魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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今回は、雨期さまとのコラボ回となります。


コラボ第3弾

 この前は悪いことをしちまったな。あいつも暴れたりないようだったし、今度はこっちから行ってやるか。

 

『とういうわけで、神様よろしく』

 

『いいよー』

 

 目的を言ったわけじゃないのにすぐに了承してくれるということはやっぱり見ていたな。

 

 一瞬目の前が光ったと思ったら、既に場所が変わり、目の前には座禅を組んでいる紅莉がいた……頭に狐乗っているが。

 

「あ、要だー」

 

 紅莉の頭から飛び降りると人間の姿に変わりこちらに駆け寄ってくる久遠。てか、久遠は使い魔だったのか。

 

「どうしたんだ?」

 

 立ち上がりこちらに向かってくる紅莉。

 

「一戦やろうと思ってな」

 

「へぇ」

 

 言葉じゃ、平静を保っているように感じるがあふれ出す闘志がそれを隠していない。目を見ても分かるがかなりギラギラしてやがる。

 

「つっても、ここじゃ無理だな」

 

「あ?」

 

 言われてみて気がついたが、ここは海鳴市の墓地近くの丘か?

 

「俺と要が全力でやったら結界なんてもたんだろ?」

 

「ああ、確かに」

 

『そんじゃ、いいところに送ってやる』

 

 頭に響いてきた声はうちの神様の声じゃない。となると、紅莉の神様か。また、視界が一瞬光に包まれると次にいたのは何もない空間だった。

 

「どこだここ?」

 

『まだ何も生まれてない空間だよ。だから君達が戦っても問題なし。ついでに言えば、ビックバンを起こして、作り出してよ』

 

「無茶を言うなぁ」

 

 うちの神様の言葉に紅莉が呆れてるが、気持ちは分かる。俺だって呆れるわ。

 

「紅莉ー、なんかふわふわするね」

 

「久遠さん?何故にいらっしゃる?」

 

 ずっと一緒にいたのに気づかなかったのか。こいつは変なところで抜けているな。

 

「んー……紅莉と要のカッコいいところを見たいから!」

 

「おっしゃまかせろ!おら、要構えろや!」

 

「落ち着けよ」

 

 かなり興奮する紅莉を落ち着かせる。俺の言葉を聴いて直ぐに冷静さを取り戻しているところを見ると、意外とノリで動いていたのかもしれないな。

 

「と言ってなぁ、俺と要が戦ったら久遠を巻き込むんだけど?」

 

『そこは、任せてよ。彼女には傷つけさせないよ』

 

「頼みます」

 

 久遠は神様のおかげで安全に観戦できるようだ。それを確認した俺と紅莉はある程度はなれて向き合う。

 

「テトラクテュス・グラマトン」

 

「オラァッ!」

 

 紅莉が準備している間に先手必勝と一気に近づいて拳を振るったが、またあの武術なのか攻撃がすかる。

 

「ふっ!」

 

 短い息を吐く声と共に、腕の感覚が鈍くなる。

 

「いって」

 

「その程度ですますな!」

 

 むしろ痛覚切っているはずなのに痛みを感じさせるほうがどうかしてると叫びたくもないが、今はこいつに攻撃を当てるほうが先決だ。

 

「どらっ!」

 

 その後も何度も攻撃を繰り返すが、かすりもしねぇ。こっちとしてはあれからかなり成長したはずだが、それは紅莉も同じだったようだ。

 

 そして、どうしようか悩みながら攻撃していたらふと紅莉と目が合っていることに気がついた。

 

 そこで、一つ思いついたことがあったので、フェイントを混ぜた攻撃をしたが……

 

「ふっ」

 

 やっぱり攻撃があたらなかった。だが……

 

「ORT・部分開放!」

 

「がぁっ!」

 

 攻撃がすかり、紅莉が反撃してくる一瞬の前に背中から生えたORTの足が見事に紅莉を捕らえぶっ飛ばした。

 

「一体何が……なんだそれ」

 

「ORTの一部だ」

 

 起き上がった紅莉の目線は俺のORTの足にくぎつけだ。

 

「後出しかよ」

 

「それだけじゃねえよ!シールドプリズン」

 

 シールドを多数出現させて紅莉を中に閉じ込める。前にアインスがアンカーガンとかを使ったが、俺にはそこまで器用にできないからスフィアシールドの応用だ。

 

「串刺しになりやがれ!デスプリズン!」

 

「はっ!」

 

 紅莉を捕らえているシールドから針を生やして串刺しにしてやろうと思ったが、紅莉は針が貫くよりも速くあっさりと出てきやがった。動けるようなスペースは無かったはずだが。

 

「おお、いてぇ」

 

