魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第58話

「DSSD?なんですかそれ?宇宙探査か何かですか?」

 

「DSSDじゃなくて、DSAAね。ディメンション スポーツ アクティビティ アソシエイションといって、魔法戦技を競い合う大きな大会かな?」

 

 隊に出勤後、デスクワークの全てをエアに押し付け、訓練場で鍛錬をしていたら、デスクワークが終わったのか、クイントさんとメガーヌさんがなにやらチラシをもってやってきたので、話を聞いてみたら、そんなことであった。

 

「大会?」

 

「そ。管理世界から様々な魔導師が集まって、自分の技を競い合うのが目的の大会よ」

 

「つまりは、総合格闘技の試合だと?」

 

 そういえば、さっきの言葉の中にスポーツとか入っていたな。

 

「大まかに言えばそうなるね。ただ、何も格闘技だけじゃなくて、純粋な魔導戦主体の子や、騎士のような子もいるわよ」

 

「何でもありの魔法バトルと?」

 

「なんか、そう言われちゃうと物凄く、子供っぽい大会に感じるわね……」

 

 違うのか?てか、そんなものは、普段の合同訓練とかと変わらないような気がするな。

 

「と・に・か・く。紅莉君、出てみない?ほら、紅莉君って何か強くなるのに夢中だし」

 

「出ません」

 

「ばっさり!?」

 

 強くなるのに夢中なのは否定どころか肯定するけど。

 

「な、なんで?」

 

「何でといわれても……簡単に言えば、俺が強くなりたい理由は誰かと競うようなものではないので」

 

 目標として母さんのいた頂に行きたいとあるし、近場の目標は兄さんという人がいるが、あくまでそれはその強さの基準としての話だ。

 

 強くありたいと願うならいいかもしれないけど、あくまで話は誰かと競い合うことだというなら、俺には関係ない。

 

「俺はただ、誓いを崩さないために強くなりたいだけで、誰かよりも強くいたいという思いはありません」

 

 と言っても、負ければ悔しいし、負けたくないという気持ちも強い。何よりも、俺が学んでいる世界は、負けは終わりだ。ならば、常に勝ち続けなければいけない。

 

 まぁ、頂に立つということは他の誰よりも強くあるということであり、先ほどの考えとは矛盾があるのだが、そこはそれだと思っておこう。

 

 誓いは崩さない。これは、俺が自分で絶対に曲げられない信念であり、根幹だし……誰かにばれるのは恥ずかしいので秘密だが……とくになのフェイすずか。

 

「何より、普段の隊の訓練でも首狙いや急所狙いが多い俺がでれるんですか?」

 

 俺の問いかけに、二人ともそろって苦い顔になる。普段の訓練時でもついつい首を狙っては怒られる俺だ。首を狙わないときは頭か心臓なのだが。

 

 昔と違い、防具などつけてない現代では、急所の防御なんていうのは武人の意識しだいでしかない。

 

 当然、俺や兄さんたちはそれを巧くかばいながら相手を打倒するための技を磨き続けているが、御神の貫や緋凰の幻武はそれをかいくぐる一手だ。

 

 防御しているが故に、無意識的に薄くなるところを狙うなどは技術でしかない。それを卑怯だなんだという奴は好きにさせておけばいいし。

 

 そういえば、前に休日を利用して兄さんと他流派と試合をしにいったら、孤塁抜きとかいうばかげた威力の技を使う高校生がいたな……最終的には俺も兄さんも勝てたけど、あの威力はやばかった。兄さんは普通に耐えていたけど、俺の場合は前に見ていたおかげで、咄嗟に幻武を使い打点をずらせたのがよかった……天井までぶっ飛ばされたときは死ぬかと思ったが。

 

「つまり、紅莉君の扱っているのは一歩間違えれば殺してしまうような攻撃だから、公式の場ではまずいんじゃないかってことでいいのかな?」

 

「それもありますが、何より俺の技は人前で大々的に使うようなものでもありませんからねぇ」

 

 暗殺が主というわけでもないし、見られたからって対策出来るかと言われれば難しいだろうけど。

 

 緋凰の技は一撃必殺か、カウンターでの一撃だ……乱舞は本当になんであるのか分からないけど。兎に角として、見られたからって徹底的な不利になるわけでないのとは思っている。

