「すると何か?その…フェイトとか言う子とプレシアというおかんが因縁つけて向かってくると?」
「どこをどう間違えれば、そうなるんですか…」
《マスター、ボケる場面ではありませんよ》
リニスを保護して次の日の夕方に回復したリニスとともに部屋に篭り、話を聞いているんだが今一理解が追いつかない。
「もう一度説明しますよ?プレシアは亡くなった娘のアリシアの蘇生にロストロギアという遺失物を用いようとしております。
そして、その実行をするのがフェイト…プロジェクトFにて生まれたアリシアのクローンです」
「クローンとか作れんのか?よくてデッドコピーとかのオチじゃないの?」
よくあるのは人の寿命を司るテロメアが極端に短くて数年しか生きられないとかいうやつだな。
「この世界の技術がどの程度かは分かりませんが、フェイトはデッドコピーなどではありません!」
「すまん、すまん。別にそのフェイトをけなそうとはしてないって。俺が言いたいのは完璧なクローンって作れるものなのかってことだ。
俺が知っている…アニメとかの内容だが…寿命が短いとか、姿が違っているとかそういうことを言いたいんだよ」
「そうですね、そういう意味ではアリシアとフェイトは完全な別人です。いわばフェイトはアリシアの記憶を受け継いだ別人ということになります」
ふうむ、記憶を受け継ぐといういみでは凄いな。
「研究者とかにしてみれば大したものじゃないか?」
「…どういうことです?」
「だって、研究を自分の記憶を受け継いだやつに渡してやればいつまでも続けてくれるだろ?」
「元々はどのような思惑で作られたものかは私にも詳しくは分かりません…しかし」
顔を俯かせるリニス。よほど、そいつ等のことが大事なのか。
「お前はどうしたいんだ?プレシアを止めたいのか?それともフェイトを救いたいのか?はたまた、アリシアを甦らせたいのか?」
そう、あくまでもこいつの意思がそこにないんだよねさっきから聞いていると。
「私は…できれば、その全てを望みたいです」
「くっ…」
「何を笑っているのですか?」
いや、だってなぁ?
「お前、それがもっとも難しいと分かっているんだろ?なのに、贅沢にも全てを望むのか?」
「…わかっています。出来ることなんて限られていると…しかし、私はプレシアを…フェイトを…」
「いいさ、いいだろう。その望み、俺に何処まで協力できるか分からんが、手伝うよ」
「えっ!?」
「緋凰の名において誓おう。我等は切り開くもの、後に続くもののためにあるもの。ゆえに、汝が望む明日へと進むための道を作ろう」
「明日へ…」
そういって、飾ってあった刀を目の前にかざして言葉を紡ぐ。
「わかりました。では、私はあなたの使い魔としていついかなる時も汝に降りかかる悉くを防ぐ楯となりともに歩みます」
「ここに、契約はなった。…改めてよろしく頼むリニス」
「はい、コウリ」
「ちょっと違うな。紅莉だ。この世界の…この日本という国では発音が重要でな。ともに歩むならばしっかりと呼んで欲しい」
「コウリ、こうり、紅莉」
「お、最後のはよかったな」
「では、改めてよろしくお願いします…紅莉」
お互いに手を差し出して硬く握手を重ねた。
「んで、お前は結局どういった存在なんだ?」
今まで黙りこくっていた翡翠の宝玉に向かって問いかける。たしか、昨夜こいつは自分のことをインテリジェント・デバイスだと言っていたが。
《そうですね、魔法初心者のマスターに分かりやすく説明しましょう》
「一つ聞きたいのですが、紅莉は魔法のことをしらなかったのですか?」
「知らん」
むしろ転生者といことも忘れかけていたし…無いものは無いんだと割り切っていたからな。
「どうして、あの方は私を紅莉の元へ?」
「あの方?」
(マスターよろしいですか?)
突如頭の中に声が響く、この声の感じからしてエアナガンか?
(はい、コレは念話というものです)
用はテレパシーみたいなものか。
(概ね正解です)
それで、一体なんの用だ?
