魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第65話

 ある日、俺ははやてに用があると言われ、本局の技術開発局へと足を延ばしていた。

 

「お、よーやっと来たな!」

 

「呼び出しておいて、それはないだろ?」

 

 開発局の第何支部かは知らないが、とにかく目的地に着くと、はやてとリインフォースが既に待っていた。

 

「なんで、リインフォースがここに?てか、なんでリニスがいるんだ?おまえ、俺の使い魔ってことで地上勤務だろうに」

 

「アリシアとマリエルさんの手伝いに呼ばれたんですよ」

 

「やっほー」

 

「お久しぶりです」

 

 ついでにいたリニスに聞いてみたら、そんな答えが返ってきて、二人から挨拶される。

 

「久しぶり」

 

「ほんとだよー。紅ちゃん地上勤務だし、用もなければこっちに来ないから全然会えないんだもん」

 

「用がないからな」

 

「フェイトとは会ってるくせに」

 

「別にフェイトだけじゃないけどな。それに、そう思うならお前も学校に来ればいいし。別段、ダメって言われているわけでもないんだろ?」

 

「そうなんだけどねー。研究って始めるとこれが面白くて」

 

 さすがは、プレシアの娘ってところか。この年から既に研究者としての片鱗が見えてきている。

 

「ちょうまってや、今日の趣旨は同窓会でもなんでもないで?」

 

「同窓会ってほど会ってないわけじゃないがな」

 

 まぁ、確かに呼び出した本人を置いて、別の奴と話し続けるというのは礼儀にかけたかもしれんな。

 

「そんで、用件は?」

 

「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれました!じつはな……」

 

「なんか、はやてが新しいユニゾンデバイスを作るらしいからその立会に呼んだらしいよ」

 

「せやせや……って、私のセリフをとらんといて!?」

 

「芸人としては、おいしいんじゃないか?」

 

「こんなもんは、お約束であって、全然おいしくないわ!」

 

 まぁ、確かに。ただ、もったいぶった前置きをすれば、それがネタ振りだと思うから、立場が違えば、俺もはやてもやっていただろうけど。

 

「てか、また作るのか?おまえ、何個のデバイスを作るつもりだ……それよりも、ユニゾンとかリンフォースがいるだろ?」

 

「実はな、そのことを伝えるために今日はお前を呼んだんだ」

 

 俺のツッコミにはやてではなく、リインフォースのほうが答えてきた。

 

「ふむ」

 

「せやで。てか、末の妹ができるっちゅーのに、いろんな意味で女の子に影響を与える紅莉君を呼ぶかい」

 

「どういう意味だ」

 

「女好き」

 

「ナンパ師」

 

「たらし」

 

 はやてのあまりにもな言いがかりに食ってかかれば、速攻で知り合い全員にそうスカンを喰らう。

 

「待て待て待て。百歩譲って女好きは認めよう。俺だって男だ、綺麗な女性は大好きだ。だが、たらしこんだことも、ナンパしたこともないぞ」

 

「でも、紅ちゃんって、女の子見れば、とにかく褒めるよね?それか、特徴的な部分を見つけるよね?」

 

「当たり前だろ?女性は褒めて延ばしてこそ、美しくなるものだ」

 

「ほら」

 

「なん、だと?」

 

 アリシアの言葉が理解できない……俺は、何か変なことを言っているんだろうか?

 

「天然とはまた違うものですし……困ったものです」

 

 リニスが思いっきりため息を吐いている。失礼な使い魔だ。

 

「とにかくとして、紅莉を呼んだ理由だが、これは私自身に生じた問題であるんだ」

 

「聞こうか」

 

「実はな、主とのユニゾンをするに当たって、ここ最近、主を圧迫することが判明したんだ」

 

「圧迫?」

 

「ああ。ユニゾンとは言葉の通り、融合することを指す。融合することで、力の上限を上げるだけでなく、主の術のサポートを行ったり、主が対処できない時に中から対処するなど、色々な役割を持つ」

 

「なるほど」

 

「もちろん、誰でもできるわけでなく、ユニゾンには適合率というものが存在する」

 

「もしかして、その適合率が落ちたのか?」

 

「いや違う」

 

 俺の推測にリインフォースが首を横に振って否定する。

 

「それならば、そういう理由だと言うだろう?」

 

「そういえば、圧迫すると言っていたな」

 

「ああ。ここからが、本題なのだが…ここ最近は、大きな事件もなく私とユニゾンする必要もなく、穏やかに過ごしておられたのだが」

 

