現在はHR7まで上がり、ようやく落ち着いてきました。
「うぅ……」
「ど、ドンマイ!次はきっと大丈夫だよ!」
「ふぁ、ファイト!紅莉ならもっと凄いって私達は知っているから」
地に手をつきガックリと項垂れている俺。後ろからなのは達の励ましが聞こえてくるが、それすら右から左へと通り過ぎる。
「まさか、こんな盲点があろうとは……」
「確かに、紅莉って魔法を使ってはないもんなぁ」
「せやねぇ。武士に魔法って合わんし、何より今までの紅莉君を見ていると必要とは思わんかったしなぁ」
クロノ、クロード、はやてはのんきに俺の評価なぞしているし。
ことの起こりは魔導師試験である。
嘱託魔導師になって数ヶ月。そろそろ、試験期間が終了し俺達はそれぞれの部署に配属されることになったのだが、そこで改めて魔導師試験を受けて、きちんとしたランクを図ろうということになった。
受ける前に考え付くはずだったんだ。嘱託試験の時、俺の合格はかなりぎりぎりだった。使用魔法は、飛行・足場精製・身体強化の3つしか使わないということで魔導師としての能力は限りなく低かった。合格できた理由は筆記が満点で、戦闘を圧勝したからであったのだから。
そして、魔導師試験を受けるということとなり、一種の皆で免許を取りに行こうてきなノリに俺も乗っかり受けたのだが……
結果はAランクにはなれたが、その上は全く持って無理だった。
一つの理由としては、魔法行使の試験があるのだが、俺は魔力弾はおろかシールドすら作れずに終わった。そのために、いくら戦闘技術が高くても意味がなかったという結果に終わってしまった。
別に強さのランクに興味は一切ないのだが、それとこれとは別で、皆合格し、一人不合格というのがなんとも格好悪い。
あの、クロードやシグナム達ですらAAAランクの試験を簡単に突破しているというのに。
「戦闘技術ばかりに目が行ってしまっていたが、魔導師と見れば確かに異質だな」
「異質ってーより、異端じゃない?」
クロノの呟きにエイミィがツッコミを入れてきた。たしかに、ミッド式魔法を使っていながら戦闘方法は剣で斬るで終わりだからなぁ。
「まっ、いっか」
「復活した!?」
「しちゃ悪いか」
「ごめんなさい~」
色々吹っ切って立ち上がったら、なにやらなのはに驚かれたので丁寧に頭を撫でてやる。未だにりんごを完全に潰せないが、それでも多少は潰せるこの握力でなでてやろう。
「痛い痛い痛い!」
「それが、気持ちいいんやろ?」
「うん、ちょっとは……って、違う!紅莉君も引かないでよ!」
いや、もっと小さい頃から確かにお仕置きと称して色々やってきたけど、そのお仕置きを快感に変えるようにしてしまうとは……
「やっちまった。将来がとても不安だ……」
「本当に違うから!紅莉君も本気で後悔しないで!あと、はやてちゃん……後でお話しようか?」
「すいませんでしたー!」
はやてが土下座したことによりオチがつき、お開きとなった。
「いや!」
非常に困った。何が困ったって、普段はあまりわがままを言わない久遠が頑なに態度を崩してくれない。
「いや、いつもじゃないし、暇ができたらくるから」
「いや!紅莉、多分忙しくてこれなくなる!」
普段は聞き分けのいい子なのに、なんで今回に限ってこんなに駄々をこねるかなぁ……
これから、管理局勤めになるから、今まで以上に遊べなくなっちゃうと伝えたら服を掴んで離さなくなってしまった。
「どうしよ?」
「ほどほどの関係でいいのに、紅莉は久遠にだだ甘でしたからね。そのツケがきたのでしょう。頑張ってください」
応援するだけで助けてくれんのかよ……お前、俺の使い魔だろうがなんとかしてくれよ。
「久遠も行く!リニスだけずるい!」
「なっ!久遠、ずるいとはなんですかずるいとは!」
久遠の一言で喧嘩が勃発。頼むから人を挟んでやらんでくれ。しかし、久遠がここまで自分の意見を主張するのは珍しいなぁ。いや、普段は狐モードだから言わないだけか。
「やだやだやだ!」
「駄々をこねないでください!あなただって、紅莉に迷惑をかけたくないでしょう!」
「久遠、迷惑かけないもん!」
「今、やっていることが迷惑だといっているのです!」
「そうなの?」
「うっ」
涙を浮かべて見上げてくる久遠にどうしても、迷惑だとはいえない。
「紅莉!あなたが、そんな態度だから久遠が付け上がるのです!」
「付け上がるっておまえなぁ……流石に言いすぎだぞ」
「うっ……すいません。私も頭に血が上っていたようです」
呆れたように諭せば、多少は頭が冷えたのか口調も荒々しくは無くなる。しかし、未だに久遠とにらみ合っているのはいかんともしがたいなぁ。
「とりあえず、今日はここまでだ。夜も遅いし、那美さんに相談するにしても明日にしたほうがいいだろう」
明日は日曜日だし、そこで決着をつけなきゃなぁ。
