魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第56話

「緋凰紅莉一等陸士です。よろしくお願いします」

 

 研修期間が終了し、俺はミッドチルダ地上部隊へと配属となった。とりあえず、与えられた階級は一等陸士らしい。なのは達など、最初から准尉なのに俺だけ陸士とかどんないじめだと言いたいが、実際のところは面倒なごたごたに絡まれなくてすむかもという思いもあるから気にしないことにした。

 

「きゃぁぁぁっ!かわいーーっ!」

 

「がふっ」

 

 隊長に案内された場所で敬礼とともに挨拶をし終わった瞬間、目の前から女性が突撃してきて思いっきり抱きつかれた。避けるのもなんだかなぁと思って避けなかったのだが、思いのほかダメージが……

 

「何この子!何この子!ちょっと生意気そうな目とか、すっごく可愛いんですけど!」

 

「クイントずるい!私も!」

 

 紫の髪の女性2人が俺を挟んでぎゃあぎゃあ言っている。頼むから右手引っ張らないで。まだ、治ってないんだから。

 

「隊長、この子どこで拾ってきたんですか!私も欲しい!」

 

「あんた、娘がいるでしょうが!」

 

「あんただっているでしょ!」

 

「人聞きの悪いことを言うな」

 

 隊長のツッコミに切れがない。というよりも、2人とも聞いてないな、こりゃ。てか、このテンションは桃かーさんを彷彿させるぞ。なんで、こっちに来てまで、面倒なテンションに絡まれなきゃいけないんだ。

 

「隊長助けて」

 

「1時間くらいしたら、収まるだろうから、それまで耐えろ」

 

 早速見捨てられたよ。なんだここは。クロードの紹介の人物である、ゼスト・グランガイツ氏なのだが、最初あったときは純粋に強いとは分かったのだが、勤める部隊がこんなだとは思わなかったよ!

 

「序に言っておくと、そいつはストライフの子の紹介だ」

 

「ストライフってエアリス!?」

 

「そういえば、あの子って子供産んで局やめたんだったっけ?」

 

 ストライフってクロードの母さんの旧姓だったかな?あいつ、惜しいな。親父さんが婿入りしていれば、まんまクラウドだったじゃん。

 

「そうそう。次元漂流者の保護後、その人の故郷に移り住んじゃったのよねぇ」

 

「へぇ~。そういえば、隊長って一時期だけど、エアリスの子に教えていたっけ?」

 

「名前は……クロード君だっけ?」

 

「そうだ」

 

 話しこんでいるのでその隙をついて、拘束から逃れる。本気で振りほどこうとすれば、わけないが、嫌悪感は沸き起こらないしやらなかった。ただのバインドなら一瞬なんだけどなぁ。

 

「逃げた……って、あれ!?」

 

「ちょ、クイントどこやったのよ!」

 

 幻武を使って隊長の後ろへと移動し、解除する。

 

「助けてくださいよ」

 

「すまんな。あいつらのテンションにはたまに俺も付き合いきれんのでな」

 

 つまり、いつもわりとテンション高いと?嫌いじゃないけど、それは俺以外にしてもらいたいもんだ。てか、いきなり現れた俺にどうじないってすげぇな。

 

「あ、いたーーっ!」

 

「隊長、どいて!その子、抱っこできない!」

 

「ごめん、こうむります。なんで、11にもなって抱っこされなきゃならんのです」

 

 そういえば、未だに桃かーさんもわりと抱きついてくるなぁ。それは、俺以外にもやっているから、被害が少なくてすむけど。あの人の場合は、避けるとへこむからなぁ……

 

「ねえねえ!もう一回、お名前教えて!」

 

 えっと、ポニテの人物……もう一人の人にクイントさんと呼ばれた人が尋ねてきた。てか、なんでそんなテンション高いんですか?娘がいるんですよね?

 

「緋凰紅莉です。こっちの言い方に直すとコウリ・ヒオウです」

 

「私は、クイント・ナカジマ。よろしくね、紅莉君」

 

「私は、メガーヌ・アルピーノよ。よろしくね」

 

 二人がかわいらしく挨拶してきたので、もう一度頭を下げる。場の雰囲気はいいのだが、部隊としてこれでいいのだろうか?