 

「殺人剣だから出れないって事?」

 

「今までの話はなんだったのかといいたいですが、纏めるとそうですね」

 

 殺人剣が通じるとは思ってなかったので、遠まわしな言い方をしたのが失敗だったな。これなら、最初から言っておけばよかった。

 

「でも、ほら、達人になると活人剣になるって言うし」

 

「あれって、強者の匙加減だと思うんですよね」

 

 生かすも殺すも勝者が決める。敗者に口無しとはよく言ったものだ。

 

「でもぉ……」

 

「猫撫で声ださんでくださいよ」

 

 下手に似合う二人だからマッチしていて洒落にならん。

 

「うぅ……私達が学生時代にも勉強になったから、勧めてみようと思ったのに」

 

「お二人は出ていたんですか?」

 

「そうだよ。色々とあったけど、結局は管理局に入ったけどね」

 

「今でもそうだけど、あれに出て、競技選手として生きていくにはまだまだ世間は狭いしね」

 

「ふぅん」

 

 競技選手ねぇ……晶みたいな感じか。あれは、まさしくそれの理想系だし……それとは別途で人間を数メートルぶっ飛ばすような必殺技も作っているけど。

 

「思い出に出てみようよ」

 

「なんですか、その学生時代のひと時みたいなやつは」

 

「紅莉君は学生を吹っ飛ばしているからこそ、どう?」

 

「てか、局員が出ていいんですか?」

 

「参加資格は、犯罪歴がなく、10~19歳までのデバイス持ちが条件だからね」

 

「てか、仕事は?」

 

「隊長に許可貰ってきているよ」

 

「ボスぇ……」

 

 何故に許可出しますか。

 

「まぁ、大規模出動のときは流石に無理だけど、通常勤務のときならば許可していいって」

 

「まぁ、俺一人抜けたところで問題はないでしょうけど」

 

「ということは?」

 

「出ますよ。負けました」

 

 何で、こんなに出したがるかは不明だけど、ここはお姉さん方を立てておいても問題はないか。

 

 それに、競技には興味ないが、強者には興味あるし、実りある人がいると嬉しいんだが……具体例で言うとクロードクラス。ないか。

 

 

 

 

 

 

 

 紅莉がDSAAに出場すると了承したのを聞いた二人は、急ぎ申請書を作成するために、もろもろを始めていた。

 

「よかった、紅莉君が出てくれて」

 

「そうねぇ。あんまり子供らしくない紅莉君だし、頑なに拒むとも思ったけど」

 

「そこよ」

 

「なにが?」

 

「子供らしくないってところ。うちにも娘がいるし、ギンガなんかは紅莉君と二つしか違わないのに、それでも全然違うわよ」

 

「そうねぇ。確かにギンガちゃんと紅莉君を比べても、考え方が完全に違いすぎるわね」

 

「特に、戦いについての考え方は一歩間違えれば危ないわ」

 

「住んでいた世界の話も聞いて、ある程度納得はしているけど、それでも子供がもつ思考じゃないわね」

 

「元々、そうなることを前提に生きてきたっていうけど、11の子供が持つ考えじゃないわ」

 

「特に、物の価値観の考え方なんて私達と同等か、隊長まで生きてきた人が持つようなものを既にもっているし」

 

「兎に角、同世代、少し上の世代と戦って、それが改善してくれるなら嬉しいわ」

 

「そうね」

 

 つまるところ、二人とも、大人として紅莉の将来を心配してのお節介なのである。

 

 子供は子供らしく、ある程度はわがままなほうがいいと考える二人の親。紅莉からしたら本当にお節介だが、人の好意を無碍にする性格でもないので、結局のところ受けていただろうが。

 

「ところで、何処まで勝てると思う?」

 

「逆に聞くけど、倒せるのがいると思う?」

 

「いけるわね」

 

「そうね」

 

 せっせと、書類を作成している二人だが、黙って作業するのが暇なのか、今後の紅莉の活躍を想像する二人。

 

 最終的に、紅莉の戦闘力を考えるに、紅莉に勝てる人というのが思い浮かばなかった。

 

 いかんせん、普段の隊練のときはボスであるゼストと正面きって戦うような奴だ。まだまだ若いやつ等が紅莉を抜かすとは想像がつかない。

 