「という感じでして……」
「久遠!」
「ぷいっ!」
翌日、神社までやってきた俺達はことの顛末を那美さんに話したととたん、那美さんが久遠を叱るのだが、久遠は聞く耳を持たずにそっぽを向いてしまう。
「えっと、紅莉君はこれからずっと……えっと、魔法の世界に行っちゃうのかな?」
「今すぐってわけではないんですが、ただ、これからわりと向こうの生活を中心にしていく予定です」
あっちに移住ってわけではないが、任務やなんやで色々と向こうの都合に合わせる生活になるんだろうなぁ。
「そっかぁ……う~ん」
これからの予定を伝えると那美さんはなにやら考え出す。久遠は昨日からずっと俺の服の裾を掴んで離してくれない。唯一離してくれたのは着替えのときと風呂のときだけだ。
「ねぇ、紅莉君。もしよかったら……」
「その先の答えは分かるんですがいいんですか?俺としては別に問題はありませんが……」
正直に言えば、那美さんの提案は俺にとっては負担にもならない。ただ、それを喜んでやりたいとは思えないものだ。
「ねえ、久遠」
「なに?」
那美さんが久遠に目線を合わせるために屈み優しい笑みを浮かべながら尋ねる。久遠も那美さんの雰囲気を察したのか、そっぽを向くことなく確りと那美さんの目を見つめる。
「久遠は紅莉君と一緒にいたいんだよね?」
「うん」
「私とここで紅莉君の帰りを待つのと、紅莉君とこれからもずっと一緒にいるのどっちがいい?」
「え?」
那美さんの言葉に久遠が固まった。考えなかった訳じゃないだろうなぁ。久遠はこれで頭いいし。
「あのね、紅莉君と私が住む世界は違うの。私は紅莉君のところにいけないし、一緒についていくことは出来ない。だからね、久遠は選ばなくちゃいけないの。私と一緒にいてくれるのか、紅莉君と一緒についていくのかを」
「那美……」
久遠も那美さんの言わんとしていることが分かるだろう。俺の裾から手を離して那美さんきちんと向き直る。
「那美。久遠は紅莉と一緒がいい。前に紅莉に助けてもらったから、今度は久遠が紅莉を助けたい」
「そう」
そっか、久遠はまだあのことを気にかけてくれていたのか。俺としちゃいっしょにいられるだけでそれでよかったんだけどなぁ。癒されるし。
「ねえ、紅莉君。久遠のことお願いできる?」
「もう一度、尋ねますがいいんですか?」
「うん。久遠はね、今までは自分の意思に反して誰かしらに警戒されていたのが、本能で分かっていたからかわがままを言わなかったの。それがね、解放されて初めてこんなわがままを言ってくれるようになった。私はね、もう久遠は自由にしていいと思っているんだ」
那美さんの言葉を心に刻み、一度ゆっくりと息を吐き頷く。
「分かりました。久遠のことは任せてください。俺が責任をもって面倒をみますので」
「ぶー。久遠が紅莉の面倒を見るの」
「はは、それは楽しみだ」
「そうね。いつか、帰ってきたら私の面倒も見てもらおうかしら」
「皆いじわる!」
頬を膨らませる久遠に誰もが笑顔になる。ふてくされていた久遠も笑顔となり、あたりに笑い声が木霊した。
「つーわけで、久遠をそっちに連れて行きたいんだけどさぁ、書類って偽造できるか?」
「行き成りやってきて、なんだそれは」
クロノが呆れて溜め息を吐く。ある程度事情を説明すると、納得のいく顔になる。
「そいえば、彼女は使い魔とかではなく、君達のいる世界の妖怪とかだったな」
「そそ。使い魔として登録はいいんだけどさぁ……使い魔契約してないし、地球に久遠みたいなのがいるという理由で調査されると問題じゃん?」
天然で長生きしている久遠。つっても、その殆どは封印されていたはずだから実際に生きていた年月ってのは短いかもしれないけど。
「使い魔契約をするっていう選択肢はないのか?」
「それでもいいんだけどなぁ……やり方がわからん」
「リニスは?」
「あれは、なにやら適当にやったら出来ただけだし」
「適当って……君は魔法をなんだと思っているんだ」
頭が痛いのか、額に手を当てて溜め息をつくクロノ。そのうち、頭痛薬でもあげるか。迷惑かけているのは間違いなく俺だろうし。
「彼女は確か念話はできるんだよな?」
「俺の魔力に当てられたらしくてなんとかぐらいだがな」
ここ最近ではめったに使わなくなってきたけど。いかんせん、鳴き声で何をいっているかの理解が俺もリニスも出来るために必要なくなった。
「そうだな、データに残さないのを約束するから一度だけ検査を受けさせてもらえないだろうか?」
「絶対だぞ?」
「僕の権限と艦長にも協力してもらって、信用できるスタッフだけでやるよ」
「わかった」
「検査っていうから、血とか抜くかと思ったが、違うんだな」
「注射いやーーっ!」
「大丈夫!注射なんてしないから!」
エイミィが必死に久遠を宥めているのを横目にクロノに尋ねると理由を教えてくれた。
