今回は久遠がメインのため、普通に喋っているように見えて、基本的には狐モードのため、周りには基本的に鳴いているようにしか聞こえません。
「紅莉、おはよー」
朝、紅莉の部屋にやってきて挨拶をしたんだけど、返事が無かった。あれ?いつもなら、紅莉が窓までやってきて迎えてくれるはずなんだけどな。
もしかしたら、まだ寝ているのかと思って、ベッドに飛び移り、前足でぺしぺしと叩くけど紅莉は寝てなかった。あれ?
「あら、久遠いらっしゃい」
後ろから声が聞こえたので振り向いてみると、なにやらやつれているリニスがいた。
「リニス、紅莉は?」
「学校ですよ」
学校ってあれだよね、那美とかも行っている勉強するところだよね。
「あれ?」
「寝坊でもしましたか?朝に来てなかったから、紅莉も心配してましたよ」
えへへ、寒いから毛布に包まってついつい寝ちゃった。
「リニスは何をやっていたの?」
「私はエアから提出された宿題をやっていたんですよ」
なにやら疲れてそういうリニス。疲れるならやらなければいいのに。
「まだ、朝の10時ですからね。紅莉が帰ってくるまで最低でも6時間くらいはかかりますよ」
「なんだってーっ!?」
そ、そんなぁ……先月まで忙しくて遊んでくれなかったから今月は一杯遊ぼうって約束したのに……
「寒くて、布団が恋しいのはわかりますが、寝坊した貴女が悪いのですよ」
うぅ…リニスの意地悪!
「そんな恨みがましそうな目で見られても困るのですが……嫌なら、夜のうちから来ればよかったじゃないですか」
だって、那美がたまには一緒にいようと言ってくれたんだもん。紅莉も大事だけど那美だって大事なんだもん。
「ねぇ、リニス」
「どうしました?」
ふと、思いついたことがあったのでリニスに声をかける。リニスも休憩なのかわりとノンビリとしているなぁ。
「学校ってどんなところ?」
「そうですねぇ。私も知識でしか知らないですが……」
那美や那美が住んでいるところの殆どの人は学校というところに行っているみたいだけど、実際なんなのかは久遠は知らない。
ただ、3ヶ月に1度くらいのペースで那美を含めて全員が陰鬱な雰囲気になるのだけは知っている。
「知識を学ぶ場ですかね?」
「でも、紅莉って頭いいよね?」
久遠に沢山言葉を教えてくれたし、知らないということもいろいろと教えてくれたのが紅莉だ。
「う~ん、説明が難しいのですが……」
久遠の一言で困り顔のリニス。知識を学ぶっていうなら、紅莉は行く必要はないと思うんだけどなぁ。
「ねえ、リニス」
「なんですか?大体想像できますが」
「学校に行ってみたい」
「やっぱり」
はぁと溜め息をつくリニス。どうしたんだろ?溜め息なんてついていると幸せが逃げちゃうよ。
「まぁ、紅莉のことです、きても拒まないでしょう。では、行ってらっしゃい」
「リニスも行かないの?」
「先ほども言いましたが、エアからの宿題が終わらないのです」
「まぁ、いいや、行ってきまーす」
こうして、窓から飛び出して、紅莉のいる学校を目指した。
「えっぐ、うっぐ」
「ああ、ほら、泣かないでください」
「だって、だってぇ……」
10分後、グスグスと泣いてしまっている久遠をリニスはやれやれといった表情で慰めていた。
理由は単純で、久遠は学校の場所を知らない。故に、勇ましく飛び出しても、辿り着けるわけが無かったのである。
「変なおじさんに追いかけ回された」
と必死な表情で泣きじゃくりながら、命からがら逃げ帰ったのである。因みに、そのおじさんは後日、紅莉に粛清を受ける結果となる。
「ああ、分かりましたよ。根をつめてもいいこともありませんから、送りますよ」
「ほんと?」
「ええ」
未だに泣き顔の久遠に出来る限りの優しい笑みを見せながら頷くリニスにようやく久遠は泣き止んだ。
「それじゃ、行きますよ」
「はーい」
猫の姿になったリニスは窓から出るのを久遠も後を追う。器用に前足であけた窓を閉めたのを確認した後、リニスは屋根を伝い、塀へと飛び降り歩いていくのを久遠も必死になって追いかけたのであった。
「ここが、学校ですよ」
「へー。おっきな建物だね」
リニスに案内してもらった学校という場所はかなり大きかった。那美が住んでいる場所もおっきいと思ったけど、それ以上に広いや。
「さて、私は帰りますが、くれぐれも騒ぎを起こさないように」
「え?リニス帰っちゃうの?」
「ええ。貴女のおかげで頭もすっきりしましたし、宿題も解けそうな気がしますしね」
「くぅん……」
「そんな不安そうな目で見てもダメです。貴女も少しは大人になってください」
「久遠、大人になれるもん」
紅莉が言う、大人バージョンだったら、那美以上に綺麗だと思うよ。
「姿格好でなく、精神も大人になってくださいと言っているんです。まぁ、貴女の精神自体は色々と複雑な構成なのは分かっていますが」
「ぶぅ」
「拗ねても知りません。では」
そういうと、リニスは行ってしまった。薄情者ー。
「えっと、紅莉はどこにいるんだろ?」
目の前には紅莉が鍛錬に適しているような広い平地があるけど……そうか!紅莉は学校に鍛錬に来てるんだ。
知識を学ぶっていうのは、なのは達だけで、紅莉は一人鍛錬しているんだね!