 そういう意味で、既に二人は紅莉が都市決勝を勝ち抜き、次元最強の称号を手に入れてる姿が思い浮かんでいた。

 

 

 

 

 

 

「紅莉君、帰らなくていいの?」

 

「いっけね!?」

 

 あの後、色々と説明を受けて、DSAAのルールを読んで、その後、また鍛錬をしていたらすっかりあたりは暗くなっていた。

 

 暗くなっても夜目が利くので問題なく鍛錬していたら、クイントさんが時間を教えてくれた。

 

 教えてくれたのだが、既に時間は20時を回っており、隊の皆も夜勤の人以外は家に帰宅していた。

 

「転送ポートは……オワタ」

 

 急いで端末に接続し、多元世界への渡航が可能な転送ポートの開放時間を確認してみたが、一般開放時間はここからどんなに高速で向かっても間に合わなかった。

 

 市街地を飛行すれば間に合うかもしれないけど、家に帰るために許可なんて下りるわけない。

 

「えっと、紅莉君ってこっちでは家ってないんだよね?普段、帰れないときってどうしているの?」

 

「大体が、朝の開放までまって帰りますね」

 

「それまでは何しているの?」

 

「剣を振っているか、ロビーのソファーで寝てます」

 

 まだ、子供ということで、周りが配慮してくれているのか、未だに夜勤はない。そのために、帰りそびれると大体がこんな感じだ。

 

 因みに、夜勤のときのボスにあって、既に怒られている。

 

「それじゃ、うち来る?」

 

「はい?」

 

「うちって、ここからわりと近いし、娘も紹介したいしね」

 

「いいんですか?」

 

「子供が遠慮しちゃダメよ。ちょっと待っていてね、旦那に連絡いれてくるから」

 

「それじゃ、俺も家族に連絡入れてきます」

 

「それじゃ、5分後入り口で待ち合わせしましょ」

 

 そういって、クイントさんは着替えるためかロッカー室へと向かっていったので、俺は俺で家に連絡を入れた。

 

 

 

 

 

「おまたせ」

 

「いえいえ。旦那さんはなんて?」

 

「ガキが遠慮すんじゃねー。ですって」

 

 そのまま口調を真似たのだろうか?だとしたら、結構口が悪いな。

 

「旦那さんも局員なんですよね?」

 

「そうよ。陸士部隊で隊長をやっているわ……本人に魔力資質はないから、作戦本部やバックヤード担当だけどね」

 

 魔導師の局員ってのは少ないって聞いていたけど、隊長クラスでも使えない人っていたんだな。

 

「ただ、うちの旦那自体はかなり切れ者だし、うちの隊長も一目置いているわよ」

 

「へぇ」

 

 逆に言うと、敵にいると厄介なタイプか。そういった人たちって必ずと言っていいほど頭が回るから搦め手でくるんだよなぁ。

 

「ついた、ここよ」

 

「へぇ」

 

 住宅街に入って数分で辿り着いたのは、わりと立派な一軒家だった。大きさで言えば、高町家並?

 

「庭も広いですね」

 

「ええ、朝素振りしたかったら、そこを使っても構わないわよ」

 

 お見通しでしたか。庭の芝生をいためない程度にはやらせてもらおう。

 

「お母さんお帰りー!」

 

「お帰りー」

 

 クイントさんが玄関の扉を開くと中から二人の子供が飛び出してきて、クイントさんに抱きついた。方や元気一杯でもう一人はやや控えめだが。

 

「あれ?お客さん?」

 

「そうよ。お母さんの仕事仲間の紅莉君」

 

「よろしくな。俺は緋凰紅莉。好きに呼んでくれ」

 

 髪が長い子のほうの女の子が、後ろにいる俺に気づいたらしいので挨拶をする。

 

「ギンガ・ナカジマです!よろしくお願いします、紅莉さん。ほら、スバルも」

 

「えっと……」

 

 ギンガと名乗った髪の長い少女が俺に気づき後ろに下がってしまった短髪の少女を前に出すも、短髪少女は俺が怖いのか、さっきから目線がかなり泳いであわせてくれようとしない。兄さんほどじゃないが、そこまで目つききついだろうか?なのは達に言わせれば、鍛錬時や戦闘中はわりと怖くなりがちだが、それ以外のときはそうじゃないといわれているんだがなぁ。

 

「ごめんねぇ。スバルって人見知りで大人しいのよ」

 

「なるほど」

 

 久遠みたいな子なのか。

 

「よろしくな、スバルちゃん。大丈夫、俺はなにもしないよ」

 

 近づいていって、目線を合わせる。出来るだけ笑顔なのも忘れない。ここら辺は久遠のときなどで学習している……あれ?久遠はあっちからきてくれたんだっけ?

