魔法少女リリカルなのは~刃の行き着く先~   作:レティウス

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第68話

「緋凰二尉、配置完了しました」

 

「ういうい~」

 

 紅莉が近寄ってきた人の報告に対してかなり軽く返事を返して、前を見ているんだけど、なんか報告に来た人は持ち場に戻らずそのままそこにいるけど、どうしたんだろ?

 

「ん?どうかしたのか?」

 

 紅莉も気になったようで、首をかしげながら尋ねる。

 

「あの、緋凰二尉。その、頭の上に乗っているのは……?」

 

 むっ、人を指差すなんて失礼な。

 

「俺の使い魔で久遠って言うんだ。今日はちと、もう一体の使い魔が面倒みられないってんで連れてきた」

 

「くぅ!」

 

「あだだだだっ」

 

 失礼な!久遠、誰かに面倒みられなきゃいけないほど子供じゃないもん!

 

「わーった、わーった」

 

「くぅ」

 

 あんまり効いてないようだけど、お仕置きも済んだし、立てていた爪を戻して再び紅莉の頭に乗っかる。

 

「あの……使い魔は分かったんですが、なんでそこに?」

 

「くうん」

 

「定位置なんだとよ」

 

 そうだよ!紅莉の頭の上はなんか座りがいいし、落ち着くんだよね~。最初はリニスがいたせいで、肩に乗っかるしかなかったんだけど、最近のリニスは猫にならないから久遠専用だよ!

 

 と、言えたらいいんだけど、なんか知らないけどリニスって久遠が頭に乗っていると、猫になって久遠を追い出そうとしてくるんだよねぇ。

 

 まぁ、肩には肩のすわりの良さがあるからいいんだけどね!

 

「それで、その使い魔の戦闘力は?」

 

「は?」

 

「いえ、ですから、戦闘力は……」

 

「は?」

 

「あの……」

 

「は?」

 

「……なんでもないです……」

 

 なんか、がっくりと肩を落としながら行っちゃった。どうしたんだろ?あと、久遠の戦闘力って言っていたけど、あの人には負けないかなぁ?戦おうとすると紅莉もリニスも止めてくるからどうなるかは分らないけど。

 

「てめぇ!久遠たんは俺らの癒しなんだよ!疑問に思うじゃねぇ!」

 

「そうだそうだ!」

 

 なんかあっちから、すっごく大きな騒ぎが起きているけど、なんだろ?

 

「あの馬鹿どもが」

 

「ねぇねぇ、ここって前にも一度来たよね?」

 

「お、よく覚えていたな~。えらいぞ、久遠」

 

 えへへ~。紅莉に褒められちゃった。

 

「まぁ、理由をいやぁ、ここの隊長が胃潰瘍で入院したらしくてねぇ、何故かは知らんが、俺に代理を頼んできやがったんだよ」

 

 めんどくせぇとぶつぶつと文句を言う紅莉。そういえば、紅莉って誰かにあれこれ指示を出すよりも一人で突っ込むのが好きだもんねぇ。

 

「そうそう。誰かに任せるだけなら俺でやったほうが早いしな」

 

「でも、あのおじさんにはもう少し後身がどうとか言ってなかったっけ?」

 

「そうだったか?基本的にレジアスのおっさんの説教は右から左に流しているから覚えてない」

 

「もう」

 

 紅莉って本当に脳筋だね。最初は意味が分らなかったけど、リニスやなのはが教えてくれたから納得した。

 

 特になのはからは『お兄ちゃんと紅莉君のような人』って説明を受けて納得したっけ?

 

 そのあとに、なのはが紅莉にお仕置きされていたけど。

 

「さ~ってと、お前らー」

 

『はい!』

 

「ただの武装テロ集団だ。てか、最近テロ多くね?」

 

『確かに』

 

「まぁいいや。今回は制圧戦だ。突撃(アヘッド)粉砕(アヘッド)勝利だ(ゴーアヘッド)!」

 

『うおぉぉぉぉっ!』

 

「粉砕はダメなんじゃ……」

 

 さっき、久遠のことを聞いてきた子がなんか、釈然としない顔をして呟いていたけど、もしかして新人なのかな?この隊って前からこんな感じだったけど。

 

 

 

 

 

 

「おっし、お疲れ。周辺の被害は……俺にされても困るから、適当に纏めといて、あの人に渡しておいてくれ」

 

