魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

68 / 100
第64話

「うっく……」

 

 色々あったが、とりあえず落ち着ける状態にもなったので、少しの間だが、放置してしまったなのはの様子を見に来たら、ある程度は動けるようになったのか、もうリハビリを始めていた。

 

「あ、紅莉君」

 

 一回目が終わった後、息をついたなのはが俺を発見した。

 

「よっ、頑張っているな」

 

「うん」

 

「どれ、手伝ってやろう」

 

 そういって、針を取り出すと何やらなのはの顔色が悪くなる。

 

「だ、大丈夫、大丈夫!そ、それに、勝手に針なんて打っても、紅莉君怒られるし」

 

「安心しろ。この前の休暇中に鍼灸師の資格は取ってきたから」

 

 青い顔でひたすら言い訳を探すなのはだが、残念ながら詰んでいるんだよなぁ。鍼灸師の話自体はウソだが、そのうち取りに行くつもりである。

 

 ただ、担当医にはきちんと許可をもらっているので、打っても問題は一切ない。

 

《マスター》

 

「れ、レイジングハート!?な、何?ちょっと、今言い訳を探すのに忙しいんだけど!?」

 

 レイジングハートに呼びかけられ、言い訳と言っちゃってるなのは。なんで、痛い思いするってことで話が進んでいるんだ?既に、余程のことじゃない限りは、痛みは発生しないんだが。まぁ、お仕置きの意味も兼ねて痛くするつもり満々だが。

 

《あきらめて、受けてください……にゃ》

 

「にゃっ!?れ、レイジングハート!?」

 

 なんか、語尾に余計なものが追加された気がするんだが?

 

《ムッフー》

 

 そして、エアはエアでなんでそんな興奮しているんだ?体があったら、すっげぇ鼻息が荒い感じで。

 

《いかがされましたか、マスター……にゃ》

 

「いかがされたはこっちのセリフだよ!?どうしちゃったの!?」

 

《……別に私には異常はないですにゃ》

 

「異常だらけだよぉーーっ!」

 

 なんだ、主従ですっげぇカオスな展開をしているんだが。

 

《いぃ……》

 

「お前の仕業か」

 

《マスターがなのは嬢にお仕置きするように、私もレイジングハートにお仕置きをしているだけです》

 

 何処となく、恍惚なセリフをほざくエアに問いただすとあっさりと白状しおった。

 

「てか、なんでレイジングハートにまでお仕置きなんだよ」

 

《そもそも、なのは嬢の体の疲労は、彼女が構築したシステムの一部が体に負担がかかるものです》

 

「ブラスターとか言っていたあれか」

 

《イエス。やるなとは言えませんが、それでも愛機までもが一緒になってまで、体の負担を軽減するどころか無視するようなシステムなんて組むなんて……それに、散々ぱら注意したのに、無視するとはいい度胸です》

 

 おおぅ、なんかよくわからんがエアが黒い。

 

《なので、言語機能をちょこちょこっと弄らせて貰い、猫語を強要してみました》

 

「その割には、とってつけたような感じだが?」

 

《それはまぁ、あれでしょう。彼女も恥ずかしいから、精一杯の抵抗を試みているようですよ?……無駄なのに》

 

 マジで黒いな。エアの言葉を聞き流しながらなのは達のほうに再び目を向ける。

 

《落ち着いてくださいマスター。紅莉どのだって、鬼ではないです。貴女への愛ゆえのお仕置きだと思いますにゃ》

 

「今はそんなことどうでもいいよ!それよりも、その言葉はどうしたの!?」

 

《にゃにを言っているんですか、マスター?》

 

「より酷くなってきた!レイジングハート、メンテしよう!マリーさんやエイミィさん、リニスさんだっているから、ね?」

 

《私は正常ですにゃ》

 

「どこがーーっ!?」

 

 まぁ、主従そろってお仕置きってのは別にいいんだが、レイジングハートの声に羞恥心があるかどうかは俺にはわからない。ただ、時間がたつにつれて猫語が馴染んだのは分ったが。

 

「まぁ、あまり騒ぐな。体に触るぞ」

 