 

「本当?」

 

「ホント、ホント。何より、スバルちゃんに何かしたら君のお母さんに殴られちゃうよ」

 

 自分の右手で頬を殴るような動作をする。

 

「なによそれー!」

 

「ふふ」

 

「お、笑ってくれたか」

 

 俺とクイントさんのコントがツボに入ったのか、笑顔を見せてくれた。体張らなくてよかった。クイントさんのパンチなんてもろに食らったら頭蓋骨砕けるし。

 

「おう、自己紹介もすんだことだしとっとと中に入ったらどうだ?」

 

 更に奥から、声が聞こえてきたので、顔を上げてみれば、白髪っぽい銀髪のおっさんが壁に寄りかかりながら腕を組んでこちらを見ていた。

 

 恐らくは、一連のやり取りを静観していたのだろう。

 

「あなた、ただいま」

 

「おう、お帰り」

 

 どうやら、クイントさんの旦那さんのようだ。

 

「ほれ、坊主も入りな」

 

「お邪魔します」

 

 クイントさんに案内されながら、ギンガちゃんとスバルちゃんを連れて中に入ると、一瞬だが鋭い視線に刺される。誰がやったかは分かるけど、あえて無視して中に入った。

 

 

 

 

 

「気づかなかったか?いや、あえて気づいて無視したのか」

 

「そこらへんは、鋭いって言っていたじゃない」

 

「だったな。まぁ、悪い奴じゃなさそうだな」

 

「珍しいわね、あなたがあって間もないのにそう判断するって」

 

「なんだかなぁ、あいつとは将来いい酒飲み仲間になれそうな気がしてな」

 

「ふふ、いいわね」

 

 

 

 

 

 

「改めてよろしくな。俺はゲンヤ・ナカジマ。この家の大黒柱だ」

 

「緋凰紅莉です。一晩、お世話になります」

 

 居間に案内され、テーブルに座らせてもらうと、改めて先ほどのおっさんが自己紹介してくれたので、こちらも頭を下げる。

 

 そこで、ふとゲンヤさんと目が合う。

 

――さっきの視線はまぁ、気にすんな。

 

――おk

 

 なんとなくだが、言っていることが分かったので、こちらも目で返す。少しばかりだが、視線で会話しているために見つめあう形になったのだが、それがきになったのか、隣に座っているギンガちゃんが袖をひっぱってきた。

 

「お父さんと何かあったんですか?」

 

「んにゃ、別に」

 

 ギンガちゃんの質問に簡単に答える。男同士の会話って訳でもないし、話すことでもないので伝えることでもない。

 

「おっまたせー」

 

「夕飯まですいません」

 

「いいのよ。気にしないで」

 

 クイントさんが夕飯を俺の前においてくれたので、お礼をいう。

 

「いただきます」

 

「召し上がれ」

 

「うん。美味い」

 

 レンちゃんとも晶とも、桃かーさんとも違うが、家庭の味という感じで、ミッドにきて初めて食べ物で心休まったかも。

 

 外食が少ない家庭事情だったせいか、いかせん美味いのだが、外食は直ぐに飽きてきてしまっていたので、これは嬉しい誤算だ。

 

「紅莉君はねー、こう見えて、既に剣の達人よー」

 

「そうなんですか!」

 

 ご飯中ともありもくもくと食べていたが、既に夕飯を終えている皆への配慮なのか、クイントさんが話題を振ったのだが、その内容が俺に対してだった。ただ、持ち上げすぎだろ。

 

「まだまだ、若輩の身だよ」

 

「じゃくはいのみ?」

 

「おっと、難しすぎたかな?簡単に言えば、まだまだ修行中ってことだよ」

 