「まぁ、ただでさえSランク魔導師なはやてが、お前と融合するという状況も考えはつかんわな」

 

 前に聞いた話じゃ、はやては細かい制御が苦手で、リインフォースに処理を任せているとかなんとか……後は、エアやレイジングハートみたいなインテリジェントとは相性が悪くて、ストレージを使うしかないとか。その部分を、リインフォースが担当する形にはなっているが、おおざっぱでも使えなくはないのだから、緊急性がない限りはしないもんか。

 

「でだ、先日に私のメンテナンスということで主との適合率を測った時に、違和感を感じてな」

 

「私自身は、あまり気にならんかったやけどねー」

 

「マリエルに調べてもらった結果」

 

「圧迫していたと?」

 

「正確には、私が変質していた故にだがな」

 

「どういうことだ?」

 

 変質とはこれいかに?ぱっと見、変わった感じはせんが……って、あれ?

 

「お前って、こんなに人間ぽかったっけ?」

 

「気づいたか」

 

「ちゅーか、なんで気づけんねん。わからんやろ……」

 

「まぁ、紅ちゃんだからねー」

 

「アリシア、その考え方は間違ってませんが、科学者としてはダメですよ」

 

 外野が五月蠅いが、今はシカトしておこう。必要ならば、あとでお仕置きすればいい話だ。

 

 もともとが人間と変わらん思考に体を持っているから気づきにくいが、昔こいつ自身がいったように物であるには変わらず、気配が人のそれと微妙に違うものだった。

 

 そこを言えば、ヴォルケンズなんかは人間と変わらない雰囲気を持っているからおかしなものだ。

 

「私自身、何故どうやってこうなったかは知らないが、だんだんと人に近づいてしまった弊害で主とユニゾンするに当たり、負担をかけてしまうのだ」

 

「なるほどな」

 

「ただ、私自身のデバイスとしての役割自体は消えたわけでなく、しようと思えば、できなくはないのだが」

 

「はやての体のことか?」

 

「ああ。主の体に負担をかけることは私としてもよろしくない。更に言えば、先日のなのはのこともあるしな」

 

「あー」

 

 その度は心配をかけて申し訳ない。

 

「私としては、気にならんレベルやし気にしすぎとちゃうかとも言ったんやけどな」

 

「主が成長すればまた変わるかもしれませんが、成長期に当たる今の時期には御控え願いたい」

 

「と、周りがこうやねん。ただ、私としても万が一の時に出来んちゅーのは怖すぎるから、この際、新しく生み出そうって話になったんや」

 

 なるほどなぁ。両者の言い分はわからないまでもない。ただ、やはりリインフォースの言い分のほうが筋が通っているし、先日の愚妹の怪我もあればなおさらだろう。

 

「そういえば、新しく生み出すと言ったが、具体的には?」

 

「私のリンカーコアを元に、アインスのデータをコピーした子やね」

 

「アインス?」

 

「ああ。私の名前は、このたび生まれてくる子につけてもらおうと願い、新たな名前を頂戴したんだ」

 

「だからって、お前、数字って……」

 

「分かりやすいやろ?ちなみに、今度生まれてくる子は、ツヴァイや」

 

 いくらなんでも、安直すぎるだろ。それに、女の子に一郎とか次郎みたいな感じの名前ってどうなんだよ?

 

「それに、何だかんだ言うても、響きも綺麗やし」

 

「それは、まぁなぁ……」

 

 なんで、ヨーロッパ系の数字は数え方がここまで綺麗なんだろ?チンクもそうだけど。

 

「ちゅーわけで、いってくるわー」

 

「マリエルの胸揉むなよー」

 

「それは、約束できひんなぁ」

 

「なんで!?」

 

 驚いているマリエルを引き連れて、はやてたちは奥へと消えていき、俺とリインフォース改めアインスのみが残される。

 

「そういや、俺って未だにお前とユニゾンできるんかね?前は、裏技使いまくって強引にしただけだが?」

 

「そういえば、その後はデータも何もとって無かったな」

 

《マスター!こんな奴と相いれる必要はございません!》

 

 ったく、なんでこいつは人のデバイスにちょっとでも興味を示すとやかましいんだか……捨てられるとでも思っているんかね?便利だから捨てることはないんだが。

 

「ちと、やってみるか。待っている間暇だし」

 

「いや、主にもあったが、紅莉にないとは言いきれないのだが……」

 

「まぁ、お前の気持ちも分かるが、はやてと一緒にすんな。そんな、軟弱な体ではない」

 

「やれやれ」

 

《はぁ…データは私がとればいいんですよね》

 