あれ?でも、紅莉の姿がないよ?
「あ、狐ー!」
「!?」
女の子の声が聞こえて思わずびっくり。よくよく見てみれば、なんか、久遠を指差している子がいた。人を指すなんて失礼だよ!とりあえず、いいことがなさそうだから、その場を後にした。
「なんか、学校全体が騒がしくないか?」
「一体どうしたんだろ?」
休み時間、トイレから帰ってくる間に感じたことをなのは達に尋ねるけど、どうやら理由は知らなかったみたいだ。
「なんかこう、浮き足立っているような?」
「そうね、芸能人でも来たのかしら?」
芸能人ねぇ。フィアッセさん?いやいや、あの人はまたコンクールのために旅立って行ったしなぁ。
それじゃ、アリサの両親?いや、有名人には違いないけど、俺らの年代で分かるような人物でもないか。
それじゃ、裏をかいてノエルさん辺りがやってきたか?メイドさんがきたら今の時代の子供でも騒ぐだろうし……ないか。
「なんでも、狐を見かけたやつがいるらしいぞ」
色々と妄想していたら、クロードがことの真相を伝えてきた。
「おい、そこはまずはボケろ。それができないなら、慌てたように廊下から駆け込んで大声で言ってこい。それでも芸人かドアホ」
「そうね、生まれなおしてきなさい」
「つまらないの」
「流石に0点かな?」
「ガンバ」
「おぃぃっ!?誰が芸人だよ!バニングスは酷すぎだろ!?あと、フェイトはお願いだから慰めないで!余計につらいから!」
あまりのことに、流石に大声で反論してくるクロード。その反応がある限りは確実に芸人だな。
「てか、狐とな?」
「行き成り真面目になるなよ。ああ、何でも首に鈴を……って、紅莉!?」
クロードの台詞の途中で立ち上がり一気に廊下に駆け出した。後ろのほうで、クロードや他のメンバーの声が聞こえるが、それどころではなかった。
「おいでー、怖くないよー」
「ひっ」
さっきから、どこに行っても誰かが追ってくる。久遠、何もしてないのに……
「あ、逃げた!」
「お願いだから触らせてー!」
うぅ、学校ってこんなに怖いところだったの?紅莉は何でこんなところにいられるんだろ……
「久遠!」
「紅莉!」
走って逃げて行っていたら、突如上から紅莉の声が聞こえてきたので見上げてみれば、紅莉が窓から飛び出してきていた。
「紅莉ー!」
「ああ、よしよし。どうして、学校に?」
久遠が飛びつくと、紅莉が優しく抱きとめてくれて頭を撫でてくれる。
「紅莉に会いにきた」
「そうかそうか。てか、朝はどうしたんだ?」
「寝坊しちゃった」
てへ、と笑うと紅莉はまた優しく撫でてくれた。
「緋凰君!危ないでしょう!」
「あ、すいません。けど、捕り物のように久遠を追うのもどうかと」
そうだった、こんな危険な場所に紅莉やなのはがいるんだった!早く逃げないと!
「そういえば、その子は緋凰君のペット?」
「いえ、色々とややこしい事情があるんですが……まぁ、そういうもんだと思ってください」
紅莉が頭に誘導してくれたので頭にのっかる。今日は口うるさいリニスもいないし、久遠の独壇場だ!
「そう、ペットが紛れ込むなんて」
「まぁ、大人しいですし、言うことも聞くので……じゃあ」
「ええ。って、待ちなさい!まさか、それで授業を受ける気なの!?」
「?」
「?」
「いや、二人そろって首を傾げないで頂戴……」
なんか、色々といわれているけど、紅莉が得意の口撃で丸め込んじゃった。
「狐って聞いてもしかして、って思ったらやっぱりくーちゃんだったんだ」
「そうだよ」
紅莉が進んだ先にはなのはやフェイトがいる場所だった。なんか、みんなこっちを見ているけど、どうしたんだろ?
「えっと、紅莉は重くないの?」
「リニスや久遠がいつも乗ってくるんでな、なれた」
フェイト失礼だよ!久遠、太ってないよ!
「それにしても、どうしてきたの?今までこんなことなかったよね?」
「朝の鍛錬に寝坊して来れなかったからか、寂しくて会いにきてくれたんだってさ」
「そっかー」
「なのは、そこは納得するんじゃない」
アリサは久遠が来たことが不満なのかな?もう、撫でさせてあげないよ。
「だってさ」
「いや、違うのよ?ただ、常識を持って欲しいだけで」
紅莉が、久遠の気持ちを代弁してくれたら、アリサが両手を上げ下げしながら言い訳してくる。
「はいはい。皆、座って。って、紅莉君、その狐は?」
「ぬいぐるみです」
「そっか……って、そんなわけないでしょ」
「気にしないでください」
「気にするわよ。用務員室か職員室で預かるから」
「絶対に嫌!」
「ああ、人見知りなんで、勘弁を。授業の邪魔はしませんので」
「はぁ、今回だけよ」
「助かります」
そうして、皆椅子に座りだしたけど、ちらちらと皆こっちを見てくる。なんだろ?