 俺が達人なら兄さんはなんぞやと。俺も兄さんもまだまだ目標にすら届いてないのだ。なので、今の地点で留まるなんていうことは絶対にない。

 

「私も、お母さんにシューティング・アーツを習っているんです。よかったら、後で見てくれませんか?」

 

「シューティング・アーツってあれ?」

 

「あれよ」

 

 あのスピードに乗って、ドッカーンなやつをこの子も習っているのかー……女の子は怖いなぁ。男がやるなら、話は分かるんだが、なんで女の子があんな馬鹿力を……いや、なのはの例で考えるならありえるのか。方向性こそ違うが一撃という意味では同じだし。

 

「体術も収めてはいるけど、まだまだ錬度は低いよ俺は」

 

「え?剣術だけじゃないの?」

 

「うちの流派って剣術と体術があるんですよ」

 

 後は、医療術の亜種として天命流があるけど、それはまぁ言う必要はないな。

 

 母さんなんかは、その3つを完全に納めていたって話し出し、体術の動きは剣術にも生かせるために、度々鍛えてはいるけど、まだまだだ。

 

「しかし、ちっこいのにおめえさんも頑張るなぁ」

 

「こういう風に生きようと決めてきましたからねぇ。後悔云々の前に当たり前なんですよ」

 

 むしろ、異質なのが魔法であり、それを収めようとまでは思ってない。いずれは収めるかもしれないけど、まだまだ先の話になりそうだ。

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末様。少なかったかしら?」

 

「いえいえ。十分ですよ」

 

 むしろ、普段食べているよりちょっと多いくらいだ。兄さんと違い腹六分目で抑えようとは考えてないが、それでも腹八分目に抑えているから入った。

 

「それじゃあ、腹ごなしのためにもさっきギンガちゃんが言っていた鍛錬をしようか?」

 

「え、食べて行き成りって悪いですよ」

 

「大丈夫、大丈夫。男はそんなに柔じゃないよ」

 

 それに、ここじゃあ夜の鍛錬もできないし、今日は早めに寝るのもいいかもしれないしね。

 

「そ、それじゃあ……」

 

「私も近くで見てていい?」

 

「いいよ」

 

「あら、スバルにしては珍しいわね」

 

「そうなんですか?」

 

「この子って、痛いのが嫌なのか、傷つけるのが嫌なのか、あまりきちんとやってないのよ」

 

「いい子ですねぇ」

 

「そうね」

 

 俺の感想になにやら微妙な顔をするクイントさん。はて、変なことを言っただろうか?

 

「やぁぁぁっ!」

 

「ほい」

 

「はぁっ!」

 

「あらよっと」

 

「せいっ!」

 

「よっこらしょ」

 

 庭に出て、ギンガちゃんの攻撃を全て紙一重で避ける。筋はいいし、拳速もこの歳にしては速い。だが、いかんせん晶やレンちゃん、はては兄さん、何よりもクイントさんの攻撃を見ているわけだから当たるわけはない。

 

「あ、当たらない」

 

「そりゃ、お母さんの攻撃も当たらないんだもの、ギンガの攻撃が当たったら、私泣いちゃうわ」

 

 縁側というか、窓というか、兎に角としてスバルちゃんと隣同士に座りながら鍛錬を見ているクイントさんからの言葉に目を見開くギンガちゃん。

 

「拳速も速いし、鋭いけど、それはその年代に比べればって感じかな?サウスポーだから対面した相手によってはタイミングが取りづらいだろうけど」

 

「むうぅっ!」

 

 ふむ、子供っぽく頬を膨らませるギンガちゃん。自分でもわりといい線行っていると思っていたところだろうからここまで通用しないことが面白くないのかな?