「検査で知りたいのはあくまで彼女がリンカーコアを持っているかどうかと、倫理観の検査程度だからな」
「ああ、なるほど」
ただ、倫理観って俺が一番ないような気がするなぁ。必要なら潰すし、斬り捨てるし殺すだろうから。
ただ、幸いなのが今までそういった場面に一度も遭遇したことなかったということだな。
「それはそうと、アリシアはなんでここにいるんだ?」
「ん?エイミィのお手伝いだよ!」
腰に手を当てて胸を張るアリシアだが、外見がまだまだ幼いから見るほうは微笑ましいな。
「フェイトも管理局に入るから私も何か出来ることはないかなって考えたの」
「別にそれは今じゃなくてもいいだろうに」
なのはもフェイトも、もっとゆっくりと考えて決めればいいと思う。何もこの歳でやることを決めなくてもなぁ。
「君が言う台詞か?」
「俺は、こうなることを前提に鍛えてきたんだ。それが、早いか遅いかはあまり関係ない」
それに、実戦は経験済みだ。もし、あの時水樹さんに容赦がなかったら、俺は今頃この世にはいないだろう。まぁ、武人がたらればを言ってもしかたないか。
「それにほら、ママって研究者としてはかなり凄いでしょ?いまね、ママに色々なことを教わっているんだ」
「そう言えば、フェイトのバルディッシュの改造にしても手伝っていたんだっけ?」
「そうだよ!アサルトって名前は私が考えたんだ!」
「強襲って意味はまさにうってつけと思ったね」
「そうだな、元々スピードを生かして戦う彼女が更に早くなって僕としても厄介きわまりないよ」
そういえば、後見人としてハラオウン家がテスタロッサ家を見ているからか、二人はよく模擬戦をするそうだ。
フェイトも自分の技術が上がるのが楽しいのか、結構な頻度らしい。それに、加えて最近はシグナムともやっているとか。
俺ともやってほしいといって来るんだが、それは丁寧に断っている。
「それじゃ、いってくるねー」
「邪魔するなよー」
「しないよ!」
手を振って、検査のほうへと向かっていくアリシアに手を振り替えして嘆息。
「彼女は含まれないのか?」
「あいつは別のやつが守ってくれるさ。それよりお前こそどうなんだよ」
クロノがからかってきたが、それを軽く躱して逆にからかうと、真っ赤になってそっぽを向く。アリサとはまた別ベクトルのツンデレだなこいつは。男のツンデレなんて誰ウマなんだと問い詰めたいが。
その後、1時間くらいの検査が終了し久遠が飛び込んできた。
「どうだった?」
「あ、結果はマリーから伝えるよ」
クロノが久遠と一緒にやってきたエイミィに尋ねると、エイミィは体をずらして後ろからやってきた眼鏡をかけた白衣を着たいかにも研究者といわんばかりの女性に道を譲った。
「結果から言いますと、久遠さんにリンカーコアの反応はありました。ただ、魔力精製がとても不安定で、常時Fランク相当くらいしか精製できていません」
「あることにはあるんだね?」
「はい」
「分かった。これで、とりあえず、久遠は紅莉の使い魔として登録しても問題はなさそうだ」
「よかった」
「紅莉と一緒にいられるの?」
「ああ、そうだ」
久遠の問いかけにクロノは優しく頷く。はっ!?まさか、てめぇ久遠を狙っているとかほざくわけねえよな?もし、そうなら俺を倒してからにしてもらうが。
「っ!?」
「どったのクロノ君?」
「いや、今までに感じたことないくらいの悪寒が隣から……」
「どうした?」
「なんでもない……」
変な奴だなこいつは。こうして、久遠も無事に連れて行くことが可能となった。後に話をきいたら、ほぼペットの形の使い魔として登録したようでこれといって偽造してないそうだ。
「一つ言い忘れていたが、彼女が使う雷は使ってくれるなよ?」
「レヴとともども必要にならない限りは使わないよ」
身体能力は高いし身の危険くらいはそれで十分に対処できるだろ。他にもリニスあたりに色々と教えさせれば問題ないな。
†久遠放送局†
久遠「皆さんお久しぶり久遠だよ!作者がゲームに夢中でこっちのことを忘れるなんてひどいよね」
ユーノ「なんか、僕ここに来ること多くない?」
久遠「しょうがないよ、だって本編の出番は久遠よりないもん」
ユーノ「ごはっ!?結構僕って重要キャラだと思ったんだけど……」
久遠「その役どころは全部クロノが持っていっちゃったからね」
ユーノ「あいつは僕に資料検索なんてやらせておいて自分だけ!」
久遠「かっこよくしすぎかな?って作者も考えているらしいんだけど、紅莉の性格だとユーノよりクロノのほうが合うかなってそれで改変していっていたら、あんなにカッコいいクロノになったんだよ」
ユーノ「酷い……」
久遠「泣くな。あの猫たちのもとに放り投げるぞ」
ユーノ「それだけはやめて!」
久遠「では、次回もお楽しみに」