「よろしく」

 

「すまないな」

 

 ため息を吐いて、結局手伝ってくれるエア。周りに簡易結界をアインスに張ってもらい、いざ。

 

「「ユニゾン・イン」」

 

 セットアップの言葉を口にすると、アインスが俺の中へと溶け込んでいった。

 

「ふむ、別段変わった感じはしないが?」

 

《こちらも、圧迫している感じはしないな。分かっていたが、つくづく人間か疑わしいな、お前は》

 

《失礼なことを言っていると追い出しますよ?さて、適合率は……80%ぐらいですね》

 

「高いのか低いのか分からん」

 

《主との適合率は最新で98%だ》

 

「そうすると、低いとなるのか?」

 

《だが、一般的に考えれば実用範囲内という感じだな》

 

「そうなのか?」

 

《ああ。誰しも必ず適合できるというわけでもない。逆に低ければ、暴走プログラムのように主従が逆転する》

 

 なるほどなぁ。

 

《もちろん、それは信頼関係が築けてないでの話だ。築けていても低い場合は、圧迫云々関係なく、体に負担をかけてしまうからな》

 

「なるほど。実用範囲内となれば、多少の誤差はあれど、お前を使役する分には問題はないということか」

 

《そういうことだ。器と言えば、分かりやすいが、紅莉と主では現状では紅莉のほうが大きいとなるな》

 

「適合率を考えれば、とんとんくらいか?」

 

《いや、適合率を考えるならば、主のほうが効率は高いな》

 

《まぁ、マスターが貴女とユニゾンして何をするかって話もありますがね》

 

 確かに。俺の使う魔法なんて、せいぜいが飛翔・身体強化・足場生成程度だし、ブレイカーに関しては余程ではない限り使うこともないからな。

 

《身体強化か。少し待て……これでどうだ?》

 

「うん?」

 

 アインスが何かをやったらしく、体が軽くなると同時にバリアジャケットのデザインも変わった。

 

《紅莉が使うのはミッド式だったろう?ただ、動きや戦闘法を考えるとベルカ式のほうが相性がよさそうだったために、多少変えてみた》

 

《なるほど。確かに、マスターの身体強化にはベルカのほうが相性はいいですね。数値上だけを見ても2割ほど性能が上がっていますし》

 

「そうなのか?」

 

 正直、そこらへんは全く気にしていなかった。魔法の教師はリニスだったし、エアもそこらへんは全く触れてこなかったし。

 

「バリジャケのデザインが変わったのは?」

 

《ああ、すまない。ジャケットのほうも、ミッド式に編まれていたのだが、ベルカ式との兼ね合いで混合式にしたら変わってしまった》

 

「まぁ、別にかまわんがね」

 

 今まで真っ白だったコートに文様が走った程度なので、問題視するほどでもない。これが、色が変わったとなったら流石に文句を言うが、ガラなしがガラができたというくらいだ。予備のコートのうち、何枚かはこういう感じのコートも持っているからな。

 

《しかし、このコートは防御力は対してないが、身体保護という観点で言えばかなりの性能を持っているな》

 

《マスターの場合、身体能力と技量のつり合いが全く取れていないので、こういう形になったんですよ》

 

《ふむ。これは、今後の参考にできるか?》

 

「おーい、俺を置いていかないでくれ」

 

《む、すまない。何分、主以外とのユニゾンということでどうやら私も多少だが浮かれていたようだ》

 

「まぁ、別にかまわんがね」

 

「あー!紅莉君が、アインスをたらしこんどる!」

 

「またですか?」

 

「もー!フェイトのことは使い捨てなの?」

 

 その後も、色々とエアとアインスは意見を交換していたのだが、俺にはちんぷんかんで結局言わせ続けていたら、戻ってきたはやてたちがとてつもなく失礼なことをほざいてきたので、先ほどのお仕置きもかねて徹を込めたデコピンをしてやったら悶絶している。

 

「わ、私はなにも言ってないじゃないですか……」

 

「ついでだ」

 

「DVです!DV主がここに!」

 

「もう一発いっておくか?」

 

「すいませんでした!」

 

 文句を言ってくるリニスだが、流石に二発目は嫌だったようで、謝ってきたので許してやる。

 

「ちゅーか、なんでユニゾンしとるん?」

 

「前に俺もできたし、できるかなと。後は、お前の圧迫がどの程度かっていうのを知りたくてな」

 

「収穫はどうなんですか?」

 

「主には悪いですが、現状だけでいうならば紅莉とのユニゾンは問題はないですね」

 