「はい!」

 

 なんか、あっさりと戦いが終わっちゃったね。紅莉もやり足りなさそうな顔しているし。

 

「緋凰二尉!」

 

「どうした?」

 

「く、久遠たんを撫でていいですか!」

 

「どうだ?」

 

「気持ち悪いから嫌!」

 

「おびえたから却下だ!」

 

 き、気持ち悪いよぉ。なんか、全身の毛がぞわぞわってした。

 

「ばかやろーーーっ!」

 

「久遠ちゃんは俺らの癒しだったんだぞ!」

 

「愛でるのが目的でしょう!なにを汚い心で見ているのよーー!」

 

「てめぇのような奴がいるから、未だにどこの隊も撫でたことがある奴がいねぇんだぞ!」

 

「ぎゃぁぁぁっ!」

 

 なんか、あの気持ち悪い人に対していろんな人が魔法をところ構わずに撃っているなぁ。色とりどりで綺麗だね。

 

 まぁ、久遠自体として撫でられるのは嫌いじゃないけど、なんか嫌な気配とか感じるからそういうのがない人がいいかな?

 

 そういう意味じゃ、最初のころのなのはは怖かったなぁ。なんか、ギラギラした目で久遠のこと探していたし。

 

「ここって、地上部隊でも選りすぐりの部隊って話だったのに……」

 

「実情なんてそんなもんだ。実力はあるんだが、癖が強いって地上じゃ有名だったが?」

 

 紅莉の話を聞いてなんか落ち込んじゃった。

 

「てか、さっきからそのキツネってくぅんとしか鳴いてないんですが、なんで分かるんですか?それとも、使い魔ってことでわかるんですか?」

 

「さぁ?」

 

「ねー」

 

 紅莉と揃って首をかしげる。いつの間にか、紅莉とお話するのに不便にならなくなったから、気にもしないけど。

 

「さぁって……それに、結局戦いに使ってないじゃないですか」

 

「あの程度で援軍なんぞいらんだろ。俺一人でも時間をかければ十分に制圧できるし」

 

「いやいや、可笑しいですよ」

 

 う~ん。この人の気持ちもわかるけど、常識に囚われてちゃ強くなれないよ?紅莉や恭也を見て久遠はそれを知ったね。

 

「あー、新人。その人はいいんだよそれで。考えるな、諦めろ」

 

「酷い言い草だな」

 

 全面的に同意するけど、ここは黙ってよ。紅莉ってわりとねちっこいから後でお仕置きあったら嫌だし。

 

「さてと、報告書の提出とかは宜しく。俺は帰るわ」

 

「おつかれさまでーす」

 

「お~う」

 

 手をひらひらと振りながら紅莉と一緒に帰った。

 

 そのあと、部隊運用が雑すぎるっておじさんが怒っていたけど、紅莉はどこ吹く風だった。

 

 

 

 

 

「はぁ?兄さんに弟子入りしたい?」

 

「どう、かな?」

 

 休暇の鍛錬中にクロードがやってきたと思ったら、突如そんなことを言いだしてきた。

 

「なんで、また」

 

「いやな、体が出来上がってない時だと、流石に扱いきれないってことで諦めていた戦闘スタイルがあるんだけど、大分体もできてきたことだし、そろそろ訓練を始めようかなって」

 

「それが、兄さんに弟子入りしたい理由と関係あるのか?」

 

 そもそもが、御神流を習いたいというならば絶対に兄さんは首を縦に振らんだろうし。弟子を取るならば、とっくに晶が弟子入りしていたはずだ。

 

「別に御神流を習いたいってわけじゃないんだよ」

 

「はぁ?」

 

「厳密には二刀流を習いたいってことなんだ」

 

 そこから詳しく話を聞いてみたら、こういうことだった。

 

 今現在使っている大剣は攻撃力という意味では最高なのだが、大剣故に取り回しがし辛いことが難点である。

 

 そこで、多少の攻撃力の低下は目をつむっても取り回しをしやすくするために、大きさを変えることだそうだ。

 

 ただ、取り回しがよくなっても大剣というカテゴリー自体は変わらないために、そのままでは攻撃力の低下しかみれない。

 

 それを改善する方法として、別の剣を使い二刀での戦いを行い、またいざとなれば元となる剣に連結し元の剣の攻撃力を上げるということであった。

 