(はい、私をリニスに預けた方は貴方をこの世界に送った方です)
……ああ、あいつか
(はい、私が完成した後にマスターに送り届けようにもこの世界にはこれないようだったのでどうしようかと迷っていたところをリニスに預けたのです)
これない?それはいいとして、何でリニスに。
(都合がよかったのでは?)
なんつー身勝手な…
(そんなものですよ。さて、ここからは私が説明するので合わせてください)
そんな必要があるのか?
(まぁ、運命共同体として一緒にいると決めたので時期を見て話すのはいいですが、今の彼女にこれ以上の負担はよしたほうがいいのでは?)
なるほど、確かにそうだな。んじゃ、任せる。
(はい)
全てをエアナガンに任せて俺は適当に合わせることにしよう。
《私が説明します》
「確か、エアナガンといいましたね?」
《覚えていていただき光栄です。さて、貴方は転生というものをご存知ですか?》
「転生といえば、死者が時を経て新しい体に新しい人生を歩むものですよね?」
《はい。マスターはいわばかつて私を使っていた方の生まれ変わりです》
「なっ!?どういうことですか!?」
おい、負担がどうのこうの言って、核心の部分話してないか?
(神様によっての転生と言ってないだけです。アニメの世界だとかなんだと伝えられますか?)
ああ、そう言うことか了解。
《私が作られたのははるか過去の時代。かつてはベルカやミッドなどそういったものが分かれる前の時代です》
「ということは、貴女もロストロギア…」
《いえ、あくまでも私はデバイスです。しかし、使われている技術から考えればそう呼ばれても可笑しくは無いでしょう》
「そ、そんなことが…」
う~む、ロストロギアというものがどの程度のものかと言うのが全く分からない俺としては話しについていけないな。
《そして、私自身を使えるのは最初に登録したかたの魂が宿った存在のみとなります》
「し、しかし…それだと、矛盾が…あの時軽く見ましたがあなたの中身は空っぽ…いえ、登録された形跡など無かったはずです」
《そうですね。正確に言うならば当時のマスターは私を他の方に使われるのを恐れフォーマットをかけました…しかし、私はマスター紅莉が手に取った時に甦りました。その後、何故甦ったのかを調べていた結果、かつてのマスターが再びめぐり合えたらと思いそういったプログラムを組んでいたようです》
「なるほど…」
今の説明で納得がいったのかリニスはしきりに頷いていた。
「では、あの方はもしかして…」
《私を預けた方がどの方かと言うのは分かりませんが、恐らくは当時のマスターの残留思念か何かだと思われます》
「なるほど…それで、納得がいきました」
そういって、完全にエアナガンの説明に納得がいったリニスはそれ以上の言及をしてこなかった。
《さて、マスターお待たせしました。遂に発表ですよ》
「よっ、待ってました」
《ノリがいいですね》
シリアスに徹する場面じゃない限りはこんなもんだよ俺は。
「んで、俺のチート能力って何だ?正直、何を貰ったか分からないし調べようと小説みたいに自分を見つめなおすみたいなものすらやってもわかんなかったんだが?」
当時は厨二格やという感じで叫んだり変なポーズを取って母さんに心配されたっけ?
《ディス・レヴです》
「は?」
《ですからディス・レヴです。負の無限力を司るディス・レヴです》
「あの、ディスナガンの?」
《そうです。別名ゴキナガンですね》
「俺、胸開けたくないんだけど…」
あと、ゴキナガン言うな。サルファじゃ15段階改造時に完全に大雷鳳の能力ぶっちぎっちゃった最強機体だぞ。
《ご安心を。レヴの名の如くマスターの心臓がそれとなっているだけです。あと、それだけでは流石に人間という枠に対して危ないと感じてオリジナルの力としてディーヴァ・レヴというのもあります》
「ディーヴァというと…光のとかの輝くものとかの意味である神の名前だよな?」
《
「しかし、あれは銃神だろ?俺は銃は使わんぞ」
刀一振りあればそれでいい。
《ご安心を。ゆえに私の名前がエアナガンです》
は?どういうことだ?
《エアとはEa…かつて、天と地を乖離した剣からきております。…まぁ、ナガンの部分で銃と関係していますが》
慢心王の武器が語源かよ!?