《適合率も80%ありますから、問題になるような点もありませんし、色々と調べましたが、問題はありませんね》

 

 アインスとエアからの回答に驚きの表情をする科学者たち。はやてははやてで、そっかーと暢気な回答をしている。

 

「んで、末の妹はどうしたんだ?」

 

「流石に、すぐってわけやないな。一週間後にまた来てもらってもええか?」

 

「あいよ。てか、結局説明受けるだけで終わるんなら、その時でよかったんじゃないか?」

 

「あははは、私としてはすぐに大丈夫やと思ったんやけど、違ったみたいや」

 

 明後日の方向を見ながら、後頭部に手を回し汗を流すはやてにチョップをくれてやり、今日のところは引き揚げて行った。

 

 

 

 

 

「ほんじゃま、お披露目と行こうか!」

 

 一週間後、結局皆を集めて、新生リインフォースのお披露目会を開催することとなった。

 

「それじゃ、呼ぶで?リインおいで」

 

「はいですー!」

 

 なんとも暢気な声をしながらふよふよと小さな小人が現れた。

 

「うわぁ、かわいい!」

 

「はやて、この子が?」

 

「せやで?ほら、リイン挨拶せな」

 

「はいです!みなさん、初めまして!リインフォースⅡです!」

 

 顔立ちはどことなくはやてに似ているか?髪の毛の色などはアインスと同じだが、頭の髪留めははやてとお揃いのような感じだし。

 

「リイン、これからは私に代わって主のサポートを頼むぞ?」

 

「はいです!お母さん!」

 

『お母さん!?』

 

 アインスの注意に元気よく返事をしたまでは良かったんだが、そのあとのアインスに対しての呼称がおかしく、はやて以外の連中と声をそろえて驚きの声をあげてしまう。

 

「あー、ツヴァイ?リイン?」

 

「はいです。どちらでもいいですよ?」

 

「じゃあ、リインで。なんで、アインスがお母さんなんだ?」

 

「だって、リインはお母さんを元に生まれたです。なので、お母さんはお母さんなのです」

 

「なるほどなぁ」

 

 はやてのリンカーコア云々はどこ言ったんだという話は置いておくにしても、リインの言い分は筋が通っているな。

 

「そいうことで、よろしくです。お父さん」

 

「は?」

 

『なにぃぃぃぃぃぃっ!?』

 

 続けざまにリインがわけのわからん爆弾を落としよった。なんで、俺が父?

 

「紅莉君、どういうこと?」

 

「きっちり、説明してくれるよね?」

 

「待て待て待て。俺にもわけが分らん。とにかく理由を聞くから、その手に持ったデバイスを待機状態にしろ」

 

「「ちっ」」

 

 こいつらは……とにかく、今はこのちみっこい子に真相をきかなければ。場合によっては、明日の朝日が拝めん。

 

「あーリインよ?」

 

「なんですか、お父さん?」

 

「なんで、俺がお父さんなんだ?」

 

「だって、お母さんはお父さんがいなければ死んじゃっていたじゃないですか。だから、リインにとって、お母さんを救ってくれたお父さんはお父さんなんです」

 

「だ、そうだが?」

 

「ちなみに、はやてちゃんに言ったら『面白そうだからOKや』って許可もくれましたよ?」

 

「ほう」

 

「ちょっ!リイン!それは、秘密やって……」

 

 リインの口を塞ごうと動こうとしたはやてだったが、その両肩をガッチリと掴む二つの手に恐る恐る振り返るはやて。

 

「ちょっと、お話しようか?」

 

「手伝うよなのは。それに、一度徹底的に頭を冷やしたほうがよさそうだね」

 

「ちょっ、まっ、だ、誰か助けてー!」

 

 はやての叫びに全員巻き込まれたくないのか目をそらす始末。救いのはずのクロードやヴォルケンズですらそうだった。

 

「全力全壊!」

 

「ちょっ!?それ、字が違うとる!」

 

「トライエッジを知っているかぁっ!」

 

「武器似とるけど、そもそもジャンルと性別がちゃう!……ぎゃぁぁぁぁっ!?」

 

 きっちりと叫んでいるし、想像よりはダメージは少ないだろ。

 

「はやてちゃん、強く生きてくださいです」

 

 他人事のように、はやてが連れていかれているほうを見ながら励ますリインを見て、一つため息をつきアインスに向き直る。

 

「あぁ、なんだ?とりあえず、頑張れ」

 

「自信はないがな……」

 

 色々と察したらしいアインスの顔はとても憂いていた。

 

 

 

 

「そういえば、今後のお前はどうするんだ?」

 