 そして、連結する剣は一本だけではなく、二本、三本と増やしていくことによって、今まで使っていた剣よりも攻撃力を上げるという戦法だそうだ。

 

 これを使わなかったのは体が出来上がってなかった事に加え、技量的な意味も含まれている。

 

 また、最終的に連結し終わった剣の重量は今までの剣よりも重い。その分、攻撃力は上げるようだが。

 

 別に今までの剣でも十二分に強いわけだし、必要に感じないのだが……

 

「ゼストさんクラスや、存在してほしくはないけどお前クラスの奴がいたら流石に今の剣だと、な」

 

「ああ、確かにボスクラスならなぁ……俺クラスなんて割と地球にはざらにいるが、もし魔法世界でいるならば、お前になんてやるか」

 

「さらっと、聞きたくないような言葉が聞こえたきがするが、今は関係ないよな。そんで、どうかな?」

 

「話を聞くと、二刀流というよりも変則二刀流って感じだな。兄さんも俺も似たようなもんだが……う~む……」

 

「どう違うんだ?」

 

 俺の言葉を聞いて分からないのか首をかしげるクロード。こいつ、この顔でこういう無垢のような行動はキモいな。女性から見れば黄色い歓声もらえるかもだが。

 

「正統派の二刀流ってのは本来は防御を重視したものだ」

 

「うぇっ!?」

 

「そもそもが、二刀流ってのは片方が長剣ないし本差で、もう片方は短剣や脇差など長さが違う。昨今のゲームだと両方とも同じ長さってのが普通にはなってきているがな」

 

「そうじゃないのか?」

 

 まぁ、事前知識というかここら辺は流派などでも違ってくるけど、おおっぴらにこうだという形では記されてないからなぁ。

 

「剣道なんかの二刀流も確かそんな感じだぞ。あとは、フェンシングとかもだったかな?」

 

「剣道は分かるけど、フェンシングもか?」

 

「あれは、どちらかというとレイピアの扱いだったか?俺も詳しくは知らんし調べてないが、レイピアの場合は刺突が主な攻撃手段だけど、そうすると両手で握らんだろ?」

 

「まぁ、そうだな」

 

「その場合は、片手があくわけだ。そうすると、その片手はどうするんだ?」

 

「えっと、魔法を撃つ?」

 

「アホか。魔法がない世界の話をしているのにそこで魔法を出すな」

 

「うっ、ごめん」

 

 やれやれ。まぁ、確かに知らなければしょうがないがな。

 

「レイピア使いだと割とマントで相手の武器を絡めたり、もしくはマンゴイーシュあたりを持って防御用にしたりだな」

 

「マント?」

 

「まぁ、それは気にするな。俺も出来るがマントもシッカリとした防具だということだ」

 

 もちろんマントをつけるという意味だけもあるが、あれも使いようということだな。

 

「まぁ、二刀流については分かったが、それだとうちの兄さんに教えてもらうってのも違うなぁ」

 

「そうなのか?」

 

「兄さんの二刀流は攻守どちらも同じだからな。まぁ、最初のお前の目的ってのにあっているがな」

 

「だったら」

 

「だから、お前の場合は正統邪道の前に根本的に扱いが違う」

 

 俺の説明に首をかしげるクロード。まぁ、分からないんだろうが、俺達のように剣士として生きてきた人間からすれば前提がことなるからなぁ。

 

《マスター》

 

「どうした?」

 

 どうしたもんか、考えていたらエアから声がかけられ反応する。

 

《マスターが教えては?》

 

「は?」

 

《恭也殿が前に言っていたではありませんか。お前は一刀ではなく変則二刀と考えたほうがいいと。それに、マスターって最近はやりませんが、前まではよく鞘で殴打も行っていましたよね?》

 

「あぁっ!」

 

 エアの言葉を主だし手を打つ。

 

「なんか、解決策があったのか?」

 

「説明するより実践のほうが早そうだ。お前も口よりも体で覚える口だろ?」

 

「そうだけど、そうだけどさ……なんか、俺が馬鹿だと言われてる気がする」

 

「気のせいだろ?」

 

《気のせいでしょ?》

 

《気のせいだ》

 

「うぉーーーいっ!なんで、ザックスまで乗ってくるんだ!?」

 

 ううむ、今まで黙っていたザックスまで会話に加わるとは、話の分かるやつだ。

 