《まぁ、それは別にいいとして。そして、私をセットアップするとティプラー・シリンダーと連結します》
「…ディス・レヴにそれの対となるディーヴァ・レヴにティプラー・シリンダーって…」
最早唖然とするしかなくなる。機動兵器に載せるのを人間に渡すか普通?
《おまけといっては何ですが…》
もうやめて!おなか一杯よ!
《でも、話しますがね。私自身にはトロニウム・レヴとブラックホール・レヴというものが搭載されています》
「おい、舌噛みバインの力まで持っているのかよ。せめて、トロニウム・レヴだけにしとけよ」
あれは確かアストラナガンのデッドコピーだろ確か?てか、レヴ?エンジンじゃなくて?
《さて、マスターとりあえず武器の形状とか決めたいのですが何がいいですか?》
「刀」
《即答ですね》
「今までずっとこれでやってきたからな。それ以外は考えられない」
《分かりました。でしたら、マスターの刀をスキャンさせてください。そうすれば形状も質量も同等にすることが出来ます》
「おっ、それは嬉しいな」
持っている刀をエアナガンの前に置くとなにやらアニメとかで見そうな光を出しだした。
《完了しました》
あっさりと終わってしまったので拍子抜けだなぁ。
「そういや、俺ってどんな魔法が使えるんだ?」
あまり頼ろうとは考えないが手札が分からないと意味が無いからな。
《基本的にはマスターの訓練次第となりますが、固有の武装としてガン・スレイブとあとは精神コマンドが使用可能です。
防御という意味ではディフレクトフィールドと歪曲フィールドにおまけで念動フィールドが使えます》
「ガン・スレイブはいいな。フィールドはそんなにいるか?」
《ディフレクトと歪曲は大して変わりませんが、念動フィールドはアレは一種の無効化フィールドですので》
ディフレクトとかは確か軽減系で念動は無効化系のフィールドだったか?
《精神コマンドは6つあります。因みに、作者の好みだそうです》
てか、いらん機能が多いな。何だよ精神コマンドって。あと、メタな発言すんなし。
《身体能力強化の上位互換と言ったところです。使うのはSPなんていうものじゃなくて魔力なんで使いたい放題ですね》
まぁ、必殺の一撃として考えればいいのか。
「それよりも、俺って念動力持ってるのか?じゃないと念動フィールド使えないだろ?」
《レベル9相応の能力ありますよ。まあ、表立って使えませんけどね。マスターの場合はあの力の大半をディス・レヴなどの制御に回っていますし》
まぁ、意味無く強力な力なんかを感じまくるとかがない分いいか。
「って、待てよ」
《どうしました?》
「やろうと思えば俺って第二魔法と第三魔法使えるじゃね?」
第二魔法は平行世界の運用だろ?これはティプラー・シリンダーを用いれば簡単だろ?
んで、第三魔法は魂の物質化だけど、これもディス・レヴやディーヴァ・レヴを使えばできるんじゃね?
《いい所に気づきましたね。ぶっちゃけ言えば可能です》
ホント、無駄に能力あるな…使いきれる気がしないが。
《ただし、それはマスターが使い切れなければ意味がないですが》
だよねー。通常の鍛錬の時間を減らす気もないしどうしよう?イメトレだけでどうにかできないかね?