 

「紅莉君って魔導師なんだよね?」

 

「こんなにちっちゃいのに、部隊に回されるってことは内勤としてじゃないでしょ?」

 

 突如、真面目な顔をして尋ねてくる二人。桃かーさんもそうなのだが、いつも真面目でいて欲しい……いや、俺もわりとはっちゃけるから人のことは言えないか。

 

「はい。一応はAランクを貰っていますよ」

 

「へぇ、まだ子供なのにAランクって凄いわね!」

 

「魔力も高いみたいだし、これは将来有望かな?」

 

「一つ言うと、クロードより緋凰のが強いらしいぞ」

 

 昔にユーノに言われたが、高魔力保持者というのは少なかったな。俺自身の魔力なんてなのはやフェイトに比べて2ランク、はやてに至っては3ランクは下だというのに、それでも高いといわれると局のレベルが浮き彫りになってくるな。ただ、目の前の二人は中々にやるのは分かる。

 

「へ?クロード君って確か隊長が教えているときには既にSSSランクあるとかって言ってなかったっけ?」

 

「それは、魔力ランクよ。実力はSランク相当だったはずよ」

 

「そうだ。俺は、入隊の手続きやなんかで色々と会っていたのだが、最初のときにあいつもいてな……その時に、はっきり言っていたぞ」

 

 因みに、模擬戦は全勝だ。闇の書事件のときの覚悟があろうが、負ける気はないが、あそこまで行かれるとちょっとキツイかな。

 

「ランクと強さは別物ですよね?」

 

 隊長だって、ランクで言えばクロードに劣るが、恐らく模擬戦をやれば8割くらいの勝率を取れるはずだ。

 

 まぁ、その最大の理由はまだクロードの攻撃が拙いせいというのが大きいが。あいつに足りないのは経験だからこのままシグナムや色々な人と戦っていけば後5年くらいしたら、相当な使い手になるだろうな。

 

「もう!生意気言っちゃって!」

 

「今度は私が!」

 

 さっきまでの真面目っぷりが嘘のようにまた突撃してくる二人を今度は華麗にかわすとなにやら恨みがましい目で見られた。

 

「なんで、避けるのよ!」

 

「長年の勘です」

 

「11だよね!?」

 

 桃かーさんの子となってから、色々とやられたからなぁ……

 

「なんで、遠い目をしているか知らないけど、隙あり!」

 

「隙ありというなら、何も喋らずに近づくべきです。メガーヌさんのように」

 

「ばれてた!?」

 

 気配察知はお手の物の俺に対して不意打ちは出来ないよ。ただ、困るのは転移で一瞬で目の前に移動されたときか。咄嗟に動けるだろうけど行き成り目の前に現れたとして何処まで出来ることやら………

 

 クロノにそういったことが出来るかを聞いたのだが、出来るやつがいるとしたらレアスキル保持者だそうだ。ただ、レアスキル保持者などは、機密に関わるそうで簡単に閲覧できずに誰が持っているかどうかの確認もできないようだ。

 

「さて、今日は出動もかかることは無いだろう」

 

 挨拶だけで終わりとなりそうな雰囲気である。いいのだろうか?あとは、内勤勤務で終わりかね?うへぇ、書類仕事とかメンドクサイ。

 

「なので、今日は緋凰の実力の把握を行う」

 

「はいはいはーい!私が!」

 

 隊長の一言に部隊内の人たちが騒ぎ出す。なに、この部隊?ノリがよすぎる。

 

「そういえば、隊長。紅莉君のポジションってどこになるんですか?」

 

「それを決めるのも含めてだな」

 

「私が……」

 

「クイント煩い!」

 

「なによ!」

 

「ちなみに、対戦相手は俺がする」

 

「「えぇ……」」

 

 なんか、俺が知らないところで話がぽんぽん決まっていくのだが、本人の意思は?ない?デスヨネー。

 

 それから演習場へと案内された。

 

「緋凰、デバイスは持ってきているな?」

 

「はい」

 

 隊長が尋ねてきたので首肯し、首にかけているエアを取り出して見せると隊長も頷き、デバイスを取り出した。

 