 

「まっ、アドバイスするとしたら、攻撃がどこにくるか丸分かりなのがねぇ。君のお母さんみたくそれごと打ち崩すには至らないしね」

 

 目を見れば一発で分かる。ここら辺の先読みなどは緋凰に必須技能ひいては幻武の絶対条件に引っかかるから、俺のそれは常人以上だけど。

 

「ハンデをあげてベソかかれるのもあれだしね。一発、俺の攻撃を見せてあげよう」

 

「泣きません!」

 

 膨れっ面から今度は真っ赤になるギンガちゃん。なのはの一個下という話だが、ここら辺の反応は歳相応で一緒か。

 

「確りガードしろよー」

 

「はい!」

 

 シールドを張らせて、構えてもらう。危ないので後ろに更にマットも引いて準備万端。

 

 体を撓らせ、下半身から螺旋を描くようにし拳を放つとギンガちゃんのシールドを抜けてしまったので、慌てて軌道修正し、腕の部分を殴りきると、ギンガちゃんはそのままマットまで一直線に飛んでいってしまった。

 

「あちゃ、途中で引っ込めたつもりなんだが、思った以上に威力が乗ったな」

 

 やったのは、晶の吼破とレンちゃんの寸掌の合体技だ。打撃と浸透系の技の複合で打撃に耐えられても内部からの爆発でドカンとやると咄嗟に思いついてやったのだが、思った以上に威力が乗ってしまった。

 

 晶の吼破だけだと、確かに威力はあるんだが、隙がなぁ……あ、でも、最近の晶の吼破って隙ないな……これも、錬度の問題かな?

 

「お、お姉ちゃんが真横に吹っ飛んだ!?」

 

「私も驚きだわ」

 

「おい、ギンガ大丈夫か!?」

 

 ナカジマ家騒然である。やっちまった本人としてはとてつもなく申し訳ない気持ちで一杯です。

 

「大丈夫か?ダメージは入らないように注意したんだが」

 

「は、はい」

 

 あ、ダメだこりゃ。未だに呆然としちゃっている。鍛錬はここまでとして、各々中にはいっていった。

 

「結局さっきのはなんだったんですか?」

 

「俺の世界にいる人たちの技を俺なりにアレンジしたやつだね。技名はない」

 

「人たちってことは複数人?」

 

「二人ですね。因みに、それぞれが大の大人を数メートルはぶっ飛ばせますよ」

 

「……魔法がないって言ってなかったっけ?」

 

「ないですねぇ」

 

「とんでもない力持ちとか?」

 

「いやまぁ、片方は平均女子よりはあるほうだろうけど、その程度だし、片方は鍛錬よりも昼寝やお散歩、料理が好きな子だよ」

 

 晶って脳筋の一種なのにムキムキではないんだよなぁ。引き締まった肉体なだけで。レンちゃんなんてプニプニだし。

 

「これが、技術というものさ。力があっても、それを生かせないようじゃ無駄だしね」

 

 それを生かすも殺すも人次第ってね。

 

 その後、さっきの俺の攻撃がよっぽど印象深かったのか、鍛錬嫌いだというスバルちゃんもギンガちゃんと一緒に真似ようと先ほどの動きをトレースしていたら、疲れ果てて二人とも寝てしまった。

 

「いい子たちですね」

 

「それは、紅莉君が言っていい台詞かしら?」

 

 確かに、ちょっと親父臭かったかな?

 

「おい、紅莉。娘達はやらんぞ」

 

「いりません」

 

「んだとぉっ!俺の子供が魅力ねえってのか!」

 

「このおっさん、めんどくせぇ!」

 

 どう言ったって、絡んでくるのが目に見えたのでクイントさんに案内された部屋にさっさと移動して寝たのであった。




†久遠放送局†

久遠「作者が何作ぶりかのポケモンをやっているから周一更新が遅れると思ったけど、更新したよ」

リニス「でもまぁ、日を跨いでしまいましたがね」

久遠「レベル上げばっかりやって、未だにバッチ1個なのにゲッコウガのレベルを50にしてニヤニヤしている作者は気持ちわるいよね」

リニス「はいはい、作者のリアル話はそれくらいにして、本編のほうを触れましょう」

久遠「さて、空白期でやりたかったネタの一発目DSAA編!」

リニス「編といっても次の話で終わりですがね」

久遠「やる理由は、続くかどうかも分からないVivid編に向けてだしね。何で、やるかわかんないの?」

リニス「簡単に言えば、転生者がVividにどうやって絡むのかとの理由だそうです」

久遠「因みに、やれる理由はVividにてメガーヌがクイントとやっていたという話があったので、既にこのときにはあったと想像してのことです」

リニス「本編というか、Stsを期待してくれている方は申し訳ありませんが、あと10話程度はきっと、空白期の話となります」

久遠「では、次回もお楽しみに」
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