 体を伸ばす動作をしながら紅莉がこちらを睨んでくる。あまり効いてないような感じだな。

 

「今度はこっちの番だ!」

 

《ディス・レヴ、フルドライブ》

 

 紅莉の魔力が一気に跳ね上がったと思ったら姿ぶれて、気がつけば斬られていた。

 

「攻め立てる!」

 

「嘗めんな!武装・ORT!」

 

 後ろから感じた声に腕にORTを纏い、振り向きながら思いっきり振るうと紅莉の刀と衝突する。ガアンと鈍い音が立ちながら俺は腕を振るった動作のまま、紅莉は刀を振るった動作のまま、組み合う。

 

「なっ!」

 

「驚いている暇はねえよ!」

 

 開いている左手で紅莉を殴りつける。感触がかなり軽かったことから当たる前に後ろに飛んだのか。どんな反応速度だよ。

 

「体にORT纏うとか……化け物が!」

 

「テメエも似たようなものだろうが!」

 

 再び激突する俺達。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラ!」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」

 

 拳と刀がぶつかり合う。こっちはORTという理不尽な生物の甲殻を纏っているのにあっちの刀が折れないでいやがる!

 

「オラッ!」

 

「ぐっ」

 

 力任せに紅莉の刀を上に弾くと同時に開いた胴に蹴りをぶち込んだ。今度はしっかりとした感触がした。

 

「まだまだ!」

 

 吹き飛んでいく紅莉に追いつき、拳を叩き込んでいく。

 

「がふっ……嘗めるな!」

《オーバードライブ》

 

「ぐぁっ」

 

 更に魔力が跳ね上がったと思ったら、後方に思いっきり吹き飛ばされていた。

 

「散れ!極義【天双飯綱】」

 

「ぐわぁっ」

 

 六つの刃が突如現れ、俺のすべてを貫いていきやがった。

 

 

 

 

 

 

 

 水樹さんから教わった、あの人の究極の一を放ち要を吹っ飛ばした後、出来るだけ回復に努めるために追撃しないでその場で佇む。それにしても、要が体からORTを生やしたときは驚いたが、体に纏ったときはもっと驚いた。あの究極の一が人間サイズまで圧縮されるとかぞっとしない。どうやら全身にはまだ纏えてないようだけど、時間の問題だなありゃ。

 

「なんだ、今の。燕返しか?」

 

「その倍は出している刺突版だな。ただの人間が作りだしたんだぜ?」

 

 要を見れば、甲殻には傷がつき、そこから血が流れているがたいしてダメージが入っているようには見えないな。

 

「なんなんだお前の世界は」

 

「人外の魔窟かもな」

 

 こっちの剣士にしろ、武術家にしろ、人外が多すぎる感じがするし。

 

「いで、いででで!お、落ち着け!」

 

 突如、要が変な声をあげて痛がり出す。

 

「どうした?」

 

「どうやらORTがお前に斬られたことに大層ご立腹のようでな」

 

「はっ、上等だ」

 

「ORT開放」

 

 要が一瞬光に包まれたと思ったら、その次には30m以上の大きさを誇る蜘蛛みたい生物が現れる。

 

 見るものあるもの全てに絶望を与える存在、水星の究極の一(アルティメット・ワン)タイプ・マアキュリー、通称ORT。

 

 ORTを中心として世界が塗り替えられていく。やつが住む世界【侵食固有結界・水晶渓谷】が俺を逃さんと捕らえる。

 

 前回は、これに囚われ十全の力を使えずに敗れた。

 

「だが、今回は違う!テトラ・グラマトン!」

《ディーヴァ・レヴ、ドライブ。デュアルリンク、スタート!》

 

 俺の体から更に力があふれ出していく。プラスとマイナスの因子を持つ力同士を対消滅させることであふれるエネルギーをその身に宿す俺の最後の奥の手。

 

 そして、この力の本質は消滅。俺からあふれるエネルギーが水晶渓谷の力とぶつかりあり相殺していく。

 

「Giiiiiii!」

 

「引かん!」

 

 その巨体に見合わぬ速度で突っ込んでくるORTに俺も避けずに応戦する。

 

 

 

 

 

 その世界の中心で力と力がぶつかり合う。かたや、すべてを破壊せんとする究極の力。方や、すべてを裁断せんとする、究極の力。

 

 究極と究極がぶつかり合い、互いを倒さんとその身をその刃を振るう。

 

Giiiii!(潰れろ!)