「では、セットアップしろ」

 

「エア、セットアップ」

 

《ゲットレディ》

 

 セットアップし、陸士服からいつもの戦闘装束へと変わる。やっぱり、制服っていうのは堅苦しいな。

 

「それが、お前の獲物か」

 

 肩をほぐしていると、隊長から声をかけられ、そちらを向くと、隊長もセットアップし終わったようで右手に槍を持っていた。

 

 隊長の視線は俺の刀に注がれている。まぁ、この世界で見ることはないだろうものだろうし、珍しいのも分かるな。

 

「ええ。これが、俺の獲物ですよ」

 

「では、始める……来い!」

 

 隊長が今までで一番でかい声で言って構えた。

 

 なるほど……強いと思っていたがやはり間違いではなかった。抑えているようだけど、その身に宿す闘気が漏れている。それに、じっとこちを見据えるあの眼差しを見ると……ククッ、この世界も強者がいたか。覚悟を決め、俺は腰に差してある刀に手を添えた。

 

 

 

 

 

 

 

「凄いわね」

 

「ええ」

 

 お互いににらみ合う形で動かない、紅莉とゼストをモニターで見るクイントとメガーヌが感想を洩らす。

 

「隊長は古代ベルカ式の騎士としてだけじゃなく、魔導師としても相当な強さを持っているはずよ」

 

「それは、言い換えれば目の前に構えられると下手なレベルだと動くことすらきついはずなのに、紅莉君はそれがない」

 

「それが、感じられないくらいなら私達も驚かないんだけど……」

 

「ええ。紅莉君はあろうことか、それを感じ取り笑っているわ」

 

 モニターの先の紅莉の表情は目は真剣そのものだが、口端が上がっていた。

 

「動いた!」

 

「鋭い!」

 

 最初に仕掛けたのは紅莉である。これは、紅莉の実力を見るためのもののために、ゼストから動くことはない。そのために、紅莉から動いたのだがその動きに二人は舌を巻いた。

 

 なんの高速移動魔法を用いずに、一足で一気にゼストとの距離をつめる紅莉。その動きの鋭さはこの部隊の要の一人であるクイントよりもずっと鋭かった。

 

 総合的な素早さならクイントに軍配が上がるだろうが、一瞬一瞬の早さならば紅莉の独壇場である。

 

 モニターの中の紅莉の鞘から抜き放たれる刀身。その白銀の輝きは光を反射し煌く。真っ直ぐにゼストの首を狙うその攻撃は槍の柄に阻まれる形で防がれる。

 

「行き成り、首を狙うとはな」

 

「すいません。癖で」

 

 謝りながら再び構える紅莉だが、周りの隊員たちは心の中で『癖かよ!』と同時に突っ込みを入れる。

 

 再び地を蹴る紅莉だが、今度はゼストも同時に突撃する。リーチで勝るゼストの槍が先に振るわれるが、紅莉は狙われた肩口に対し半身をずらしてかわすだけで避けきり更に肉薄する。このまま体当たりするのかといいたいような位置まで近づいた紅莉だったが、ゼストは慌てて防御魔法を展開した。結果は、紅莉の刺突を防ぐことで終わった。

 

 近づいた紅莉は上半身を反らし体の捻りを利用し近距離で刺突を放ったのであった。

 

「まさか、防がれるとは」

 

「一瞬、嫌な予感が過ぎったのでな」

 

 素直に賞賛する紅莉に、あっさりと理由を教えるゼスト。お互いに再び距離を離す。

 

「そういえば、緋凰は空適正もあったな」

 

「ええ。ただ、地を蹴ったほうが力がでるので、空でも基本は飛翔魔法じゃなくて、足場を精製して今と変わらない方法での戦闘ですよ」

 

 そういって、ほらと軽く飛んでから空を蹴り突撃しだす紅莉にゼストも再び槍を振るったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「決着つかずに時間切れかー」

 

「別に緋凰の実力をみるものだけだからな、決着は二の次だ」

 

 隊長とともに、演習場を後にしながら愚痴を零す。途中に何度か押し切られそうになったときは焦った焦った。奥義のすべてを封印して戦ったら流石にきつかった。

 

 それにしても、この人生まれる場所間違えたんじゃね?って思うよ。魔法を使ってはいるんだけど、俺達の世界で武術だけで育ったなら、もっと強かったと思うほどだ。

 

 隊長とともに演習場を離れて、隊員たちが見ているところに戻ると全員何故かポカーンとしていた。はて、何かあったのだろうか?

