんてな。集中していたといえば聞こえはいいけど、まだまだ未熟だと思い知る。

 

「どうしたんだ、こんなところに」

 

 コートの裾で汗を拭きながら尋ねる。うわ、意識したらインナーが酷く汗を吸っていて気持ち悪い。

 

「えっと、これから私達って管理局入るでしょ?」

 

「そうだな」

 

「それでね、何か紅莉君に教えてもらえないかなって」

 

「ふうむ」

 

 前に鍛えて欲しいといわれたことはあったけど、その時はどうすればいいか分からずに心構えだけ教えて終わってしまったが、今回はどうしようか。

 

 管理局に入るに当たって、二人とも別々の職場を希望だ。

 

 なのはは航空武装隊とか言う場所らしいし、フェイトはクロノと同様に執務官希望だ。

 

 そして、俺はクロードの紹介で地上部隊とか言うまた別の場所の所属となる。

 

 きちんとした所属は仮配属など諸々が終わった後の話しとなるが、兎に角として別々の場所の所属となる。

 

 そうすると、闇の書事件の時の様に手が届く場所に常にいられるわけではないので、いざというときに助けられない。

 

 それならば、二人を鍛えるというのは別の意味でも必要となるだろうし……

 

「とりあえず、エア、ペラ剣だしてくれ」

 

 エアにしまってある刀身がペラペラの剣と取り出してフェイトに渡す。

 

「とりあえず、それが真っ直ぐ振れるようになれば、攻撃面ではかなり有利になると思うぞ」

 

 手にとって不思議そうにするフェイトに説明する。これは、何かのゲームか漫画にあったのだが、力みというのは案外出てしまうもので、余分な力を抜くことで、速度や鋭さをませるものだ。

 

 ためしにと、なじみのところに発注をかけて作ったものだが、案外難しくて、俺や美由希はおろか、兄さんですらかなり苦戦した。

 

 そのおかげで、前の何倍も鋭く剣を振れるようになったけど。

 

「なのはは……リニスと延々と模擬戦かなぁ?」

 

「私だけ適当!?」

 

「つっても、近接型の俺に砲撃型のことなんてわかるわけないだろ。それならいっそのこと、戦闘経験を溜めるほうが戦術の幅が増えると思うぞ?あと、リニスはかなり強いからいい訓練になるだろうし」

 

 因みに、本人曰くなのはやフェイトくらいならば、圧倒できるとか言っていたし。嘘か本当かはやれば分かるだろ。

 

「あと、なのはの場合はエクセリオンモードだったか?あれの身体強化の術式を見直しとけよ?あれ、体に負担かけすぎ。やるなとは言わんが、体壊したら意味ないしな」

 

 これは、経験者からの注意としていっておく。なのはも俺や兄さんがぶっ壊れたことは知っているだろうし、これで多少の無茶がなくなるといいのだけどな。

 

「難しいよ」

 

「リニスさん強っ」

 

 フェイトは早速素振りを始めたが、へろへろとあっちへこっちへとぶれる剣に苦戦し、なのはもリニスと戦闘を始めたのはいいけど、いいようにあしらわれてしまっている。

 

 まっ、二人とも才能の固まりだしそのうちクリアするだろ。

 

 二人をの姿を端に納めつつ、今は唯、己の強化を図るのであった。




†久遠放送局†

久遠「漸く出番かと思ったらちょっとだけだよ!」

すずか「イエイ。紅莉君とのフラグを進めたよ」

久遠「はいはい。今回はお知らせだよ」

すずか「A'sも終わったし、作者的にはコラボがしたいそうです」

久遠「なければないで、空白期を進めるだけだけどね!」

すずか「では、次回もお楽しみに」

久遠「感想か、メッセージで送ってください。内容などもなんでもいいのでまっています」
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