《とりあえず、一度セットアップしてみませんか?》
「そうだな」
とりあえず、初魔法のために鍛錬と称してリニスを連れたって丘へと向かった
「ここなら、とりあえず人目につかないと思う」
少し行くと墓地があるが、墓地よりもここのほうが奥まった場所なので人など滅多に来ない。
「それだけだと心配ですので結界を張ります」
リニスはそういうと、なにやら呟いた後空が薄桃色に覆われた。
「おお、魔法ってこんなことも出来るんだな」
「これは、前の主のプレシアの知識から得たものですね。紅莉の場合は基礎すらないのでこうは行かなかったでしょう」
中々手厳しいねえ。事実だから何も言わないが。
「んじゃ、次はどうすればいいんだ?」
「そうですね。確か、デバイスの形状などは決めたと仰いましたよね?」
「ああ」
「では、エアナガンを握り自分が使いやすい服をイメージしながら「セットアップ」と言ってください。そうすれば、起動するはずです」
ふむ、リニスに従い首に下げていたエアナガン…めんどくさい次からはエアでいいや。…エアを握り動きやすい服のイメージをする。
「エアナガン、セットアップ」
《ゲット、レディ》
エアからの声が響いたと思ったら俺の服装は変わっていた。
「どうやら、無事にできたようですね」
リニスが拍手しながら俺に言ってくるので自分のカッコウを見てみる。
白いロングコートに下は黒いズボンにシャツであった。
「おお、イメージ通りだ」
兄さんと同じように俺も黒が好きなので黒系の服と、生前母さんが常に来ていたような白いロングコートを羽織る形になっていた。
母さん曰く。戦いに赴くに当たって清くあれという意味も込めて白を入れるといっていたのでこういう形にしてみた。
最初は胴衣にしようか悩んだが、母さんは常にコートを羽織っていたので俺もそれに習おうと思い此方にした。
「それが、紅莉のデバイスですか…紅莉が持っていた剣と同じですね」
右手に持つ本物の刀より多少機械っぽくした刀を見ながらリニスが感心したように零す。まぁ、俺が持っているのを元にしたからほとんど一緒だな。
「この国では刀といって、これは持つ者の魂と言っていい様な物だ」
武士といっても分からないだろうからこんないい方になってしまった。
「どちらかと言うとアームドデバイスに近いですね」
「アームド?エアは確かインテリジェントだったか?そんなのじゃないのか?」
《その通りです。デバイスには大まかに分けて、私のように独立AIを搭載しサポートを行うインテリジェント、それより多少劣りますがそれに似た攻撃特化のアームド、処理速度を重点視し担い手の技量にそったストレージ。後は番外編として担い手と同化するユニゾンが存在します。他は細かい違いなので省かせて貰います》
エアからの説明によれば、二人三脚のインテリに騎馬戦のアームド、サポーターのストレージに特殊なユニゾンということか。
「上手い例え方ですね。ストレージは一般魔導師の多くが使うものですが、エースと呼ばれる人が使うとなると変わります。
エースと呼ばれる人だと逆にAIとの噛みあいが悪くなったりして逆にお互いに足を引っ張ったりしたりするケースもありえますね。
プレシアなどは大魔導師と呼ばれながらも使っているのはストレージデバイスでしたよ」
「そうすると、エアと俺の相性はいいのか?」
「そうなりますね。相性が悪ければ起動できません」
《私はマスターのために作られたデバイスです。ゆえに相性はよくて当然です》
何処となく誇らしげなエアを微笑ましく思いながらゆっくりと体を動かすと驚きの事実が分かった。
「肩が動く!?」
怪我した肩が問題なく回せるのだ。しかも、つっぱるとかそういった感じが一切無い。
《怪我していた部分に関しては魔法にて念入りに保護しております。よっぽどの無茶が無い限りは普通に使えるはずです》
「それは、ありがたいが治さなくていいからな」
「どうしてです?」
俺の忠告にエアではなくリニスがやや心配そうに尋ねてきた。
「これは、俺がやったことに対しての戒めなんだ。それを簡単に治しては意味が無い」
「そうですか…」
リニスがやはり心配そうに此方を窺っているが俺は笑顔を作り答える。
「安心しろって、治す気が無いわけじゃない。治すためのことは常にしているんだ。いずれは右も普通に使えるようになるさ」
「はい」
俺の顔をみて安心したのかニッコリと笑って頷いてくれた。
「さてと、魔法と言うと何ができるんだ?」
デバイスの形も何がいいと聞かれたからすぐさま刀と返してしまったのだが。
「そうですね、ではそこら辺から教えていきましょう」
「うげっ」
「嫌な顔してもダメですよ?こういうのは初めが肝心なんですから」
「エア」
《ファイトッ☆》
結局デバイスにも裏切られて俺はリニスの魔法を使うことについての授業を受ける羽目になったのであった。
まぁ、後日からは学校中かもしくは就寝前のみとなり、後は実戦をやることに決めたのは助かった。
幾ら魔法が使えようとも緋凰流の鍛錬をおろそかにするつもりは無いからな。
というわけで、ある意味でチート。しかし、皆さんは「え?」と思う方もいるかもしれませんね。
しかし、チートです。理不尽なくらいチートです。