 クロードに剣を構えさせたのを確認した俺は剣を抜いて手をクイクイと手招く。

 

「適当に攻撃してこい」

 

「わかったよっ!今までの借りを返してやる!」

 

 そういって、突撃してきたクロードの攻撃を見切り左手で持った刀で受け止める。

 

「刀って切れ味はともかく耐久力高くねえだろ!?」

 

《事実ですが、その程度では流石に私を折れませんし、白凰ですら折れませんよ?》

 

「てか、攻撃さえ見切れれば関係ねえ……よっ!」

 

「がっ!?」

 

 つばぜり合いで驚くクロードを余所に右腰に差していた鞘を抜いて開いた胴を思いっきり殴りつける。

 

「まだまだ!」

 

 崩れそうになるクロードに更に刃を押して体を開かせ開いた顔を殴りつけようとしたが、それは間一髪で逃げられてしまった。

 

「ふっ!」

 

 今度はこちらから仕掛け、鞘からの攻撃で注意を逸らし、本命の刀で切り裂く。流石に非殺傷が効いているから切り裂くのはジャケットまでだが。

 

「どうだ?分かったか?」

 

「ああ、お前の言っていた二刀流って戦い方が分った」

 

「ちなみに兄さんだと俺以上に鋭い攻撃だからな」

 

「それで、今見たいな感じで教えてくれるのか?」

 

「は?」

 

「え?」

 

 何を言っているんだこいつは。

 

「今みたいにして、自分で鍛えろ。相手はしてやるから」

 

 クロードの場合は技量はまだまだひよっ子レベルだけど、魔力高いしその魔力も俺見たいに無駄にせずに身体能力に回したりやなんやとレベル高いから俺の鍛錬あいてにも丁度いいから一石二鳥だな。

 

「いやいやいや!俺は、シッカリと鍛えたいから教わろうと!」

 

「ぶっちゃけ、お前みたいな大剣使いなんてどう教えていいか俺にも兄さんにも分からん!だから、お前自身が試行錯誤してやってみろ。俺も兄さんも相手はしてやるから」

 

「そんな無茶な……」

 

「クロード!」

 

「っ!」

 

 俺の大声にビクリと反応するクロード。

 

「いつまでも甘ったれるな。お前はなんのために力をつける?確かにお前の言った戦法は今後でも役に立つだろう。だが、今ある戦法をもっと極めれば今から変えるよりもいいはずだ。なのに、それをせずにさらなる力を求めるのは何故だ?」

 

「俺は、あいつらを守れるだけの力が欲しい」

 

「ならば、新しくはいらないはずだ。教会最強の騎士の称号は伊達ではないはずだ」

 

「それは…違う!確かに、教会では最強かもしれないが、それは魔力やランクだけの話だ!本当に強いとはどんなことかだって俺は知っている!だからこそ、俺は、あいつらを、あいつらの笑顔を守りたいんだ!」

 

「誰かのためならば、なおさら自分でたどり着いて見せろ!手を貸さないとは言ってない、だが!これから先はお前自身の問題のはずだ」

 

「分かった……待っていろ、紅莉。俺は強くなるぞ」

 

「楽しみにしている」

 

 たがいに背を向けてそれぞれの場所へと歩いていく。

 

「くくっ」

 

《マスター。悪い顔してますよ》

 

「すまん、すまん。だがなぁ、これでいい練習相手を兄さん以外にも手に入れたからな」

 

《脳筋ですねぇ》

 

「お前まで言うか」

 

《言いますよ。マスターがやることに異を唱えるつもりは毛頭ありませんが、体の心配ぐらいはさせてください。じゃないと、レイジングハートを弄れません》

 

「お前も大概だなぁ」

 

《似たようなものです》

 

 エアからの言葉を心地よく聞きながら、俺は今後のクロードの成長を期待したのであった。




†久遠放送局†

久遠「久遠の出番キタ――(゚∀゚)――!!と思ったら、話が超短かった」

リニス「そのため、急きょクロードのAC化の話を詰め込んだようですよ」

久遠「まぁ、出番がないリニスよりはましかな?」

リニス「私も最近空気ですからねぇ」

久遠「なんか、色々とやりたい話が多くて出せなかったって作者が言っていたけど、ある程度は消費したから今後に期待だね」

リニス「ですね。私とアリシアの話も考えているようです」

久遠「では、次回もお楽しみに」
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