 

「紅莉君」

 

「はい」

 

 唯一ポカーンとしてなかった、クイントさんとメガーヌさんだが、クイントさんに声をかけられる。

 

「11だったよね?」

 

「ええ」

 

「魔法を使いだして?」

 

「………1年とちょっと?」

 

 去年の今頃はなのは達のあれに飛び込んでいたはずで、その数ヶ月前にリニスがうちに来たときに初めて触れたはずだ。

 

「あんなに強いのになんでAランクなの?」

 

「身体強化・飛翔・足場精製以外、まともな魔法を使えないからですね」

 

 今度はメガーヌさんに質問される。これ以外の魔法がある程度使えたら確実にSになれるとはクロノの弁だ。リニスやエア曰く、練習すればできるらしいが、そんなものに時間を使うなら刀を振っていたほうが身がある。

 

「隊長との戦いのときでもシールドなんか使ってなかったでしょ?」

 

 隊長は要所要所の部分で使ってはいた。直撃なり、もっと本気でやればシールドなんて切り裂けるが、そこまでする必要もなかったし、やりすぎると後が怖そうだったからやめた。

 

「そういえば、紅莉君って攻撃全部、反らしたり、避けたりしかしてなかった」

 

「シールド魔法も持ってはいるんですが、それは身体強化の術式に組み込んでいますのでそれ単体では使えないですしね」

 

 普段の行動が回避の俺が一々攻撃きたことでシールドを張るのもアホ臭いので、身体強化の術式に組み込み改良し、結果として衝撃緩和として機能している。

 

 未だに技量と身体能力がちぐはぐな俺が再び体を壊さないようにとエアとリニスが考えてくれたものだ。

 

 これのおかげで、かなり体の負担が軽くなったのを感じる。

 

「なるほどねぇ」

 

「あの強さならいいのかな」

 

 俺の説明に納得してないような顔で納得した二人。いいじゃないか、俺にとっては敵は斬る。それだけだ。

 

「それで、隊長。紅莉君のポジションは?」

 

「フロントアタッカーとも考えたのだが、今の緋凰の話を聞くにウイングガードがいいのではないかと考えている」

 

「そうですね。それに、そうすれば隊長が上がってフロントアタッカーをクイントと二人でやって硬くなりますし、突破力も上がりますからね」

 

 そういえば、ポジションがどうとか言っていたけどなんだろ?聞いてみるか。

 

「あの、さっきから言っているポジションって?」

 

「え、知らないの?」

 

 驚いているクイントさんに頷いて答える。なんとなくは分かるけど、ここで知ったかして後で痛い目にあうのも馬鹿らしいし。

 

 その後、色々と詳しく教えてもらった。そんで、俺のポジションは遊撃担当ということだ。なんでも、防御魔法を持ってない俺をフロントアタッカーに持ってくると相手の攻撃を防ぐことができないからという理由らしい。

 

「では、これからよろしく頼むぞ緋凰」

 

「OK、ボス」

 

「む」

 

「あ、調子乗ってすいません」

 

「悪くないな」

 

 案外、ノリがいい隊長ことボスとお姉さんがたに囲まれた部隊に俺は配属となったのであった。




†久遠放送局†

久遠「あれ?久遠が出てないよ?前回の話はなんだったの?」

エア《私だって一言しか言ってませんよ》

久遠「お前は、デバイスだろうが」

エア《なにを言っているんです。お喋り機能があるのに、喋るなとかどんな拷問ですか》

久遠「ああ、エアって結構おしゃべりだからね」

エア《マスターがツッコミ欲しいときにはツッコミを。ボケて欲しいときはボケを。それが、インテリジェントデバイスの特徴です》

久遠「久遠、魔法のことは詳しくわからないけど、これでだけは言える。絶対に違う!」

エア《お後がよろしいようで》

久遠「何がだよ。では、次回もお楽しみに」
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