「この状況を見て、騒ぐなって無茶言わないで!?」

 

 とりあえず、なのはを落ち着かせようとしたのだが、テンパっているなのはに俺の言葉は届かず、とにかくレイジングハートにメンテしようと説得している。

 

「面倒だ。てい」

 

「いったぁっ!?」

 

 経過を見守るのもめんどくさくなってしまったので、後ろから近づいて針を問答無用でぶっ刺すと変な声をあげておとなしくなった。

 

「こ、紅莉君、いきなりはちょっと、心の準備が……」

 

「知らん」

 

「一言!?扱いひどいよ!私、怪我人だよ!?」

 

「そんだけ、元気に叫ぶことができんなら心配いらんだろ?」

 

 俺の言葉に、うんうんと看護師の人も頷く。こういうところは、やっぱり共通認識みたいだ。

 

 ただ、なのはがそっちを向くと慌てて明後日の方向を向いて知らん顔しているけど。

 

 

 

 

「くぅ」

 

「痛い!くーちゃん、痛い!」

 

「くぅ♪」

 

「なんで、楽しそうなの!?」

 

 ベッドに戻ったなのはに連れてきた久遠を貸してやったら、久遠は的確になのはの怪我の部分をいじるもんだから、なのははその度に悶絶している。

 

「知らなかったのか?久遠って割とSっ気あるんだぞ?」

 

「くぅっ!」

 

「いだだだっ!?く、くーちゃん、怒るのはいいけど、私の上からどいてからにしてー!」

 

「くぅ」

 

 失敗といって、なのはの上から下りて、俺の脚元にきて抗議を続ける久遠。放っておくと、抗議するのを飽きたのか昇り始めて、定位置その二に収まる。

 

「あー、痛かった」

 

「くーん」

 

「ごめんねだってさ」

 

「あ、うん。それは、いいんだけど、余計なところでSっ気満載ってそれって、単に紅莉君に似たってことだよね」

 

 お腹を摺りながら、涙目のなのはがとても失礼なことを言う。

 

「余計なことを言う口は、この口か」

 

「いふぁいいふぁいいふぁい!」

 

 口を引っ張ってやると、思った以上に弾力があって、意外と気持ちいい。

 

「何を、やっているの?」

 

 こねくり回してやっていると、病室の入り口から声が聞こえてきたので、振り返れば何やらフェイトが突っ立っていた。

 

「おっす。お前も仕事終わりか?」

 

「うん。それで?」

 

「それで、って何がさ?」

 

「何をやっていたのかな?」

 

 何をって。とりあえず、なのはの口から手を離してなのはに耳打ちする。

 

「なんで、あんなに機嫌が悪いんだ?」

 

「私に言われても……紅莉君、こういうことに敏感だよね?」

 

「まぁ、女系家族の中で育てばな。ただ、全くと言っていいほど心当たりが今回はないんだが」

 

「また……」

 

 いや、マジでどうしたんだ?とりあえず、離れて座りなおし、フェイトも座るように勧める。流石に、入り口でつったっているっていうのは、色々邪魔になることもあるし。

 

 とりあえず、フェイトもそれは分かってくれたのか、入り口からベッド横にある椅子に腰掛けた。

 

「なのはにお土産をって思って、買ってきてあげたんだけど、急にあげたくなくなっちゃった」

 

「フェイトちゃん!?」

 

「紅莉にもっといいもの、貰ってたんでしょ?」

 

「いやいやいや!あれを、いいものなんて、フェイトちゃんちょっとやばいよ!?」

 

 なにやら、盛大に勘違いしてるっぽいな。あぁ……なんとなく、察してきたぞ。

 

《相変わらず、変なところで察しいいですにゃ》

 

《全くですね》

 

《サーにも困ったものです》

 

 外野(デバイス)共がなんか好き勝手ほざいているが、今は無視してフェイトに詰め寄る。

 

「なに、紅莉?」

 

 うむ。やっぱりなんか拗ねてらっしゃる。

 

「わたしは……いひゃい」

 

 何かを言おうとしてフェイトだったが、俺が頬を掴むと何やらきょとんとする。

 