そのあと、紅莉に注意した人が、おっきな板にいろいろ書いているけど、よくわかんないよ。
「紅莉」
「眠いか?」
「うん」
まるで、眠れー眠れーって言っているような気がしてきて、うとうとしてきたから紅莉に声をかけたら、膝に乗せてくれた。ちょっと座りは悪いけど、体を丸める。
「次はご飯だからそれまで、お休み」
「はーい」
紅莉の言葉に従ってゆっくりと目を閉じた。
「ほれ、久遠」
「あーん」
紅莉が箸でつまんだご飯を美味しく頂く。なんでも、今日は珍しく桃子が作ってくれたようで、晶やレンのご飯とはまた違った美味しさがある。
「しっかし、久遠は紅莉にべったり過ぎない?」
「いつものことだろうに」
なんか、アリサが呆れているけどどうしたの?ご飯おいしくないの?
「リニスも、紅莉君いないとわりとそっけないんだよね」
「まぁ、猫だし?」
「あんなリニス、見たくなかった」
話が久遠のことから、リニスのことに変わったとたんにフェイトが沈みだした。
リニスって紅莉以上に意地悪だから、昔の知り合いって言っていたし苛められたのかな?
「俺としちゃ、昔のリニスを知らないからなんとも言えん」
「きっと、紅莉菌に感染したに違いないわ」
「人を病原菌みたくいいおって、失礼な」
「でも、感染例でいえば、なのはなんて特にそうじゃない。変なところでボケに走ったりするし」
「失礼な」
「それって、どっちの意味!?」
なんか、なのはが立ち上がって文句を言っているけど、紅莉に関わったらいい意味で変わるよね?
「そうか?」
「それよりも、何で紅莉は久遠の言葉が分かるんだ?」
えっと、なんだっけ?え、エゴ?違う……餌?違う違う、あんなの食べたくない……えっと、エガ?そう、エガだ。エガがなんか不思議そうに紅莉に尋ねる。
「分かるだろ?」
「無理だ」
「そうか?」
「そうだ」
「ふむ」
そういえば、那美も分からないのに、紅莉とリニスは久遠の元の姿のときでも話が通じるのは何でだろ?かなり前からそうだったし、今更な気がするけど。
「前にごたごたがあったときは……もう、分かっていたな。てか、分からなかったのは1週間程度か?あれ?なんで、分かるんだ?」
紅莉も相変わらず、理由が分からないのか首を傾げる。そんなことよりも、ご飯頂戴。
「ほいほい」
「わーい」
から揚げだ。美味しい。
「ごちそうさん」
「紅莉君、半分くらいくーちゃんにあげちゃったけど、足りるの?」
「帰ったら何かしらあるだろ。なかったら翠屋いって食うから問題ないよ」
そうだった、紅莉のご飯を奪っちゃった!あれ?でも、紅莉っていつも食べ物もってなかったっけ?
「エアを家に残したまんまだから、おやつは抜きな」
そっかー、エアが無いからしょうがないね。そのあと、なんだか知らないけど、なのはとフェイト、すずかが紅莉にご飯を上げていた。
「へいわねー」
「くうん」
とりあえず、アリサに同意しといた。
「くわぁ。寝るか」
「は~い」
「は……い……」
夜の鍛錬も終わり、今日は紅莉と一緒にいると決めたので一緒の布団に入ろうとしたのだけど、もうリニスは半分以上寝ているね。
「エア、お前どんな宿題をやらせたんだ」
《デバイスに魔力炉心を持たせるための理論構成を少々》
「分からん」
本当に何を言っているんだろ?今日の学校で聞いた内容より全然わかんないや。
「ああ、ほれ。久遠もおいで」
「はーい」
紅莉がリニスを抱っこして久遠も連れて一緒に入った。えへへ、いつも一緒だよ紅莉。
†久遠放送局†
作者「どうも皆さん。この夏で3kgほどやせてズボンがずり落ちるレティウスです。やるやると言っていた久遠の一日がようやくできました。今回は久遠、学校に行くの巻きです」
久遠「コラ作者!最初の挨拶を取るな!」
作者「あれ?そんなこと言っていいの?」
久遠「ふ、ふん!久遠に勝てるとでも……」
作者「今後も閑話的な感じでちょいちょい入れる予定だったんだが……」
久遠「すいませんでしたー!」
作者「やれやれ。空白期ですが、やりたい内容があったりしますのでStsまでがやや長いかもしれません。また、もう一つの小説もちょいちょいやっていこうと考えています」
久遠「もう一つってガンダム?」
作者「そっちもあるけど、なのはのほうです」
久遠「ああ、あのギャグ」
作者「はい。なので、ちょっと更新が遅れるかもしれませんのでお許しを」
久遠「では、次回もお楽しみに!」