「ああ、デバイスを作ってもらってそれで将達と同じように前線で戦う予定だ」

 

「なるほどな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「紅莉、少しいいか?」

 

「どうしたの?」

 

 珍しくレジアスのおっさんが俺に休みをくれたので、久々に我が家でのんびりと久遠と戯れながら過ごしていたら、兄さんから話があると縁側まで連れて行かれた。

 

「くー」

 

 俺の膝の上で気持ちよさそうに日向ぼっこをしながら寝ている久遠をなでながら待っていると、兄さんも久遠に癒されながら口を開いた。

 

「肩の調子はどうだ?」

 

「そうだね……日常生活にはもう支障はでないかな?」

 

 そういって、肩を回すもつっぱる感じも痛みもない。

 

「ただ、全力で振る機会もないから、刀がどこまで使えるかは分らないな」

 

 ただでさえ、魔法の補助があるからと言って、決意の時や引けない時に使ってしまっているからか、治りが若干悪い。そのせいで、フィリス先生に怒られてしまっているのだけど。

 

「兄さんのほうは?」

 

「お前のおかげで、違和感は消えたな。ただ、神速を使いすぎると流石に、な」

 

「当たり前だよ」

 

 兄さんのセリフに呆れてしまう。なんだって、そんな馬鹿なことが前提なのかなぁ?どうせ、一人鍛錬の時なんかに神速込でやっているんだろうけど。

 

「そういえば、兄さんの立ち方が綺麗になっているね。膝の影響が少なくなっているんじゃない?」

 

「そうなのか?」

 

「昔、母さんも言っていたけど、膝を庇っている影響なのか、重心が悪くなっていたと思うよ?」

 

 よくよく思い返してみればってレベルだけど。

 

「ふむ……」

 

 俺のセリフに一つ頷き、何か納得ができるものがあったのか、納得がいく顔をする。

 

「そんで、話ってそれだけじゃないんでしょ?」

 

「ああ、そうだったな。実はな、特防隊の訓練に呼ばれているんだが、お前も行くか?」

 

「行く!」

 

 兄さんの言葉に迷うことなく即答すると、兄さんはやはりという顔で苦笑いしていた。

 

「言うと思った。分かった、美沙斗さんにはこちらから伝えとく」

 

「これで、また一歩前に進める」

 

「お前のその理想に対する姿勢は見習わなければならないな……ただし、母さんには自分から説明しろよ」

 

「おおぅ……」

 

 どんなテロリストよりも厳しい相手が待っていたのを忘れていた。

 

「ちなみに日程は?」

 

「再来週からだ」

 

「了解」

 

《マスター》

 

 日程を聞き、調整しようとしたらエアから声をかけられる。はて?こういう場面では空気に徹するぐらいには空気が読めるはずのこいつが声をかけてくるってのは珍しいな。

 

「どうした?」

 

《再来週は、合同任務により出向するのをお忘れですか?》

 

「なん……だと……!?」

 

 急ぎ、エアの中に入っている日程表を確認すると、確かに再来週……正確には、来週のケツから任務が入っていた。

 

「くっ、だったら、こっちをキャンセルすれば……」

 

《無理です。古巣でもある首都防衛隊との任務ですので……マスターも流石にキャンセルはできませんよね?》

 

「ぐっ……」

 

 エアの一言が胸に刺さる。確かに、現状の部隊は昔と違ったメンツに所属も変わってしまっているが、そこの任務を放棄はできない。

 

「ちくしょう!」

 

「どうやら、タイミングが悪かったみたいだな……」

 

 気の毒そうな兄さんの顔にがっくりと肩を落とすしかなかった。

 




†久遠放送局†

久遠「紅莉が結婚やらなんやらの過程を全てすっ飛ばしてお父さんになっちゃった!?」

リニス「わりと最初の段階から決まってはいたみたいですがね」

久遠「なんでも、『アインスをお姉ちゃんと呼んでいるのは多く見るけど、お母さんと読んでいるのはないな。これは、勝つる』とかわけわかんない理由からだよね?」

リニス「はい。公式云々の話は既にこの小説ではあってないようなものですからね」

久遠「まぁ、それはそれで面白いしいいんじゃないかと思う」

リニス「もうひとつ、設定話をするとしたら、アインスのデバイスは映画版のナハトヴァールまんまです」

久遠「うねうねとした触手は流石にないけどね」

リニス「形状的にも戦闘スタイルにも合うし、そのまま採用しました」

久遠「では、次回は一回休みになると思うので、再来週に会いましょう」
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