「さっきな、なのはが余計なことを言ったからお仕置きとして、こんな風にしていたんだよ」

 

 そう言って、フェイトの頬を捏ねくり回す。なのはのような弾力はないが、こちらの頬はプニプニと柔らかい。

 

 そして、どちらもだが十分に張りもあり、潤いもばっちりだ。まぁ、今の時点で肌が荒れていたら、それはそれで問題なのだが、こいつらって仕事優先って感じの部分も否めないから、ちょっと注意しておかないとなぁ……それとなく、桃かーさんや周りの大人連中に相談しておこう。

 

「あ、あにょ、こうり?」

 

「おお、すまんすまん」

 

 フェイトの頬を引っ張りながら考え事をしてしまっていたために、言われるまで引っ張りっぱなしだった。手を放してやると、頬を摩るフェイト。

 

「絶妙な手加減で後には残らん」

 

「いや、ドヤ顔でいうことじゃないよ」

 

 俺のセリフに突っ込みを入れる、なのは。フェイトはというと、さっきまでのドロっとした感情はどこへやら、もういつもの状態に戻っていた。

 

「んじゃ、フェイトもきたし俺は帰るわ」

 

「「えー」」

 

 俺のセリフに二人とも不満の声を漏らす。それに、苦笑いしながら頭をなんどかぽんぽんと叩いてから帰って行った。

 

 

 

 

 

「貴様は何をやっている!」

 

 机を叩きながらレジアスのおっさんが大声で怒鳴り散らす。

 

「そんな怒鳴らなくても聞こえているよ」

 

 耳に指を突っ込みながら、顔を顰めつつ、文句を言う。隣にいるオーリスなんて怒鳴る前から既に耳を塞いでいやがった。

 

「それに、何をっておっさんからの要請で、特務隊員として現場に行ってきただけじゃないか」

 

「そうだ。だがな、密輸組織のアジトの制圧に向かって、終わってみれば、そこが更地になるとは、どういったことだ!」

 

 唾を撒き散らせながらさらに大声で怒鳴る。飲み物に入ったら堪らないのでさっと避難させる。

 

「いやぁ、皆張りきりすぎだよね?まぁ、密輸組織自体もあれな感じだったし」

 

「貴様……ワシが何も知らんと思っているのか?」

 

「何が?」

 

 いや、本当になんでこんなに怒っているんだ?そりゃ、突入したら思った以上に抵抗が激しく、建物がかなりの度合いで傷ついたのは確かだが。

 

「これを見よ」

 

 そういって、おっさんは端末を操作し、何やら映像を映し出した。

 

 そこには、全員検挙し証拠物件などもろもろを運び出しているシーンが映っていた。

 

「実はこれって、突入から状況終了まで20分程度だったんだぜ?早業でしょ?」

 

「ああ、確かにそんな短時間で制圧できたのは褒めてやろう。相手の抵抗で戦闘をしたと加味すれば、早業なんて言葉どころではないな」

 

 おお、珍しくおっさんが素直に褒めてくれた。このおっさん、どこにも需要がないのに、ツンデレみたいな感じでなかなか認めようとしないんだもんなぁ。

 

「だが、問題はそのあとだ!」

 

 そういって、未だに映っている映像を見ていると、突如建物が嫌な感じできしみだし、倒壊していく。

 

『う~ん、このまま放置も危ないし撤去してしまうか』

 

『撤去はいいのですが、どうやって?』

 

『魔法でぶっ飛ばせばいいんじゃない?幸いにも近辺には何もないしな』

 

 わお、なんでここまで映っているんだ?エアの報告書には映像データなんてつけるわけないし、他のも隊員もここまでやることはないはずだ。

 

「てか、このデータはどっから?」

 

「とある筋からだ」

 

「めっちゃ怪しいんだが、裏と取引してねぇよな?おっさん」

 

「嘗めるな小僧。ワシはそこまで落ちておらん」

 

「ならいいけどさ」

 

 なんともキナ臭いことで。ゲンヤさんあたりが、おっさんの黒い噂を教えてくれていることもあるんだが、ただ、このおっさんの平和への願いは本物なんだよなぁ。そういう意味では、嫌いになれんのが厄介なところだ。