 

「ぶった斬れやがれ!」

 

 ORTの足と紅莉の刀がぶつかり合う。前回は、ここで刃に皹が入ったが今回は入ることは無くORTの足を切り裂こうとしていた。

 

 しかし、要のORTもその名に恥じない最強の生物。そんな鈍らで斬られるかといわんばかりに、逆に圧し折ろうと力をどんどんと要に送り込む。

 

「はっ!」

 

「Giiiiッ!?」

 

 刀を鞘に一瞬で納めた紅莉は光の軌跡を残し、ORTの後ろまで駆け抜けていた。

 

 そして、それに一番驚いたのは要である。数多ある、足のうち一本が完全に切られてしまっているのだ。

 

「Giiiiiiiッ!」

 

 その事実を認識したのか、要の猛攻が始まった。今までは遊びだといわんばかりに、反撃の隙を与えずに攻め立てる。傍から見れば、枷が外れたように見えなくも無い。

 

「オオオッ!」

 

「Giiii!」

 

 紅莉もさる者。与えられなければ、無理やりにでも生み出すのが剣士であり戦士だ。隙ともいえないような攻撃と攻撃の間に体勢を整え迎撃する。

 

「ぐぅぅっ!」

 

Giiii!(潰れろ!)

 

 ORTで踏み潰そうとするのを紅莉は刃でもって、耐える。しかし、質量・出力とともに劣っている現在の紅莉では耐えるのは無理である。

 

「だったら、限界を超えてやる!」

《フルドライブ》

 

 紅莉の意を汲んだエアが出力を跳ね上げる。現在の紅莉では体が壊れるという理由から使用を控えていたデュアルリンクのフルドライブ。

 

 しかし、勝つか負けるかの勝負で体の心配をする暇なんてない。故に、限界など気にせずにフルドライブに移行し押されていたのを押し返し始める。

 

「断空!」

 

「Giiiiッ!」

 

 紅莉の断空が空間を裂きながら要に迫る。要は避けることもせずに真正面からこれを迎撃する。衝突するパワーが空間を支配する。

 

「集え無限光!そのすべてを虚無へと帰す刃に宿れ!アイン・ソフ・オウル!」

 

Gyuiiii(そんな暇ねえよ!)

 

 紅莉が最後の攻撃と決めたのか、刃に力を集中しだす。しかし、近接同士の戦いゆえに力を溜める暇は与えないと、要が紅莉に攻撃をくりだす。

 

「終いだ!」

 

Gyuaaaa(終わりだ)!」

 

 そして、力をどうにか溜めた紅莉と今まで一番の攻撃を繰り出した要がぶつかりあうとその場は光に包まれ、次いで大爆発を起こしたのであった。

 

 

 

 

 

 

 

「また、勝てなかった!」

 

「そりゃ、こっちの台詞だ」

 

 光が収まり、大爆発の余波も収まった場所には、大の字で倒れている要と紅莉がいた。

 

 二人とも軽口を叩いているが、戦いが終わった瞬間はどちらも瀕死であった。慌てて神様が治療しなければそのまま第三の人生を送っていたかもしれない。

 

《また折れたまた折れた》

《出番があるだけ、マシでしょう》

 

「おい、お前のデバイスが病んでいるが」

 

「ほっときゃ治る。てか、お前のデバイスも暗いぞ」

 

 結果として、要を斬るという役割を果たしたエアだったが、フルドライブの影響のせいか最後の衝突のときに役割を果たした瞬間折れてしまったのである。

 

 要のデバイスのアリストロテレスなんかは、出番があって羨ましそうにしている。

 

 そんな二人の下にとことこと足音が近づいてきた。

 

「紅莉!」

 

「おう、どうだった?」

 

 寝っ転がっている紅莉に飛びつくように久遠がダイブする。それを優しく受け止めると、感想を聞く。

 

「かっこよかった!要も凄かったね!」

 

「あん?びびらないのか?」

 

「んー?前に久遠の中にあったのと似ているし、紅莉の中にあるのと似ているから怖くないよ」

 

「そっか」

 

 久遠の感想に流石の要も頬を緩める。

 

「でも、紅莉勝てなかったね」

 

「おら、たて要!もう一戦だ!」

 

「やだよ、疲れたし」

 

「次は勝てるよ」

 

「修行してくる」

 

「落ち着けよ」

 

 久遠の感想に一々反応を示す紅莉。要は要でどこの親馬鹿だとあきれ返る。

 

『お疲れ様。君達のおかげで無事にビッグバンが起きたよ』

 

 そこに、神様からの声が届く。無事かどうかは別としてそんなことはどうでもいい二人である。

 

『それじゃ、そろそろ帰すよ。時間的にはそれほど経ってないから安心していいよ』

 

「次は確実に勝たせてもらう」

 

「返り討ちだ」

 

 挨拶を交わして二人はそれぞれの世界へと帰っていった。




雨期様より新しい魔法をといわれましたが、私の想像力ではこれが限界……

それと、久しぶりに紅莉が転生者っぽい戦いができたと満足しています。
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