 

『一番いっきまーす!安月給で働かせてんじゃねーよ!』

 

 映像を見続けていたら、何やら文句を言いながら砲撃をかます局員。

 

『嫁に『私と仕事どっちが大事なの?』って言われたぞ。ドラマや小説じゃねえんだぞ、この野郎!』

 

 さらに奥さんとの仲に亀裂が入った人や。

 

『有給申請したら、『忙しいからダメ』とか人事から帰ってきたぞ、ふざけんな!』

 

 有給が通らない理由が、あまりにあまりな内容の人など、とにかく未だに余裕があるやつらがどんどんと、倒壊した建物に向かって攻撃していく。

 

 一通り、順番が回り終え、ついに俺の番となった。

 

『厳つい顔しながら、最近腹が出てきたのがちょーうけるんですけど!』

 

「ぷふぅっ!」

 

 ちなみに俺はと言うと、おっさんへの悪口をもろに言ってやったんだが、それを聞いたオーリスが思わずといった感じに噴き出した。

 

 デスクワークだから仕方ないとは言え、おっさん最近かなり腹がたゆんできているんだよなぁ。

 

「ふ・ざ・け・る・なーーーっ!」

 

 笑いを必死にこらえようと口元を隠しながら顔を背けるオーリスだが、体が小刻みに震えていることからどうやらツボに入ったらしい。

 

「ここ最近は、貴様のせいで体重が落ち取るわ!」

 

「体重落ちて、その腹は別の意味でやばくね?筋力落ちてるんじゃね?」

 

「ぷふぅっ」

 

 再び噴き出すオーリス。どうやら、さらにツボに入ってしまったらしい。まぁ、娘として父親の腹回りが出てきたのをネタにされたら笑いも出るわな。

 

 うちもとーさんの腹が出てきたらそれはそれで大笑いだが。

 

「もういい!とにかく、出ていけ!」

 

「出ていけって、命令も貰ってないときはここで待機でしょ?」

 

「どうせ、大人しく待っているつもりもないだろうが!いいから、訓練室でもいって、鍛錬でもしてろ!」

 

「へ~い」

 

 鍛錬許可も貰ったことですし、とっとと訓練室にでも行こう。

 

 

 

 

 

「はぁ、はぁ」

 

 紅莉が出て行ったあと、肩で息をしながらどかっと椅子に座りなおすレジアス。それと同時に腹のやや上あたりを押さえながら机の引き出しを開いた後、何かを探し始め、やがて何かのケースを見つけた。

 

 ケースを開くと、そこには何かの錠剤が入っており、それを3つほど取り出すと水とともに呑みこんだ。

 

「くっ、あやつのせいでワシはいらん苦労を……」

 

 苦々しく言い放つレジアス。だが、紅莉が来てからというもの、事件の検挙率が飛躍的に上がっているのも事実である。

 

「諦めましょう。私はもう、諦めました」

 

「実害がないから、お前はそう言えるのだ」

 

「ええ」

 

 しれっと言い放つオーリスに深いため息を放つレジアス。この娘、いつの間にか図太くなってしまった。それもこれも、紅莉が来てからだが、たった1か月程度でこれなのだから、もともと素養はあったのかもしれない。

 

「評議会の連中はあやつを使いつぶすつもりでいるようだが……」

 

「まぁ、無理でしょうね。彼のスペックは数字では測れないところが多いですし」

 

 二人そろってその結論にため息を吐く。ゲイズ家の苦難は続くのであった。




†久遠放送局†

久遠「漸く出番かと思ったら、なのはいじりのための道具的な感じでしかなかった!何より、勝手な属性をつけられた!」

リニス「さり気にSじゃないですか」

久遠「違うもん!本編の久遠は純粋だもん!本編でもドSのリニスには言われたくないもん!」

リニス「私のどこがSなんですか」

久遠「作者の頭の中じゃ、リニスは完全にS属性って決まっているみたいだよ」

リニス「ほぅ」

久遠「ほら、その反応や顔をするからSなんだよ」

リニス「はっ!?」

久遠「気づいてなかったのか……まぁ、いいや、では、次回もお楽しみに」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。